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活動報告(九州・沖縄)

沖縄地区特別講演会報告

実施日平成21年 7月 3日(金)15:00~18:00
テ ー マ第一部「最近の建設行政の動向」
第二部「プラントの計装工事」
講師第一部 国土交通省総合政策局建設市場整備課
     企画専門官 佐藤 雅保 講師
第二部 計装士会代表幹事 株式会社 三興
     元橋 和之 講師
会場沖縄コンベンションセンター (沖縄県宜野湾市)
参加者
92名
主催
(社)日本計装工業会
協賛計装士会
報告者計装士会事務局長 清水 通利
はじめに

講演会の主な内容

今回の特別講演会は、(社)日本計装工業会では沖縄県において初めて開催され、悪天候にも拘らず多数の参加者で盛大に行われました。
また、特別講演会終了後、引続き隣設の会場で懇親会が、沖縄県電気工事業工業組合理事長 徳元様、ヤシマ工業(株)会長島袋様を始め多数の方々のご出席を頂き盛大に開催されました。

第1部 「最近の建設行政の動向」

始めに「建設業の現状と課題」で建設業をめぐる厳しい環境について触れ、建設業の関係者は法令を順守することが必要であることを強調された。
 次に国土交通省の法令遵守の過去の取組、体制の強化について説明され、その中で建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則が特に重要であると強調、その内容は「建設工事の請負契約の当事者は各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない」となっております。
 この後、建設業法令遵守ガイドライン…元請負人と下請負人の関係に係る留意点…について詳細な内容の講演がありました。
 主な項目は、見積条件の提示、書面による契約締結、不当に低い請負代金、指値発注不当な使用材料等の購入強制、やり直し工事、工期、帳簿の備付け及び保存、関係法令などで、時間をかけて全体を解りやすく説明されました。
 以上のような講演でしたが、特に建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則が重要であると指摘されたのが印象に残りました。

企画専門官 佐藤 雅保 講師

第2部 「プラントの計装工事」

講師の工事の実務経験に基づいて特にプラントの計装工事を幅広く、詳細かつ分かりやすく述べられました。
 内容は、計装工事の歴史より始まり、工事範囲(導圧配管、計装配線、供給空気配管、計器室内等の工事、接地工事など)では、工事上から解りやすく説明がありました。
 次に測定技術の原理から工業計器の将来、計装工事の難しさ、失敗の対処法、海外工事の特徴、注意点などについて経験を基に話をされたので納得した内容でした。
 以上の内容から聴講者の関心は特に高かったようで、参加者には身近な問題として非常に有意義な講演だったと感じられました。

計装士会代表幹事 ㈱三興 元橋 和之 講師
受講風景

おわりに

今回の沖縄での特別講演会では沖縄コンベンションセンター、沖縄県電気工事業工業組合、沖縄県電気管工事業協会、ヤシマ工業(株) 、(株) 沖電システム殿を始めとして関係各位皆様のご協力、ご援助を頂き厚く御礼申し上げます。

以  上
                                              

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コラム

ロードバイクの愉しみ

ダイダン株式会社
研究開発センター
渡辺 洋平

スポーツ自転車乗りが増えている

 近年,我が国の都市部を中心にスポーツ自転車に乗る人が増えている。健康を意識して乗る人の他,季節を肌で感じ,風を切ることに魅了されて走る趣味人が多いようだ。自転車は,徒歩よりも速くクルマよりもスロー。この程良いスピードは,今まで見逃していたものを再発見させ,よもやま事を考えるきっかけを与えてくれる。ぜひ,みなさんも自転車を生涯の趣味,生活の一部として活用するのはいかがだろうか。本当に愉しいのだから。自転車にも様々な種類がある。
 シティサイクル(ママチャリ),マウンテンバイク,BMX,クロスバイク,ロードバイク,リカンベント,フォールディングバイク・・・など。自分の目的や嗜好で選べば良い。シティサイクルでも自転車の楽しみを享受できるが,できることならシティサイクル以外のスポーツ自転車をお勧めしたい。
 これは散策や食べ歩き,小旅行にも便利な乗り物だ。運転も楽で適度に速く,行動範囲が広がる。今回紹介させて頂くのは,私が専ら生活・趣味に愛用しているロードバイク。
 ロードバイクは舗装路を高速で走る自転車。「ロードバイクはツール・ド・フランスを走っている自転車」と言えばイメージして頂けるかもしれない。ロードバイクは乗り慣れると日帰りで100~200km位の距離のサイクリングもできる。
練習すれば一般人でも30km/h以上で車道を巡航することができる(もっと速く長距離を走る強者もいる)。

ロードバイク

  自転車を趣味としない人に,何十万円もする自転車を買う理由を説明することは難しい。
 私は苦労して妻を口説き落とし,20万円強のロードバイクを買った。ロードバイクの値段は10万円弱~200万円程の幅があるが,私には20万円の自転車だって十分に高価だ。
 各社カタログを読みあさり研究した。私は一目惚れしたイタリアン・ブランドの少々古めで伝統を感じさせるデザインのロードバイクを選んだ。
 趣味なのだから,性能よりも”自分なりの嗜好”を尊重した。ロードバイクに美意識は大切だと思う。

元々スポーツが苦手で健康にも無頓着なタイプだった私は,中年になってからロードバイクに格好良く乗ることを目指し,身体の事(健康・体力・体型)を意識するようになった。
  速く走る事を第一に設計された自転車。乗り心地よりもスピードと操作性を重視。車体重量はママチャリの1/3程度(9kg前後)。片手で楽に持てる程だ。細いチューブ素材を構造計算して造形・溶接した軽量フレーム。細いタイヤにホイール。剛性と軽量化のバランスを考えながら肉抜きされた部品。乗り手の筋力をスポイルすることなくクランクに伝えるための固く高いサドル軽いギアから重たいギアまで選択可能な20段の変速装置。現在の最新変速装置やブレーキは,昔に較べてかなり操作性が良いので驚かされる。
 ロードバイクの機能美と造形美部屋で眺めていて飽きない(このような自転車はマンションの駐輪場などに置くと盗まれるので室内保管が基本。)

サイクリング

  日頃,私は2台の自転車を乗り分けている。
 どちらも大切な自転車だが,古いクロスバイクは普段乗り用(近所の買い物や雨天時)に使っている。
 一方のロードバイクは,愉しみで走る時に部屋から引っ張り出して乗る。多分,この趣味の人は私と同じような使い方をしている人が多い。
 さて,ロードバイクでどこを走るか。
これは個人差があり,河川沿いのサイクリングロードを流すのが好きな人もいれば,アマチュア・レースやライド・イベントに参加する人もいる。
また,自転車を分解して専用袋に入れ,クルマや鉄道等で海や山に出掛けて(輪行という)好きな土地で乗る人も居る。

埼玉県に住んでいる私の場合,土地の利を活かして奥多摩や秩父方面の山間部の峠へ出掛けることが多い。
 往復路を自走する。山は緑も多く坂も多い。森林の空調のおいしい空気を吸い,鳥の声を聞きながら自分のペースで峠を登っていく。反対車線を下ってくる同志を見れば,互いに手をげたり声を掛けて挨拶したりもする。
急坂は辛い反面,愉しみがある。汗をしたたらせ,身をよじらせながら激坂をフラフラになりながら登る。足を着かずに峠の頂上に到達した時は何とも言えない達成感がある。
息切れし,脚はガクガクになるがココロは爽やかだ。ストレス解消。辛い上り坂があれば楽な下り坂がある。だから頑張れるのかもしれない。サイクリングは仲間と走る楽しみもあるが,私はどちらかというと1人で走るのが好きだ。ただ走ることに集中して無心になる。時には,走りながら日常のことをじっくり深く考えることもある。こうした1人の時間は,私にとって大切なリフレッシュ時間だ。
 休日,朝から夕方まで自転車で出掛けたままの私。家族には本当に感謝している。

機械・制御

  本誌をご覧のような機械や制御の専門家なら,自転車に触れていると”メカ”としての魅力にも惹かれると思う。
 形状だけでなく,例えば,ギア比と走行能力の関係,各部品の動きの連携,部品同士の相性,素材の特性を気にしてみる。クルマと違い,自転車は少々の工具と知識があれば殆ど自分で分解整備もできる。部品1つを手にとって眺めても様々な工夫が見て取れる。
 ロードバイクの部品には,ほぼ汎用性がある。規格があり,国内外各社から部品が販売されている。
自分の好み,期待する性能に改造・グレードアップするのも愉しい。サドルやハンドルポジション等のセッティング追求も奥が深い。
  そんなロードバイクは,操縦も”計装的”だと思う。私はロードバイクのハンドルにサイクルコンピュータと心拍計という計測器を取り付けて走っている。この計測器では,現在速度,平均速度,走行距離,積算走行距離,クランク回転数,走行時間,心拍数がリアルタイムでモニタリングできる。
 自転車のエンジンは自分の身体。特に心拍数は大切だ。私は身体中に酸素を運ぶ血液ポンプ(心臓)の回転数(心拍数)をリアルタイムにモニタリングする。長い急坂などで自分の最大心拍数を超えるような負荷が長く続くと,いずれエンジンは壊れ,私は倒れてしまうであろう。
しかし,私はロードバイクの状態や心拍数変化を把握しているおかげで,負荷に応じた安全走行で朝から夕方まで平地や坂をマイペースで走り続けることができる。その他にも走行中はエンジンへの燃料(水分,糖分や塩類など)補給も常に意識し,身体や車体の状態を確認しながら自身を”制御”している。機械を操る愉しみ。計装士の皆さんなら,自転車は仕事のごとく魅了されるスポーツ・遊びかもしれない。

【健 康】

  まじめにロードバイクに乗り始めた私は,速く遠くまで走るため,目標の峠で足を着かずに登るために,20年近く愛していた煙草をやめた。そして,前述の心拍数モニタリングによって体脂肪燃焼に適した有酸素運動状態を維持することも出来る。私は昨年に心拍数管理(有酸素運動)をしながら自転車に乗り,食事制限もせずに半年で10kg近く減量できた。
 健康診断で肥満や血中の中性脂肪が多いとか高血圧を指摘されていた私は,それらの課題をほぼクリアしつつある。
自転車は,体重がサドルとハンドルとペダルに分散されるため,ランニングより身体への負担が小さいながら大きな運動量が期待できる。
よく「自転車に乗ると競輪選手みたいな太い脚になるから嫌だ」と言う人が居る。しかし,競輪選手のような太く強靱な脚になるには,過酷なトレーニングが必要で,趣味人が多少頑張ってもあのような立派な脚は欲しくても得られない。
実際,中年である現在の私の腹周りはメタボで悩ましいところだが(腹周りは今後の課題。
走った後のおいしいビールが原因か。),脚は以前よりも締まって細くなってきている。
私には原文を見つけることができないのだが,ドイツには『トラック1台分の薬よりも1台の自転車を』という意のことわざがあるらしい。「病気になって薬に頼る前に自転車に乗ろうよ。
そうすれば病気になりにくく健康でいられるのだから。」である。今の私なら,それを信じることができる。
実際,ヨーロッパの人は,アジアの人よりもよく自転車に乗ると聞く。社会的地位がある高齢者も「自分はまだこれだけの体力と気力があるのだ。」というアピールで自転車に乗る風潮があるそうだ。知的で意識が高いことだと思う。

道路環境・地球環境

  ヨーロッパ等の自転車先進国は,街の道路環境や政策も自転車にフレンドリーだ。
 田舎のクルマは別として,市街地中心部の交通インフラは,徐々にクルマから公共交通機関・自転車・徒歩スタイルにシフトしてきている。一方,日本はそうではないし,自転車が走りやすい場所が少ない。先進国と呼ばれる国々の中,自転車が歩道を当たり前に走っているのは日本だけだという。
 我が国の道交法では,原則(幼児や高齢者,警察官等が判断した場合などの例外を除き),自転車は車道走行だ。
2008年6月1日施行の改正道交法の中でも,それは改めて明文化された。
しかし今も自転車が車道を走れば危険のままであるし,歩道では自転車は加害者になりやすく,歩行者は事故に遭いやすい。自転車同士の事故も起きやすい。自転車対歩行者の事故でも, 大怪我や死亡に至るケースもある(自転車対歩行者事故でも,極端なケースで加害者の自転車高校生に5,000万円もの賠償命令の判例あり。注意していても事故は起こり得る。
 手軽にはクルマ保険の特約にある安価な賠償責任保険などの加入だけでも勧め。)。今の我が国の交通慣習(マナーの悪い自転車乗りが多いことも含め)が残念である。
 「車道にはクルマ以外に自転車も走っている。」ということが国民に広く認知されるだけで,自転車とクルマ達はもっと安全に共存できると私は考える。変化を始めている我が国の交通行政に期待したい。
  ささやかながら地球環境の話も。自転車も製造・流通過程では,鉱物資源・エネルギー等を消費するが,クルマ製造や走行よりは二酸化炭素排出量は少ないはずだ。大袈裟に言うならば,自転車のルールやマナーが遵守され,交通インフラとしてクルマ等と共存・活用されれば,我が国はもう少し健やかで環境にやさしい社会になるのではないか。
ちょっとした1人移動なら,なるべくクルマを控えて自転車を活用してはいかがだろうか。
個人差があるが,私は半径20~30kmの移動なら殆ど自転車で用事を済ませるようになった。
もちろん,みんなが自転車に乗ったからといって地球温暖化が大きく抑制されることはないだろう。でも微力ながら出来ることから始めたい。私の自転車仲間にも多いが,自転車に乗っていると地球環境や行政のことを考える機会が増えるらしい。自分たちの暮らしと子供達の未来
私は今日もサドルの上でよもやま事を考える。

  いや,私は別に難しいことを考えるためでなく,ただ自転車が好きだからロードバイクに乗っている。まだ自転車の魅力に気付いていない方には,ぜひ自転車生活をお勧めしたい。
ちょっぴり人生がシンプルかつ豊かに変わる・・・かもしれない。

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コラム

リサイクルについて

株式会社関電工
水野 初男

 リサイクルの必要性・・・

地球に生物が生まれ、人類が誕生した。人類は他の動物と異なり道具と火を使うことで他の生き物には真似できない環境破壊をしてきた。地球が、生命の出現するまえから蓄えてきた資源を、人類がそれまでの蓄積を食い潰してきた。河川や湖沼の汚染は排水を流したことだけが原因でなく環境と生物の相互関係の破壊が農業や漁業に影響を与え、食料生産量が落ち、地球温暖化による海水温の上昇と海水汚染で珊瑚礁が破壊されればそこに生息していた魚たちも死ぬ。人類だけが生き残る地球はありえない。20世紀は次々と製品を作り出し生活を便利なモノで満たしてきた。新しい機能、製品の出るスピードが早くなるほど、古い機能や製品が捨てられる量も増える。資源そのものが捨てられていたのだ。さらに産業活動が健康被害を引き起こしていることがわかり環境への危機感が生まれるようになった。
それまでの資源浪費型の社会構造は環境汚染と資源の枯渇を招き、さらに人口増加による食糧不足に陥ると警鐘されてきた中から環境と人間活動が折り合うため、限りある資源を有効に利用するためのリサイクルへの取り組みが世界で拡大した。地球環境に壊滅的な打撃を与える一歩手前で人間はふみとどまった。
 人間は地球のあらゆる資源に依存して生きているのであり、地球環境は人類存続のために考えなければならない問題であり国際的な共通認識になっている。
 いま、人類はその生存の危機に面している。地球がダメになったら元も子もない。だからこそリサイクルは国際的な政治課題であり、全ての個人が取り組むべき課題である。
 21世紀は資源不足の時代となる。とくに地下資源の多くは21世紀中に完全に枯渇すると言われ、資源の危機的状況を迎える今、貴重な資源のムダのない活用、あるいは使用済み製品を含む廃棄物の再資源化への取り組みは本格化せざるを得ないだろう。資源を浪費せず、使い捨ての資源の流れを循環型にさせる。端的に言えば、焼却処理や埋め立てなどのからの脱却である。
 世界の焼却炉の約7割がこの狭い日本の国土に集中しているのが現状である。焼却処理の目的は廃棄物の減溶化だが、焼却後には焼却灰が残る。生産→消費→廃棄という 一方通行の流れである。
廃棄物を如何に抑制するかと同時に排出されたものを再利用するリサイクルのしくみが必要となる。

リサイクルとは・・・

 地球環境は水の循環、動物と植物による酸素と二酸化炭素の循環などから成るさまざまな物質によって成り立ってきた。
 産業革命以来人間は化石燃料を大量消費するようになり、特に20世紀には資源浪費により地球の物質循環バランスをくずしてきた。これが地球破壊である。
 バランスを補正するには自然界で分解しきれない排出物を除去し、排出源を減らし、あるいは排出源を止める。また資源の枯渇を目前にした今こそすべきことは、人為的なリサイクル、つまり一度使った資源を再利用するリサイクルの推進である。リサイクルには再使用、再資源化、分別・分解、発生・抑制・減量・減容化、エネルギー回収が挙げられる。

① 再使用とは、古本、古着、古道具、 中古車、中古住宅、フリーマーケットなどあるがままにものを再使用するシ
  ステムだ。リサイクル以前の、いわば人間の知恵とでも言える。また、再使用するに当たって住宅リフォームのよ
  うに不具合の補修、改修の需要も高まってきた。
 人口が多く、需要と供給のバランスがとりやすい都市部から形成されている。

② 再資源化とは、牛乳パック、ペットボトルなど製品になったものを解体、分解して改めて資源として利用できる形
  にするものである。資源を最大限に利用し、廃棄物を減らすことで長期的にみた環境負荷の低減である。

③ 分別・分解とは、ペットボトル、牛乳パック、食品トレーなどに分けて回収する。消費者が分別 しやすいように
  各々素材を表示する事を製造業者に義務づけている。素材ごとに分けて、はじめて再資源化が可能となる。
  製品の設計段階で 分解しやすいだけでなく、素材が識別しやすいよう製造され、さらに分解しやすい部品の開発
  も行われている。

④ 発生・抑制・減量・減溶化とは、廃棄物による環境負荷を減らすためには廃棄物を製造段階での排出抑制し、無駄
  をなくして廃棄物を減らし、また長寿命化を図る。廃棄物を圧縮、破砕、熔解などの方法による減量,減容があ
  る。回収されたアルミ缶やスチール缶をプレス機にかけて圧縮したうえでリサイクルのルートにのせる。
  一般廃棄物の有料化が進むことから市民にとってもごみを減らすことは資源と家計の両面で節約になる。

⑤ エネルギー回収とは、ゴミ焼却場で発生する熱を利用した温水プールや温室のように、廃棄物をエネルギー源とす
  ることによって有効活用するのがエネルギー回収である。ごみ焼却熱による発電や一般廃棄物からつくった廃棄物
  固形燃料による発電システム、さらに下水汚泥などの有機性廃棄物をメタン発酵させて得るメタンガスを利用した
  発電システムも実用化されている。

リサイクル法・・・

① 資源を有効利用する循環型社会への転換を図るため社会のあり方を法的に規定したのが循環型社会基本法(基本的
  枠組法)。資源を再生利用する事とともに広く発生抑制を促進する目的とした資源有効利用促進法。容器包装に使
  われているアルミ、プラスチック、紙は再資源化が可能であることからリサイクルを促進する法律を容器包装リサ
  イクル法。

② 家庭から廃棄・排出される家電製品のうち、冷蔵庫、洗濯機、エアコンを主に再商品化を図る目的で設けられた家
  電リサイクル法。食品の製造、流通、販売のほか外食産業やホテルなどの事業者を対象に食品廃棄物の排出抑制、
  再資源化の促進を目的とした食品リサイクル法。

③ 建設廃棄物自体は減量化が難しいうえ、不法投棄も問題になっている。この建設廃棄物を削減し、資源の有効活用
  を目的とした建設リサイクル法。

④ 自動車とそのシュレッダーダスト、カーエアコン使われてい るフロン類、エアバックについて自動車メーカーや輸入
  業者に回収・再資源化を義務づけた自動車リサイクル法。

⑤ 循環型社会の形成を促進するために国などの公的部門が環境配慮形製品を積極的に利用する事を定めたグリーン購
  入法。

リサイクルの活用・・・

① パルプや古紙は50%は新聞紙になり、トイレットペーパ、コピー用紙、包装紙などさまざまな紙に再利用されて
  いる。週刊誌などの雑誌は紙の表面に塗料を塗った紙質や本を閉じるのに使われている脇糊でリサイクルを困難に
  している。
  またリサイクルを繰り返して品質が劣化した古紙は圧縮して乾燥させ棒状に押し固めて成型した固形燃料として活
  用している。

② 家庭や事業所から年間500万㌧発生するプラスチックの約70%はペットボトルなど容器包装物が占めている。
  ペットボトルを圧縮梱包し再生PET樹脂に加工して制服やスーツなどの繊維製品のほか卵パックなどに使われる
  シート製品として多様化している。また発泡スチロー ルは体積の98%は空気であり重量のわりにかさばることが
  回収や処理にてこずって4割近くが焼却もしくは埋立処分されている。

③ スチール缶のりサイクル率は80%以上に上がっている。製鉄工場で鋼鉄の原料として再利用されている。
  スクラップを用いることで鉄鉱石から鋼材を作る場合に比べてエネルギー消費量を75%も削減できる。 スチール
  缶をはじめ自動車、家電、鉄道、船舶の材料、ビルや橋梁といった建設原料として利用されている。
  アルミ製品は再生地金として何度もリサイクル可能のためアルミ缶からアルミ缶へ再生する。使用済みアルミ缶を
  リサイクルすれば新地金を製造するときの約3%のエネルギーで済む。

④ 電化製品や自動車部品などの工業製品や日用品の原料として再利用されている。エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯
  機などの家電 、パソコンおよび自動車は引取先で機能診断や動作確認して再商品化できるものは中古販売、レン
  タルとして利用されている。

⑤ 乾電池などの一次電池はマンガン約25%、亜鉛約30%を含んだ亜鉛カスを回収しフェライトなどの磁性材料と
  して活用しているがリサイクル率は1割しかなく大半は埋立処分される。 また充電式電池(二次電 池)のニッカ
  ド電池からニッケルとカドミウム、ニッケル水素電池からニッケル、リチウムイオン電池からコバルトと稀少金属
  が回収され6割ちかくのリサイクル率を達成している。

⑥ 衣料品は中古衣料品店や新しいデザインの衣服に仕立てなどリサイクルしているが全排出量の1割にも満たないで
  処分されている。

⑦ 日本で年間約2000万㌧発生する食品廃棄物のうち一般家庭から発生する生ごみは半分の約1000万㌧を占め
  ている。なんといっても堆肥化だ。
  発酵や熟成の過程を経て生産された堆肥は各農家で有機肥料として活用され、これによって育てられた野菜などの
  農産物が各家庭に戻ってくる。

⑧ これまで食品加工工場などから排出される廃食用油は家畜飼料や石鹸、塗料の原料などにリサイクルされてきたが
  活路を開く用途として活用してきたのがバイオディーゼル燃料である。
  廃食用油にメチルアルコールを反応させてつくるメチルエステルを原料としたものでディーゼル車輌の燃料として
  使用している。
  廃食用油100㍑から95㍑のバイオディーゼル燃料が精製可能だ。

⑨ 下水汚泥は焼却の後に陸上や海に埋め立てられているが下水汚泥を受入れる最終処分場はあとわずかである。
  現在、下水汚泥のリサイクルり率は約6割で、建設資材としての利用が4割、緑地・農地での利用が約2割を占め
  る。建設資材としての用途のうち2割は汚泥焼却灰をセメント原料(エコセメント)に利用する。
  焼却灰をセラミックの製造技術を用いて圧縮、焼成してレンガも製造する。また脱水した汚泥を溶融炉に投入し、
  溶融スラグを製造して道路などの路盤材として活用している。

⑩ 空気のない状態で活動する嫌気性微生物によって一般家庭から排出される生ごみや下水汚泥などの有機物を分解す
  るとメタンガスが発生する。メタン、炭酸ガス、水素などで構成されているメタンガスの実用化が進み発電機の燃
  料として使用して電力(バイオガス発電)が得 られる。

⑪ 建設廃棄物であるコンクリート塊のリサイクル率は96%で再生骨材、砕石、路盤材に利用される。またアスファ
  ルト塊のリサイクル率は98%で道路の舗装材、合材に利用されているが道路など公共工事の削減で先細りしてお
  り新規用途の開発が必要とされている。

⑫ 木造住宅の解体で排出される建設発生木材のリサイクル率は40%で半分以上は焼却処分されている。木くず焚き
  ボイラーの老巧化や銭湯の廃業で減少して来たためである。そうした中で、木質チップに再生され、紙パルプ原料
  や木質ボード、石こうボードへの混入、炭化によって作られる防湿剤、吸着剤、土壌改良剤などに使われている。

⑬ 4ヶ月程度で新機種に入れ替えられるパチンコ台は重量比でおよそプラスチック30%、鉄30%、木材25%、
  その他(非鉄金属、液晶、基盤など)15%で構成される。 液晶、基盤コード類は手作業で取り外され再利用す
  る。残りは破砕して鉄を回収した後固形燃料化、セメント原  料・燃料化される。

⑭ 廃タイヤのリサイクル率は90%を達成している。カットされたタイヤや丸タイヤはそのままセメント炉、製鉄
  炉、ボイラーで燃料として使用している。またゴム粉、再生ごゴム、ゴムタイル、ゴムブロック、靴底に再使用さ
  れているが、最近は陸上競技場のトラックなどに使われる弾  性舗装材が注目されている。

さまざまな地下資源は近い将来に枯渇することがわかってきっている。
地球の環境は危機的状態である。動植物の絶滅や温暖化、酸性雨、砂漠化だけではないのだ。
地球そのものが危機に瀕していることを一人一人が認識すべきである。
すこしは役 立ちましたか!

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コラム

大原ヒラメ三昧

株式会社きんでん
 稲垣 常彦

 千葉県外房の大原港は昔からヒラメや真鯛釣りで有名なところでヒラメは10月~4月を遊漁船の漁期とし資源保護を計っています。
 20年以上前に初めてヒラメ釣りに連れていってもらった時に40~50㎝のヒラメを3枚釣りました。それ以来今日迄50回はヒラメ釣りに行き,釣れる釣れない含めて1.5枚/回平均ですので高級魚にしては確率がかなり高い釣り物です。しかしヒラメは簡単に釣れると思ってはいけません。釣り仲間と切磋琢磨を繰り返した結果です。
 ただ貧乏人ですので道具に凝れません。釣り漫画でも見たのか高価な釣り道具と格好いい服装で全然釣れない若い客の団体を時たま見ます。金をかければ釣れるものではありません。
そうです能書きでなく『腕』が要るのです。
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 私は昔買った安い竿をいくつかヒラメに合わせて改造して釣っています。専用のヒラメ竿は数万円もして高すぎとても手が出ません。
 そうは言ってもヒラメは案外気まぐれで真鯛みたいに上級者が一番釣れるわけでもなく初心者のエサに食いつき初心者が一番釣れることがあります,不思議ですね。
 10月解禁のヒラメ釣りに大原の義丸(よしまる)へ行きました。朝4時半の集合時刻には神奈川県からも多数釣り客が来ており素泊まりの宿泊者も含めて船宿は一杯です。
皆さん自分が竿頭(船中で一番釣れた人)になる夢を見ながら釣り談義に花を咲かしています。
 仕掛けを購入し船代を支払い船宿から港の船へ移動すると港は煌々と灯りを付けた釣り船が一杯で船に乗り込んだ釣り客がさかんに用意しています。私の乗る義丸は船長一家が総出で港へ来て準備中で釣り客は自分が取った場所番号札を見ながらクーラーボックスを置いています。
 私はオオドモにクーラーボックスを置き竿掛けをセットし準備完了です。大原漁協協定時刻の5時に釣り船が順次港を出港して行きます。義丸も出港で港では船長一家がお客の大漁を願って「頑張ってー」と言いながら手を振っています。波もなく順調に船ごとに魚場を目指して港から散って行きます。30分位走ると船のエンジンがスローダウンし船室にいた釣り客が各自の釣り席へ移動します,海は凪で廻りはもう明るくなっており良い釣り日和で海岸の崖やホテルが良く見えます。中乗りが元気の良い餌にするマイワシをバケツに数匹ずつすくって客に渡します。
船は釣り場所を決めるためゆっくり旋回しています。仕掛けにマイワシを丁寧に鼻掛けし船長の釣り開始の合図を待ちます。 船長のさあどうぞのマイクの声を合図に皆一斉に海に80号のオモリと仕掛けを降ろして行きます。イワシは魚編に弱と書くように弱りやすいので仕掛けをゆっくり20mの海底に降ろします。イワシが元気な程ヒラメが釣れます。
 イワシは元気で盛んに竿先を引き込みます,ヒラメの当たりとそっくりな引き込みもよくあります。最後の大きな引き込みでヒラメが食ったと喜んで竿を上げリールを巻き上げると無傷のエサのイワシが元気に泳いでいる事も良くあります。 そのうち船中一番で私の竿に当たりが来ると同時にグングン引っ張ります。これはエサのイワシの引きではないなとリールを巻き始めると船長がタモを抱えて素っ飛んで来ます。船中の羨ましそうな視線が痛い程集まるのを肌で感じながらリールを巻きますがヒラメの引きではありません上がってきたのはブリの幼魚青物のイナダでがっかりです。 そのうち私の二人隣の竿が大きく曲がり上がってきたのは50㎝の立派なヒラメです。しばらくするとまたその人がヒラメを釣り上げます,隣の我々は焦るばかりです。
 神様が可哀想だと思ったのでしょう私の竿にヒラメの当たりをくれました,ヒラメ40と言われるように当たりで合わせると必ずすっぽ抜けます,ゆっくり間合いを計って大きな引き込みを待ち合わせてリールを巻きましたが軽い引きです,上がってきたのは30㎝のヒラメでソゲと呼ばれるものでした。
 それから潮が速くなり20mの海底に仕掛けが流され落ち着きません,幹糸がドンドン出て行きます。船長からオモリ100号に変更と指示が出て全員交換です。オモリは重いし潮は速いしで釣るどころでなく根掛かりの連続で仕掛けやオモリを数個失いやや戦意喪失気味です。
 オモリと仕掛けを交換し再度降ろすと潮流で斜めに幹糸が強く引かれます,底に落ちると同時にまた根掛かりです,参ったなと思って幹糸を手で引っ張るべくリールを巻くと船長がタモを持って飛んできてヒラメだと言います。私が「根掛かりだ」と答えると「根掛かりでリールは巻けねーべ」と船長が言います。そりゃそうだとリールを巻くと確かに少しずつ上がってきます。
全然暴れなくただ重いだけです。ゴミかいなと思っていたら船長の言う通りヒラメで1.4㎏でした重いオモリと潮流で重かっただけです。おとなしくしていたヒラメが船長のタモに入ったとたん大暴れで船の中で跳ね回っています。ヒラメの力は強いので相手にせずしばらく放置です。
 そのうち二人隣の竿が曲がり大きなヒラメが3枚目です,私と二人隣の間の客は当たりがなく両側で釣られて焦って不運をひがんでブツブツ言っているので私がそのうち釣れますからと慰めました。
 私の2枚のヒラメを血抜きしていると置き竿が激しく上下しています当たりです,すぐ竿を外すと完全に釣れていてどんどん幹糸を引っ張ります,リールをゆっくり巻くと激しく抵抗して糸を引き出します,周囲の客もこりゃヒラメでなく青物だんべと言っています。 ゆっくり巻いてゆくとうねりが持ち上がった中にヒラメがいます,廻りがヒラメだと叫んでおり,船長がタモを構えて船に近づけたヒラメをサッと掬ってドサッと投げ入れます,ヒラメはドッタンバッタン暴れています,後検1.8㎏52㎝でした。これで私と二人隣がヒラメ3枚で気の毒に間の客はついに坊主でした。
 船長の「ハイどうもご苦労さんでした」の声で11時に沖上がりです。 この日は15名の乗客で7名坊主でした,高級魚なので仕方ありません,坊主も明日の我が身なので海の神に感謝しました。
 結局ヒラメ3枚(52㎝1.8㎏50㎝1.4㎏30㎝0.5㎏)とイナダで家に帰ってから大型は翌日以降に捌いて薄作りの刺身にして大変美味しく戴きました。余りは-50℃の冷凍庫で保存したので半年後でも鮮度良く戴けます。 高級魚は活き作りにしません,大型は翌日以降に捌いた方が美味しさの元であるアミノ酸が増え更に美味しくなるためです。
 ヒラメの刺身はフグみたいになるべく薄作りが美味しく,安い包丁はいくら研いでも魚の身がベタついて薄く切れません。そのため刺身包丁を日本橋の木屋で1万円で買いました,手入れは大変ですが安い包丁と比べると雲泥の差で高級魚の味が引き立ちます。 なお一昨年は義丸で大型ヒラメ3枚合計9㎏も釣りました。 船宿は義丸(よしまる)で20年以上前から通っている親切な船宿です。  
(TEL 0470-62-3440  〒298-0004 千葉県いすみ市大原町大原10575-4)

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幻の高級魚アラの大型13kg 85cmが釣れました

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