カテゴリー
活動報告(東北・北海道)

国内最大規模で、発電効率も国内トップの 「石炭とバイオマスの混焼による発電設備」の見学

活動名国内最大規模で、発電効率も国内トップの
「石炭とバイオマスの混焼による発電設備」の見学
実施日平成30年(2018年)9月27日(木) 13:00~17:00
場所日本製紙エネルギーセンター株式会社 石巻雲雀野発電所
 宮城県石巻市雲雀野町2-15-4
参加者26名(内計装士会7名)
主催(一般社団法人)電気設備学会東北支部
協賛(一般社団法人)日本電設工業協会東北支部
(公益社団法人)日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会
報告者東北・北海道地区担当幹事
小川 克郎
1.はじめに

 今回の見学会は、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。
 見学した施設、日本製紙石巻エネルギーセンター(株)石巻雲雀野発電所は、平成30年3月に操業を開始したばかりで、2011年の東日本大震災により大きな被害を受けた石巻地域の産業振興及び雇用創出のため設立されました。
 また、環境の面と電力安定供給の面から石炭とバイオマスの混焼による発電設備とし、バイオマス混焼発電所としては国内最大規模で、発電効率も国内トップの42%を実現しています。
 見学の内容を、下記に報告いたします。

2.見学内容

 1)発電設備の概要について

  発電設備の概要および特徴を当エネルギーセンター
 担当者様よりご説明頂きました。
  当発電所の最大発電能力は14.9万kwで、バイオ
 マスによる高い発電効率を実現するため、石炭、接着
 剤なしの木質ペレット及び未利用材(間伐材)を使用
 し、環境・コスト面の負荷を低減しています。
  具体的な燃料の使用量は、石炭を1,000t/日、
 木質ペレットを500t/日未利用材を50t/日使
 用し、熱量比で最大30%のバイオマス混焼を実現し
 ています。 立地は石巻市の臨海工業地域に位置し港に
 直結しているため、燃料は 海路より直接発電所内の未
 利用材及び石炭ヤードに搬入されます。
  また、木質ペレットは発電所に近接した場所に、
 2万トンの保管倉庫を設けています。

中央操作室の様子

  

 2)燃料搬送設備

  燃料となる未利用材・石炭用と木質ペレット用、2
 系統の搬送設備でボイラーの燃料貯槽に運ばれ、どち
 らか 1系統に異常が発生した場合でも安定的に発電で
 きるよ うにしています。
  また、搬送設備のコンベアーは回転軸を持たない空
 気浮上式となっており、安全と防災に万全を尽くして
 います。

燃料搬送設備

 3)石炭ミルとバイオマス

  燃料を高温で効率よく燃焼させるため未利用材・石
 炭用3機と木質ペレット用1機の2種類の専用ミルに
 より、 ミクロン単位まで燃料を粉砕することで国内最
 大の混焼比率(熱量比30%)を実現しています。

 4)微粉炭バーナとバイオマスバーナ

  バーナーは、燃料と空気を適量混合して効率よく燃
 焼させるため、未利用材石炭用と木質ペレット用の2
 種類を設置しています。

石炭ミルとバイオマス

 5)灰(ばいじん)の再利用

  燃料となる石炭・木質バイオマスの燃焼により生じる灰(クリンカアッシュ)及び電気集塵機で捕集された灰
 (フライアッシュ)は一旦場内に貯蔵され、セメントの原料として有効利用されます。

3.終わりに

 今回の見学会で、ご協力頂きました日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社様に感謝すると共に、お忙しい中、施設のご説明及び見学のご案内をして頂きました社員の方々にはこころより御礼申し上げます。
 見学会の感想として、雲雀野発電所と隣接する日本製紙石巻工場との間で、法令により発電所との電力連系及び排熱利用が出来ないとの説明が有りました。
 また、木質ペレットも接着剤を使用しないものとするため、海外より輸入しているとのことでした。
 トータル的な経済性・利便性及び安全性を考慮し、法令が足かせとならない柔軟な対応が出来れば より良い施設が出来ると強く感じました。                               

以上

石巻雲雀野発電所にて(参加者一同)