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活動報告(東北・北海道)

有機エレクトロニクスの戦略的推進を目的とした施設   実験施設(クリーンルーム 1,200㎡)   展示スペース

活動名有機エレクトロニクスの戦略的推進を目的とした施設
  実験施設(クリーンルーム 1,200㎡)
  展示スペース
実施日平成26年(2014年)5月21日(金) 14:30~16:00
場所山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター
  山形県米沢市アルカディア1-808-48
  総面積 4,260㎡
参加者23名(内計装士会8名)
主催(一社)電気設備学会東北支部
協賛計装士会 (一社)日本電設工業協会東北支部
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 今回の見学会は山形大学殿のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部及び計装士会の共催で実施しました。
 同施設は、山形大学と山形県産業技術振興機構、産学連携有機エレクトロニクス事業化推進センター、連携企業・関連機関による大学・企業・公共機関により一体運営される有機エレクトロニクスの「拠点」「技術の橋渡し」を目的とした施設です。
 御担当者様に有機エレクトロニクスについての概要説明と、展示スペース、クリーンルームの見学をさせて頂ましたので、下記に報告します。

2.見学内容

 1) 有機エレクトロ二クスの概要について

  はじめに、同施設会議室に於いて有機エレクトロニクスについて現状と歴史その特徴と応用性、現在の取組みについて概要説明を頂ました。
  無機、有機の違いから、有機ELの「フレキシブル」「プリンタブル」という特徴と今後の可能性の説明を頂きました。
  また、その特徴を生かした開発への取組みとして、有機EL照明・有機ELディスプレイ・有機太陽電池・発電パネル・有機トランジスタなどの技術について紹介を頂ました。

概要説明の様子

  その中でも有機EL照明については将来の需要・普及の予測として、2015年からの需要立ち上がり、本格的な普及開始として2018年以降という予測もあり、数年後のそれほど遠くないうちに、我々の身近な所で普及し、手にする機会が出てくる技術である事が実感されました。
  また、地域経済の再生と東日本大震災からの復興の貢献を掲げ、経済産業省や文部科学省の支援を受け、山形大学をコンソーシアムの主体とし、多様な分野の多数の企業が参画し運用されていること、被災地企業が参画し、震災復興へ貢献しいていることなども紹介を受けました。

 2) 施設見学について

  施設内には各種実験室の他に、最新の設備を配置したクリーンルームを備えており、フレキシブル&プリンタブルなイノベーションを実現する設備としてインクジェット装置やスクリーン印刷装置、パターン転写印刷装置、真空貼り合わせ装置、真空蒸着装置、クラスター型蒸着装置など様々な設備を備え学生や、連携企業の方々が実験する姿を見学できました。

クリーンルーム見学

展示会場には各技術を実現した製品が配置され、さまざまな色に変化する有機EL照明や、カードサイズの有機薄膜太陽電池、透明な有機薄膜太陽電池、有機ELディスプレイ、有機デバイスなどが展示されており、カラフルな装飾や身近に感じられる演出が施され、楽しんで見学が出来る場所でした。

有機EL照明の展示
有機薄膜太陽電池の展示

 その中でも、やさしい光を放つ有機EL照明はすでに米沢市内の施設で活用がされていることを、ご説明頂き身近に感じられました。また、カードサイズであったり、湾曲した形状、透明であったりフレキシブルで意匠性に富む有機EL薄膜太陽電池は、軽量で有る事で、これまで設置できなかった場所への設置が可能性であり、建築物や車などの窓やルーフなどを始め様々な応用が可能であること、発電効率の改善と低コスト化を実現することにより、活用の幅は多岐にわたる物と感じられました。 これらの技術は省エネルギーの観点からも、普及が期待される技術である事が良く分かりました。
 また、米沢という地にスポットを当てた産業創出の歩みが、「有機材用の基礎技術」と「電気電子の産業化技術」を二つの軸として年表を用いて展示されていました。
 1776年に始まる年表には、上杉鷹山による絹織物技術の発展に始まり、米沢高等工業学校による日本初の「レーヨン繊維」の製造成功、1993年に山形大学大学院理工学部研究科の城戸教授による、世界で始めての白色有機EL素子の開発の成功、1997年の東北パイオニア㈱の世界初の有機ELディスプレイの量産成功などが紹介されていました。
 この経歴からもこの地の有機ELデバイスへの係りの深さに感心すると共に、この米沢市アルカディアの地で進められる様々な挑戦の意義を感じられるものでした。

3.おわりに

 今回の見学会で、山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンターの皆様にはお忙しい中、説明及び見学のご案内をして頂き、心より御礼申し上げます。                                                以 上

展示コーナーにて見学参加者集合写真