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活動報告(東北・北海道)

最新型のガスタービンを採用したコンバインドサイクル発電で 熱効率世界最高水準の火力発電施設の見学 中央制御室、タービンフロア、LNGタンク、防災・地震・津波対策

活動名最新型のガスタービンを採用したコンバインドサイクル発電で
熱効率世界最高水準の火力発電施設の見学
中央制御室、タービンフロア、LNGタンク、防災・地震・津波対策
実施日平成28年(2016年)10月25日(火) 14:30~16:00
場所東北電力株式会社 新仙台火力発電所
宮城県仙台市宮城野区港5-2-1
敷地面積:約325,000㎡
発電出力:98万kW (49万kWx2軸)
参加者28名(内計装士会9名)
主催(一社)電気設備学会東北支部
協賛計装士会
(一社)日本電設工業協会東北支部
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 今回の見学会は東北電力㈱殿のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部及び計装士会の共催で実施しました。
 同社は、民間電力会社です。供給区域は東北6県および新潟県で、1951年(昭和26)電気事業再編成の一環として旧東北配電の供給区域を継承して設立され、現在、新仙台火力発電所は、宮城県内を中心に東北電力管内に電力を供給する中心的な施設です。
 同社のご厚意により、設備を見学することが出来ましたので、下記に報告します。

2.見学内容

 新仙台火力発電所の経緯と概要、そして震災を踏まえた地震・津波対策などをご説明いただき、中央制御室及び平成27年より運用を開始した3号系列の最新式コンバインド発電施設、LNGの受け入れ施設、貯蔵施設を見学させて頂きましたので、見学の内容をご報告いたします。

  新仙台火力発電所について

 同社のS+3E(安全/Safety+安定供給/Energy security、環境保全/Environmental conservation、経済性/Economy)
 の観点に基づき、LNG(液化天然ガス)を燃料としたクリーンで高効率な火力発電所です。
 従来の1,2号機を廃止し、最新の高効率コンバインドサイクル発電設備を採用した3号系列は世界最高水準の熱効率を誇り、地球温暖化や資源の有効利用、低コスト、低炭素社会に寄与する施設です。

  主要設備について

 発電設備の概要は、出力49万kWを発生させる一軸形のコンバインドサイクル発電設備が2基導入されています。
 1500℃級のガスタービン、蒸気タービンと発電機を一軸に配置した構成でガスタービンより排出された645℃の廃熱を廃熱回収ボイラーにより回収し蒸気タービンを駆動させ発電を行うことで、LHV基準で熱効率60%の世界最高水準の効率を誇ります。
(※LHV:低位発熱量(燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を除いたもの)
 また、CO2排出係数は0.327kg-CO2/kWhであり低炭素社会に貢献をしています。 

3号系列タービンフロア
LNGタンクとLNG桟橋

 LNG燃料施設はタンカーで海上輸送されたLNGを受入、貯蔵、気化する設備で構成され、貯蔵するLNGタンクは地上式PC外槽式円筒竪型貯槽(16万m3)を2基備えています。
 このLNGタンクは-162℃で貯蔵されるLNGの極低温に対応するために、9%ニッケル鋼の内槽と鋼製外槽と断熱層で構成される2重構造で魔法瓶状の形状となっています。
 また、一体化したコンクリート厚1.1m~0.6mの外殻で漏洩を防ぐ一体構造のため、防液提が無い事も特徴
で、敷地を有効に活用できるメリットがあります。
 また、東日本大震災級の地震や津波にも十分耐える設計がなされています。

 気化器はオープンラック式3基が設置されます。
 燃料のLNGはオーストラリア、マレーシア、インドネシア、カタール、サハリンなどの複数の生産者から調達し、安定的な供給を受ける体制を整えていました。また、LNGタンカーで海上輸送されたLNGは桟橋で荷揚げされ、年間100万トンのLNGをスムーズに受入るために、幅広い船型に対応した設備としているとの事でした。
 LNGは硫黄酸化物・ばいじんを排出しないクリーンなエネルギーです。新仙台火力の煙突には希少野生動物種のハヤブサが休憩所を作り生息しているとの紹介もありました。

  運用と安全対策

 同施設の中枢となる中央制御室を見学。
 効率的に配置されたモニターと操作環境が整備され運用されていました。
 4名+αによる交代勤務でほぼフル運転状態で運用されている状況で、他の太陽光発電等の発電状況に合わせ出力を調整しながら運用がなされています。
 施設全体は東日本大震災において津波被害を受けた経験を踏まえ、新たな3号系列は地震津波の対策として、耐震性強化・重要施設の上階化・かさ上げ処置・防潮堤や盛土、植栽による減災対策など多く採用しています。
 LNGの火災対策も含めたトータルでの防災・地震・津波・減災対策を考慮した設備となっていました。

中央制御室
3.おわりに

 今回の見学会で、東北電力株式会社 新仙台火力発電所の皆様にはお忙しい中、説明及び見学のご案内をして頂き、こころより御礼申し上げます。                                以  上

 見学参加者集合写真(玄関入り口前にて)