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活動報告(東北・北海道)

東北電力㈱の大型蓄電池システムを利用した、電力系統への最適制御・ 管理技術開発拠点である、中央給電指令所及び西仙台変電所の見学

活動名東北電力㈱の大型蓄電池システムを利用した、電力系統への最適制御・
管理技術開発拠点である、中央給電指令所及び西仙台変電所の見学
実施日平成29年(2017年)8月25日(金) 13:00~16:30
場所東北電力株式会社 中央給電指令所
 宮城県仙台市青葉区本町1-7-1
東北電力株式会社 西仙台変電所
 宮城県仙台市太白区秋保町
参加者33名(内計装士会7名)
主催(一般社団法人)電気設備学会東北支部
協賛(一般社団法人)日本電設工業協会東北支部
(公益社団法人)日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 今回の見学会は、東北電力株式会社のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。
 見学した施設は、東北電力株式会社管内すべての電力需給運用及び系統運用を監視・制御する中央給電指令所と、大型蓄電池システムが設置してある西仙台変電所です。
 中央指令所では施設の概要と役割の説明をいただき、コントロールセンターと訓練シミュレータを見学させて頂きました。また、西仙台変電所では施設の概要説明と、平成27年に営業運転を開始した大型蓄電池システムを中心に見学をしました。
 その内容を、下記に報告いたします。

2.見学内容

 1)中央給電指令所の概要と見学について

 はじめに、東北電力様より同施設の概要と役割についてご説明を頂きました。
 同施設は、東北電力が電気を供給する東北6県及び新潟県の電力需給運用及び系統運用をコントロールする中枢であり、季節や時間で左右される電力需要に対応するために電力量を事前に予測し、変化する需要量と発電量を随時コントロールし、周波数及び電圧を安定させた品質の良い電気を供給するとともに、最も経済的な発電を図るため多様な従来方式の発電設備と再生可能エネルギーを利用した発電設備をベストミックスで運用するため、各発電所のコントロールを行っていました。

中央指令所での概要説明の様子

 また、国土の1/5をカバーする総延長60万kmに及ぶ送電網を監視するとともに、災害やトラブルに即時対応するため、電力潮流のコントロール及び他電力会社との広域連携など重要な役割を担っていることをご説明いただきました。
 見学では、この電力ネットワークを大画面で監視・制御する状況や、予測・監視・制御を担当する方々の働く姿を見学させて頂きました。コントロールセンターは5名を一班とし、3交代24時間体制で監視制御が行われていました。
 電力の需給運用は、最新コンピュータシステムを活用して導き出されたシミュレーションを利用していますが、最終的には当日のリアルタイムな状況が大型のモニターに写し出され、その膨大な情報をもとに人間が判断・コントロールしていることに少し驚き、感心しました。
 また、訓練シミュレータでは東日本大震災時に発生した状況をシミュレータ画面に再現をして頂いて、当日の緊迫した状況をリアルに体験することが出来ました。

 2)西仙台変電所の概要と見学について

 仙台市内中心部にある中央指令所での見学を終え、仙台市の西に位置する秋保地区にバスにて1時間ほど移動し、西仙台変電所に平成27年度営業運転を開始した大型蓄電池システムを中心に見学を行いました。
 はじめに、同施設の概要をご説明いただきました。
 変電所としては出力2,900MVAの規模を有し、500kV 送電網を繋ぐ最重要変電所で500kV、275kV、154kVの変電所としての役割を担うとともに、今回の見学の主体となる大型蓄電池システムを国内で始めて導入し、営業運転と連系した実証試験が行われている変電所で有り、設置されている変電所では最大規模の設備との事でした。

西仙台変電所での概要説明の様子

 この大型蓄電池システムの導入目的は、近年導入の進む再生可能エネルギーとの系統連携に安定化をもたらし、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を目指すために設置されたもので、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会公募の実証事業として運用されています。
 気象条件で出力が変動する風力・太陽光などの発電設備の影響を、従来の発電設備による周波数調整に加え、本設備の充放電により周波数変動抑制対策を行うことが最大の目的とされた設備です。

大型蓄電池設備の説明の様子

 現地を見学すると、多くの蓄電池コンテナが整然と配置された姿は壮観でした。
 その設置数は80台、その中には小型リチウムイオン電池をモジュール化したコンテナ盤が18面格納され合計容量20MWh出力20MW(短時間最大40MW)の能力が有ります。
 設置に当っては火災に備えての安全対策を施し、法的基準をクリアするためにご苦労されて現状のコンテナ形状での分散配置としたとの説明も有りました。
 また、監視制御を行う監視制御棟、昇圧用変圧器を備えた変圧器室、出力500kwのパワーコンディショナー(PCS)80台を配置するPCS室なども見学させて頂きました。
 監視制御棟は、先の見学先である中央給電指令所で算出された充放電量により制御されているとの事でした。

大型蓄電池設備の見学
3.おわりに

 今回の見学会で、ご協力頂きました東北電力株式会社様に感謝すると共に、お忙しい中、施設のご説明及び見学のご案内をして頂きました社員の方々にはこころより御礼申し上げます。                                              以  上

西仙台変電所にて(参加者一同)