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活動報告(東北・北海道)

平成27年12月開業予定の仙台市地下鉄東西線施設   荒井駅・荒井車庫 (車両基地、研修場、車両他)

活動名平成27年12月開業予定の仙台市地下鉄東西線施設
  荒井駅・荒井車庫 (車両基地、研修場、車両他)
実施日平成27年(2015年)8月25日(火) 15:00~16:30
場所仙台市地下鉄東西線荒井駅・荒井車庫
宮城県仙台市若林区荒井字矢取東46-1
参加者26名(内計装士会8名)
主催(一社)電気設備学会東北支部
協賛計装士会 (一社)日本電設工業協会東北支部
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 今回の見学会は仙台市交通局 東西線建設本部のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部及び計装士会の共催で実施しました。
 同施設は、平成27年12月6日の開業を目指し試験調整や開業準備の進む仙台市地下鉄の新路線である東西線の運行拠点となる東端の荒井駅と、新車両の整備検査などを実施する検修場を含む車両基地施設です。
 仙台市交通局様より施設と新車両の概要説明を頂き、車両基地と新車両、駅舎の見学をさせて頂きましたので、下記に報告いたします。

2.見学内容

 1) 仙台市地下鉄東西線の概要について
 はじめに、仙台市交通局様より今回の東西線についての概要のご説明を頂きました。
 従来の仙台市地下鉄は南北に走る路線で、仙台住民にとって重要な交通網ですが、新たな路線は東西を結ぶ新たな路線として、西は八木山動物公園駅から東北大学が整備を進める青葉山地区、交流拠点の国際センター地区、仙台の中心となる仙台駅、市街地地区、流通拠点となる東部地区などの多様な拠点を結ぶ路線で、今回の見学場所である東端の荒井駅まで、13駅、約26分の路線であり通勤通学を含め仙台市民の足となる重要な事業である事リニアモーター駆動を採用した、南北線の車両とは異なるコンパクトなサイズ規格の新車両を採用し、建設費に大きく影響するトンネル断面を4割減らして土木工事コストを削減するよう計画されている事など様々な説明を頂きました。

概要説明の様子

 2) 施設見学について
 はじめに車両基地、荒井駅周辺を一望できる屋上で敷地の配置などをご説明頂きました。
 本施設は東西線の東端の拠点駅であり、敷地周辺は区画整理と周辺施設の建設が同時に進められており、住宅施設や民間施設、公共の施設も含め様々な施設が建設中で、新しい町並みが今まさに作られている印象を受けました。

車両の見学

 新たな車両のデザインは市民の意見を広く取り入れ、「杜の都仙台」のイメージと調和を図り、街の活気と人の温かみを表現するようにカラーやデザインに配慮がなされていました。
 また、車両前面の窓のデザインは伊達政宗公の兜の前立てをイメージしてデザインされていることや、コンパクトな室内は七夕の吹流しやケヤキをモチーフとしたカラーやシートデザインを採用するなど「仙台の街」を最大限に表現した車両でした。
 また、ホームと車両との段差は車輪の磨耗を考慮した設計をし、車両内部は車椅子への対応を考慮し、バリアフリーの設備を充実させ、さらにコンパクト化を果たしながら様々な工夫で室内の快適性・利便性を損なわない様配慮されている事をご説明頂きました。

車両内の見学

 検修場では運行を控え、車両の準備やトレーニングが進められている様子や、高圧架線設備や安全設備などをご説明頂きました。  

 次に荒井駅を見学させて頂きました。
 駅舎は地下1階、地上2階の建物で、地下1階はホーム階、1階は改札や駅務員室などの駅施設をメインとした改札階2階には保育施設、メモリアル施設を配した構成で、地域と密着した利用を想定した施設とし計画されていました。

車両研修場内部

 また、改札階には一般トイレの他に「ひろびろトイレ」という多目的トイレが2箇所設置され、車椅子の方や子供を持つ家族などが利用しやすいよう工夫がなされていました。
 さらに、全駅にエレベータを採用し、ホームには転落防止用のホームドアを設置するなど、安全で安心して利用できる様に、バリアフリー設計を広く取り入れている施設であることが分かりました。

荒井駅外観
荒井駅ホーム
3.おわりに

交通局様の皆様にはお忙しい中、説明及び見学のご案内をして頂き、こころより御礼申し上げます。                                              以  上

東西線車両前にて見学参加者集合写真
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活動報告(東北・北海道)

①『空調自動制御のチェックポイント』 ②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

活動名①『空調自動制御のチェックポイント』
②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』  
講師
① 助飛羅 力(すけひらちから)講師
  三機工業㈱ 建築設備技術本部 技術統括本部
  技師長室 技術エキスパート
② 桧山 達哉(ひやまたつや) 講師
  ジョンソンコントロールズ㈱ プロダクトマーケティング統括本部
実施日平成26年(2014年)10月22日(水) 13:30~16:50
場所ハーネル仙台 6F
宮城県仙台市青葉区本町2-12-7
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 平成26年度東北・北海道地区の勉強会を、平成26年10月22日にハーネル仙台にて実施いたしましたので、ご報告申し上げます。

2.講習会内容

 テーマ
  ①:『空調自動制御のチェックポイント 』

 近年、ビルマルチエアコンの普及などにより、熱源・空調機のシステムの経験や自動制御に関する知識、経験が減る中で空調設備の自動制御の設計・施工・保守に関しての留意するポイントを設備施工業者の視点から下記の内容について解説を頂き ました。

1.全体
 設計仕様の確認、客先仕様の有無の確認、2管式と4管式、計装設計図の表示

助飛羅 講師

2.機器回り
  機器構成、冷凍機、冷却塔、ポンプ、空調機、水槽まわりなどのチェックポイント
3.制御弁・VAV
  制御弁、VAVのチェックポイント
4.センサ
  センサの仕様、温度センサの設置流量計の設置の留意点
5.盤・配線
  自動制御盤の構成、停電・瞬停時の動作
  インバータのオプション設定、配線ルート
6.改造工事
7.保守

テーマ
 ②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

  ITの基礎として、コンピュータの単位、通信に関する基礎の解説から、ビル設備で使用されるプロトコルの種類と比較と現状 BACnetⓇ・オープン
化などを含め現在の動向と今後の方向性について下記の内容で解説を頂きました。

 1.ITの基礎
   コンピュータ通信における基礎用語
   解説、OSI参照モデル
 2.ビルの中で使われるプロトコルについて
   代表的なプロトコルの比較
   BAシステム概念、BACnetの変遷                 
   LonWorksの特徴と変遷
   新たなオープンシステム
 3.BACnetⓇについて
   BACnetとその特徴、認証について
 4. オープン化について
   市場環境・動向とオープン化の将来と必要性について

勉強会の様子
3.まとめ

 本講義を受講させていただき、大変勉強になったと感じています。実務に基いた設備施工者の視点からのチェックポイント・留意点の解説の講義は実務の中で大変参考になる内容でした。また、IT・通信の専門的な観点から、BAの通信技術の現状と将来的な方向性について解説頂いた内容は、普段の業務から一歩踏み込んだ制御技術を支える通信規格に関して知識を深めると共に、現在注目されるスマートコミュニティやZEBを絡めての解説は興味をそそる内容でした。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・解説頂きました助飛羅様、桧山様には厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。                                          

以  上

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活動報告(東北・北海道)

有機エレクトロニクスの戦略的推進を目的とした施設   実験施設(クリーンルーム 1,200㎡)   展示スペース

活動名有機エレクトロニクスの戦略的推進を目的とした施設
  実験施設(クリーンルーム 1,200㎡)
  展示スペース
実施日平成26年(2014年)5月21日(金) 14:30~16:00
場所山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター
  山形県米沢市アルカディア1-808-48
  総面積 4,260㎡
参加者23名(内計装士会8名)
主催(一社)電気設備学会東北支部
協賛計装士会 (一社)日本電設工業協会東北支部
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 今回の見学会は山形大学殿のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部及び計装士会の共催で実施しました。
 同施設は、山形大学と山形県産業技術振興機構、産学連携有機エレクトロニクス事業化推進センター、連携企業・関連機関による大学・企業・公共機関により一体運営される有機エレクトロニクスの「拠点」「技術の橋渡し」を目的とした施設です。
 御担当者様に有機エレクトロニクスについての概要説明と、展示スペース、クリーンルームの見学をさせて頂ましたので、下記に報告します。

2.見学内容

 1) 有機エレクトロ二クスの概要について

  はじめに、同施設会議室に於いて有機エレクトロニクスについて現状と歴史その特徴と応用性、現在の取組みについて概要説明を頂ました。
  無機、有機の違いから、有機ELの「フレキシブル」「プリンタブル」という特徴と今後の可能性の説明を頂きました。
  また、その特徴を生かした開発への取組みとして、有機EL照明・有機ELディスプレイ・有機太陽電池・発電パネル・有機トランジスタなどの技術について紹介を頂ました。

概要説明の様子

  その中でも有機EL照明については将来の需要・普及の予測として、2015年からの需要立ち上がり、本格的な普及開始として2018年以降という予測もあり、数年後のそれほど遠くないうちに、我々の身近な所で普及し、手にする機会が出てくる技術である事が実感されました。
  また、地域経済の再生と東日本大震災からの復興の貢献を掲げ、経済産業省や文部科学省の支援を受け、山形大学をコンソーシアムの主体とし、多様な分野の多数の企業が参画し運用されていること、被災地企業が参画し、震災復興へ貢献しいていることなども紹介を受けました。

 2) 施設見学について

  施設内には各種実験室の他に、最新の設備を配置したクリーンルームを備えており、フレキシブル&プリンタブルなイノベーションを実現する設備としてインクジェット装置やスクリーン印刷装置、パターン転写印刷装置、真空貼り合わせ装置、真空蒸着装置、クラスター型蒸着装置など様々な設備を備え学生や、連携企業の方々が実験する姿を見学できました。

クリーンルーム見学

展示会場には各技術を実現した製品が配置され、さまざまな色に変化する有機EL照明や、カードサイズの有機薄膜太陽電池、透明な有機薄膜太陽電池、有機ELディスプレイ、有機デバイスなどが展示されており、カラフルな装飾や身近に感じられる演出が施され、楽しんで見学が出来る場所でした。

有機EL照明の展示
有機薄膜太陽電池の展示

 その中でも、やさしい光を放つ有機EL照明はすでに米沢市内の施設で活用がされていることを、ご説明頂き身近に感じられました。また、カードサイズであったり、湾曲した形状、透明であったりフレキシブルで意匠性に富む有機EL薄膜太陽電池は、軽量で有る事で、これまで設置できなかった場所への設置が可能性であり、建築物や車などの窓やルーフなどを始め様々な応用が可能であること、発電効率の改善と低コスト化を実現することにより、活用の幅は多岐にわたる物と感じられました。 これらの技術は省エネルギーの観点からも、普及が期待される技術である事が良く分かりました。
 また、米沢という地にスポットを当てた産業創出の歩みが、「有機材用の基礎技術」と「電気電子の産業化技術」を二つの軸として年表を用いて展示されていました。
 1776年に始まる年表には、上杉鷹山による絹織物技術の発展に始まり、米沢高等工業学校による日本初の「レーヨン繊維」の製造成功、1993年に山形大学大学院理工学部研究科の城戸教授による、世界で始めての白色有機EL素子の開発の成功、1997年の東北パイオニア㈱の世界初の有機ELディスプレイの量産成功などが紹介されていました。
 この経歴からもこの地の有機ELデバイスへの係りの深さに感心すると共に、この米沢市アルカディアの地で進められる様々な挑戦の意義を感じられるものでした。

3.おわりに

 今回の見学会で、山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンターの皆様にはお忙しい中、説明及び見学のご案内をして頂き、心より御礼申し上げます。                                                以 上

展示コーナーにて見学参加者集合写真
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『プラント計装工事における設計の現状と今後』

活動名『プラント計装工事における設計の現状と今後』
講師
村重 宜宏
千代田システムテクノロジーズ㈱ 経営企画室 室長
実施日平成25年(2013年)10月23日(水)14:00~16:30
場所ハーネル仙台 6F
宮城県仙台市青葉区本町
参加者15名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
はじめに

 平成25年度東北・北海道地区の勉強会を、平成25年10月23日にハーネル仙台にて実施いたしましたので、ご報告申し上げます。

講習内容

 テーマ:『 プラント計装工事における設計の現状と今後 』

 【前 半】プラント計装工事設計 ~国内プロジェクトと海外プロジェクトの違い ~

   A.プラント計装工事設計の現状
    1.計装工事の種類
    2.計装工事設計
    3作成する図面とその内容
    4.計装工事設計の課題

   B.プラント計装工事設計の今後
    1.計装工事設計の体制
    2.標準化の推進
    3.eICL ( Instrument Construction List )
    4.eMTO ( Material Take Off )
    5.eBOA ( Bulk Order Assistance )
    6.計装工事設計ガイド

 【後 半】~ 2D-CADの現状と今後  3D-CADの現状と今後 ~
   ・2D-CADの現状と今後
    1.目的
    2.計装設計における2D-CADの位置状況
    3.CADとは
    4.CADの歴史
    5.CADのシステム概要
    6.Auto CADとMicrostationの相互性
    7.3Dから2Dへの転換
    8.エンジニアとして知っておくこと

   ・3D-CADの現状と今後 ~
    1.目的
    2.3D設計の背景と今後
    3.3D事例説明
    4.3D設計Work Flow
    5.3D設計のActivity
    6.3D ModelingからのOutput Data
    7.3D設計のメリット
    8.3D設計現状の問題と改善案
    9.3D統合設計連絡会の紹介
   10.3Dコーディネーターの紹介

村重 講師
勉強会の様子
まとめ

 講師である村重様より、カタール、サハリンなどでの豊富な海外経験を踏まえて、プラント計装工事についてご講演頂きました。 海外プロジェクトでのノウハウについて実体験をまじえた内容は、大変分かりやすく興味をそそる内容でありました。特に海外での図面の早期作成と資材の納入時期の重要性。作成する図面の種類と内容、規格の記載方法。
 また施工するサブコンの技量に合わせた作図の必要性など、国内の計装工事との違いも多く楽しく拝聴させて頂きました。
 また2D-CAD、3D-CADの活用方法、メリットなど今後に業務につながる内容も有り大変勉強になりました。
 講師の村重様にはご多忙中にもかかわらず、ご講演頂き改めて厚く御礼申し上げます。

以 上

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東北電力株式会社 原町火力発電所

活動名東北電力株式会社 原町火力発電所 
発電所中央制御室
タービンフロア、1号機ボイラートップ
シアタールーム(発電所概要説明)
実施日平成25年(2013年)9月6日(金)15:00~16:00
場所東北電力株式会社 原町火力発電所 
福島県南相馬市原町区金沢字大船迫
参加者28名 (内計装士会 10名)
主催(一社)電気設備学会 東北支部
協賛計装士会 (一社)日本電設工業協会 東北支部
報告者東北・北海道地区担当幹事 三澤 寛士
1.はじめに

 今回の見学会は東北電力㈱殿のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、計装士会及び一般社団法人日本電設工業協会東北支部の共催で実施しました。
 同社は、民間電力会社です。
 供給区域は東北6県および新潟県で、1951年(昭和26)電気事業再編成の一環として旧東北配電の供給区域を継承して設立され、現在、原町火力発電所は、南相馬市をはじめ東北電力管内に電力を供給しています。
 御担当の方の案内で設備を見ることが出来たので、下記に報告します。

2.見学内容

 はじめに、原町火力の概要及び東北地方太平洋沖地震による被害から復興までの説明をしていただき、中央制御室及び1号機タービンの見学をさせて頂きました。
 以下に説明していただいたことを記述させていただきます。

 原町火力発電所について

 当発電所は、石炭を燃料とする火力発電所です。石炭は世界中に広く分布し、当発電所で使用する石炭の多くは、オーストラリア、インドネシアなどから輸入しています。石炭は、熱量あたりの単価が、他の化石燃料に比べ安価なため高い経済性が図れます。また、当発電所は東北電力様の重要な供給戦力となっておりベース電源として高い稼働率を誇り、平成22年における石炭火力発電所の総発電電力量は、全体発電電力量の15%を占めています。

 主要設備について

 主要設備は、国内最大規模の出力1,000MWを誇る設備が2機あります。
 表1に設備の概要を示します。
 写真1は1号機タービンです。写真左側に1次タービン(四角型)、右側に2次タービン(半円型)があります。タービン建屋は14F建ですが、屋上は80mもの高さになっております。写真2は中央制御室です。1日2交代制4チームで運転管理しています。
 写真右側に1号機の運転状況を把握するための大スクリーン、左側に2号機の大スクリーンが見えます。スクリーンに映し出される情報、制御盤点灯ランプ等で異常を把握し制御を行います。

表1 設備概要

1号機 2号機 
営業運転開始 1997年7月 1998年7月 
出力(MW)  1,000 1,000 
タービン蒸気圧力( MPa)24.5 24.5 
タービン(℃) 566 600 
再熱蒸気温度(℃) 593 600 
発電端熱効率(%)
※LHV換算値
43.3 44.1
※LHV:低位発熱量(燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を除いたもの)
写真1 1号機タービン
写真2 中央制御室

 環境対策には様々な設備が採用されております。排煙処理工程を図1に示します。以下に記します各装置の説明も簡単に示してあります。
 大気汚染物質である窒素酸化物の抑制には、二段燃焼、低NOxバーナー、排ガス混合方式、さらに排煙脱硝装置を採用しています。ばいじんの抑制に電気式集塵装置、排煙脱硫装置(除じん効果)を採用しています。排煙脱硫装置は同時に硫黄酸化物の排出量の抑制を図ります。粉じんの抑制には、貯炭場の周囲に遮風フェンスを設置し、適切な散水を行い飛散しないように処置しています。
 また、処理過程で発生する石膏は再利用を促進しています。
 温排水になる復水器冷却水の取放水に関しては、当発電所港湾内から深層取水し、防波堤護岸外側の水中放水口より港湾外へ放水しています。取水と放水の温度差は7℃以下とし、環境に与える影響の低減を図っています。
 その他、設備排水は構内に浄化槽を設けております。騒音の発生源となる機器に対しては、建屋内に収納し低騒音型機器を採用しています。

図 1 排煙処理の仕組み (東北電力原町火力発電所パンフレットより)

東北地方太平洋沖地震による被災から復旧まで

 以下には、東北地方太平洋沖地震が起きてからの状況を説明していただいた内容を記述させていただきます。平成23年3月11日14時46分に東北地方太平洋沖地震が発生し、大ダメージを受けました。
 1号機に、タービン軸振動(大)などの多数の警報が発生しましたが、軸振動値はいずれも自動停止未満のため停止しておりません。発生から6分後1号機の負荷を、1,000MWから800MW、800MWから600MWに降下させていき、津波の襲来の報により運転不可能と判断し手動で停止を行ったようです。
 15時35分に巨大津波が発電所に18mの高さで直撃し、事務本館4階電源室より火災が発生し、所員の方々が一晩中バケツリレーで消火活動を行い、苦労の末に無事消火ができたようです。また、当時入港中の石炭船は座礁し、石炭を荷揚げする揚炭機は倒壊するなど甚大な被害が発生しました。当時、東北に居られた方はこのような説明を聞くと、当時の悲惨な状況が思いだされるのではないでしょうか。
 また、18mもの津波が来ましたが、当発電所港湾の防波堤は全壊せず残ったようです。理由としては、発電所港湾の形状は台形型であり、そのことが要因で残ったのではないかとの事です。
 復旧工事は基本方針を5項目(大項目)挙げ行ったようです。
 第一に無事故・無災害・無事件であること。安全の取り組みとして、年に2回安全大会の開催、月に1回災害防止協議会を開催、日常では管理職や担当者が毎日安全パトロールを実施し、指摘事項の書き出し等を行い、全員に周知できるような体制が取られているようでした。第二に一日も早く復旧すること。第三に放射線の管理を徹底すること。第四に復旧工事費の抑制を図ること。第五に津波対策の検討・実施すること。これらを基に工事は進み、平成23年度中に撤去工事を完了させ、平成24年度から復旧工事を本格化、11月に2号機の発電を開始させ、25年1月に1号機の発電を開始させております。復旧工事に対する延べ作業員数は約120万人にも至るようです。これらの説明を聞き、短期間で計2,000MWもの発電能力を有する発電所を再始動させたことに驚いております。私たちの見えないところで、多くの方々の頑張り、知恵を絞り合い、様々な苦労があったのだと思います。
 最後にですが、作業員の安全・安心確保の観点から、24時間体制で放射線測定を実施し、その結果を入構者へ周知しているようです。見える化が図られている事はとても良いと思いました。

3.おわりに

 今回の見学会で、東北電力株式会社 原町火力発電所の皆様にはお忙しい中、説明及び見学のご案内をして頂き、こころより御礼申し上げます。

以 上

正面入り口前モニュメントにて(参加者一同)