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活動報告(近畿)

音羽電機工業株式会社 雷テクノロジセンター

活動名音羽電機工業株式会社 雷テクノロジセンター
実施日平成30年(2018年)11月29日(木) 15:00~17:00
場所音羽電機工業株式会社 雷テクノロジセンター
  兵庫県尼崎市潮江5-6-20
参加者10名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事 大久保 精之
1.はじめに

 本年度の見学は、音羽電機工業雷テクノロジセンターを訪問しました。
 音羽電機工業様は、主に避雷器を製造販売されている会社です。その中で、雷テクノロジセンターは日本で唯一の雷試験専門の試験センターであり、2008年開所以来10年で約33,000人の見学者が訪れています。
 雷の持つエネルギーは約1億ボルトで10万アンペアあり、雷の被害はおよそ年間2,000億円から3,000億円とのことでした。航空機への直撃来も年間200回程度発生しており、航空機は落雷を前提に製造されているそうです。これらの避雷器に関する試験を行う試験場の雷テクノロジセンターを見学しました。

2.施設概要

 同センターでは、世界最大クラスの雷発生器を用いて雷対策製品の開発や試験を日々行っています。また、雷に関する多くの資料が展示されていました。
 見学会では実際に雷対策製品や雷の発生の仕組みなどを学び、雷を疑似体験することで雷の世界に触れることができます。また、雷の受託試験を受け付けておりおりロボットや航空機などの試験を行っていました。

3.見学内容

  ①まず専門のスタッフによって、雷の発生のしくみや見学の注意事項のレクチャーを受け、雷に関する説明やビデオを鑑賞します。
  ②雷ミュージアムにて、雷に関する製品や資料を閲覧しました。また、飛行機に直撃する雷の貴重な映像もご紹介いただきました。

雷の名前が付く神社や地名
避雷器の材料 (酸化亜鉛素子)
カミナリ記憶カード
雷トリップブレーカリセット器

  ③実験施設では、雷の試験設備と専門のスタッフによる雷の発生のしくみの説明を受け、実際に試験設備を使って雷を発生させ避雷器(SDP)の効果を見ることができました。
   避雷器(SPD)の寿命は、特になく性能限度内であれば繰り返し性能を維持するとのことで、試験場のテスト用避雷器は開所以来壊れることなく使い続けているとの事でした。
  ④そのた、関連会社による低圧・高圧用検電器の説明もして頂きました。

集合写真
4.おわりに

 この度は、身近な避雷器ですが普段体験できない落雷を疑似体験できたことは大変有意義な見学会と感じました。
 最後に、関係各所の皆様のご協力で無事に見学会を遂行することができました、厚くお礼申し上げます。

以 上

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活動報告(関東・甲信越)

「振動と計測 (計装) 機器」

活動名「振動と計測 (計装) 機器」
講師
田村 純 講師
  三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業部 部長
実施日平成30年(2018年)11月24日(火) 14:00~17:00
場所東京電業会館 3F会議室
  東京都港区元赤坂1-7-8
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 橋本 明洋
1.はじめに

 平成30年度 関東・甲信越地区の勉強会を、平成30年11月24日に東京電業会館にて実施いたしましたので、ご報告いたします。

2.講習会内容

  テーマ「振動と計測(計装)機器」
   次の5つのテーマに分け、講義が進められた。
   1 「振動とは」
    ・振動の表し方
    ・振動量の基本的なパラメータと単位
    ・各パラメータ間の関係

   2 「振動センサ」
    ・振動計測の基本
    ・振動センサの原理
    ・地震動の計測
    ・地震計の校正とトレーサビリティ

   3 「振動の計測と校正」
    ・(産業)計測の意味
    ・振動変移、速度量のトレーサビリティ
    ・振動加速度の国家標準
    ・管理精度と許容値の源

   4 「可搬型低周波校正装置」
    ・振動計校正装置開発の経緯
    ・加震部の概要
    ・校正装置内臓の標準振動センサ
    ・今後の課題

   5 「3.11と加震試験」
    ・計装機器と加震試験
    ・加震のシステム概要
    ・加震の種類
    ・スィープ(掃引)と変調波形加震
    ・共振の探査の重要性
    ・加震試験状況の動画

   計測対象となる「振動」の定義及びその表し方の解説から始まり、振動センサの解説、校正の目的・意義の解説、振動校正装置開発時の課題とその対策を解説いただいた。
   また、実際に行われた加震試験の状況を、動画を交え解説いただいた。

3.まとめ

 本講義では、開発された振動校正装置において、重要となる要素を順序よく段階を踏んで解説いただけたため、目的や課題が大変理解しやすく、参考になりました。また、その周辺技術や校正の考え方等の解説もあり、勉強にもなりました。
 講義のオマケとして、産総研で管理されているキログラム原器公開の動画を上映いただきました。タイムリーな話題とあって、興味深く拝見させていただきました。
 最後に、ご多用中にもかかわらず、講師としてご説明・解説をいただきました田村純講師には厚く御礼を申し上げるとともに、ご参加くださった皆様のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(四国)

① 四国乳業㈱ 本社工場  ② ㈱井関 松山製造所

活動名① 四国乳業㈱ 本社工場
② ㈱井関 松山製造所
実施日平成30年(2018年)11月15日(木) 8:00~18:30
場所① 四国乳業㈱ 本社工場
   愛媛県東温市南方1055-1
② ㈱井関 松山製造所
   愛媛県松山市馬木町700
参加者21名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 藤田 勝治
1.はじめに

 今回の見学コース検討にあたっては、現在、下町ロケットの新シリーズで脚光を浴びている農業機械の製造を見学しようと思い、愛媛県松山市にある (株)井関松山製造所の見学と隣接する東温市で製造から出荷までをコンピューターで集中制御している四国乳業(株)本社工場の見学を計画しました。

2.見学内容

 (1)四国乳業(株)本社工場

   四国乳業(株)は、生乳生産者団体を中心に、生産者自らが運営する工場として、昭和41年に設立された四国唯一の農協プラント系乳業メーカーです。品質管理を徹底するため、アメリカのNASAで考え出された衛生管理システムHACCP(ハセップ)を業界内ではトップを切って導入しています。また、本社工場では、1日約140トンの生乳を牛乳や乳製品に処理加工しています。
   まず、工場棟の会議室においてパワーポイントによる本社工場の概要説明があり、その後工場内の見学をさせて頂きました。
  2階面の見学通路から1階面にある製造ラインが見学できるようになっており、各種製品が各々のラインで製造され、次々に出荷口に出てきている様子を見学することができました。
   製品の殺菌、温度管理、容器詰め、出荷検査、設備の洗浄等、製造から出荷までの一連の作業を全てコンピューターで集中制御しており、徹底した品質・衛生管理と、効率化・省力化を実現していることがよくわかりました。
  また、牛乳の効果についても説明があり、ダイエットや精神安定、高血圧の予防、免疫力の向上等にも良いそうです。

概要説明     
牛乳のできるまで
集合写真

 (2) (株)井関松山製造所

   井関松山製造所は、トラクタ、芝刈機、耕運機、乾燥機、エンジン等を製造しており、工場内では、エンジン・トランスミッション等の主要部品の鋳造からプレス加工、塗装、組立を一貫して行っています。また、敷地内には、トレーニングセンターやトマトやパプリカの植物工場もありました。 
   まず、会議室で田坂社長よりパワーポイントによる概要説明があり、その後、工場内を見学させて頂きました。
  工場内では、主要部品の鋳造作業、コンピューター制御の最新鋭工作機械やプレス機、3次元レーザー加工機を使った機械加工作業、塗装・乾燥作業、エンジンや本体の組立作業等の一連の工程を案内して頂き、大変興味深く見学させて頂きました。
  内製比率は25%程度とのことでしたが、コア部分を内製化し、鋳造から機械加工、最終組立まで工場内で一貫して製造していることや、国内・海外向けの多品種少量生産を色々工夫して実現していることがよくわかりました。
  工場見学後のドリームギャラリーでは、ICT技術等を活用した最新鋭の農業機械の運転席に座ったり、懐かしい農業機械を見たりと、参加者一同、時間を忘れて楽しんでいました。

概要説明
集合写真
ICT機能搭載トラクタ
懐かしのトラクタ(S38年製)
おわりに

 お忙しい中、ご参加いただいた会員の皆様と見学案内していただきました四国乳業(株)本社工場ならびに(株)井関松山製造所の方々には深く感謝いたします。

以 上

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活動報告(東北・北海道)

「振動と計測 (計装) 機器」

活動名「振動と計測 (計装) 機器」
講師
田村 純 講師
三興コントロール株式会社 計測制御サービス事業部 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)11月14日(水) 13:30~16:30
場所ハーネル仙台 5F
宮城県仙台市青葉区本町2-12-7
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者東北・北海道地区担当幹事 大束 裕彦
1.はじめに

平成30年度東北・北海道地区の勉強会を、平成30年11月14日にハーネル仙台にて実施いたしましたので、ご報告申し上げます。

2.講習内容

テーマ:『振動と計測(計装)機器』

下記の5つのタイトルに分け、振動とは何か、振動をどのように計測するのか、計測することの意味は何
    か、計測の際の校正の重要性など、振動とその計測について専門的な説明をしていただきました。

    1. 振動とは
      ・振動と音の定義
      ・振動の表し方
      ・パラメータの意味
    2. 振動センサ
      ・振動計測の基本
      ・振動センサの原理
      ・各計測器の紹介と原理
    3. 振動の計測と校正
      ・産業における計測する意味
      ・校正方法の基本
      ・トレーサビリティの担保
      ・タービンの監視
    4. 可搬型低周波振動系校正装置
      ・校正、現場校正の重要性                 
      ・振動計校正装置開発の経緯
      ・低周波振動計校正装置を支える標準

田村 純 講師
3.まとめ

 本講義は、まず「計測」「精度」「校正」の定義、及びSI単位の定義を明確にすることから始まり、「トレー
 サビリティ」の重要性を身近な例を交えてわかりやすく解説していただきました。
 次に、振動測定の実例による説明に移っていったため、ひとつひとつの要素を理解しながら受講できました。
 実例として、計測機に振動を与えた様子や振動により計測器が壊れる様子を動画で説明していただき、振動が
 もたらす影響について大変勉強になりました。
 最後に、ご多用中にもかかわらず、講師としてご説明・解説をいただきました田村 純様には厚く御礼を申し
 上げるとともに、ご参加くださった皆様のご活躍をお祈り申し上げます。                                               

                 以  上

勉強会の様子
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活動報告(九州・沖縄)

『振動と計測 (計装) 機器』

活動名『振動と計測 (計装) 機器』
講師
三興コントロール株式会社
計測制御サービス事業部 校正技術部
部長 田村 純 講師
実施日平成30年(2018年)11月5日(月)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 今吉 俊博

はじめに

 九州・沖縄地区では平成30年度の活動として、11月5日(水)に上記内容にて勉強会を開催致しました。 以下に概要の報告を致します。

田村講師 講演風景
講演内容

 テーマ 『振動と計測(計装)機器』

 1.振動とは
   1)振動とは
    ・振動とは、固体や液体が揺れ動く物理現象を意味しており、地盤や構造物に何ら かの力が作用したときなどに生じる周期的な位置変位の現象。
            ①人口振動 (機械起振) と自然振動 (地震動)
    ・振動 
            ②音 (音楽、騒音、爆発空振)
    ・騒音などの音圧は方向の無く、大きさのみのスカラー量。
     振動は大きさだけでなく方向も持つベクトル量。
    ・振動の性質もヘルツ (Hz)、デシベル (dB) で表す。
    ・Hzは振動する物体の1秒あたりの振動回数。dBは振動の大きさを表す単位で、 周 波数によって人に感じられ易さが異なるため、人の感覚に合わせ補正する必要がある。
    ・騒音の最小可聴値は0dB、人が感じる振動は55dBとされる。

   2)振動の表し方とパラメータ
    ・振動の振幅というと通常は変位を指す。変位の振幅と言うと片振幅Dとなるが、 実際の振動の世界では全振幅(Peak‐Peak)で表示することもある。
    ・微小振動を測定する場合、加速度センサがよく用いられるため、「振動の大きさ」は加速度(実行値)で表すことが多い。
    ・加速度の単位ではGal(ガル、cm/s²)が有名。
    ・振動とは、物体が一点を中心としてその前後左右、または上下への運動を繰り返す状態をいい、一般に「振動数F」「変位D」「速度V」「加速度A」を用いて表す。
     とくに「変位D」「速度V」「加速度A」の3要素が重要。
    ・変 位:振動の変位量を表し、その動きの大きさに直接関わる特性値を表す。回 転体のたわみ量、振れ量の評価に有効なパラメータで周波数には無関係。
        SI単位:m 実用単位:cm、μm、nm
    ・速 度:振動する速さは振動エネルギーの大きさを表し、機械の摩耗や、劣化の進展度合いに関わる特性値を表す。ISOの振動評価基準がある。
        SI単位:m/s 実用単位:cm/s、mm/s
    ・加速度:衝撃力の大きさに関わる特性値を表す、軸受け、ギアの傷、振動等の異常検出に有効な指標。
     唯一トレーサビリティの担保が可能な量。
        SI単位:m/s² 実用単位:cm/s²、Gal、G
    ・各パラメータ間の関係
                       微分  →    微分 → 
                変  位        速度        加速度
                       積分  ←    積分 ← 
  2.振動センサ
   1)振動計測の基本
    ・振動量の計測における測定者(あるいは測定装置)は、空間座標において動かない点(不動点)にいなければならない。
     このような不動点はばねとおもりか らなるサイズモ系で疑似的に作り出すことができる。

   2)振動センサの原理と種類

       
① 接触方式 ――――②加速度検出――③サーボ方式
                                   ④圧電方式(速度も)
                                   ⑤ストレージ方式
                                   ⑥MEMS方式
                       ⑦速度検出―――⑧導電方式

        ⑨ 非接触方式 ―――⑩変異検出―――⑪過電流方式
                                    ⑫静電容量方式
                                   ⑬光学方式(速度も)
    ・サーボ加速度計
     加速度により生じた振子の変位を電気信号として取り出し、アンプで増幅した うえでトルカ部のコイルに流すことにより振子を元の位置に戻し保持続ける。
     このコイルに流した電流は加速度に比例することを利用するセンサ。非常に高精度高安定、計測範囲はDC~数百Hz。

    ・圧電センサ
     センサ内部に錘とケースに挟まれた圧電素子が加速度により伸び縮みしたときに出力した電荷を利用し加速度を測定するセンサ。小型化できる。カタログ仕様はDC~となっているが、実際はその構造から100Hz程度から計測が信頼できる。

    ・動電センサ
     直線振子タイプは慣性おもりを共用したコイルをダイヤフラムバネやコイルバネで支持し、マグネットとの間で直線往復運動を行わせ電圧出力させるセンサ。
     高感度で直線範囲が広いので回転機械設備の劣化の検出に適している。構造上、取り付け方向、取り付け角度に制限がある。

    ・渦電流センサ
     センサコイルより高周波磁束を発生させ、金属表面に渦電流を発生させ、その 大きさが距離により変化することを利用したセンサ。

    ・静電容量式センサ
     センサと測定対象物によって形成される平行コンデンサの静電容量からギャッ プ(変位)を測定するセンサ。

    ・レーザードップラー振動計
     センサヘッドからレーザ光を振動物体に照射し、振動物体から反射したレーザ 光の周波数変化を測定するセンサ。

   3)ハンディ型振動計の特徴
    ・設置方法
      ① ネジ固定    ②瞬間接着    ③両面テープ    ④絶縁アタッチメント
      ⑤マグネットアタッチメント       ⑥棒状アタッチメント
    ・絶縁されていないものでモーターなどの測定は注意が必要。漏れ電流でセンサが壊れることも。

   4)地震計
    ・サーボ速度型地震計。
    ・落球式地震計。
    ・現在の地震計はSI系のトレーサビリティが担保されていない。

  3.振動の計測と校正
   1)振動量のトレーサビリティ
    ・校正対象機器のことをDUTと記述する。
    ・一般的に振動の大きさをdBで表示することが多い。
    ・dBは人の振動公害に関する測定などに用いられ、人間の感じ方を考慮して帯域制限フィルタで周波数フィルタをかけている。
    ・広く世間で行われている振動試験は相対量であるdBを使用しているため、トレーサビリティは確保されていない。
    ・振動のトレーサビリティの担保は振動加速度(m/s²)のみで、dB量を絶対量である振動加速度量に変換する必要がある。
    ・振動加速度の国家標準 ⇒ 光計測機器を使用
    ・振動加速度の標準供給 ⇒ 1次校正された振動計にBack to Backで2次校正する。
    ・従来はdB管理による基準検査制度が主体で曖昧な対応。強度振動系では振動加速度量のみトレーサビリティが担保されている。
    ・低周波領域(4~200Hz)の水平姿勢による標準値の供給をNWIJから受けているいるのは国内で三興コントロール株式会社のみ。
    ・現在はNMIJの低周波直流標準から4~10Hzの交流電圧標準の供給を受けている。
      (過去はDAkksからの供給を受けた)
    ・周波数標準はJEMICから供給を受けている。

   2)トレーサビリティの担保
      ① 標準値のトレーサビリティ
        ⇒計測機器(モノ)のトレースではない
      ② 人の計測・校正技術の連鎖
        ⇒人の技量の連鎖も重要
      ③ 現場の計測手段とのつながりを明確にすること
      ④ 振動レベル(dB)ではトレーサビリティが取れない
      ⑤ 現状、国内では低周波振動の校正で5~10Hz領域は曖昧
         またその「姿勢」も問題にされていない。
    ・どの様なセンサ・計測機器、校正機器でも使用目的とする数値に関係するデータは必ず標準にトレースする必要がある。
    ・振動量変換センサとして3つの標準が必要
      ①振動加速度量 ②信号の大きさ(交流電圧) ③信号の周波数
    ・交流電圧標準に対する要望として 10Hz以下の低周波域で交流電圧計の校正ニーズがある。
    ・代表的標準研究機関においても交直変換方式において10Hz以下の校正能力はない。

   3)TSI(タービン監視計器)
    ・タービン運転時、軸が伸び、振動が発生する
    ・変位=長さの量で管理
    ・3種類の監視計測機器
      ① 振 動 計 :回転体のバランス監視(動的ラジアル変位)
                ⇒ 2軸(垂直、水平)の振動 +α
      ② 伸 び 計 :回転体の熱による伸びを監視
      ③ 伸び差計:回転体の相対位置の監視(静的スラスト変位)
    ・回転体は望ましい動作をしているかどうかを監視する必要がある。
     その為に、 「振動速度」や「振動変位量」を計測する

  4.可搬型振動校正装置
   1)校正の重要性
    ・現在の品質管理の潮流は「試験、検査」から「校正」へ
    ・その為に「トレーサビリティの担保」は必須
    ・電力関係の規格・基準では「校正」が明記されている
    ・現場のセンサの校正は「On-site」「In-situ」が理想
    ・検査・試験は校正が源

   2)計測値の信頼性
    ・標準振動発生装置を可搬型にすれば振動情報のループ(系)としての信頼性の確認が可能。
    ・電力会社によっては、ループ(系)としての信頼性の確認をしていない会社もある。
     つまり振動計の単体校正のみで、系としての信頼性確認の考えを持ってい ない。

   3)ループ校正の考察
    ・現状はルート2乗法を採用し、“カタヨリ”のみの情報で計算している
    ・観測データの“バラツキ”情報は考慮していない
    ・本来の「ガウスの誤差の伝播則(ルート2乗法)」は観測データの“バラツキ” が主たる要素
    ・本当のループ校正では”バラツキ“と”カタヨリ“の検討が必要

   4)振動計校正装置開発の経緯
    ・校正用ではなく試験・検査用の認識が強い
    ・低周波領域(5~10Hz)の加振、振動は無評価!
    ・トレーサビリティには興味?無し
    ・インフラ分野(電力、ガス、上下水道)に余り興味なし
    ・設置環境の床振動(暗振動)対策には無頓着!
    ・市販の振動計試験・検査装置の特徴
      ① 低周波(5~10Hz)領域において性能不足
      ② 一部の領域において直線性無し
      ③ トレーサビリティの担保は?
      ④ 「校正」に関しての認識不足
      ⑤現場向きでなく、取り扱いが面倒臭い
       ・可搬装置としての大きさ
       ・設置場所での外乱(気温、暗振動)対策
      ⑥負荷質量(DUT)の対応不足
       ・現場型は防爆仕様で重い(~800g

   5)振動計校正装置開発の採った対策
    ・加  振  部  :冷却ファンが使えない、ネオジウム永久磁石の採用
    ・標 準 振 動 計:信頼性の高いサーボ加速度計を内蔵
    ・計 測 制 御 部:デジタル回路を採用し、信頼性の向上を図った
    ・外 乱 対 策:共振周波数、グランドノイズ(暗振動)対策で特殊 防振ゴムを採用
    ・冷却ファンの除去:振動発生源となる為
    ・軽量化を図る :労働安全規則の存在

   6)開発モデ
    ・HVC-100:水平加振と垂直加振兼用モデル
    ・HVC-200:垂直加振専用モデル
    ・HVC-300:水平加振専用モデル

   7)本装置の優位性
    ・最小の構成による校正装置(2ユニット)
     標準器も内蔵している(Back to Back方式)
    ・低周波(5~10Hz)領域で振動加速度のトレーサビリティを担保している国内では唯一の校正装置
    ・多種多様の大型回転系の振動計に対応可能
    ・非接触型の変位計の校正も可能な構造
    ・国内優先特許確立

   8)課題と今後の展望
    ・校正範囲を1~4Hzと200~2000Hzに拡張
    ・社内での受託校正時の基礎(大地)振動の低減
    ・需要があれば0.01~1Hz間での加振装置の開発?
    ・弊社のお客様の制御用・計測用「地震計」の管理値と要求仕様の調査と、目標 とする仕様の決定

  5. 3.11と加振試験
   1)背景
    ・3.11の地震後、BWR原発は水素ガス発生時の対策から新システムの発生水素ガスベント(排気)システム関係の計装機器、電気機器の振動試験を、3.11を考慮した形で行う必要が出てきた。

   2)鉛直加振動電式振動試験装置
    ・磁界の中で電気伝導体(コイル)に電流を流し、振動する力を発生さる。コイル に発生した力は伝達する可動部や治具に供試品を搭載・固定して振動させる。

   3)治具
    ・冶具は剛性を持たせ、冶具の共振振動数を加振する振動数範囲より高い振動数にする必要がある。
    ・共振振動数を上げるのには、小型化、軽量化、強度と剛性の確保が必要。
    ・軽量化の為にはアルミ製に冶具が適している、一般的には板厚15mm以上が望ましい。
     ⇒加工が削り出しのみに限られ難あり
    ・DUTが現場でどう取り付けられているか?どう振動を受けるかを考慮し、DUTの重心を考慮し設計加工する必要がある。
    ・鉄製を採用。但し、溶接に伴い磁気を帯びるため脱磁処理を行った。

   4)共振探査の重要性
    ・固有振動数を求めることは機械設計を行う上で非常に重要。共振は機械の性能を損ない破損の原因につながります。従って機械は運転範囲において共振が発生しないように設計する。

   5)加振試験
    ・加振方向:水平2方向と垂直方向の同時加振
    ・加振試験の手順
      ① 加振前の校正(健全性確認)、他の性能試験
      ② 3軸での掃引加振で共振周波数の探査
      ③ もし共振点が存在しなければ客先指定周波数で加振
      ④ 3.11では指定周波数(3.11想定の5倍以上の30G)にて限界加速度で加振する
    ・加振試験の仕様例
      ① 外観確認  :いわゆる外観の目視
      ② 動作機能試験:校正と試験が主体
      ③ 指示精度試験:指示機能があるものについて
      ④ 警報遅れ試験:2値動作機能を持つ機器について
      ⑤ 絶縁抵抗試験:電気、電子回路の健全性確認
      ⑥ 耐電圧試験 :電気、電子回路の健全性確認
      ⑦ 共振検索試験:固有振動数の有無
      ⑧ 耐加速度(限界)試験A ⇒ 指定加速度、周波数
      ⑨ 耐加速度(限界)試験B ⇒ 指定加速度、周波数

   6)その他
    ・フィールドサービス対応機器の紹介
    ・ストップウォッチの校正の紹介
    ・2019年5月21日にSI単位の定義改訂のお知らせ

所 感

 今回の勉強会では、振動と計測(計装)機器という題目のもと、振動センサに関する基礎知識、トレーサビリティの問題点と振動に関する実務の紹介などの項目をこの分野のエキスパートである講師の方が深く掘り下げてご説明頂きました。難しい内容を素人にも分かるよう丁寧に、また易しい表現でご説明頂き、とても興味深く耳を傾けていました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました田村講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(中部・北陸)

① 北陸電機製造株式会社 ② 発紘電機株式会社

活動名① 北陸電機製造株式会社 
② 発紘電機株式会社
実施日平成30年(2018年)10月5日(金) 9:00~17:00
場所① 北陸電機製造株式会社 
  富山県滑川市法花寺233
② 発紘電機株式会社
  石川県白山市上柏野町238
参加者14名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区担当幹事 柏原 達司
1.はじめに

 平成30年度「中部・北陸地区」の活動として10月5日に上記2施設を見学いたしました。
 今回は、今までの中部地区(名古屋)を中心とした「中部・北陸地区」としての活動から、初めての北陸地区における活動であり、募集の段階より無事に実施出来るのか等のかなりの不安要素をもってのスタートでありました。
 「中部・北陸地区」とはいっても、現在の北陸地区(富山)へは北陸新幹線が開通しており、名古屋から特急(在来線特急)を利用した場合には3時間30分(一部新幹線利用にて3時間、但し2回乗換)かかりますが、東京からは新幹線直行便を利用した場合は最短2時間30分程で行くことが出来ます。正に現在の北陸地区は関東圏と言われる所以であります。
  そのような状況で、前述しましたように今まで「中部・北陸地区」とは名ばかりで、中部地区での開催ばかりの状況を打破すべく、今回の北陸地区での実施を計画した次第です。

2.見学報告

 (1) 北陸電機株式会社
      本社工場見学

   パンフレットに「立山連峰を仰ぐ、ほたるいかのふるさと富山県滑川市が北陸電機製造株式会社の事業拠点です」とありました。
   すばらしい自然環境の中に拠点を構える「変圧器」、「モールド及びIHインバータ関連機器」等の製造会社です。

 1)施設概要
   営業品目
   ・中小型変圧器   ・モールド機器   ・取引計器用変圧変流器(MOF)
   ・大型変圧器     ・配電盤   ・障害波防止用機器   ・環境関連事業
   ・IHインバータ関連機器

 2)見学内容
   会社沿革、北陸電力株式会社や富士電機株式会社等の主要取引先等の概要の説明後、中小型変圧器、柱上変圧器製造工程、大型変圧器製造工程等を2班に分かれて見学しました。

 (2) 発紘電機株式会社
      本社工場見学

   世界初のプログラマブル表示器
   MONITOUCHを開発したとの説明には驚かされました。
   世界各国にも出荷し、またプリント基板から自社製造し常に下位互換を維持しつつ新しい製品を開発する会社です。

 1)施設概要
   ・HMI(MONITOUCH)製品設計
   ・製造
   ・FA(機械)設計・組立
   ・プリント基板製造

 2)見学内容
   プリント基板製造エリア/HMI製品製造エリア/制御盤組立てエリア

 3)講演
   インバータによるファン・ポンプの省エネ手法

3.アンケートについて

 今回の見学会についてアンケートをとりました。概ね「面白かった」、「理解出来た」、「見学会の内容は仕事に役立ちそう」との集約が出来ました。時間についても「ちょうど良い」、また今後についても「また参加したい」との結果が出ました。
 アンケートに合わせ、(一社)日本計装工業会にて主催、計装士会共催にて次年度実施に向け計画が進められています「黒部第四ダム見学会」について皆さんの意見を聞くことも出来ました。

   ・黒部ダム見学は、非常に楽しみにしています。
   ・黒四ダムの件、興味はあるので、時間が合えば参加したい。
   ・黒四ダム見学会、特別に設定されたルートと聞いて大変興味があります。
   以上のように、地理的な状況における集合場所、また実施時間等の問題もありますが半数を超える方々の実施に期待を込めた意見でした。

4.おわりに

 見学会を終え、帰途の特急電車の中では地区幹事同士、楽しい一時を過ごすことが出来ました。しかし、大変なのはこれからです。今回の見学会を、より充実し定期に実施出来るよう、今後どのように計画していくのか大きな懸案事項です。一層の計装士会の活性化に向け更なる努力が必要との思いであります。
 最後になりますが、お世話になりました「北陸電機製造株式会社」、「発紘電機株式会社」の皆さん、準備等にご尽力いただきました「富士電機テクニカ株式会社」様、有難うございました。
 見学会に参加いただきました「アズビル(株)ビルシステムカンパニー」、「三機工業(株)」、「ジョンソンコントロールズ(株)」、「ダイダン(株)」、「太平電業(株)」、「高砂熱学工業(株)」、「(株)中部プラントサービス」の皆さん、並びに各社の担当としてご尽力いただきました皆様には、お世話になりました。また北陸地区に出先をお持ちの関東地区在京各社の計装士会窓口の皆様有難うございました。
 これからの計装士会のより一層の発展に向け、各社更に力を合わせ取り組んで生きたいとの願いを込め、今回の見学会の纏めとする次第です。有難うございました。

以 上

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活動報告(東北・北海道)

国内最大規模で、発電効率も国内トップの 「石炭とバイオマスの混焼による発電設備」の見学

活動名国内最大規模で、発電効率も国内トップの
「石炭とバイオマスの混焼による発電設備」の見学
実施日平成30年(2018年)9月27日(木) 13:00~17:00
場所日本製紙エネルギーセンター株式会社 石巻雲雀野発電所
 宮城県石巻市雲雀野町2-15-4
参加者26名(内計装士会7名)
主催(一般社団法人)電気設備学会東北支部
協賛(一般社団法人)日本電設工業協会東北支部
(公益社団法人)日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会
報告者東北・北海道地区担当幹事
小川 克郎
1.はじめに

 今回の見学会は、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。
 見学した施設、日本製紙石巻エネルギーセンター(株)石巻雲雀野発電所は、平成30年3月に操業を開始したばかりで、2011年の東日本大震災により大きな被害を受けた石巻地域の産業振興及び雇用創出のため設立されました。
 また、環境の面と電力安定供給の面から石炭とバイオマスの混焼による発電設備とし、バイオマス混焼発電所としては国内最大規模で、発電効率も国内トップの42%を実現しています。
 見学の内容を、下記に報告いたします。

2.見学内容

 1)発電設備の概要について

  発電設備の概要および特徴を当エネルギーセンター
 担当者様よりご説明頂きました。
  当発電所の最大発電能力は14.9万kwで、バイオ
 マスによる高い発電効率を実現するため、石炭、接着
 剤なしの木質ペレット及び未利用材(間伐材)を使用
 し、環境・コスト面の負荷を低減しています。
  具体的な燃料の使用量は、石炭を1,000t/日、
 木質ペレットを500t/日未利用材を50t/日使
 用し、熱量比で最大30%のバイオマス混焼を実現し
 ています。 立地は石巻市の臨海工業地域に位置し港に
 直結しているため、燃料は 海路より直接発電所内の未
 利用材及び石炭ヤードに搬入されます。
  また、木質ペレットは発電所に近接した場所に、
 2万トンの保管倉庫を設けています。

中央操作室の様子

  

 2)燃料搬送設備

  燃料となる未利用材・石炭用と木質ペレット用、2
 系統の搬送設備でボイラーの燃料貯槽に運ばれ、どち
 らか 1系統に異常が発生した場合でも安定的に発電で
 きるよ うにしています。
  また、搬送設備のコンベアーは回転軸を持たない空
 気浮上式となっており、安全と防災に万全を尽くして
 います。

燃料搬送設備

 3)石炭ミルとバイオマス

  燃料を高温で効率よく燃焼させるため未利用材・石
 炭用3機と木質ペレット用1機の2種類の専用ミルに
 より、 ミクロン単位まで燃料を粉砕することで国内最
 大の混焼比率(熱量比30%)を実現しています。

 4)微粉炭バーナとバイオマスバーナ

  バーナーは、燃料と空気を適量混合して効率よく燃
 焼させるため、未利用材石炭用と木質ペレット用の2
 種類を設置しています。

石炭ミルとバイオマス

 5)灰(ばいじん)の再利用

  燃料となる石炭・木質バイオマスの燃焼により生じる灰(クリンカアッシュ)及び電気集塵機で捕集された灰
 (フライアッシュ)は一旦場内に貯蔵され、セメントの原料として有効利用されます。

3.終わりに

 今回の見学会で、ご協力頂きました日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社様に感謝すると共に、お忙しい中、施設のご説明及び見学のご案内をして頂きました社員の方々にはこころより御礼申し上げます。
 見学会の感想として、雲雀野発電所と隣接する日本製紙石巻工場との間で、法令により発電所との電力連系及び排熱利用が出来ないとの説明が有りました。
 また、木質ペレットも接着剤を使用しないものとするため、海外より輸入しているとのことでした。
 トータル的な経済性・利便性及び安全性を考慮し、法令が足かせとならない柔軟な対応が出来れば より良い施設が出来ると強く感じました。                               

以上

石巻雲雀野発電所にて(参加者一同)
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活動報告(近畿)

「振動と計測(計装)機器」

活動名「振動と計測(計装)機器」

講 師
三興コントロール㈱
計測制御サービス事業部
校正技術部 部長 田村 純 講師
実施日平成30年(2018年)8月9日(木)14:00~17:00
場所TKPガーデンシティー 大阪梅田
 大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二

 平成30年度近畿地区上期活動として、上記勉強会を実施しました。
 「振動とは?」から始まり、振動センサ、計測と校正、校正装置、さらに3.11と加振試験にいたるまで、豊富な資料をもとにご説明いただきました。

講義内容

 1.振動とは
   振動の発生と現象/騒音と振動/振動の表し方/振動の基本単位/振動量の大きさ(振幅)/振動の大きさの表し方/振動パラメータの意味/振動の基本的なパラメータ/振幅の表し方/各パラメータと感覚/各パラメータの関係/分析結果の差
 2.振動センサ
   振動計測の基本/振動センサの原理/サーボ加速度計/圧電センサ/動電センサ/過電流 センサ/静電容量
   式センサ/レーザードップラー振動計/地震動の計測/地震計の例/ 地震計の校正とトレーサビリティ/ハンディ型振動計の特徴
 3.振動の計測と校正
   振動の計測/(工業)計測の意味/校正は特性評価の条件/校正で被校正計器のこと/ dB(デシベル)/振動量のトレーサビリティ/振動変位、速度量のトレーサビリティ/振動加速度の国家標準/振動加速度の標準供給/振動加速度の校正方法/振動加速度の トレーサビリティ/弊社の標準振動加速度校正システム/弊社標準器の校正結果/トレーサビリティの担保/管理精度と許容値の源/ AIST/NMIJの研究課題になりました
   (低周波交流電圧標準の開発)/交流電圧標準に対応する国内の要望/代表的標準研究機関の校正能力
 4.TSI(タービン監視計器)
 5.開発した可搬型振動計校正装置
   校正の重要性/検査・試験は校正がベース/計測値の信頼性/ループ校正と管理精度(許容値)/ループ校正の考察/振動計校正装置開発の経緯/DUTの管理精度 vs校正精度/市販の可搬型?振動計試験、検査装置の例/加振部の概要/3種類の加振部/計測制御部の顔/校正の情報/校正装置内蔵の標準振動センサ/本装置の優位性/低周波振動計校正装置を支える標準/反省とこれから
 6.伸び&伸び差計校正装置
   伸び計と伸び差計の使用目的/長さ(静的変位)の標準/伸び計校正装置/ 伸び差計校正装置/非接触変位
   計校正装置/その他の振動系付帯校正装置/ 開発した可搬型振動系校正装置のカタログ
 7.3.11と加振試験
   計装機器と加振試験/加振システムの概要/水平加振装置の構成機器/加振システムの実際振動発生の原理と構造/加振力の算出/加振試験の基本/加振の種類/スィープ(掃引)と変調波形加振・重要な事!/記録計用の冶具/取り付け冶具の共振探査も重要/冶具に取り付けた記録計/冶具に取り付けた液体膨張式温度計/共振の探査の重要性/共振現象/共振周波数は・オクターブ/地震動の波形/合成加振波形/唸り波形加振/加振の方向/加振の方向とその大きさ/振動加速度、galと重力加速度/計装機器と加振試験/加振試験のRS/加振試験項目と手順/振動試験の仕様例/振動試験の主な仕様/加振試験の実体イラスト/DUTと加振方向(X,Y,Z軸)/掃引試験の結果画面/実際の掃引試験結果の画面/健全性試験
 8.宣伝とおまけ
   開発した校正機器群/新たな受託校正システム/SI単位が変わります(2018.11)

田村講師
聴講風景
聴講風景
所 感

 大阪では6月18日7:58の大阪府北部地震を体感した直後でもあるので、関心度は高かった様に思います。全体で約3時間に及び、内容的にもかなり難しかったようにも感じましたが時間を感じさせない有益な勉強会となりました。
 計装士会としても、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、見学会等を企画、開催していきたいと思います。
 最後になりましたが、今回の勉強会にご尽力いただきました田村講師、(一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝と御礼を申し上げます。

以 上

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コラム

見学会に参加しよう

株式会社きんでん

情報通信本部 奥住 俊明

私は2007年から昨年4月に退任するまでの約10年間、計装士会の幹事を担当してきました。
 計装士会の歴史は1997年からなので、私はおよそその半分の期間お世話になったことになります。本会報の第42号2018年3月の特集に、歴代幹事来歴が掲載されていて、先輩方の名前や、一緒に活動していた幹事の方々の名前を拝見し、当時を懐かしく思い出した次第です。
 計装士会の活動は、大きく2つあります。本報「計装コミュニケーション」を編集・発行したり、ホームページを管理・運営したりする広報活動と、研修会・勉強会や見学会を企画・運営する企画・研修活動です。
私は一貫して企画・研修活動に従事してきました。昔話となりますが、見学会の企画・運営活動についてご紹介したいと思います。

 みなさんご存知の通り、日本計装工業会は計装工事業を営む法人と個人の集まりで、国土交通省の許可団体である一般社団法人ですが、計装士会は計装士の資格を持つ個人の任意の集まりです。(社団法人でも財団法人でもNPOでもありません、将来この議論も必要かもしれませんね)加入したい人だけが入会して作った任意の団体なんです。
 計装士会のその目的は、「計装士の交流の場として知識の交換と友好を深め、もって計装技術の発展と社会的地位の向上に寄与すること」とあります。

 JAXA 筑波宇宙センター

 昨年度の計装士会会員数は、全国で2,396名です。計装士の数は、日本計装工業会発表では1級と2級を合わせた総合格者数の累計が32,000人を超えているそうです。そのうち1級と2級両方合格された方やすでに資格失効された方もおられるので、計装士会への入会率は1割程度ということになるでしょうか。ちょっと低い入会率です。計装士会にとって、会員を増やす、入会率を上げることがとても大きな命題で、そのために会報の充実や研修会・見学会を充実させていくことが求められています。
年会費は3,000円ですが、会員の方々に会費を払っても値打ちがあった、満足できたと言ってもらえるように、企画・研修を担っていた私たちも知恵を絞ってきたわけです。

  計装士会の会員には、石油化学や発電のプラントが専門の工場計装技術者と、建物や箱もの工場の中央監視や空調自動制御が専門のビル計装技術者がいます。どちらの会員にも意味のある、興味がわく見学先が求められますので見学先の選定は重要な仕事になります。

 実際の見学会の企画・運営は、以下のような手順で行っていました。
  ①見学先のリストアップ、絞り込み、決定
  ②見学先・関係者との交渉、調整、条件確認
  ③案内文作成、見学者の募集
  ④段取り、役割分担決定、関係者への周知
  ⑤見学報告書の作成(見学終了後、会報掲載用)
  これを企画・研修委員会で議論し、決定し、実施していきます。
  私が企画・運営に携わった見学会のうち、代表的なものを紹介します。

・住友化学(株)千葉工場

日本の計装業界と計装技術は、国内の石油精製・石油化学産業の発展とともに拡大、進化してきました。今回は計装のルーツを知る見学会です。ここでは石油化学製品の原材料になるエチレンの製造プラントを見学、その分解炉の運転開始は1967年で、見学者の中に当時建設に携わった方がおられ、現場案内役の方と苦労話に花が咲いていました。
 最新の監視制御システムが、整然と並ぶコントロールルームも見学しました。
 現在では情報漏洩やテロ対策などもあり、なかなか見学は難しくなっていると思います。

・関西電力(株)大飯原子力発電所、原子力研修センター

  東日本大震災の5か月前に開催。発電所内はバス車窓からの見学でしたが、研修センターでは実物とまったく同じ原子炉の模型があり、担当者の方にかなり詳しく説明いただき、非常に勉強になりました。社員の方も実際にそれを使って研修をされているそうです。
 震災前の原発は、日本の電力エネルギーのベースロードをしっかりと支え、地球温暖化対策にも大きく貢献していました。福島第一原発の事故で、原子力事業への信頼も大きく揺らぎましたが、今後どうしていくのか国民の議論が進んでいく中で、この見学会は大変有意義なものになったと思っています。

模擬制御盤
原子炉内模型

・住友金属工業(株)鹿島製鉄所

 現新日鐵住金(株)、2基の溶鉱炉を持つ製鉄所。この工場では自動車・家電向けの薄板鋼板を製造しており、その全長800mにもおよぶ圧延ラインを見学。赤く焼けた分厚い鉄の板が多くのローラーを通過するごとに薄く延ばされ、最後ドラム状に巻き取られていく工程はものすごいスケールで圧巻。(ターミネーターが出て来そう)鉄は産業の米、鉄は国家なりと言われ、鉄鋼業は基幹産業として、日本の高度成長期を長らく支えてきました。日の丸製鉄、頑張れ、負けるな!ですね。最も評価の高かった見学先の一つでした。

・日本環境安全事業(株)(JESCO) 大阪事業所、東京事業所

現在は中間貯蔵・環境安全事業(株)。当時PCBは大きな環境汚染問題であり、処理施設の建設が急がれていました。PCBは1960年代に有害物質であることが分かりました。無害化技術が確立するまで長らく時間がかかりました。完成したPCB廃棄物処理施設は、国民に適切な処理を啓蒙する役割も担っていたため、積極的に見学を受け入れていました。我々、電気・計装技術者にとって、PCB無害化処理のことを深く知ることができて非常に有意義でした。

・国土交通省首都圏外郭放水路

 埼玉県春日部市の中川・綾瀬川流域の浸水被害の総合治水対策施設。
 地下に巨大な貯水空間と放水路を作り、水害を防ぐ。その地下空間の大きさは巨大神殿のよう、排水ポンプ駆動用の動力は14,000馬力の航空機用エンジン。

首都圏外郭放水路

・ANA機体メンテナンスセンター

飛行機の整備場の見学で、この見学会もやはり人気がありました。同時に5機を整備できる格納庫に、約900人の整備士の方が働いており、そのスケールは圧巻でした。一番感心したのは安全に対する考え方で、工具の管理の仕方一つとっても徹底しており、非常に参考になりました

ANA整備工場

計装士会は全国を①東北・北海道、②関東・甲信越、③中部・北陸、④近畿、⑤中国、⑥四国、⑦九州・沖縄、の7つの地区に分かれて活動しています。
 それぞれの地区で見学会と研修会または勉強会を、それぞれ年1回ずつ行っています。
 いままでに、火力発電所、地熱発電所、自動車組立工場、新聞印刷工場、医薬品製造工場、電気メーカー製造工場、ビール工場、食品工場、紙幣印刷工場、航空自衛隊基地、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)など、様々な見学会を実施してきました。

見学会はやはり大きくて見栄えがするものが人気なので、自動車工場や発電所などの重厚長大産業が人気でした。日本の基幹産業は、昭和の終わりごろ重厚長大から軽薄短小(液晶パネル、半導体、携帯電話など)に移行しました。このころまでは、日本の産業レベルは世界トップレベルでした。Japan as No.1ですね。
計装業界もその一翼を担っていたと思います。
 現在は、情報と知識の時代と言われています。ビッグデータ、超高速低遅延(5G,IoT)、サイバー(インターネット)環境、知識の集積・人工知能(AI)、これらキーワードが示す情報と知恵の時代、さしずめ「多速仮知」なんていう4文字熟語で表せるかもしれません。計装士活躍のフィールドも、どんどんそちらにシフトしてきているはずなので、見学先もそれに合わせて変えていく必要があるでしょう。例えば、大規模データセンタ、スマートコミュニティ、コールセンタ、最新物流施設、最新競技場、バイオ関連、植物工場など、どうでしょうか。
 勉強会や研修会のテーマも同じことが言えますね。今後の企画・研修委員の方々に期待しましょう。

仕事といいながら、遊びの要素大じゃないの?という声が聞こえてきそうですが、見学会に参加することによって、見聞を広めることができ、発見や気付きがあり、驚きや感動があり、アイデアが浮かび、明日への活力、モチベーションにつながっていくと私は思います。自戒も含めてですが、どうも技術屋さんは了見が狭いというか、視野が狭いところがありますよね。
 ぜひみなさんも計装士会のホームページで見学会の予定を調べて、周りの仲間を誘って、参加してみてください。
 最後になりますが、計装士会の益々の発展をお祈りいたします。

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活動報告(中部・北陸)

「振動と計測(計装)機器」

活動名「振動と計測(計装)機器」

講師
三興コントロール株式会社
  計測制御サービス事業部 校正技術部
  部長 田村 純 様
実施日平成30年(2018年)7月30日(月)13:30~17:00
場所ウインクあいち
名古屋市中村区名駅4-4-38   
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区幹事 柏原 達司
講演内容

  1.振動とは
  2.振動センサ
  3.振動の計測と校正
  4.可搬型低周波振動計校正装置
  5.3.11と加振試験

アンケート結果

 多くの受講者が、勉強会について「面白かった」、また内容の理解度については「理解出来た」との回答をしています。また公演時間については、「ちょうど良い」、勉強会については「また参加したい」との回答が殆どでした。
  今回の勉強会で興味のあったことにつきましては、あまり関わりの多くない「振動」について、意識喚起になったとの意見がありました。特に加振試験について、PPTではなく動画にて解説していただいた部分についての感想が多く有りました。

田村 講師
勉強会の様子
所 感

 今回は、「計測」の中でも比較的に馴染みの薄い「振動」という分野でありましたが、「振動」と「音」、特に「騒音」との身近な関わりから解説に入り、参加者は皆熱心に聴講していました。
 皆を飽きさせない田村講師の解説によるところも大きいと思われます。馴染みの薄い計器とはいえ振動センサの種類の多さには驚かされました。また構造、及び原理について解説していただき知識の補足に繋がったと思います。
  トレーサビリティをいかに担保するのか、また振動加速度、及び計器の校正について、更に3.11の地震を考慮した計装機器の加振試験については、計装計器にそこまでの性能が要求されるのかと、認識を新たにしたところです。大変に貴重な講義でありました。
  補足的に解説していただきました「単位」につきまして、100年以上にわたり使われてきた「国際キログラム原器」による「キログラム」の定義をはじめ、「アンペア」、「ケルビン」、そして「モル」について物理定数を用いて再定義される国際単位系(SI)の改定についても、身近な内容であり反応が大きかったように思われます。
 最後になりましたが、お忙しい中、講義をして頂きました田村純様には、今後の更なるご活躍を祈念し、改めまして御礼を申し上げます。有難う御座いました。 

以 上