活動地区 中部・北陸地区施設勉強会 活動名 計測のトレーサビリティ他 実施日 令和7年12月5日(金) 14:00~16:30 場 所 名古屋市中区栄2-2-1 広小路伏見中駒ビル7階
みんなの貸会議室 名古屋栄 703会議室参加費 無料 ただし会場までの交通費は各自負担 参加人数 20名程度 募集締切 令和7年11月5日(水) 主 催 計装士会 連絡先 アズビル(株) 新山 武弥 メール t.niiyama.47@azbil.com
投稿者: admin
活動地区 東北・北海道地区 活動名 浅野撚糸フタバスーパーゼロミル見学会 実施日 令和7年10月30日(木) 集合場所 JR仙台駅東口 観光バス乗降場 参加費 無料(集合場所までの交通費は各自負担)
但し昼食代は有料(添付案内を参照下さい)参加人数 10名程度(定員になり次第締め切ります) 募集締切 令和7年10月10日(金) 主 催 一般社団法人 電気設備学会東北支部 共 催 公益社団法人 日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会連絡先 鈴木和彦 (株)ユアテック
電気設備部 プラントグループメール suzuki.kazuhiro.b75@yurtec.co.jp
第28回 計装士会通常総会のご報告
計装士会
代表幹事 大脇 剛
第28回計装士会通常総会を開催いたしましたのでご報告いたします。
記
日 時 令和7年6月23日(月)
場 所:霞ヶ関コモンゲート西館 霞山会館ビル37階
東京都千代田区霞ケ関3-2-1
03-3581-0401
総 会:17:15より「牡丹の間」
懇親会:18:00より「松雪+紅梅の間」
以下に記載した次第により議案が審議され全て承認されました。
1.開会の辞
2.代表幹事挨拶
3.議長選出
4.議事録署名人選出
5.議 案
・令和6年度事業報告並びに収支決算の件
・令和6年度会計監査報告
・令和7年度事業計画並びに
収支予算(案)の件
6.新幹事紹介の件
7.閉会の辞

代表幹事挨拶
ただ今ご紹介いただきました、代表幹事の大脇です。
本日はご多忙中にも関わらず、皆様にはご出席頂きまして厚くお礼申し上げます。
2024年度は計装士会運営において、皆様の多大なご支援とご協力の下、コロナ前の活動状況に戻って来ることができました。
昨年度の総会におきましても懇親会を開催することができ、やや活況を取り戻したことに感謝申し上げましたが、こうして今年度もこのように開催することができますことを改めて感謝申し上げます。
さて、2024年度は計装士会幹事及び各地区委員のご助力により、後ほど議案の中でもご紹介しますが、全地区において諸行事を計画・立案し、それぞれに実施でき活況を取り戻してきたことは、2024年度活動の成果として皆様にご報告でき幸甚に思います。
また、オンラインによる勉強会等も引き続き実施でき、関係各位様のご協力に改めて感謝申し上げます。
ホームページの是正、会報等のWEB閲覧できるよう省資源化(SDGs)への取組など、2025年度も活発な活動を実施計画に織り込み、計装情報の周知拡大を目指したいと思います。新しい実施事項が一目で分かるように計装士会ホームページも改良致しましたので、ぜひ一読頂きますようお願い致します。
2025年度におきましても「新たな知識や技術の習得」の諸行事を計画し、会員皆様の活発な交流及び技術向上の一助となれるように努めていきたいと思います。
国内におきましてはどの産業分野におきましても人手不足が深刻な状況ですが、世界に目を向けると、トランプ関税問題、ロシアとウクライナそして新たにイスラエルとイランの戦いなど、様々な経済への影響が取りざたされており、日本市場においても設備投資の機運が陰りを見せ始めているように感じます。
そのような社会情勢の中で、計装業界を含め建設業界は、現状は堅調に推移しているようですが、人手不足が深刻で、その余波が品質不良や事故・トラブル発生などに影響として表れ始めている様に思います。
そんな業界における計装士等の技術者の需要は増え、ますます重要な位置づけになる事と思います。
また、「日本計装工業会」におきましても、昨年に制度化されました「計装工事技能者」の登録基幹技能者運用が順調に滑り出しました。計装士会としましても、一般社団法人日本計装工業会様のご支援を仰ぎながら、計装士各員の地位向上を目指し活動してまいります。
最後に2025年度におきまして、ご提案の計画をご承認いただけましたら、計画を推し進めることに注力し、一般社団法人日本計装工業会様及び賛助会員企業様との連携により、尚一層の会活動活性化・会員の技術向上に努めてまいりたいと思いますので、引き続きご支援、ご協力をお願い致します。
会員の皆様・賛助会員等関係者様、そして本日ご出席頂いた皆様のご健勝を祈念し、私の挨拶と致します。


| 活動名 | 中部電力パワーグリッド飛騨変換所見学会 |
| 実施日 | 令和7年(2025年)3月28日(金) 13:00~15:00 |
| 場所 | 岐阜県高山市清見町 |
| 参加者 | 13名 |
| 主催 | 計装士会 |
| 報告者 | 中部・北陸地区代表幹事 森本 将之 |
1.はじめに
中部電力パワーグリッド飛騨変換所は、東日本大震災によって東日本の太平洋沿岸部にある発電所が甚大な被害を受け、首都圏の電力供給が不足し、計画停電や節電協力依頼などによって、社会生活に多大な影響がでた背景があります。このような事態を未然に防ぎ安定的に電力供給することを目的として、西日本-東日本間の電力融通能力を増強※することとなり、飛騨変換所の設置計画(飛騨信濃周波数変換設備)がスタートし、2021年に運用開始されたとのことでした。
2.飛騨変換所の概要
飛騨変換所(60Hz)は、東京電力パワーグリッドが保有する新信濃変電所(50Hz)と直流の送電線で結ばれ「飛騨信濃周波数変換設備」を形成しており、60Hzの交流を直流に変換する(その逆の変換も可能)交直変換設備としての役割を担っています。また、飛騨変換所は、電力の供給力不足時だけでなく、平常時における東日本と西日本をまたいだ電気の市場取引においても重要な設備になっています。
- 経済産業省 総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会
- 「重要送電設備等の指定」1号案件

3.見学会内容
(1)越美幹線
中部電力パワーグリッドの越美幹線(交流500kV)から飛騨変換所に分岐接続している様子です。越美幹線から飛騨変換所用の分岐線を立体的に交差するため、既設鉄塔を分岐鉄塔に建替えています(左から2番目)。既設交流500kV鉄塔近傍での建替え鉄塔建設工事は危険度の非常に高い工事のため、安全対策に苦労したことが覗えます。

(2)飛騨信濃直流幹線設備
飛騨変換所から東京電力パワーグリッドの新信濃変電所に向け直流送電(200kV)鉄塔です。当たり前ですが直流なので電線が2本しかありません。

(3)通信鉄塔
飛騨変換所は、基本的に無人で運用しています。設備の監視、運転指令などは、光ケーブルやマイクロ波無線で名古屋市にある中部電力パワーグリッドの給電制御所などと通信しています。(直線距離で約95km)無人で設備管理をするには、信頼性の高い通信回線による制御・保護が要求されます。(工事に携わった方々は計装屋冥利に尽きる…)
もし、設備に異常があった場合は、中部電力パワーグリッド高山支社の職員が駆けつけるそうです。

(4)サイリスタモジュール

飛騨変換所のキモになる設備です。機密の関係で実物の写真はありませんが、図のモジュールを積み重ねて直流200kV,2250A(90万kW)の出力を実現しています。
この変換設備で越美幹線(交流500kV)の電力を直流200kVの電力に変換し、東京電力パワーグリッドの新信濃変電所に送電します。
またサイリスタバルブの制御角(点弧角)を変更することにより、逆に新信濃変電所から送られてきた直流電力を交流電力に変換し越美幹線に送ることもできます。

この仕組みを利用し、災害発生時における50Hz↔60Hz変換だけでなく、平常時における西日本と東日本間の電力取引にも使用しているとのことでした。
4.おわりに
普段、一般需要家設備の建設、保守に携わっている私たちからすると今回の飛騨変換所は、機器及び規模が桁違いのスケールで、圧倒されたところであります。
国策とは言え、設置場所が厳しい気象条件の地域(豪雪地帯)に関わらず、設計から運用開始まで約8年間という短工期で作り上げた中部電力様の技術力と建設に携わった方々のご苦労に感服した次第です。
周波数変換設備は生活の中で使用している家電製品の中に組み込まれているインバータの応用であると伺いました。一昔前は周波数の違いにより東京で購入した洗濯機などは大阪など西日本では使えないので注意が必要であると聞いていましたが、現在ではあまり聞かなくなったのは、インバータによる周波数変換の技術が何気なく入っているためであることを改めて認識をしました。
最後に今回の見学会にご協力いただきました中部電力パワーグリッド株式会社高山支社様および関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

【報告者紹介】
(株)トーエネック
営業本部 営業部
技術提案グループ
課長 森本 将之

再生可能エネルギー設備見学会
| 実施日 | 令和7年(2025年)2月18日(木)12:15~17:00 |
| 場所 | 福島県立テクノアカデミー浜 |
| 参加者 | 22名 |
| 主催 | 一般社団法人 電気設備学会東北支部 |
| 協賛 | なし |
| 共催 | ・公益社団法人 日本技術士会 東北本部電気電子部会 ・計装士会 |
| 報告者 | 三機工業株式会社 東北支店 建築設備技術部 設備技術2 菊池 雄太 |
1.はじめに
今回の見学会は、福島県立テクノアカデミー浜様のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。
今回見学させて頂いた福島県立テクノアカデミー浜は、地域産業におけるエネルギー活用の高度化を目指し、太陽光発電や風力発電、水素利用、蓄電池など、持続可能なエネルギーに関する多彩な設備を整備しております。また、完全自家消費型エネルギーマネジメントシステムを活用し、効率的なエネルギー管理と省エネの取り組みを実施している施設となります。
施設としては、職業能力開発短期大学校・職業能力開発校を併せ持つ、総合的な職業能力開発を行う公共職業能力開発施設として利用されております。
見学させていただいた内容につきまして下記に報告いたします。
2.見学内容
(1)EMS(エネルギーマネジメントシステム)
最初に見学した内容として、施設に導入した様々な再生可能エネルギーを統合制御し、一体化したシステムとして運用しているEMSを見学しました。
EMSとは太陽光発電や風量発電などをただ発電させるのではなく、建物で効率的に使うなど、創ったエネルギーを管理・制御するための情報機器・コンピューターです。電気などのエネルギーは目に見えないため、ちゃんと発電できているか、どこで使われているか、電気量を計測して表示する見える化・可視化、それを基に再エネ設備に異常がないか監視・管理する、必要に応じて再エネ設備を制御する機能を持っています。

EMSではエネルギーを見える化しており、施設の電力使用状況に合わせたエネルギーの効率化した運用が見られました。実際のEMSのモニター画面でも状況が見えますので、訪れた方々にも分かりやすい内容となっておりました。
(2)再エネ水素蓄電池システム
次に見学した再エネ水素蓄電池システムでは、水電解装置(水素生成装置)を用いて水素を生成し、水素タンクへ保管、保管した水素を燃料電池で発電するシステムとなります。
水電解装置とは、電気と水を用いて水素を生成する装置です。水素を生成する方法はいくつかあり、天然ガスなどからつくる方法もありますが、その過程で二酸化炭素を排出します。水電解装置は太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を用いることで、二酸化炭素を排出せず、地球に優しいクリーンな水素(通称:グリーン水素)をつくることができる装置です。
燃料電池とは、水素を燃料にして発電する装置です。ガソリンなどを燃料にする場合とは異なって、二酸化炭素を排出しないため、地球に優しい発電設備として期待されています。
例えば、燃料電池自動車(通称:FCV)は、ガソリンの代わりに水素を燃料にすることで、排気ガスで大気汚染や地球温暖化を進めることがありません。
燃料電池の仕組みとしては、水素は酸素とプラチナに触れると化学反応を起こして水になる性質があります。この時、水素の持つ電子が酸素と結びつく役割を担いますが、その過程に電子が移動する電線を設けることで、電気を使えるようにしたものが燃料電池です。
また、燃料電池の特徴として燃料電池は、電池という名称がついていますが、燃料で動く発電機に近いです。蓄電池のように装置そのものに電気を貯めるのではなく、タンクなどに貯めた水素を使って発電することで、必要な時に電気を使うことができる装置です。燃料電池の特徴は、ガソリンや灯油のように水素燃料を長期かつ大規模に貯めておけ、また運ぶことが出来るうえに、二酸化炭素を排出しないクリーンな発電設備という点です。ただし、水素をつくる時に石炭などを燃やしてしまうとクリーンなエネルギーとは言えません。また水素はそのままだと不安定な気体のため、効率的に貯めて運搬するためにマイナス253℃の極低温まで冷やして液化させるなどの工夫が必要です。そのため、燃料電池は装置自体の研究とともに、水素の生成方法や貯蔵方法、運搬方法も各種色々な研究開発が進められているところです。 水素は脱炭素社会を目指すうえでも重要な資源であることを改めて認識できました。
次に見学したエリアは再生可能エネルギーのひとつの風力発電です。
風力発電とは、風の力でプロペラを回して電気を創る発電設備で、発電時に二酸化炭素などの副生成物なく、持続可能な再生可能エネルギーのひとつとして注目されています。
テクノアカデミー浜では、全長30mの中型クラスを導入していますが、山間部に建設するものは約100m、洋上に建設するものは約200mの高さにもなるものがあります。

風力発電の仕組みとしては、風は地上よりも上空の方が強く吹く頻度が高いため、風力発電は高さを得るタワー・塔を建て、その上部に発電機を設置しています。発電機は、手回し発電機と同じ仕組みで、手回しの代わりに、風の力をブレード(プロペラ)で受けて回って発電します。
また、風力発電の特徴として風力発電は、大きなブレードを回して発電するために一定の風力を必要とします。風が弱い場所では発電できないため、山間部や洋上など強風が吹いている場所や、数十m以上の塔を建てるなど、建設場所を見極める必要があります。
太陽光発電と異なり、夜間でも風が吹けば発電できることが風力発電の強みです。一方、太陽光以上に発電量が不安定なこと、物理的に動いて発電するため、急制動をかけて発電量をコントロールすることに適していない点が運用上の課題です。
次に見学したエリアは太陽光発電です。太陽光発電とは、太陽光から電気を創る発電設備で、発電時に二酸化炭素などの副生成物がなく、持続可能な再生可能エネルギーのひとつとして注目されています。
テクノアカデミー浜では、屋上とテニスコート跡地に架台を置いて設置していますが、他にも屋根と一体化したものや、壁面に設置するものなど色々な設置方式が存在しています。
太陽光発電の仕組みとしては、太陽光発電は、半導体と呼ばれる2つの物質を重ねて出来ています。半導体とは、光や熱などの影響を受けて電気的な性質を変化させる物質です。太陽光があたることで電気的にマイナスになって電子を放出する部材(N型半導体)と、プラスになって電子を引き寄せる部材(P型半導体)を重ねて、電線で繋げることで電子が動き、電気が流れるのが太陽光発電の仕組みです。
また、太陽光発電の仕組みとして太陽光発電は、どこにでも存在する太陽光を活用するため、導入できる地域が比較的限定されず、全国的に普及が進んでいる再生可能エネルギーです。屋根などの一定の面積があれば設置できることから、住宅などの建物に導入される設備であることも特徴です。
一方、夜間や天候不良時など太陽光が無い時は発電できず、不安定なエネルギーであることが課題で、テクノアカデミー浜のように蓄電池と組み合わせて導入することが推奨されています。
風量発電・太陽光発電とも今後の重要な自然エネルギーとして更なる活用が期待できると感じました。
3.おわりに
お忙しい中、案内や説明をしていただきました、株式会社ユアテックの方々には心より御礼申し上げます。施工時の大変だった話も伺うことができ、終始和やかな雰囲気での大変良い見学会となりました。
今回の見学会を通し、今後の脱炭素社会を目指す、EMSシステムを運用した施設の基準として見識を深めることができました。貴重な機会を設けていただき、深く感謝いたします。
お忙しい中、案内や説明をしていただきました、東京電力ホールディングス株式会社、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の方々には心より御礼申し上げます。
今回の見学会を通し参加者からは、漠然としていた福島第一原子力発電所事故に関する概要や現状、そして今後の課題についての理解が深まったとともに、廃炉に関する安全性は想像よりも高いことを知ることができました、との声が聞かれました。貴重な機会を設けていただき、深く感謝いたします。

【執筆者紹介】
菊池 雄太
三機工業株式会社 東北支店
建築設備技術部
設備技術2課長

計装コミュニケーション
2025年5月発行
この記事はPDFになります。
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玄海エネルギーパーク他見学会
| 活動地区 | 九州・沖縄地区 |
| 活動名 | 玄海エネルギーパーク&唐津バイオマス発電所見学会 |
| 実施日 | 令和7年2月27日(水) 9:00~17:00 |
| 参加人数 | 10名 |
| 主 催 | 計装士会 |
| 報告者 | 計装士会 九州・沖縄地区 代表幹事 今吉 俊博 |
1.はじめに
今年度の九州・沖縄地区の施設見学会では、九州北部の佐賀県唐津市周辺にある2つの発電所を見学させてもらいました。
一つは原子力発電所(※1)であり、もう一つはバイオマス発電所です。これらの発電所は全く異なる熱源で稼働していますが、いずれも発電時のCO2排出がほとんどない(※2)という特徴を持っています。
両施設は近年何かと話題に上がることが多い発電所ですが、見学、説明や質疑応答を通して施設の詳細を学び、参加者の皆様の知見がさらに深まったことと思います。
※1:玄海原子力発電所は隣接する展示施設「玄海エネルギーパーク」を見学しました。
※2:建設時、燃料輸送時などは除く。
バイオマス発電所はカーボンニュートラルで実質排出しないという意味で。
2.見学内容
(1)玄海エネルギーパーク
玄海エネルギーパークは、玄海原子力発電所に隣接する施設で、原子力のしくみや安全性、放射線などについて楽しみながら学ぶことができる施設です。
この施設には、地下1階、地上4階の吹き抜け空間にそびえる、高さ約13m、内径約4.4mの実物大の原子炉模型があります。内部には、大型モニタが組み込まれており、原子炉の働きや原子力発電のしくみを分かり易く紹介していました。
さらに、玄海原子力発電所では、福島第1原発の事故以降、従来の安全対策に加え新たな安全対策を導入し、緊急時対応能力を強化しています。この安全対策について、多くの時間を割いてご説明頂きました。
新たな安全対策:防火帯の新設、救急時対策棟の建設、可搬型設備の導入(大容量空冷式発電機・可搬型ポンプなど)、電気式水素燃焼装置など
玄海原子力発電所の概要
1号機 (廃炉中) 2号機 (廃炉中) 3号機 4号機 電気出力 55万9千kW 55万9千kW 118万kW 118万kW 原子炉 方式 加圧水型軽水炉(PWR) 出力 165万kW 165万kW 342万3千kW 342万3千kW 燃料 - - 低濃縮ウラン燃料、 MOX燃料 低濃縮ウラン燃料 運転開始 1975年 1981年 1994年 1997年




(2)唐津バイオマス発電所
1)概 要
唐津バイオマス発電所は、唐津市西部の市街地にある丘陵地に2021年1月より建設されており、見学当日は2025年3月の運転開始を目指して試運転の真最中でした。
設 備 容 量:49.9MW
想定年間発電量:約35,000万kWh
(一般家庭約11万世帯の年間使用電力量に相当※施設HPより)
発 電 効 率:約40%
燃 料:木質ペレット、パーム椰子殻(PKS)
ボ イ ラ:循環流動層ボイラ
復 水 器:空冷式復水器
発 電 事 業 者:合同会社唐津バイオマスエナジー
連 携 電 圧:66kV
系 統 接 続 点:九州電力送配電株式会社 唐津変電所
※約1.7kmの自営線により接続




2)燃 料
唐津バイオマス発電所の燃料は、木質ペレット、パーム椰子殻(PKS)の2種類で、バイオマス燃料100%で運転しています。
燃料は、唐津港に陸揚げされ、発電所までの約5kmの道のりを専用コンテナに詰められて運搬されます。
一日の燃料消費量は約600~700tで、運搬されるコンテナは約20t入ることから、1日に30~35箱を消費します。

3)安全対策
燃料の木質ペレットは、単体で使用するとコンベア移送中などに一部が粉化し、それが舞い上がることで粉塵爆発が起こった事例があるとのことです。そこで、粉塵爆発を防止する目的で粉化し難いPKSを混ぜて、混焼運転が行われています。
燃料サイロは、木質ペレット用とPKS用の2基あり、下部の払出部にはインバータ制御の排出装置が設置されています。この装置により、木質ペレットとPKSの排出量を任意に設定でき、目的に割合で混合できるよう制御されています。
また、燃料サイロの火災対策として、酸素を遮断するための窒素発生装置が備えられています。この装置は、空気中より窒素を連続的に取り出し、鎮火するまで連続的に注入し続けることができます。
さらに、燃料の発酵などによる自然発火を防止する目的で、燃料バンカ内に複数の温度計を設置し、燃料の温度を常に監視しています。
4)用 水
発電所は唐津市の住宅地に隣接しており、周辺に工業用水源がないため、大量の取水が地域の給水に影響を及ぼさないよう、用水のほとんどを循環処理して使用しています。
このため、発電所の規模に対して純水装置は比較的小さく見えました。また、見学時の試運転期間中は、必要な用水を給水車での給水で対応し、排水についても試運転中に発生した排水は仮設プールを設置して処理を行っていました。

5)地域密着と周辺環境への配慮
先に述べた通り、発電所は住宅街が近くに位置しており、周辺住民の方からのご理解を頂くため、周辺環境への配慮と地域住民の方との交流活動を重視していました。
周辺環境の配慮の具体例として、復水器ファンからの騒音を抑えるために制限を設け、それを超えないよう設備の改修を実施。また、燃料運搬についても、最短ルートではなく、遠回りでも最も安全と考えられるルートを選定していました。
さらに、地域交流活動にも積極的で、建設中の段階から地元の高校で再生可能エネルギーとバイオマス発電所について講義を行うなどの取り組みを進めていました。また、地域とのつながりを深めるため、敷地内で秋祭りを開催するなどの活動も行っていました。この秋祭りは、所長の加藤様が過去に住んでいた地域の工場でこのような地域交流行事があり、それに感銘を受け発案したものだそうです。

3.おわりに
今回の施設見学会では、2つの異なる方式の発電所を見学させて頂きました。
玄海原発では、安全基準を満たすよう対策を着実に実施していることが、目で見て分かるかたちでご説明頂き、報道されているような強固な安全対策が実際に行われいることが実感できました。なお、原発内も見学可能でしたが、時間の制約により今回は取りやめました。今後、機会があれば原発内部の見学にも参加してみたいです。
唐津バイオマス発電所では、試運転中にもかかわらず施設見学にご対応頂き、深くお礼申し上げます。また、周辺住民の方々にご理解を頂くため、積極的に地域と交流している姿は、他の発電所では見たことが無く、大変印象的でした。
最後に、今回の見学会にご協力いただいた玄海エネルギーパークの方々、唐津バイオマス発電所にてご説明頂きました加藤所長様及び施設の方々、計装士会をはじめ関係者の方々に感謝し御礼申し上げます。
【余 談】
玄海エネルギーパークにて、「6Wh(核燃料ペレット1個の100万分の1のエネルギー)を発電するには、自転車を何秒こげば達成できるか」というゲームがありました。施設内を案内してくださったスタッフの方によると、このゲームのこれまでの最高記録は、19秒とのこと。しかし、筆者は見事16秒を達成し、「過去最高」をマークしました! (スタッフの方の記憶内において)


【執筆者】
今吉 俊博
株式会社九州電力
技術本部 電気技術部 電気技術二課 電気プラントチーム 副長

非破壊検査の原理等 勉強会
活動名 勉強会「非破壊検査の原理等」 実施日 令和7年(2025年)2月20日(木)13:30~15:00 講 師 北坂 純一
非破壊検査株式会社 技術本部 安全工学研究所 副所長場 所 非破壊検査株式会社ビル
大阪市中央区久宝寺町2-3-6参加者 9名 主 催 計装士会 報告者 近畿地区幹事 大久保 精之
- はじめに
令和6年度近畿地区の活動として、2月20日に上記勉強会を開催しましたので、以下に概要を報告いたします。
- 非破壊検査概論について
(1)非破壊検査とは
非破壊検査とは”物を壊すことなく”その欠陥や劣化の状況を調べ出す検査技術のことをいいます。原子力発電所からビル、鉄道、橋、地中埋設物にいたる社会資本すべてが対象です。超音波や放射線、レーダーなど最新の装置と技術を駆使し、予防保全、有効活用へ役立てられます。
非破壊検査には多くの資格が必要で、同社では社員数600名に対して有資格延べ人数が8200名と1名あたりに10種類以上の有資格者となっている。また、検査対象物が現地現物であり検査機器によっては重いものもある。高所作業や体力を必要とする検査があるとのことでした。
(2)非破壊検査の分類

(3)検査の原理と特徴の例
①磁気探査試験
強磁性体を磁化した場合に、表層部に磁束を妨げる欠陥が存在するとき、外部空間に漏れ磁束を生ずる。この漏洩磁束によって吸着された磁粉模様から表層部の欠陥を検出する方法である。
特徴としては
- 磁石に吸引される強磁性材料にだけ適用できる。
- 表面および表面直下の欠陥を検出できる。
- すべての方向の欠陥を検出するためには、少なくとも2方向の磁化操作が必要となる。
- 欠陥深さはわからない。
②浸透探傷試験
表面に開口している欠陥を、容易に目視できるようにするために、毛管現象及び知覚現象を利用し、より拡大した像にして指示模様を知覚する方法である。
特徴としては
- 多孔質でなければ、金属でも非金属でも適用できる。
- 内部が空洞で表面が開口している欠陥が検出できる。
- 一回の操作であらゆる方向の欠陥を検出できる。
- 指示模様から欠陥の幅、深さをもとめることは出来ない。
その他の詳細や検査方法は同社のホームページを参照してください。 https://www.hihakaikensa.co.jp/map.html


【執筆者】
大久保 精之
住友電設株式会社
技術本部 技術部 技術課 主席

| 活動名 | 見学会 |
| 実施日 | 令和6年(2024年 12月10日(火) 14:00~16:30 |
| 場 所 | 東京都多摩市 KDDI MUSEUM |
| 参加者 | 11名 |
| 主 催 | 計装士会 |
| 報告者 | 企画・研修委員 稲生 充 |
1.はじめに
今回は、KDDI株式会社 殿の施設、『KDDI MUSEUM』及び『KDDI ART GALLERY』にて、参加者11名で見学会を開催しました。『KDDI MUSEUM』では、日本の国際通信のはじまりから、5Gが普及している現代まで、通信技術発達の歩みについてご説明いただきました。また、『KDDI ART GALLERY』では、先端技術を融合させた新しい芸術鑑賞を体験する事ができました。
都心近くでの開催という事もあり各参加会員に移動への負担がかかる事もなく、短時間で有意義な見学会を開催する事が出来たと感じております。
2.見学会内容
KDDI MUSEUM
通信技術の歴史
モールス信号から始まり、短波、長波送信技術、同軸通信、衛星放送、光ファイバー通信、現在は6Gと呼ばれる大容量で高速通信が可能な時代まで発展を遂げてきた。日本初の通信は1854年日本に来航したペリーにて献上品として持ち込まれたエンボッシング・モールス電信機である。送信側の電信機上の電鍵でモールス符号を打つと、受信側の電信機の紙テープにエンボス(凹凸の傷がつく)されて、信号を送ることができるようになっている。また、モールス鍵盤鑽孔機により、文字キーをたたくと、その文字に相当するモールス符号の孔を紙テープに開けることができる。それまで杵鑽孔機で一つ一つ孔をあけていたが、文字キー操作により素早く孔を開けれるようになったため、効率が格段と向上した。1969年のKDD長崎国際電報局の閉局まで使用されていた。

1888年(明治21年)ドイツの物理学者ヘルツ(Heinrich Rudolf Hertz)が電波の存在とそれが空間を伝わることを実験により確認すると、電信線を使わずに電波によって通信を行う研究が進められるようになった。電波は波長が長い(周波数が低い)ほど遠距離まで届きやすく、かつ障害物の後ろ側にも回り込みやすくなる。一方で波長が短い(周波数が高い)ほど直進性が高くなるが、中波や短波は大気上層にある電離層で反射して、地上の遠いところまで伝わる性質がある。また短波通信を支えたのは真空管の技術発展によるものである。真空管は、電流の制御や増幅を行う事が出来る電子管のことで、限りなく真空状態に近いガラス管のなかに、フィラメントと電極をおさめた構造となっている。フィラメントに電流を流すと熱電子が発生し、電極に向かって移動する。この作用を利用して、整流や電流の増幅・制御を行う事ができる。真空管を使うと電波を効率よく安定的に送受信できるため、送信機では安定した持続性の高い電波を発生するための、また受信機ではより感度の高い検波を行うための要のデバイスとして、短波通信を支えた。

第二次世界大戦後、限りある周波数を効率的に使用し、高い通信品質で日本の国際社会復帰を支えることが、新しく設立された国際電信電話株式会社(KDD)の使命であった。短波国際電波回線の交換台としては、有紐交換台が使用された。短波通信による電話回線は、フェージングやデリンジャー現象、混信の為に不安定で、自動交換に必要な交換信号を誤りなく相手局に伝えることが難しいため、交換はすべて手動で行われていた。オペレータは、回線が接続された後も会話がスムーズに行われているかどうかを監視し、フェージングや混信などにより会話が進行しないときには、その都度、課金時計をストップしてその時間を料金から除く作業が必要であった。
1990年頃になると、インターネットが世界的に広く使われはじめ、日本でも多くの海底に光ファイバーが引かれ、その重要性は年々増している。海底ケーブルの修理作業は、障害が発生した場所でケーブルを引き上げ、船上で光ケーブルを繋ぎ直して、ケーブルを再び沈めるという工程で行っている。その接続にはユニバーサルジョイント技術により接続されている。製造メーカによって構造が異なる光ファイバーの相互接続が可能となっている。コアの中心軸がずれないように融着を行うため、1本のケーブルを接続するのに準備を含めて12時間以上も要する。海底ケーブル障害位置の算出には電圧測定や光信号測定により、海底ケーブル陸揚局からのおおよその距離を算出している。
4.おわりに
AIの普及やデータセンターの急速的な拡大により、近年における通信技術の重要性は増していることもあり、今回はKDDI殿KDDI MUSEUMでの見学会を企画しました。多くの展示品、パネルと共に、KDDI殿に丁寧にご説明いただいた事で、過去の通信技術から現代の光ケーブルや衛星通信など、これまでの歴史について学ぶことができ非常に有意義な見学会となりました。ご参加いただいた皆様にも、何か得ることがあったのであれば幸甚です。
最後に今回の見学会にご協力いただきましたKDDI MUSEUMの関係者皆様に厚く御礼申し上げます。

【執筆者紹介】
稲生 充(いのう みつる)
太平電業(株)工事本部
火力管理部 電装課 課長

活動名 工場見学会 実施日 令和7年(2025年)1月24日(金)9:00~16:00 場 所 1) やまだ屋 おおのファクトリー
2) オタフクソース Wood Egg館参加者 16名 主 催 計装士会 報告者 計装士会 中国地区代表幹事 本岡 武志
昨年に引続き、計装士会活動に於いて工場見学を実施しました。午前中はやまだ屋 おおのファクトリーさんを見学、午後はオタフクソース広島本社を訪問しました。
(1)もみじ饅頭のやまだ屋おおのファクトリー見学



(2)オタフクソース工場の見学



工場見学
まず、生餡や生地作りから、焼成、包装、刻印までの工程を映像にて説明され、続いて実際のもみじ饅頭製造工程を見学させて頂きました。
ソースの詰め込み工程のから出荷までの工程を見学、工場の香りを合わせて体験実際のソースの香りがすごく印象的でした。おこのミュージアムの見学でお好み焼きの歴史を体験することが出来ました。
見学を終えて
やまだ屋 おおのファクトリー・オタフクソース本社のスタッフ方々には丁寧な説明をして頂き、大変感謝しております。
もみじ饅頭の歴史、製造方法の工夫を学ぶ事が出来ました。
また、オタフクソース本社ではソース製造ラインを見学、Wood Egg館ではお好み焼きの歴史について学ぶ事が出来大変有意義な時間を過ごす事が出来、無事に見学会が終了できました。
【筆跡者紹介】
本岡 武志(もとおか たけし)
株式会社 中電工
技術企画部
工場工事課 課長

