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会報(会員限定)

会報54号

計装コミュニケーション

2024年3月発行

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活動報告(関東・甲信越)

「UTPケーブルの取扱い」 

活動名UTPケーブルの取扱い
講 師槇野  泰 講師
  株式会社ネットアルファ 常務取締役
小西 治彦 講師
  全国情報配線施工技能士会 理事
実施日令和5年(2023年)11月17日(金)13:30~16:00 
参加者15名
主 催計装士会
報告者
企画・研修委員 稲生 充  太平電業㈱
        

1.はじめに

 今回は、「UTPケーブルの取扱い」について槇野先生、小西先生に講義いただきました。コロナ渦の終息に伴い、約3年ぶりに面着による勉強会の実施となりました。以下に、内容につきましてご報告致します。

2.勉強会内容

1)テーマ「UTPケーブルの取扱い」

次の8項目に分けられ、勉強会が進められた。

  1. UTPケーブル概要
  2. UTPケーブルのカテゴリ
  3. UTPケーブルの保管・敷設に関する注意事項
  4. UTPケーブルの成端処理
  5. UTPケーブルの成端処理実技
  6. UTPケーブルの試験・測定
  7. UTPケーブルの試験・測定器具
  8. まとめ

2)概要

 ① UTPケーブル(平衡ケーブル)とは

  「ツイストペアケーブル」と呼ばれるケーブルの一種で、絶縁された二本の銅の線材を撚り合わせた物を何対か束ねて一本のケーブルにしている。よく使用されているのは2対4本の4線式と4対8本の8線式がある。また、1対2本というものもありこれは電話線に使用されている。

② UTPケーブルのノイズ対策

UTPケーブルは主に2種類の対策がされている。一つが導線の撚り合わせである。内部導線を2本ずつ撚り合わせることにより、外界から受ける環境ノイズの干渉を抑えることができる。そのため、施工の際はなるべくペア線の撚りを維持することが大切である。2つ目がシールドによる対策である。UTPケーブルのシールドは2種類あり、より線ごとにシールドを付けるものとより線全てをまとめてシールドを行うものがある。シールドの種類は平衡ケーブルの略語で確認することができる。

③ UTPケーブル及びF/UTPケーブルの成端処理実技

成端処理実技は講師の方が作業を行いその様子を見学した。今回行ったのはUTPケーブルとF/UTPケーブルのジャックとプラグの成端作業を見学した。先生に作業要領を一つ一つ説明いただいたので非常に分かり易く理解する事ができた。また、使用するコネクターによって圧着工具が変わること、施工上の注意点など多くの事を学べた。

3.さいごに

今回の勉強会ではUTPケーブルの基本知識から保管・施工上の注意点、成端処理の実技、試験・測定の方法を学びました。ケーブルをカットし現場同様に成端処理を見学する事で、より一層UTPケーブルに関わる一連の作業要領について理解を深めることができました。参加者皆様におかれましても、今後の業務への一助となる様な内容であったのであれば幸甚です。

最後に、ご多用中にもかかわらず、講師としてご説明・解説をいただきました槇野 泰 先生、小西 治彦 先生には厚く御礼を申し上げるとともに、ご参加くださった

皆様のご健勝とご活躍を祈念いたします。

以上

[執筆者紹介」

稲生 充(いのう みつる)

太平電業(株)

工事本部 火力管理部

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活動報告(関東・甲信越)

山梨県立リニアセンター見学会

活動名見学会
実施日令和5年(2023年)9月15日(金) 8:45~19:00
場所山梨県立リニア見学センター
参加者15名
主催計装士会
報告者企画・研修委員 稲生 充

1.はじめに

今回は山梨県立リニア見学センターにて、見学会を参加者15名にて開催しました。山梨県立リニア見学センターは日本で唯一、時速500kmで走行する超電導リニアを間近で見学でき、模型や各種の展示物にて仕組みや原理を学ぶことが出来る施設です。

コロナ渦の終息に伴い3年ぶりに遠方での見学会となりましたが、事故や遅延もなく全工程を完了し、無事に見学会を実施する事ができました。

2.見学会内容

 1)リニアモーターとは

  リニアモーターとは、回転式のモーターを直線状に引き延ばしたもののことをいう。モーターの内側の回転する部分が車両に搭載される超電磁磁石、外側の固定部分が地上に設置される推進コイルに相当し、推進コイルに地上側から電流を流して推進を与える地上一次のシステムとなっている。

2)推進の原理

車両の超電導磁石はN極、S極が交互に配置され、地上の推進コイルに電流を流すことにより発生する磁界との間で、N極とS極の引き合う力とN極どうし、S極どうしの反発する力により推進する。

3)浮上の原理

車両の超電導磁石が高速で通過すると地上の浮上・案内コイルに電流が流れ電磁石となり、車両を押し上げる力(反発力)と引き上げる力(吸引力)が発生し、浮上している。

4)リニア中央新幹線計画

 リニア中央新幹線は航空機並みのスピード(東京~大阪間 航空機80分、リニア67分)と、現在の新幹線並みの輸送能力(16両編成、1000人乗車)、をあわせもった画期的な輸送機関である。

 1時間あたりの最大列車本数は10本で、2027年東京都~名古屋市間開業予定、2045年東京都~大阪府間開業予定となっている。

4.おわりに

見学センターの隣では、実験走行中のリニアが10~15分おきに通過しており、その速度は500km。目で追うのがやっとの一瞬のスピードと、その迫力に驚かされました。以前の車両では、ガスタービン発電機を搭載して車内の電気(照明や空調)を供給していたものの、現在の車両においては誘電終電方式により電磁誘導の作用を利用して車内の電気品は非接触で電源供給できるように改良されており、リニア中央新幹線が実現した場合、一人を1km運ぶ時の二酸化炭素排出量は航空機の半分以下まで削減が見込まれるとの事でした。環境保全とスピードを両立する新時代の交通機関の知識を得ることができ、とても有意義なものだったと感じております。参加者皆様におかれましても、今後の業務への一助となる様な内容であったのであれば幸甚です。

最後に今回の見学会にご協力いただきました山梨県立リニア見学センター殿 関係者皆様に厚く御礼申し上げます。

【執筆者紹介】

稲生 充(いのう みつる)

太平電業(株)

工事本部 過料区管理部

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コラム

ハンドボール

旭国際テクネイオン株式会社

池田 拓人

ご安全に!!

 私は、2020年のコロナウイルス全盛期に社会人となりました。よく見た目から30代後半や10年選手と皆様から言われますが、入社4年目の26歳です。

今回の会報第54号コラムにて、私の趣味である「ハンドボール」についてお話したいと思います。

はじめに

 私とハンドボールの出会いは中学1年生時に3つ上の姉(卒業済み)がハンドボール部に所属していた為、当時の顧問がどこかから弟である私が入学した事を聞きつけ入部届を教室まで持ってきた事がきっかけとなりました。入学したての私からしたらいきなり体育教師が入部届を持参し現れたので「YES」か「はい」の選択肢しか頭に浮かんでこず、恐怖心から入部届に冷や汗をかきながら名前を書いた事を今でも鮮明に覚えております。今となってはある意味姉のおかげでハンドボールに出会う事ができ、中学~大学まで続けることができたので感謝?しています。

ハンドボールの基本的なルール

・ボールを持つ選手は3歩までかつ3秒以上ボールを保持してはいけない。

*空中でキャッチした場合、着地の足は0歩として換算

・選手の交代は自由(回数制限なし)                          

・1チーム7名(コートプレーヤー6名、ゴールキーパー1名)

 ※ユニフォームの色は対照的な異なる色を使う事

・試合時間:前半30分後半30分 ハーフタイム15分

 ※延長戦あり。

・1ゴール1得点

・縦20m横40mのコート

ハンドボールの歴史

  ハンドボールの発祥は19世紀終わりごろにデンマークのホルガ―・ニールセンが考案した7人制と1910年代にドイツでコンラッド・コッホが考案した11人制が発祥といわれております。

 当初はベルリンを中心に11人制が主流となっておりましたが、徐々に7人制に移行していったといわれております。日本で初めてハンドボールが紹介されたのは1922年(大正11年)7月に行われた、大谷武一氏による日本体育学会夏期講習の事でした。

 一時期、第二次世界大戦の影響により終戦後の「ハンドボール」と呼称が復活するまで「送球」と名前を変えた時代もあったそうです。

 又、2008年の北京オリンピックアジア予選にて、「中東の笛」という言葉が日本に広く知られた競技でもあります。

※「中東の笛」とは・・・

 主に国際規模のスポーツイベントにおいて試合日程、判定等がアラブ諸国に有利になる事象である。

最後に

 日本でハンドボールはまだまだマイナー競技ですが、試合展開が早く、空中の格闘技と言われる程接触の激しい競技です。見る方としては、迫力がありとても楽しめる競技となっております。又、日本としてはおよそ36年ぶりとなるオリンピック出場権を自力獲得致しました!この機会に是非、皆様もご覧になられてはいかがでしょうか?

 私はもちろん配信での観戦予定です。(本当は現地に行きたいですが、、、)

 私はハンドボールに携わってきた者として、これからも応援していきたいと思います。又、ハンドボールを知らない方へも知ってほしいと思い、今回この場をお借りして紹介させて頂きました。

 パリでハンドボール日本代表が活躍する姿を楽しみに日々過ごしていきます。

頑張れ!!日本代表!!

【執筆者紹介】

池田 拓人

旭国際テクノイオン(株)

開発事業本部

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活動報告(九州・沖縄)

九州・沖縄地区 見学会

九州・沖縄地区担当幹事

今吉 俊博

活動名ひびき灘石炭・バイオマス発電所見学会
実施日令和6年(2024年)3月1日(金) 12:30~16:00
場所北九州市若松区ひびき灘石炭・バイオマス発電所
参加者15名
主催計装士会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 今吉 俊博

1.はじめに

  九州・沖縄地区の施設見学会は、新型コロナウィルス パンデミックの影響により約4年活動を休止してました。特にパンデミック初期の2019年度は、最新のバイオマス発電所を見学しようと意気込み、ひびき灘石炭・バイオマス発電所に見学を申し込んでいましたが、見学会の直前に新型コロナウィルスの第1波感染拡大が起ったことで見学会を中止することになり、非常に残念な思いをしました。

  今年度は、新型コロナウィルスの感染法上位置づけが5類に意向したことで、施設見学を再開するとともに、中止となったひびき灘石炭・バイオマス発電所への見学会も実現することができ、大変うれしく思います。

2.見学内容

 (1)ひびき灘石炭・バイオマス発電所の概要

写真ー1 ひびき灘石炭・バイオマス発電所 全景(運営会社パンフレットより)

運 営 会 社 :響灘エネルギーパーク合同会社

設      立:2014年7月(運営会社)

所   在  地:福岡県北九州市若松区響町2-7-2

発 電 出 力 :112,000kW(発電機端)

燃      料:石炭 約70%、木質バイオマス燃料 約30%

         ※熱量ベース。運転状況により割合は変えている。

炉  形  式 :微粉炭ボイラ

送 電 端 電 圧 :66kV

(2)発電所の特徴

①木質バイオマス燃料を使用

 安定した燃料である石炭をベースとし、環境への配慮として木質バイオマス燃料(木質ペレット、木質チップ)を混焼しています。石炭は世界各地に埋蔵されているため、安定供給はもとより化石燃料の中でも経済的に優れています。

 一方、二酸化炭素排出量が多いため、この発電所では環境負荷軽減のため燃料の一部に木質バイオマスを使用しています。このバイオマス燃料を使用することにより石炭のみで発電する発電所と比較して、約30%の二酸化炭素排出を抑えられます。

②高効率発電

  石炭と木質バイオマスの燃焼で発生した熱エネルギーを蒸気として回収し、タービン発電機を回して発電を行っています。その熱効率は標準燃料混合比で約42%に達します。また運転の最適化の結果、現在ではある程度バイオマス燃料の割合を上げても同等の熱効率を維持できるとのことでした。

  発電出力の112,000kWは一般家庭 約20万世帯分に相当するとのことです。

③環境に配慮した発電所

  燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害物質は、最新の排ガス処理装置により除去した後、大気中に放出しています。また、冷却塔では白煙防止装置を設置し、周辺環境への配慮に努めています。

  また、電気集じん装置で補修されるフライアッシュの一部は、セメントの原料として有効利用しています。また、排煙脱硫装置で生成される石膏は石膏ボードの原料として利用されています。

(3)見学内容

 ①概要説明

   プロジェクターを用いて、施設概要、発電フローなどに関して説明頂きました。専門家でなくとも分かり易い言葉を用いて丁寧にご説明頂き、非常に理解し易く大変参考になりました。

写真ー2 会議室にて概要説明状況

 ②施設見学

   煙突よりもくもくと白い排気が立ち上るなど、通常稼働状態の発電所を見学させて頂きました。ボイラ架構、タービン建屋、燃料バンカ、電気集じん機、排水処理設備など稼働中の設備を一通り見学することができました。特にボイラにおいて、微粉炭を噴射・燃焼させるバーナー部分の燃焼状態をボイラの小窓より直接覗けた事が印象深かったです。

写真ー3 ボイラー架構 屋上にて

 ③質疑応答

  参加者の方々より様々な内容の質疑をさせて頂きました。皆様積極的に質疑され、皆様のバイオマス発電所への関心が伺えました。

回答もご丁寧に説明頂き、大変よく理解できました。

3.おわりに

  今回の施設見学会では、4年前に中止となったバイオマス発電所への見学を行いました。近年話題のバイオマス発電所にという事で、早々に予定人数に達するなど大変好評な見学会となりました。

  今後も、益々発展していく環境関連施設、その他に社会的話題に上っている施設など、皆様が関心をお持ちの施設へ見学会を実施していき、少しでも知見が広がればと思っています。

  最後に、今回の見学会にご協力いただいた響灘エネルギーパーク合同会社の方々、計装士会をはじめ関係者の方々に感謝し御礼申し上げます。

写真ー4 運営会社玄関前にて

【執筆者紹介】

今吉 俊博(いまよし としひろ)

株式会社 九電工

技術本部 電気技術部 

電気技術二課 電気プラント 

担当課長

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活動報告(近畿)

近畿地区「グリコピア神戸」見学会

活動名グリコピア神戸工場見学会
実施日令和6年(2024年)2月15日(木)13:00~17:30
場所岡山市東区瀬戸町万富678
参加者13名
主催計装士会
報告者近畿地区代表幹事 石山 輝英

1.はじめに

令和5年度近畿地区の活動として、2月15日に上記見学会を開催しましたので、以下に概要を報告いたします。

2.グリコピア神戸

(1)見学施設概要

 江崎グリコ株式会社は、生産子会社である関西グリコ株式会社神戸ファクトリー内に『グリコピア神戸』を工場見学施設として設立しています。

本工場は、「ポッキー」「プリッツ」「ビスコ」などを製造する菓子製品の主力工場です。当工場見学施設は、グリコのことをもっと知ってもらいたい、お菓子のことを「見る、学ぶ、楽しむ」を体感できる企業文化施設として開館いたしました。

・創業開始:1988年

・敷地面積:1,650平方メートル

・製造品目:ポッキー、プリッツ、ビスコなどの菓子製品

グリコピア神戸

(2)ガイド付見学ツアー

 ≪ウェルカムホール≫

    始めにシアター室に案内されムービーが上映されました。

100インチの大画面で、江崎グリコの「創意工夫」を理解してもらう映像と、チョコレートに詳しくなれる「チョコレートの世界」が紹介され興味深い内容でした。            また、「エントランス」では高さ3mの「巨大ポッキー形トンネル」が現れます。    こちらのトンネルをくぐると工場見学がスタートします。

ポッキー形トンネル【外部】
ポッキー形トンネル【内部】

≪プリッツファクトリー≫

「ポッキー」、「プリッツ」の製造および梱包するまでの生産ラインをじっくりと見学

しました。また、人の手は加わっておらず、完全オートメーション(自動化)での生

産ラインです。

施設概要説明 風景
施設概要説明 風景

STEP.1

 ≪ポッキー製造および梱包作業≫ 

 ポッキーにチョコを付けるところは、企業秘密で見られませんがCGで再現したイメージ映像で確認できました。

また、袋詰めされたポッキーがベルトコンベヤで次々と運ばれ、機械式アームで規則正しく段ボール箱に詰めて梱包されます。

ポッキー製造工程(グリコピア神戸 HPより)

STEP.2

 ≪チョコ貯蔵タンク≫

 ガーナやエクアドル産カカオと油脂、砂糖でじっくりと9時間かけて練ります。チョコが冷えて固まらないようにタンクは二重構造になっており、外側には温水が流れています。

STEP.3

 ≪プリッツ製造過程≫

 小麦粉やバター、油脂、砂糖など計約200キロを約20分間、機械で混ぜて生地をつくります。生地は細く切られ、ベルトコンベヤに乗って長さ25メートルの巨大なオーブンで加熱します。オーブンは220~280度で温度調節しながら綺麗なきつね色に焼いていきます。最後にアルミ製の箱の中で1日冷やした後、味付けをして完成です。

プリッツ製造工程(グリコピア神戸 HPより)

 ≪歴史紹介コーナー≫

1919年、カキの煮汁に多量のグリコーゲンが含まれることを確かめた創業者・江崎利一氏はグリコーゲンを活用した食品の商品化に着手しました。

チフスにかかった息子に、グリコーゲンを与えることで一命をとりとめた出来事もありこれを世の中に広めたいという思いが強かったようです。

初代グリコキャラメル
歴代のグリコのお菓子やおまけを展示
歴代のグリコのお菓子やおまけを展示

3.おわりに

今回の工場見学は、グリコ製品の歴史、製造工程および写真撮影スポットなど興味が湧くものばかりでした。見学会に参加を頂いた皆様にも大変良かったという意見を頂き、有意義な時間を過ごせたと思います。

最後に、江崎グリコ様ならびに関係各所の皆様にご協力いただき、無事に見学会を遂行できたことを厚くお礼申し上げます。

集 合 写 真

以 上

執筆者 石山 輝英

株式会社きんでん 技術本部    

プラント工事部  

プラントチーム 課長

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活動報告(四国)

 四国地区 勉強会「UTPケーブルの取り扱い」

四国地区担当幹事 

松本 和幸

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活動報告(中国)

中国地区見学会 キリンビール岡山工場

活動名キリンビール岡山工場見学会
実施日令和6年(2024年)1月26日(金)15:00~18:00
場所岡山市東区瀬戸町万富678
参加者13名
主催計装士会
報告者中国地区代表幹事 本坊 和樹

1.はじめに 

 コロナ収束の兆しが見え始め、私たちも少しずつコロナ前の日常を取り戻して来ました。 経済活動の活性化に向けつつも、引き続き感染予防に努めましょう。

  今回、中国地区見学会を計画し岡山県岡山市のキリンビール岡山工場を訪問しました。


2.工場見学の概要

キリンビール岡山工場

・ツアー名称:工場だけの特別体験。キリン一番搾り おいしさ実感ツアー

・見学スタート時間:10:00~15:00

・所要時間:約75分(工場見学50分、テイスティング時間25分)                                     

・定員:最大25名

・参加費:有料 1人500円(20歳以上の方)

・休館日:月曜日(祝日の場合は営業して翌平日)、年末年始、 臨時休館あり

3.工場見学

 まずオープニングで臨場感あふれる「キリンのイノベーションの歴史と一番搾り」映像の上映や、キリンが目指す理想のビールについて、味の最高責任者であるマスターブリュワーからの紹介がありました。

説 明 風 景

次に大麦畑やホップ畑の視覚や聴覚に訴える動画を見ながら、麦芽の試食やホップの香りを体験することが出来て、ビールへの関心が深まりました。

試食した麦芽
ホップの試料

工場見学専用バス「キリンちゃん号」に乗って構内を移動し、次の場所で仕込み~麦汁~発酵~パッケージングの工程を見学しました。

 麦汁の体験では一番搾りと二番搾りの利き比べを体験しました。発酵していないのでアルコールはありませんが、ビールとは思えないほどの甘い味わいでとても飲みやすい印象を受けました。

 パッケージング工程とは、出来上がったビールを容器に詰める工程で、当日はあいにく生産調整の為稼働はしていませんでした。実際稼働しているときには、350ml缶だと1分間に2,000本もビールを詰めることが出来るそうです。

全自動化で作業員は見受けられない

 工場見学の最後にはテイスティングの時間があり、キリンの社内資格であるブルワリードラフトマスターの方に特製のグラスにビールを注いでもらい絶妙な味わいを楽しむことが出来ました。

4.見学を終えて

  今回、中国地区見学会を4年ぶり実施し無事に終了することができました。見学会の参加に際しキリンビール岡山工場の皆様には丁寧な説明をしていただき、心より感謝申し上げます。

見学会参加者記念撮影

【執筆者紹介】

本坊 和樹(ほんぼう かずき)

株式会社 中電工

技術企画部 

工場プロジェクト担当課長

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活動報告(東北・北海道)

東京電力㈱廃炉資料館/中間貯蔵工事情報センター見学会

実施日令和5年(2023年)11月30日(木)9:30~17:30
場所東北電力株式会社 ①廃炉資料館②中間貯蔵工事情報センター
参加者30名 (内計装士会9名)
主催一般社団法人 電気設備学会東北支部
協賛なし
共催公益社団法人 日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会
報告者株式会社ユアテック エンジニアリング本部 電気設備部
阿部 哲也

1.はじめに

今回の見学会は、東京電力ホールディングス株式会社殿、中間貯蔵・環境安全事業株式会社殿(JESCO)のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。

今回見学させて頂いた東京電力廃炉資料館は、原子力事故の事実と廃炉事業の現状等を確認する場として、同社の旧エネルギー館を改修し開館されました。

中間貯蔵工事情報センターは、中間貯蔵工事(福島県内各地からの除去土壌等の輸送、処理・貯蔵、再生利用の取組など)の全体像の紹介、説明を聞くことができる施設です。

見学させていただいた内容につきまして下記に報告いたします。

2.見学内容

(1)東京電力廃炉資料館

東京電力廃炉資料館は、以前は原子力発電をPRするエネルギー館として使用されていたため、立派な外観です。入場して最初に案内されたのは、シアターホールです。正面には大きな曲面スクリーンが広がっており、床面にまで映像が映し出されます。ここでは福島第一原子力発電所にて地震発生から原子力事故発生時に起きていたこと、そして当時の対応について臨場感あふれる再現映像で振り返ることができます。

次に移動した先には、原子力発電の説明パネルや核燃料の模型が展示しており、発電の仕組みや安全設計について、職員の方が分かりやすく説明してくださいました。

その後、福島第一原子力発電所の1号機から4号機で起こった原子力事故の詳細、廃炉作業の進捗状況、そして今後の予定について、映像を交え、丁寧に説明していただきました。現在、使用済燃料は3、4号機については取出しを完了、1、2号機は使用済燃料プールに入っており、各号機共に冷温停止状態を継続しております。今後は、水素爆発の影響で上部が鉄骨むき出しとなった1号機への大型カバーの設置を行った後、1、2号機の使用済燃料の取出しや、燃料デブリの取出しが計画されています。

続いて移動したブースでは、事故の反省と教訓を映像とパネルを用いて振り返りました。事故の根本原因は過酷事故対策の不備、津波対策の不備、事故対応の準備不足にあること、その背景は、安全意識、技術力、対話力の不足に起因する負の連鎖が招いたものであることが述べられています。そして、決して天災として片づけることなく、負の連鎖を断ち切り、安全を最優先とする組織に生まれ変わることが東京電力の責務であることが語られました。

次に昨今ニュースでも話題となっているALPS処理水の放出についての説明がありました。ALPS処理水とは、放射性物質を含む汚染水を多核種除去設備(ALPS)等の浄化設備でトリチウム以外の放射性物質濃度が国の規制基準値を下回るまで取り除いた水です。さらに海洋放出時には、ALPS処理水を100倍以上に希釈し、トリチウムも国の規制基準値(1ℓあたり60,000ベクレル未満)を大幅に下回る値(1ℓあたり1,500ベクレル未満)としたものを放出しています。

その後は、今後の課題である燃料デブリの取出しについての現状説明です。燃料デブリは形状や分布が十分に把握できていないことに加え、原子炉格納容器内部は放射線量が高く人が近づくことができません。そのため、現在は遠隔操作ロボットを使用した内部調査および試験的取出しを行う準備をしています。

最後のブースでは、原子力発電所構内の様子をコの字型の三方面スクリーンにて閲覧することができました。ドローンにて撮影された上空からの映像は足がすくむほどでした。1号機を間近で見られる映像もあり、現地で実際に見ているような臨場感を感じました。

今回の見学では時間の都合上割愛したブースもございました。機会があればまた改めて訪れてみたいと思います。また、東京電力ホールディングス株式会社殿ホームページでは、廃炉作業やALPS処理水に関する現状、取組などの情報が確認できます。興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

写真① 東京電力㈱廃炉資料館
写真② 東京電力㈱廃炉資料館 内部

(2)中間貯蔵工事情報センター

中間貯蔵工事情報センターでは、最初に職員の方から中間貯蔵施設の役割などの説明をしていただきました。搬入された土壌は可燃物と土壌に分別されます。可燃物は焼却処理をしたのち、灰を廃棄物貯蔵施設にて保管します。土壌は、土壌貯蔵施設にて浸出水(土壌に触れた水)が外部に漏れないように遮水シートを二重に敷いた上で管理されます。敷地内に運び込まれる土壌の量は約1,400万㎥を予定されています。土壌は2045年3月までに福島県外にて最終処分をする予定です。最終処分量の低減を図るため、放射能濃度が低い土壌の再生利用に関する実証実験が進められています。また、現在は県内53市町村のうち46市町村からの土壌受入が完了しています。

写真③サンライトおおくま展望デッキより
写真④ 土壌貯蔵施設

職員の方からの説明のあとは、バスに乗車して中間貯蔵施設の区域を見学しました。中間所蔵施設と聞くと建屋を想像しますが、福島第一原子力発電所を取り囲む形で、全体面積は約16k㎡あり、東京ドームの約340倍の広さの区域になります。バスで移動し、最初に到着したのはサンライトおおくまです。サンライトおおくまは、元は特別養護老人ホームとして使われていた施設です。原発事故直後に避難指示が出たため、室内や車両が今もあの日のままの状態で残っています。敷地が高台にあることに加え、仮設の展望デッキが設置されているため、中間貯蔵施設そして福島第一原子力発電所が一望できます。ここでは職員の方から、目の前に見える施設がそれぞれ何なのか、その用途も含め説明していただきました。写真③の正面の盛土作業を行っているのが土壌貯蔵施設です。土壌は高さ5m×3段にて貯蔵されます。その右手にあるのが浸出水処理施設です。土壌貯蔵施設とセットで設置され浸出水の処理を行い、放射性セシウムの濃度などを測定し、問題ないことを確認してから放流します。

3おわりに

お忙しい中、案内や説明をしていただきました、東京電力ホールディングス株式会社、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の方々には心より御礼申し上げます。

今回の見学会を通し参加者からは、漠然としていた福島第一原子力発電所事故に関する概要や現状、そして今後の課題についての理解が深まったとともに、廃炉に関する安全性は想像よりも高いことを知ることができました、との声が聞かれました。貴重な機会を設けていただき、深く感謝いたします。

東京電力㈱廃炉資料館にて(参加者一同)

【執筆者紹介】

阿部 哲也

株式会社ユアテック

エンジニアリン本部 電気設備部

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2023年8月発行

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