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活動報告(関東・甲信越)

①「空調自動制御のチェックポイント」 ②「ITの基礎とビルオートメーションの通信バス」

活動名①「空調自動制御のチェックポイント」
②「ITの基礎とビルオートメーションの通信バス」
講師
①助飛羅 力 講師
  三機工業㈱ 建築設備技術統括本部
②桧山 達哉 講師
  ジョンソンコントロールズ㈱ マーケティング統括本部 プロダクトマーケティング部
実施日平成26年(2014年)2月21日(金) 13:30~17:00
場所虎の門電気ビル会議室 (地下1階)
  東京都港区虎ノ門2-8-1
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 森本 幸郎
1. 計装士会 奥住副代表の開講挨拶

 みなさんこんにちは。本日は「平成25年度計装士会 関東甲信越地区勉強会」に多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。
 計装士会は、全国7ブロックで各々、本日の様な「勉強会」と「見学会」を開催・実施しております。関東甲信越地区では、先日も群馬県太田市の富士重工業を見学し、車造りをつぶさに見ることができ、大変好評でした。
 このように、「計装士会」では計装の技術と知識向上に向けた活動を実施しております。
 本日は、計装士会会員各社よりご参加いただきました方々に対し、「助飛羅講師」から、「空調自動制御のチェックポイント」というテーマで実際に起こったトラブル事例の紹介と、「桧山講師」からは「ITの基礎とビルオートメーションの通信バス」というテーマで計装業界で使われているITの基礎とビル計装で使用される用語等についての講義をお願いしております。必ずや、今後のお仕事に、お役に立つものと思っております。
 本日の講義では、日常の忙しい業務を少し忘れて、リラックスしてお話を聞いてください。

2. 勉強会の内容について

 「空調自動制御のチェックポイント」・・・助飛羅 講師
  ビルマルチエアコンの普及により、熱源・空調機のシステムを経験する機会が少なくなり、自動制御に関する知識と経験の欠如した空調技術者が増えている。また、自動制御に関するトラブル事例に関して纏まった参考資料は見当らない。
  本日は空調設備における自動制御設備の設計・施工・保守に関して留意するポイントの講義を実施します。

講演中の助飛羅 講師

  (1)設計仕様の確認・客先仕様の有無の確認
      設計図に明示されている「温湿度設計条件」を確認する。また、客先仕様には電圧指定や信号等の外部取出し方法の指定やランプの表示色の指定などがあるので注意のこと。
      ⇒制御回路の電圧は100V?、200V?。表示ランプの色で赤は何?、緑は何?。
     インバータは自動制御工事?、電気工事?。その他、中央監視設備との信号の受渡し方法は?。等々。

  (2)空調設備熱源廻りの注意事項
      電気的インターロックの確認はできているか(冷凍機⇔冷水・冷却水ポンプ⇔冷却 塔)。台数制御運転時において、脈動による断水リレーや差圧スイッチによる冷凍機停止に対する注意事項。
      また、一次・二次ポンプシステムによる送水温度異常による冷凍機異常運転、冷凍機本体のサーモと制御用サーモの誤差による運転トラブル対応など。冷却塔については冷却水の水質管理や冬季の凍結防止対
    策、冷却水温度制御の注意事項など。

  (3)空調機設備廻りの注意事項
      外調機コイルの凍結トラブル防止対策や給排気バランスの崩れによるトラブル対策。
      加湿方法によるトラブル対応やそれらが起因する様々なトラブル事例紹介など。

  (4)制御弁及びVAVの選定と制御方法のトラブルについて
      制御弁サイズの選定ミスやVAVのサイズ・給気温度/湿度設定ミスによる、トラブル事例紹介とその対策について。また、停電時や復電時のトラブルとその対応について。

  (5)センサーの設置位置や流量計・熱量計の取付け方法のミスによるトラブル事例紹介と対応について。
     動力配線からのノイズ対策やインバータノイズ対策。

   などなど、短時間ではあったが、非常に中身の濃い、講義であったと感じました。

 「ITの基礎とビルオートメーションの通信バス」・・・桧山 講師
   コンピュータ通信の発達のスピードは凄まじく速く進んでいる。本日の講義では、「コンピュータ通信の基礎」と「システムの進捗状況」について、講義を受けた。

講演中の桧山 講師

  (1) IT(Information Technology)の基礎について
      コンピュータ通信における基礎では、BitやByteのコンピュータ単位の説明や「キロ」・「メガ」・「ギガ」といったコンピュータ単位(サイズ)の解説を受けた。
      また、「片方向通信」・「半二重通信」・「全二重通信」などの通信方法やコンピュータ通信用語の説明を受けた。
      プロトコル:ネットワーク上で通信する場合、コンピュータ間の通信言語のこと。

  (2) ビルの中で使用される、プロトコルについて
      代表的なプロトコルのメーカーとしては「米国」・「独国」・「日本」のメーカーが主。
     ・BA(ビルオートメーション)クローズドシステム
      ⇒全てのメーカーまたはユーザーの独自仕様でユーザー独自の特殊システムで運用
     ・BA(ビルオートメーション)オープン化システム
      ⇒オープンなプラットホーム環境と情報連携、システムの一元化で運用

  (3) BACnetについて
     ・空調設備やBACA(ビルディング・オートメーション・コントロール・システム)同士の通信プロトコルを標準化する規定
     ・2013年10月現在、43か国、697の「ベンダーID」が発行されている
     ・日本では56の「ベンダーID」を発行(世界第4位)

  (4) オープン化について
     ・スマート・コミュニティの必要性
      ⇒エネルギーの全体の効率的利用は「電気」と「熱」の統合・・・「スマートコミュニティ」の取組みが必要
     ・次世代の社会システムの構築
      ⇒日本版スマートグリッドの構築が必要
     ・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の構築
      ⇒2050年までに、新築ビルの省エネ性能を抜本的に高める

      など、かなり難解な言葉もあったが、将来の自動制御に対する、方向性のお話を聞きました。

以 上