| 活動名 | 中部電力パワーグリッド飛騨変換所見学会 |
| 実施日 | 令和7年(2025年)3月28日(金) 13:00~15:00 |
| 場所 | 岐阜県高山市清見町 |
| 参加者 | 13名 |
| 主催 | 計装士会 |
| 報告者 | 中部・北陸地区代表幹事 森本 将之 |
1.はじめに
中部電力パワーグリッド飛騨変換所は、東日本大震災によって東日本の太平洋沿岸部にある発電所が甚大な被害を受け、首都圏の電力供給が不足し、計画停電や節電協力依頼などによって、社会生活に多大な影響がでた背景があります。このような事態を未然に防ぎ安定的に電力供給することを目的として、西日本-東日本間の電力融通能力を増強※することとなり、飛騨変換所の設置計画(飛騨信濃周波数変換設備)がスタートし、2021年に運用開始されたとのことでした。
2.飛騨変換所の概要
飛騨変換所(60Hz)は、東京電力パワーグリッドが保有する新信濃変電所(50Hz)と直流の送電線で結ばれ「飛騨信濃周波数変換設備」を形成しており、60Hzの交流を直流に変換する(その逆の変換も可能)交直変換設備としての役割を担っています。また、飛騨変換所は、電力の供給力不足時だけでなく、平常時における東日本と西日本をまたいだ電気の市場取引においても重要な設備になっています。
- 経済産業省 総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会
- 「重要送電設備等の指定」1号案件

3.見学会内容
(1)越美幹線
中部電力パワーグリッドの越美幹線(交流500kV)から飛騨変換所に分岐接続している様子です。越美幹線から飛騨変換所用の分岐線を立体的に交差するため、既設鉄塔を分岐鉄塔に建替えています(左から2番目)。既設交流500kV鉄塔近傍での建替え鉄塔建設工事は危険度の非常に高い工事のため、安全対策に苦労したことが覗えます。

(2)飛騨信濃直流幹線設備
飛騨変換所から東京電力パワーグリッドの新信濃変電所に向け直流送電(200kV)鉄塔です。当たり前ですが直流なので電線が2本しかありません。

(3)通信鉄塔
飛騨変換所は、基本的に無人で運用しています。設備の監視、運転指令などは、光ケーブルやマイクロ波無線で名古屋市にある中部電力パワーグリッドの給電制御所などと通信しています。(直線距離で約95km)無人で設備管理をするには、信頼性の高い通信回線による制御・保護が要求されます。(工事に携わった方々は計装屋冥利に尽きる…)
もし、設備に異常があった場合は、中部電力パワーグリッド高山支社の職員が駆けつけるそうです。

(4)サイリスタモジュール

飛騨変換所のキモになる設備です。機密の関係で実物の写真はありませんが、図のモジュールを積み重ねて直流200kV,2250A(90万kW)の出力を実現しています。
この変換設備で越美幹線(交流500kV)の電力を直流200kVの電力に変換し、東京電力パワーグリッドの新信濃変電所に送電します。
またサイリスタバルブの制御角(点弧角)を変更することにより、逆に新信濃変電所から送られてきた直流電力を交流電力に変換し越美幹線に送ることもできます。

この仕組みを利用し、災害発生時における50Hz↔60Hz変換だけでなく、平常時における西日本と東日本間の電力取引にも使用しているとのことでした。
4.おわりに
普段、一般需要家設備の建設、保守に携わっている私たちからすると今回の飛騨変換所は、機器及び規模が桁違いのスケールで、圧倒されたところであります。
国策とは言え、設置場所が厳しい気象条件の地域(豪雪地帯)に関わらず、設計から運用開始まで約8年間という短工期で作り上げた中部電力様の技術力と建設に携わった方々のご苦労に感服した次第です。
周波数変換設備は生活の中で使用している家電製品の中に組み込まれているインバータの応用であると伺いました。一昔前は周波数の違いにより東京で購入した洗濯機などは大阪など西日本では使えないので注意が必要であると聞いていましたが、現在ではあまり聞かなくなったのは、インバータによる周波数変換の技術が何気なく入っているためであることを改めて認識をしました。
最後に今回の見学会にご協力いただきました中部電力パワーグリッド株式会社高山支社様および関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

【報告者紹介】
(株)トーエネック
営業本部 営業部
技術提案グループ
課長 森本 将之

