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活動報告(関東・甲信越)

独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 横須賀本部

活動名独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 横須賀本部
実施日平成26年(2014年)10月23日(木) 14:00~15:30
場所独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 横須賀本部
  神奈川県横須賀市夏島町2-15
参加者69名(うち計装士会15名)
主催(一社)日本計装工業会
協賛計装士会
報告者企画・研修委員 袴田 昭夫
1.はじめに

 今回の見学会は(一社)日本計装工業会の主催、計装士会の共催により海洋研究開発機構の見学会を実施しました。
 参加者は総勢69名、うち計装士会からは幹事を含め15名が参加しました。
 当日は天候にも恵まれ盛況に開催することができ、京浜急行追浜駅に13時に集合し駅前より貸切バス(2往復)で20分程度の場所にある見学施設へ移動、見学終了後も集合場所の京浜急行追浜駅までバス移動し現地解散となりました。

2.独立行政法人 海洋研究開発機構 とは

 海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology:JAMSTECジャムステック)は、海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより海洋科学技術の水準の向上、学術研究の発展に資することを目的として、2004年4月1日、前身の海洋科学技術センターから、文部科学省所管の独立行政法人として設置された研究機関である。
 日本最初の深海潜水艇の開発を始めとして、国際地球観測プロジェクト推進のための研究船などを開発運用し、長時間有人探査の難しい海溝探査を目的とした無人探査機等を開発運用している。またスーパーコンピューター(横浜研究所に設置)で、世界一にもなったことがある地球シミュレータを運用するほか、大陸棚に存在するメタンハイドレート、海底熱水鉱床、石油、天然ガスなどの資源等の探査も行っている。
 同機構の事業所には今回の見学施設、横須賀本部(同機構の本拠地で500人が働いている)や横浜研究所、むつ研究所、高知コア研究所、国際海洋環境情報センター、東京事務所が置かれている。また、船舶や探査機には地球深部探査船「ちきゅう」のほか13隻の調査船、研究船、支援船、探査機等を保有し日々海洋の研究を行っている。

3.見学内容

 海洋研究開発機構へ到着後、大会議室にて日本計装工業会経営委員会担当の司会進行で、同工業会の中谷専務理事より開催の挨拶の後、海洋研究開発機構広報担当者様より同機構の概要DVD映像と本日の見学内容の説明を受け、3班に分かれて各施設を見学させて頂きました。         今回の見学場所は同施設の中にある19棟のうち下記3か所を見学しました。

 □ 高圧実験水槽棟

   深海の水圧に対象物が耐えられるか、大型と中型の二つの実験水槽(深さ3m)があり最大5,000m相当の水圧がかけられる実験装置がありました。

世界で一番深い水深場所はマリアナ海溝(グアム島近く)で水深約11,000m。  

実験の際は、対象物をラックに入れ水槽上部 に10tの蓋をし、水槽下部より水を張り徐々に水圧を上げていき耐圧試験を行う。実験棟の中には有人潜水調査船「しんかい6500」の人が乗る耐圧穀(通称:コックピット)球体(2m)の1/3の大きさで作った球体(外形約1m、厚さ4cm重さ約1t)を試験水槽で3,200mの深さの水圧をかけて試験(「しんかい6500」の潜水の2倍の深さ) を行なった対象物が展示されており「しんかい6500」のコックピットが水深6,500mでも安全であることを確認し実用化されています。

   その他、展示で試験対象物の耐圧球体ガラスもあり実際の海洋水深7,000mでおこなわれた結果の実物展示も見ることができました。

 □ 展示施設棟

   展示棟「海洋科学技術館」には、有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型が設置されておりコックピット側面が切り取られており実際に一人ずつ中に入りパイロット気分を体験しました。 

  また、同機構が保有する船舶・調査機器の模型展示や生物展示室には深海から採取してきた深海生物の貴重な標本が多数ありました。

「しんかい6500」の実物大模型

 □ 整備棟

  整備棟には、長さ10mの深海巡航探査機「うらしま」があり、実際に本体の整備を行っている所を見学しました。深海巡航探査機には2種類のタイプがあり、母船からケーブルを伝わって操縦を船の上から行うROVタイプと、あらかじめコンピューターで探査するルートを組み込んで自分で考えながらケーブルなしで巡航するAUVタイプがあり、整備をしていた「うらしま」はAUVタイプの探査機で3,500m位の深さまで調査できます。       

  この、深海巡航探査機の主な研究目的は海底地形図を作成する為に撮影してくることであり、この探査機は支援母船「よこすか」で調査海域まで搬送され海洋へおろされ調査を行っています。今回の見学では深海巡航探査機「うらしま」が整備中であったが、終了後は有人潜水調査船「しんかい6500」の整備を交互に整備しています。また整備棟の前には250m岸壁があり、同機構が保有する研究船舶の母港となっており、岸壁遠くには当日天候もよく海上自衛隊横須賀基地施設や米軍横須賀海軍施設も望むことができました。

3.おわりに

 独立行政法人 海洋研究開発機構様の見学会を通し日頃、我々が目に触れない分野で日々活躍されていることを再認識致しました。また未知の海洋に関する研究開発等の説明には驚くばかりでした。日本初の原子力船「むつ」も1995年に原子炉を撤去 した後、通常のディーゼル機関を搭載し同機構の海洋地球研究船「みらい」と命名され現在も海洋調査を行っていることを聞き感動致しました。
 今回の見学会の実施にあたり親切、丁寧に説明ご案内いただきました独立行政法人海洋研究開発機構の関係者皆様に心からお礼申し上げます。

以 上