活動名 | TOTO株式会社 小倉第一工場及びTOTOミュージアム |
実施日 | 平成31年(2019年)3月14日(木) 見学時間 13:30~16:40 |
場所 | TOTO株式会社 小倉第一工場 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1 TOTOミュージアム 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1 |
参加者 | 12名 |
主催 | 計装士会 |
協賛 | (一社)日本計装工業会 |
報告者 | 九州・沖縄地区幹事 今吉 俊博 |
1.はじめに
TOTO株式会社は、衛生陶器、住宅設備機器を製造するメーカーで、日本では衛生陶器の分野で約6割のシェアを誇ります。技術面では、温水洗浄便座の代名詞にもなっている「ウォシュレット」を開発したほか、便器の汚れを効果的に落とす「トルネード洗浄」、防汚技術の「セフィオンテクト」など先進的な技術で業界をリードしています。
この見学会では、衛生陶器を製造するTOTO株式会社 小倉第一工場とTOTOについて知ることできるTOTOミュージアムを見学しました。
2.施設の概要
1)TOTO㈱ 小倉第一工場
所 在 地 : 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
設備概要 : 4階建て多層工場
全長115mトンネル窯
事業内容 : 衛生陶器製造、ウォシュレットなどの開発
生 産 数 : 約700個/日(衛生陶器)
2)TOTOミュージアム
所 在 地 : 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
階 数 : 4F
延床面積 : 10,797㎡
展 示 物 : TOTOの歩み、TOTOのこころざし、認定遺産、食器の歴史、 ものづくりの流れ、水回り商品の進化など
3.小倉第一工場
1)工場歴史
1927年に日本で初めて商品化された腰掛便器もこの地で製造されました。
現工場の建設当時(1971年)は衛生陶器工場としては異例の4階建てで、上層階の成形及び施釉工程と下層階の焼成工程がフリーカーブコンベアで結ばれるなど、衛生陶器工場として先進的な工場でした。
現在この工場は、高付加価値品や小便器などの多品目の製造に携わっています。
2)衛生陶器製造工程
衛生陶器は簡単に言うと、原料である粘土を型に流して便器の形を作り、乾燥さ せた後釉薬を縫って焼き固めて作ります。実際の工程は以下のような工程で製造 されており、②成形~⑥検査までを見学することができました。
① 調 整 :粘土に水を混ぜ、約20時間細かく粉砕し、泥漿を作る。
② 成 形 :泥漿を型に流し、約20分かけて水を抜く。
③ 乾 燥 :約24時間熱風に当て成形した陶器の原形を乾燥させる。
この工程で約3%収縮する。
④ 施 釉 :陶器に色や艶が出るよう釉薬を全体に吹き付ける。
防汚処理(セフィオンテクト)も行われる。
⑤ 焼 成 :施釉した製品を全長115mのトンネル窯で約24時間かけて焼き上げる。
この工程でさらに10%収縮する。
⑥ 検 査 :焼き上げた製品にひび割れ、色むらなどの欠陥がないか検査する。
⑦ 組立・梱包:部品を組み立て、付属品などを同封し、梱包する
【全工程 約8日】
3)製造の特徴
この工場で製造されている高付加価値の便器は、内部が複雑な形をおり、複数のパーツを組み合わせることが必要です。それらのパーツ同士を繋いだり、つなぎ目を滑らかにする作業は「熟練工」が担っており、細かい作業のほとんどが人の手で行われていました。
4)環境面への配慮
この工場は、環境面においても配慮され、トンネル窯で使用されている燃料はかつての軽油からより環境負荷の少ない天然ガスへと変更されています。規格外となり出荷できない製品も再利用され、道路標識や街路のフラワーポットとして有効に活用されいます。
※工場内は撮影禁止なので、工場内の写真はTOTOホームページより転用させていただいております。
4.TOTOミュージアム
1)概要
TOTOミュージアムは、創業100周年記念事業の一環として開設されました。水まわりの文化や歴史とともに、TOTOのものづくりへの想い、製品の進化について展示されています。
2)展示内容
①認定遺産
TOTO製品の歴史的価値により「近代化産業遺産」、「建築設備技術遺産」、「機械遺産」に認定されたものを展示しています。
②TOTOのあゆみ
TOTOのルーツ「森村組」まで遡り、快適な生活文化を実現するため腰掛便器の研究を開始して約1世紀、TOTOのあゆみを年代ごとに展示しています。
③TOTOのこころざし
TOTO創業者、五代社長などの熱い思いを「作る」「生み出す」「伝える」という観点で紹介しています。
④水まわり商品の進化
TOTO製品の進化を様々なカテゴリーごとに展示しています。
4.おわりに
工場は高度に機械化されていて、作業員がほとんどいない状況を想像していましたが、この工場では「人の手」による作業が多く、製造から検査まで「熟練工の技」で支えられていることが印象的でした。
ミュージアムにおいてもTOTOの歴史、製品の遍歴を知ることができ、大変有意義でした。
最後に工場及びミュージアムの見学に際し、ご協力を頂きましたTOTO㈱のご関係者の方々に心からお礼を申し上げます。
以 上