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活動報告(関東・甲信越)

① 筑波宇宙センター ② アサヒビール工場

活動名① 筑波宇宙センター
② アサヒビール工場
実施日平成29年(2017年)2月17日(金) 9:00~18:00
場所① 筑波宇宙センター
  茨城県つくば市千現2-1-1
② アサヒビール工場
  茨城県守谷市1-1-1
参加者31名(うち計装士会14名)
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 山本公一
1.はじめに

 今回は茨城県つくばエリアにある「筑波宇宙センター」および「アサヒビール茨城工場」の見学会を実施しました。
参加者は総勢31名、うち計装士会からは幹事を含め14名が参加しました。
 当日は東京駅新丸ビル前を定刻にバスで出発し、首都高速・常磐自動車道を利用し、最初の見学場所である筑波宇宙センターに到着しました。筑波宇宙センターにおきましては、管制室他をガイド付にて見学を行いました。終了後はバスにて、次の見学場所であるアサヒビール茨城工場に移動し、製造工程・原材料等の見学を行いました。見学終了後は、朝の集合場所である東京駅に予定時刻に戻り解散となりました。
 当日は強風により、高速道路の速度制限等がありましたが、無事、事故・遅延もなく全行程を完了し、アンケートの評価も良く、見学会を実施することができました。

2.筑波宇宙センター見学

 (1)施設概要
    JAXA(宇宙航空研究開発機構)の推進する活動のうち、人工衛星の開発・運用、宇宙環境の利用、宇宙飛行士の養成、ロケット・輸送システムの開発等を行う施設として、1972年に筑波緩急学園都市の一画に設立されました。
   主な見学施設としては、展示館「スペースドーム」、HⅡロケット実機等があります。
   展示館「スペースドーム」では、人工衛星(情報通信分野・地球観測分野)、人工衛星の歴史、国際宇宙ステーション実物大モデル、宇宙ステーション補給機「こうのとり」、ロケット・輸送システムの歴史等が展示と共にガイドによる説明が行われています。

(2)ガイド付き見学ツアー
  ① 追跡管制棟

宇宙服 NASA

  入口には宇宙服が展示されています。
 宇宙服は、強烈な太陽光を防ぐためのシールド、多層構造による宇宙服内温度上昇を防ぐための水冷システム、生命維持装置および各種調節用スイッチ類が主な構成となっています。
  次に管制室へ移動。
 そこでは、国際宇宙ステーション(ISS)内「きぼう」日本実験棟の運用管制官が3交代、24時間体制で運用を行っています。
 正面には大画面が3面設置され、「きぼう」外観、通信情報、NASA管制室の様子が表示されています。

  ②宇宙飛行士養成棟
    この建物においては、新規技術ではなく、これまでの歴史、宇宙での生活による影響等に関する研究に関するものが主な展示となっています。

  ・宇宙メダカ飼育実験
    飼育が容易であること、世代交代が早いとの理由で、宇宙環境による影響を調べる実験にメダカを使用しています。宇宙での飼育による骨量減少するプロセスを調べることにより、骨粗鬆症の治療方法の開発等も研究テーマとして挙げられています。

  ・宇宙飛行士訓練・試験、無重力空間での人体影響実験設備
    ロケットによる移動時の加速重力(縦・横)体験装置展示、無重力による血流の変化体験装置が展示されています。無重力状態では、ムーンフェイスと呼ばれる顔が浮腫んだような状態になります。これは、通常時に比べ、無重力状態では上半身に送られる血流量が増えることが原因です。この状況を再現するため、数日間足を頭より高くし、就寝するためのベッドが設置されています。

  ・宇宙食展示
    宇宙ステーションでは濃い味のものが好まれる傾向にあり、塩分の取り過ぎによる影響が問題になっているとの説明がありました。現在では、塩分は50%カットされた宇宙食が開発されているとのことです。宇宙食としては日本製およびアメリカ製のものが展示されています。

展示施設棟 HⅡ ロケット前にて (参加者一同)
3.アサヒビール茨城工場見学

 (1)施設概要
    全国8ヶ所にあるビール工場のうち最大規模を誇るのが、この茨城工場となります。

集合写真 (エントランスホール)

 (2)ガイド付見学ツアー
  ①オリエンテーションシアター
    3面の大画面スクリーンを利用し、茨城工場の歴史、ビール製造に関する概要、環境活動を含めた企業の取り組みの放映が行われます。放映後は、スクリーンが収納され、その背後に池、建物、木々が組み合わされた庭園が現れます。良い環境の下、ビール製造が行われているイメージが湧いてきます。

  ②原料展示
    主原料となる麦芽とホップを実際に手に取り香りと味を楽しむことができます。黒ビールと通常のビールとの違いは麦芽の焙煎度合いの差に依るものです。培燥工程により通常の麦芽、ロースト麦芽、黒麦芽といったビールの色と香りを決める幾種類もの麦芽が生まれます。
     この建物においては、新規技術ではなく、これまでの歴史、宇宙での生活による影響等に関する研究に関するものが主な展示となっています。

シアターから見た庭園
麦芽展示

  ③仕込み・発酵・熟成・ろ過工程
    実際の製造工程を見ることはできず、映像・パネルによる説明となります。発酵・熟成工程におけるタンクは建物外に設置され、低温で熟成されています。このタンクは最大のもので高さ20m、容量500kℓとなり、350mℓの缶ビールで約143万本で毎日1本ずつ飲んで4,000年かかる量を熟成しています。この工場での生産量は大びん換算で370万本/日となります。
    ろ過タンクでは、フィルタ付きの配管を下から上にビールを通過させ、ビール酵母等を除去します。ビール酵母にはたくさんの栄養成分が含まれていることから、健康食品として利用されます。
   また、「うまい!」ビールを届けるため、選抜試験に合格した30名ものパネリストによる官能試験(実際にビールを飲み、味・香り等を検査)が毎日、行われます。

  ④瓶詰・缶詰工程
    できあがったビールは、衛生管理されたフィーラールームにて、酸素を追い出した瓶・缶に詰められます。
   その後、蓋を取付、ラべリング工程を経て、ケース等に詰められます。

缶フィラー
ラベラー

  ⑤環境への取り組み・再資源化展示コーナー
    事業所内でのゴミ分別、再資源化100%目指す取り組みがパネルにて表示されています。
   (アサヒビール全工場で副産物・廃棄物再資源化100%達成)ペットボトルを再生し製作したユニフォームも展示されています。

  ⑥試飲コーナー
    見学ルートである地上30mのスカイロードを経由し、地上60mのアイムタワーへと移動します。
   (アイムタワー:Asahi Ibaraki Moriyaの頭文字から命名)ここでは、出来立てのスーパードライの試飲や美味しい家庭でもできるビールの注ぎ方の実演等があります。ちなみに「アサヒスーパードライ」は、2017年3月17日で発売開始から30年を迎えます。

試飲会場
おわりに

 関東・甲信越地区施設見学会は、研究施設・工場が多数存在するつくばエリアより、2つの施設を選びました。参加者の現在の業務に密接に関わると言った分野ではありませんでしたが、将来や普段の生活を感じられる興味深い内容であったと思います。
 最後に今回の見学会にご協力頂きました宇宙航空研究開発機構、アサヒビールの関係の皆様に感謝とお礼を申し上げます。

以 上