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活動報告(九州・沖縄)

『在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界』

活動名『在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界』
講師
アズビル株式会社
ビルシステムカンパニー マーケティング本部
シニアアドバイザー 福田 一成 講師
実施日令和元年(2019年)11月15日(金)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者28名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 今吉 俊博
はじめに

 九州・沖縄地区では令和元年度の活動として、11月15日(金)に上記内容にて勉強会を開催致しました。
以下に概要の報告を致します。

講演風景

福田講師 講演風景
講演内容

 テーマ  『在室者の気持ちに寄り沿う新しい空調計装の世界』
       ~個々人の温冷感による空調制御や3次元温熱環境可視化の最新動向~

 1.ビル空調における温冷感制御の新しい波
   
   オフィス利用者と空調システムのコミュニケーションの基本は温度設定で、この操作そのものが人の温冷感を捉える情報と考えらる。壁のセンサではなく、人を中心に考え、その人がどう感じているかの情報(温冷感申告)で制御する。それは制御により温冷感の「おもてなし」と言える。

 2.新しい空調計装のためのBEMS要素技術
   クラウドサービスの特徴を生かすことにより、従来のBEMS機能には無かった新しい価値を提供できる。
   ビル向けクラウドサービスは、クラウドでエネルギー管理・設備管理・テナントサービス機能を提供する。

 3.パーソナル温冷感情報による空調制御
   室内温熱制御において温度設定は最重要ファクターである。しかし従来の温度設定方法には、温度設定の開放と壁設置型設定器の課題があった。
  そこで、クラウドBEMSなどのプラットホームが整備できたので温冷感申告データより様々な効果的な制御が可能になった。
   温冷感申告空調の工夫
   ・過剰冷暖設定への対応
   ・過剰冷暖設定への対応
   ・申告判別
   ・環境による判別
   ・時間帯による判別

 4.さらに気遣いあふれるおもてなし制御
   IT化された空調制御システムでは各VAVの開度情報はすべてBEMSに集約でき、VAVの合計風量が把握でき、VABの全閉制御が可能になる。
  1)VAV合計風量による給気温度と全閉・最小開度変更制御
  2)VAV全閉に対する温冷感申告への対応
  3)冷暖同時要求に単一ダクトVAV方式で対応する制御
  4)冷暖フリーVAV制御の実証実験

 5.温冷感申告でさらなる快適を提供するこれからの展望
   人は「温度一定の環境」よりも「周期的に変動する環境」の方が、満足感を得られる特徴がある。
  申告方式では、温度を一定に制御しなければならない制約がないため、周期的に環境を変動させることも可能で、満足感を得られ易い環境を構築できる。

所 感

 今回の勉強会では、クラウドBEMSなど最新の空調制御に関する実情や動向について興味深く学ぶことができました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました福田講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

TOTO株式会社 小倉第一工場及びTOTOミュージアム

活動名TOTO株式会社 小倉第一工場及びTOTOミュージアム 
実施日平成31年(2019年)3月14日(木) 見学時間 13:30~16:40
場所TOTO株式会社 小倉第一工場
福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
TOTOミュージアム
福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1 
参加者12名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区幹事 今吉 俊博
1.はじめに

 TOTO株式会社は、衛生陶器、住宅設備機器を製造するメーカーで、日本では衛生陶器の分野で約6割のシェアを誇ります。技術面では、温水洗浄便座の代名詞にもなっている「ウォシュレット」を開発したほか、便器の汚れを効果的に落とす「トルネード洗浄」、防汚技術の「セフィオンテクト」など先進的な技術で業界をリードしています。
 この見学会では、衛生陶器を製造するTOTO株式会社 小倉第一工場とTOTOについて知ることできるTOTOミュージアムを見学しました。

2.施設の概要

   1)TOTO㈱ 小倉第一工場
     所 在 地  : 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
     設備概要 : 4階建て多層工場
              全長115mトンネル窯
     事業内容 : 衛生陶器製造、ウォシュレットなどの開発
     生 産 数  : 約700個/日(衛生陶器)
   2)TOTOミュージアム
     所 在 地  : 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
     階   数  : 4F
     延床面積 : 10,797㎡
     展 示 物  : TOTOの歩み、TOTOのこころざし、認定遺産、食器の歴史、 ものづくりの流れ、水回り商品の進化など

3.小倉第一工場

   1)工場歴史
     1927年に日本で初めて商品化された腰掛便器もこの地で製造されました。
     現工場の建設当時(1971年)は衛生陶器工場としては異例の4階建てで、上層階の成形及び施釉工程と下層階の焼成工程がフリーカーブコンベアで結ばれるなど、衛生陶器工場として先進的な工場でした。
    現在この工場は、高付加価値品や小便器などの多品目の製造に携わっています。

   2)衛生陶器製造工程
     衛生陶器は簡単に言うと、原料である粘土を型に流して便器の形を作り、乾燥さ せた後釉薬を縫って焼き固めて作ります。実際の工程は以下のような工程で製造 されており、②成形~⑥検査までを見学することができました。
    ① 調  整 :粘土に水を混ぜ、約20時間細かく粉砕し、泥漿を作る。
    ② 成  形 :泥漿を型に流し、約20分かけて水を抜く。
    ③ 乾  燥 :約24時間熱風に当て成形した陶器の原形を乾燥させる。
      この工程で約3%収縮する。
    ④ 施  釉 :陶器に色や艶が出るよう釉薬を全体に吹き付ける。
      防汚処理(セフィオンテクト)も行われる。
    ⑤ 焼  成 :施釉した製品を全長115mのトンネル窯で約24時間かけて焼き上げる。
      この工程でさらに10%収縮する。
    ⑥ 検  査 :焼き上げた製品にひび割れ、色むらなどの欠陥がないか検査する。
    ⑦ 組立・梱包:部品を組み立て、付属品などを同封し、梱包する

                  【全工程 約8日】

   3)製造の特徴
     この工場で製造されている高付加価値の便器は、内部が複雑な形をおり、複数のパーツを組み合わせることが必要です。それらのパーツ同士を繋いだり、つなぎ目を滑らかにする作業は「熟練工」が担っており、細かい作業のほとんどが人の手で行われていました。 

   4)環境面への配慮
     この工場は、環境面においても配慮され、トンネル窯で使用されている燃料はかつての軽油からより環境負荷の少ない天然ガスへと変更されています。規格外となり出荷できない製品も再利用され、道路標識や街路のフラワーポットとして有効に活用されいます。

小倉第一工場 ウェルカムホール外観
会社概要説明
衛生陶器製造ライン
焼成ライン(トンネル窯出口)

※工場内は撮影禁止なので、工場内の写真はTOTOホームページより転用させていただいております。

4.TOTOミュージアム

1)概要
      TOTOミュージアムは、創業100周年記念事業の一環として開設されました。水まわりの文化や歴史とともに、TOTOのものづくりへの想い、製品の進化について展示されています。

2)展示内容
    ①認定遺産
      TOTO製品の歴史的価値により「近代化産業遺産」、「建築設備技術遺産」、「機械遺産」に認定されたものを展示しています。
    ②TOTOのあゆみ
      TOTOのルーツ「森村組」まで遡り、快適な生活文化を実現するため腰掛便器の研究を開始して約1世紀、TOTOのあゆみを年代ごとに展示しています。
    ③TOTOのこころざし
      TOTO創業者、五代社長などの熱い思いを「作る」「生み出す」「伝える」という観点で紹介しています。
    ④水まわり商品の進化
      TOTO製品の進化を様々なカテゴリーごとに展示しています。

TOTOミュージアム外観 
初代ウォシュレット
便器の変遷
集合写真
4.おわりに

 工場は高度に機械化されていて、作業員がほとんどいない状況を想像していましたが、この工場では「人の手」による作業が多く、製造から検査まで「熟練工の技」で支えられていることが印象的でした。
 ミュージアムにおいてもTOTOの歴史、製品の遍歴を知ることができ、大変有意義でした。
 最後に工場及びミュージアムの見学に際し、ご協力を頂きましたTOTO㈱のご関係者の方々に心からお礼を申し上げます。

以 上

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『振動と計測 (計装) 機器』

活動名『振動と計測 (計装) 機器』
講師
三興コントロール株式会社
計測制御サービス事業部 校正技術部
部長 田村 純 講師
実施日平成30年(2018年)11月5日(月)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 今吉 俊博

はじめに

 九州・沖縄地区では平成30年度の活動として、11月5日(水)に上記内容にて勉強会を開催致しました。 以下に概要の報告を致します。

田村講師 講演風景
講演内容

 テーマ 『振動と計測(計装)機器』

 1.振動とは
   1)振動とは
    ・振動とは、固体や液体が揺れ動く物理現象を意味しており、地盤や構造物に何ら かの力が作用したときなどに生じる周期的な位置変位の現象。
            ①人口振動 (機械起振) と自然振動 (地震動)
    ・振動 
            ②音 (音楽、騒音、爆発空振)
    ・騒音などの音圧は方向の無く、大きさのみのスカラー量。
     振動は大きさだけでなく方向も持つベクトル量。
    ・振動の性質もヘルツ (Hz)、デシベル (dB) で表す。
    ・Hzは振動する物体の1秒あたりの振動回数。dBは振動の大きさを表す単位で、 周 波数によって人に感じられ易さが異なるため、人の感覚に合わせ補正する必要がある。
    ・騒音の最小可聴値は0dB、人が感じる振動は55dBとされる。

   2)振動の表し方とパラメータ
    ・振動の振幅というと通常は変位を指す。変位の振幅と言うと片振幅Dとなるが、 実際の振動の世界では全振幅(Peak‐Peak)で表示することもある。
    ・微小振動を測定する場合、加速度センサがよく用いられるため、「振動の大きさ」は加速度(実行値)で表すことが多い。
    ・加速度の単位ではGal(ガル、cm/s²)が有名。
    ・振動とは、物体が一点を中心としてその前後左右、または上下への運動を繰り返す状態をいい、一般に「振動数F」「変位D」「速度V」「加速度A」を用いて表す。
     とくに「変位D」「速度V」「加速度A」の3要素が重要。
    ・変 位:振動の変位量を表し、その動きの大きさに直接関わる特性値を表す。回 転体のたわみ量、振れ量の評価に有効なパラメータで周波数には無関係。
        SI単位:m 実用単位:cm、μm、nm
    ・速 度:振動する速さは振動エネルギーの大きさを表し、機械の摩耗や、劣化の進展度合いに関わる特性値を表す。ISOの振動評価基準がある。
        SI単位:m/s 実用単位:cm/s、mm/s
    ・加速度:衝撃力の大きさに関わる特性値を表す、軸受け、ギアの傷、振動等の異常検出に有効な指標。
     唯一トレーサビリティの担保が可能な量。
        SI単位:m/s² 実用単位:cm/s²、Gal、G
    ・各パラメータ間の関係
                       微分  →    微分 → 
                変  位        速度        加速度
                       積分  ←    積分 ← 
  2.振動センサ
   1)振動計測の基本
    ・振動量の計測における測定者(あるいは測定装置)は、空間座標において動かない点(不動点)にいなければならない。
     このような不動点はばねとおもりか らなるサイズモ系で疑似的に作り出すことができる。

   2)振動センサの原理と種類

       
① 接触方式 ――――②加速度検出――③サーボ方式
                                   ④圧電方式(速度も)
                                   ⑤ストレージ方式
                                   ⑥MEMS方式
                       ⑦速度検出―――⑧導電方式

        ⑨ 非接触方式 ―――⑩変異検出―――⑪過電流方式
                                    ⑫静電容量方式
                                   ⑬光学方式(速度も)
    ・サーボ加速度計
     加速度により生じた振子の変位を電気信号として取り出し、アンプで増幅した うえでトルカ部のコイルに流すことにより振子を元の位置に戻し保持続ける。
     このコイルに流した電流は加速度に比例することを利用するセンサ。非常に高精度高安定、計測範囲はDC~数百Hz。

    ・圧電センサ
     センサ内部に錘とケースに挟まれた圧電素子が加速度により伸び縮みしたときに出力した電荷を利用し加速度を測定するセンサ。小型化できる。カタログ仕様はDC~となっているが、実際はその構造から100Hz程度から計測が信頼できる。

    ・動電センサ
     直線振子タイプは慣性おもりを共用したコイルをダイヤフラムバネやコイルバネで支持し、マグネットとの間で直線往復運動を行わせ電圧出力させるセンサ。
     高感度で直線範囲が広いので回転機械設備の劣化の検出に適している。構造上、取り付け方向、取り付け角度に制限がある。

    ・渦電流センサ
     センサコイルより高周波磁束を発生させ、金属表面に渦電流を発生させ、その 大きさが距離により変化することを利用したセンサ。

    ・静電容量式センサ
     センサと測定対象物によって形成される平行コンデンサの静電容量からギャッ プ(変位)を測定するセンサ。

    ・レーザードップラー振動計
     センサヘッドからレーザ光を振動物体に照射し、振動物体から反射したレーザ 光の周波数変化を測定するセンサ。

   3)ハンディ型振動計の特徴
    ・設置方法
      ① ネジ固定    ②瞬間接着    ③両面テープ    ④絶縁アタッチメント
      ⑤マグネットアタッチメント       ⑥棒状アタッチメント
    ・絶縁されていないものでモーターなどの測定は注意が必要。漏れ電流でセンサが壊れることも。

   4)地震計
    ・サーボ速度型地震計。
    ・落球式地震計。
    ・現在の地震計はSI系のトレーサビリティが担保されていない。

  3.振動の計測と校正
   1)振動量のトレーサビリティ
    ・校正対象機器のことをDUTと記述する。
    ・一般的に振動の大きさをdBで表示することが多い。
    ・dBは人の振動公害に関する測定などに用いられ、人間の感じ方を考慮して帯域制限フィルタで周波数フィルタをかけている。
    ・広く世間で行われている振動試験は相対量であるdBを使用しているため、トレーサビリティは確保されていない。
    ・振動のトレーサビリティの担保は振動加速度(m/s²)のみで、dB量を絶対量である振動加速度量に変換する必要がある。
    ・振動加速度の国家標準 ⇒ 光計測機器を使用
    ・振動加速度の標準供給 ⇒ 1次校正された振動計にBack to Backで2次校正する。
    ・従来はdB管理による基準検査制度が主体で曖昧な対応。強度振動系では振動加速度量のみトレーサビリティが担保されている。
    ・低周波領域(4~200Hz)の水平姿勢による標準値の供給をNWIJから受けているいるのは国内で三興コントロール株式会社のみ。
    ・現在はNMIJの低周波直流標準から4~10Hzの交流電圧標準の供給を受けている。
      (過去はDAkksからの供給を受けた)
    ・周波数標準はJEMICから供給を受けている。

   2)トレーサビリティの担保
      ① 標準値のトレーサビリティ
        ⇒計測機器(モノ)のトレースではない
      ② 人の計測・校正技術の連鎖
        ⇒人の技量の連鎖も重要
      ③ 現場の計測手段とのつながりを明確にすること
      ④ 振動レベル(dB)ではトレーサビリティが取れない
      ⑤ 現状、国内では低周波振動の校正で5~10Hz領域は曖昧
         またその「姿勢」も問題にされていない。
    ・どの様なセンサ・計測機器、校正機器でも使用目的とする数値に関係するデータは必ず標準にトレースする必要がある。
    ・振動量変換センサとして3つの標準が必要
      ①振動加速度量 ②信号の大きさ(交流電圧) ③信号の周波数
    ・交流電圧標準に対する要望として 10Hz以下の低周波域で交流電圧計の校正ニーズがある。
    ・代表的標準研究機関においても交直変換方式において10Hz以下の校正能力はない。

   3)TSI(タービン監視計器)
    ・タービン運転時、軸が伸び、振動が発生する
    ・変位=長さの量で管理
    ・3種類の監視計測機器
      ① 振 動 計 :回転体のバランス監視(動的ラジアル変位)
                ⇒ 2軸(垂直、水平)の振動 +α
      ② 伸 び 計 :回転体の熱による伸びを監視
      ③ 伸び差計:回転体の相対位置の監視(静的スラスト変位)
    ・回転体は望ましい動作をしているかどうかを監視する必要がある。
     その為に、 「振動速度」や「振動変位量」を計測する

  4.可搬型振動校正装置
   1)校正の重要性
    ・現在の品質管理の潮流は「試験、検査」から「校正」へ
    ・その為に「トレーサビリティの担保」は必須
    ・電力関係の規格・基準では「校正」が明記されている
    ・現場のセンサの校正は「On-site」「In-situ」が理想
    ・検査・試験は校正が源

   2)計測値の信頼性
    ・標準振動発生装置を可搬型にすれば振動情報のループ(系)としての信頼性の確認が可能。
    ・電力会社によっては、ループ(系)としての信頼性の確認をしていない会社もある。
     つまり振動計の単体校正のみで、系としての信頼性確認の考えを持ってい ない。

   3)ループ校正の考察
    ・現状はルート2乗法を採用し、“カタヨリ”のみの情報で計算している
    ・観測データの“バラツキ”情報は考慮していない
    ・本来の「ガウスの誤差の伝播則(ルート2乗法)」は観測データの“バラツキ” が主たる要素
    ・本当のループ校正では”バラツキ“と”カタヨリ“の検討が必要

   4)振動計校正装置開発の経緯
    ・校正用ではなく試験・検査用の認識が強い
    ・低周波領域(5~10Hz)の加振、振動は無評価!
    ・トレーサビリティには興味?無し
    ・インフラ分野(電力、ガス、上下水道)に余り興味なし
    ・設置環境の床振動(暗振動)対策には無頓着!
    ・市販の振動計試験・検査装置の特徴
      ① 低周波(5~10Hz)領域において性能不足
      ② 一部の領域において直線性無し
      ③ トレーサビリティの担保は?
      ④ 「校正」に関しての認識不足
      ⑤現場向きでなく、取り扱いが面倒臭い
       ・可搬装置としての大きさ
       ・設置場所での外乱(気温、暗振動)対策
      ⑥負荷質量(DUT)の対応不足
       ・現場型は防爆仕様で重い(~800g

   5)振動計校正装置開発の採った対策
    ・加  振  部  :冷却ファンが使えない、ネオジウム永久磁石の採用
    ・標 準 振 動 計:信頼性の高いサーボ加速度計を内蔵
    ・計 測 制 御 部:デジタル回路を採用し、信頼性の向上を図った
    ・外 乱 対 策:共振周波数、グランドノイズ(暗振動)対策で特殊 防振ゴムを採用
    ・冷却ファンの除去:振動発生源となる為
    ・軽量化を図る :労働安全規則の存在

   6)開発モデ
    ・HVC-100:水平加振と垂直加振兼用モデル
    ・HVC-200:垂直加振専用モデル
    ・HVC-300:水平加振専用モデル

   7)本装置の優位性
    ・最小の構成による校正装置(2ユニット)
     標準器も内蔵している(Back to Back方式)
    ・低周波(5~10Hz)領域で振動加速度のトレーサビリティを担保している国内では唯一の校正装置
    ・多種多様の大型回転系の振動計に対応可能
    ・非接触型の変位計の校正も可能な構造
    ・国内優先特許確立

   8)課題と今後の展望
    ・校正範囲を1~4Hzと200~2000Hzに拡張
    ・社内での受託校正時の基礎(大地)振動の低減
    ・需要があれば0.01~1Hz間での加振装置の開発?
    ・弊社のお客様の制御用・計測用「地震計」の管理値と要求仕様の調査と、目標 とする仕様の決定

  5. 3.11と加振試験
   1)背景
    ・3.11の地震後、BWR原発は水素ガス発生時の対策から新システムの発生水素ガスベント(排気)システム関係の計装機器、電気機器の振動試験を、3.11を考慮した形で行う必要が出てきた。

   2)鉛直加振動電式振動試験装置
    ・磁界の中で電気伝導体(コイル)に電流を流し、振動する力を発生さる。コイル に発生した力は伝達する可動部や治具に供試品を搭載・固定して振動させる。

   3)治具
    ・冶具は剛性を持たせ、冶具の共振振動数を加振する振動数範囲より高い振動数にする必要がある。
    ・共振振動数を上げるのには、小型化、軽量化、強度と剛性の確保が必要。
    ・軽量化の為にはアルミ製に冶具が適している、一般的には板厚15mm以上が望ましい。
     ⇒加工が削り出しのみに限られ難あり
    ・DUTが現場でどう取り付けられているか?どう振動を受けるかを考慮し、DUTの重心を考慮し設計加工する必要がある。
    ・鉄製を採用。但し、溶接に伴い磁気を帯びるため脱磁処理を行った。

   4)共振探査の重要性
    ・固有振動数を求めることは機械設計を行う上で非常に重要。共振は機械の性能を損ない破損の原因につながります。従って機械は運転範囲において共振が発生しないように設計する。

   5)加振試験
    ・加振方向:水平2方向と垂直方向の同時加振
    ・加振試験の手順
      ① 加振前の校正(健全性確認)、他の性能試験
      ② 3軸での掃引加振で共振周波数の探査
      ③ もし共振点が存在しなければ客先指定周波数で加振
      ④ 3.11では指定周波数(3.11想定の5倍以上の30G)にて限界加速度で加振する
    ・加振試験の仕様例
      ① 外観確認  :いわゆる外観の目視
      ② 動作機能試験:校正と試験が主体
      ③ 指示精度試験:指示機能があるものについて
      ④ 警報遅れ試験:2値動作機能を持つ機器について
      ⑤ 絶縁抵抗試験:電気、電子回路の健全性確認
      ⑥ 耐電圧試験 :電気、電子回路の健全性確認
      ⑦ 共振検索試験:固有振動数の有無
      ⑧ 耐加速度(限界)試験A ⇒ 指定加速度、周波数
      ⑨ 耐加速度(限界)試験B ⇒ 指定加速度、周波数

   6)その他
    ・フィールドサービス対応機器の紹介
    ・ストップウォッチの校正の紹介
    ・2019年5月21日にSI単位の定義改訂のお知らせ

所 感

 今回の勉強会では、振動と計測(計装)機器という題目のもと、振動センサに関する基礎知識、トレーサビリティの問題点と振動に関する実務の紹介などの項目をこの分野のエキスパートである講師の方が深く掘り下げてご説明頂きました。難しい内容を素人にも分かるよう丁寧に、また易しい表現でご説明頂き、とても興味深く耳を傾けていました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました田村講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

カテゴリー
活動報告(九州・沖縄)

『計測・校正における不確かさの使い方』

活動名『計測・校正における不確かさの使い方』
講師
三興コントロール株式会社
計測制御サービス事業部 校正技術部
部長 田村 純 講師
実施日平成29年(2017年)11月10日(金)14:00~17:00
場所株式会社九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 渡辺 猛
田村講師 講演風景
講演内容

テーマ   『計測・校正における不確かさの使い方』
  大きく5項目に分類
  1.計器と精度
  2.計測と校正
  3.初めての不確かさ
  4.試験、検査と校正
  5.ISO9001-2015と
    Risk-Base Management

1.計器と精度

①計器の種類
    ⇒センサ 計測機器 分析計この3つをまとめて「計器」と記述する。

②計器の性能と精度
    ⇒あらゆる計器は時間の経過と共に遷移の発生と感度も変化しやすくなる。
      計器の適確性を判断する際に最も重要視されるのが個々のメーカーが定めた独自の仕様でその仕様の代表的な項目が「精度」です。
      しかしドリフト、ゲインの変化と共に「精度」も変化する。

③精度の一般的なイメージ
           1) 確立が高いか、低いか
           2) 良いのか、悪いのか  
           3) 信頼性が高いか、低いか
   精度 ⇒   4) 正確か、不正確か
           5) 計器だと性能が良いか、悪いか
           6) 想った通りだったのか
           7) その他・・・

④精度に関係する用語
    1)バラツキ     : 数多いデ-タがバラバラになってしまう度合い
    2)カタヨリ     : 数多いデ-タがある数値に偏ってしまう度合い
    3)繰り返し性   : 計測・校正の手段が同一の時のデ-タ-の一致度
    4)再現性      : 計測・校正の手段が異なる時ンンンンのデ-タ-の一致度
    5)安定性     : 同一条件、同一手段の時の変化の割合、長期と短期がある
    6)直線性     : デ-タ間の直線関係
    7)ヒステリシス  : 前歴によって同一デ-タに差が生じること  

⑤精度の定義
    ⇒例えば1本のパイプの太さを一人の人間が、同じノギスで時間を変えて計測し、結果が一致する度合いが「繰り返し性」
    ⇒例えば1本のパイプの太さを複数の人間が、別々のノギスで計測し、結果が一致する度合いが「再現性」

⑥正確さと精密さの可視化
                       a) 繰り返し性
           1) 精密さ   ⇒  b) バラツキ
                       c) 再現性
   精度  ⇒ 

           2) 正確さ(真度)  カタヨリ

⑦計器の「使用」の外乱
    ⇒計器は時間の経過による部品の磨耗や現場の外乱における温度、湿度等の影響を受け性能が変化する。
    ⇒固有の性能 - 計器メ-カ-の工場出荷時迄
    ⇒使用の性能 - ユ-ザ-が現場環境で使った時

⑧様々な「精度」の記述
    ⇒カタログ記載の精度→カタログ精度
    ⇒計測した時の性能 →計測性能(精度)
    ⇒校正した時の精度 →管理精度

⑨計器の精度の意味
    ⇒カタログ精度数値<<<計測性能数値
      一般的に同一数値にはならない

⑩カタログ表記精度の認識
    ⇒メ-カ-が計器や計量機器の設計基準に適合した結果から決めた数値

⑪メ-カ-とユ-ザ-の思いの違い
    ⇒メ-カ-は設計基準でカタログ精度を決定、不特定多数のユ-ザ-の使用を想定
    ⇒ユ-ザ-は自分達の使用環境で計測した時どうなるかを知りたい

⑫計器を使う時考慮すべき事項
   1)長期安定性にすぐれているか?
   2)計測範囲の直線性が良いか?
   3)環境適格性(≒再現性)に優れているか?
   4)必用な管理制度(許容範囲)を決められるか?
   5)必用な品質管理期間を決められるか?⑬まとめ
   1)精度は計器の性能の一つ
   2)精度では表せない性能もある
   3)精度の一般的な定義は無い、しいて言えば「VIM」です。
   4)カタログ表記、計測時、管理精度の意味を理解する。
   5)使用者が精度をどのように捉えているか重要!

 

2.計測と校正

①計測(測定)と校正
    ⇒計測(測定)は 目盛りの無いモノの目盛りを付ける
    ⇒校正は 付けられている目盛りの検証

②計量計測用語集(VIM)から
    ⇒校正は 不確かさ表記が必須、誤差表記はダメ

③定義で言っている事
    ⇒より信頼性の高い標準で、被校正対象機器の付けられている目盛りを科学的、技術的に確認する事。

④標準の事
    ⇒校正での標準器、標準物質を総称してこの勉強会では便宜的に「測定器」と記述する。

⑤校正で被校正計器のこと
    ⇒DUTと記述する DUT:Device Under Test⑥校正の目的
   1)生産現場でDUTの使用後の特性確認(外乱影響)
   2)計測結果、分析結果の評価の参考情報
   3)計測結果、分析結果の履歴の確認
   4)設定した管理精度の確認
   5)製造工程の客観的数値情報の取得

⑦保全と校正
    ⇒保全(メンテナンス)
      製造工程の計器を信頼ある状態にする
    ⇒校正(キャリブレーション)
      DUTの計測履歴(外乱影響)の検証

⑧実際の校正   
            1) 現場  :  装置に設定されている環境でDUTを測定器と比較する。
     場所 ⇒
            2) ラボ  :  現場で使う測定器を定められた環境に於いて、更に信頼性の高い上
                      位標準と 比較する。

⑨現場での校正手順(SOP)の例(時系列)
    1)プレパレーション   ⇒ 校正手順の準備
    2)アイソレーション   ⇒ 隔離、安全措置(養生)
    3)キャリブレーション  ⇒ 目盛りの比較
    4)エスティメーション  ⇒ 結果の評価
    5)アジャストメント   ⇒ 調整・修正
    6)リストレーション   ⇒ 復旧、安全措置の解除
    7)データプロセッシング ⇒ 記録、整理
    8)エバリュエーション  ⇒ 基準との比較、審査
    9)レポーティング ⇒ 報告

⑩計器、計量機器の品質管理
    ⇒ISO9001  : 品質システムにフォーカスしたもの、製品品質や技術品質を審査するものではない、サービスが補記された。
    ⇒ISO10012 : 計器や計量機器を使う事が必用なセクションが準拠すべきもの。
    ⇒ISO/IEC  : 計器や計量機器を校正や試験、検査する機関が準拠すべきもの。
     17025

⑪校正の妥当性確認
    1)校正方法  : 異なる原理・方法で校正を行い同一の結果が得られること。
    2)校正方法  : 同程度の技量を持つ複数の担当者が同じ校正を行い、同一の結果が得られること。
    3)時間的間隔 : 同一の原理・方法で同一の担当者により時間間隔が一定で複数回の校正を行い、同一の結果が得られること。
    4)第三者機関 : 第三者的立場の外部校正機関により校正を行い、同一の結果が得られること。

3.初めての不確かさ

①新しい言葉の源
    ⇒「計量」と「不確かさ」
    1)VIM : 国際計量基本用語集
           前途、「計測と精度」を参照
    2)GUM : 計測における不確かさ表現の案内
            日本語ではガムという

②不確かさとは
     ⇒確かでない程度のこと。

③不確かさの提案
    ⇒世界的規模での貿易の自由化
      世界的に校正(測定)結果、試験結果のデータの表し方を統一しようという機運と約束。

④真の値は存在しない
    ⇒真の値は使用できなくなった。

⑤誤差の真実
    ⇒誤差=測定値-真の値
    1)ミクロ的に観れば観るほどバラついている。
    2)目盛りを読み取るのに、裸眼、ルーペ、顕微鏡で見ると各々違うはず。
    3)本当は「誰も」真の値などワカラナイ。

⑥バラツキとは
    ⇒カタヨリとバラツキ
      カタヨリ : 校正結果にもカタヨリは付きものです、しかし割りと簡単に計器で計ることが出来る。
             今までの誤差に相当し、偏差のことです。
      バラツキ : 不確かさのこと、その数値を算出するには複雑な過程が必用で、そのルールが
            「GUM」です。単純なバラツキ量をハカル測定器もあります。

⑦バラツキの数値化
    ⇒サンプルで推測する
    カタヨリ   : 単純な足し算引き算の計算
    バラツキ   : ちょっと面倒な、簡単的な統計処理の計算が必要
            *統計処理は正規分布グラフで考えます

⑧バラツキを知る方法
    ⇒計測値も校正値も実際は一定値ではなくバラツキを持っている。
    ⇒バラツキは統計学的にその程度をヒストグラムか正規分布曲線で示すことが多い。

⑨まとめ
    ⇒カタヨリは古典的な誤差表記の基本。
    ⇒バラツキは結果数値の評価の基本、信頼性の証、偏差の存在は認める
    ⇒バラツキの計算はGUMの指針に従う。

⑩検定とは
   1)一定の基準に照らして検査し、合格/不合格、価値や資格などを決定すること。
   2)新しく作られた軽量器や修理された計量器が、計量法で定める基準に適合しているか?どうかを検査する
     こと。

⑪校正結果の使い方
    ⇒測定、計測で使う場合 : 製作工業分野で多い
    ⇒校正で使う場合 : 製造(プロセス)工業分野で多い

⑫許容範囲(値)と不確かさの関係
    ⇒今までの出荷検査は信頼性評価はやってない、バラツキは無視!
     許容範囲(値)と不確かさは異なる概念!でも密接な関係がある。

4.試験、検査と校正

①検査・試験と校正の境界
    ⇒検査・試験 - 適合性の評価 - 規格・基準値
    ⇒校正     - 標準との比較 - 実証値

②これからの言葉
    ⇒「適合(格)性の表明(宣言)」が重要
      適合性評価(検査・試験・校正)などがその手段となる。試験・校正機器が使用している計測機器、分
      析計などはその手段のための標準器、標準物質である。
      許容範囲(値)と不確かさは異なる概念!でも密接な関係がある。

5.ISO9001ー2015版とサービス

①注目すべき点
    ⇒サービス(校正)分野への配慮 : 「製品」と「サービス」をわけて定義、違いを強調た。
      技術管理主体(リーダー)の存在とパフォーマンスの評価など。
    ⇒リスクベースの考え方が明確になった。 : 強みと弱みを明確にする。
      やはり”製品”の生産が中心です。

②サービス関係
    ⇒製品とサービス(試験・検査、校正)との関係が明確になった、製品の品質目標に対するサービスの対
     応。
    ⇒作業環境から「プロセス(工程)の運用環境」へ
    ⇒監視機器及び測定機器から。 「監視及び測定の為の資源(resource)」

③日本工業規格から「日本産業規格」へ
    ⇒日本のGDPの約7割をサービス業が占めている。
    ⇒「役務」としてサービス分野を対象に追加する。
    ⇒法律の名称を工業標準化法から「産業標準化法」に
    ⇒マークはそのまま使う。

④現状の品質管理システムは
   1)レガシーシステムの再評価 → 生産者側
   2)DUTか製品のCPの設定とその根拠
   3)DUTか製品の許容範囲(値)の設定とその根拠
   4)DUTと標準との校正の不確かさ(精度)比
   5)DUT、標準の校正間隔/期間/周期は
   6)その他

まとめ

不確かさを現場の校正で使う
   1)「不確かさ数値(バラツキ)」は引き取り校正事業者が理想的な環境で校正した結果
   2)現場では同じ「不確かさ数値」では計測や校正は出来ません。
   3)上記1)と同じ環境、同じ校正方法・手順を実現できれば添付された数値での計測、校正結果が期待でき
     ます。
   4)でも校正されていないより校正されている計器、測定器を使った方が「安心」だと思います!

所 感

今回の勉強会は、普段私達が工事を行う際、常に行わなければならない計測が題目になっており、 とても興味深く講義を聞かせていただきました。内容的にも様々な考え方や例えなどを挙げられ、 噛み砕いた言い回しにて判りやすく説明をしていただき非常に参考になりました。
  ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受け頂きました田村講師に厚くお礼を申し上げると共に、 今後とも益々のご活躍をお祈り申しあげます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

株式会社 安川電機

活動名株式会社 安川電機
実施日平成29年(2017年)2月9日(木) 13:15~18:00
場所株式会社 安川電機
 北九州市八幡西区黒崎城石2-1
参加者16名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区幹事 久保 一昭
1.はじめに

 ㈱安川電機は、1915年に炭坑用電機品の受注製造からスタートし、一昨年には100周年を迎えた。
 安川電機グループは、安川電機を中核として子会社79社及び関連会社19社(平成24年3月現在)により構成されている。創業以来「電動モータとその応用」を事業領域に定め、その製品・技術により時代の先端産業を支えてきた。自らの技術をもって事業にあたる「技術立社」を社是として、事業の基盤である「メカトロニクス」のコンセプトを世界に先駆けて提唱し、世界一・世界初の革新的な技術・製品の開発にこだわりながら、品質第一の経営を貫いてきた。
 コア技術は、「ロボット技術」、「モーション制御」、「パワー変換」で、その技術を用いた産業用ロボット、サーボモータ、インバータは世界シェア1位を誇る。

2.施設の概要

 1)安川電機みらい館
    ものづくりの魅力、そしてロボットの最新技術などを 発信する展示・体感・学習できる見学施設。

 2)ロボット第1工場
    前身である「モートマンセンタ」は、1990年に世界で初めての「ロボットがロボットを作る工場」 として誕生した。創立100周年を期に最先端のロ ボット技術を投入し、自動化率を飛躍的に向上させた 「ロボット第1工場」としてリニューアルした。
    アーク溶接、ハンドリング用途の小形ロボットを 中心に製造し、生産能力は1000台/月に達している。

 3)ロボット第2工場
    2013年8月に新設した最先端のクリーン ロボット工場である。液晶・半導体、バイオメディカル、食品・薬品・化粧品など、様々な業 界に向けたクリーンロボットを生産しており、生産能力は500台/月に達している。
    また、 独自の省エネ技術を生かし、CO2排出量を抑え た環境に優しい工場である。

紹介DVDの閲覧
バイオメディカル用ロボットの展示

IQロボットの展示

4.おわりに

 今回見学した工場は、産業用ロボット、サーボモータ、インバータの3分野において世界シェア1位を誇る㈱安川電機の主力工場である。この工場は創立100周年を期に工場再編を行うと共に最先端の技術を投入し、自動化率を飛躍的に向上させるなど最先端の工場であり、大変興味深く見学した。また、見学施設みらい館も㈱安川電機の技術及び製品が一般の方でも分かりやすく展示しているとともに、遊びながら技術を体感でき、大変見応えのある施設であった。 この度、工場、展示館のご説明を頂きました㈱安川電機の皆様に心からお礼を申し上げます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

『計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術』

活動名『計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術』
講師
アズビル㈱ 藤沢テクノセンター
ビルシステムカンパニー マーケティング本部
部長 福田 一成 講師
実施日平成28年(2016年)11月16日(水)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者27名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 久保 一昭
はじめに

 九州・沖縄地区では平成28年度の活動として、11月16日(水)に上記内容にて勉強会を開催致しました。 以下に概要の報告を致します。

福田講師 講演風景
講演内容

 テーマ 『計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術』

 1.再生可能エネルギーとは

   ● 再生可能エネルギーの定義・意義
    ① IPCCの定義
     ⇒太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、自然界によって利用する以上の速度で補充されるエネルギー全般
    ② 対義語
     ⇒枯渇性エネルギー:化石燃料、ウラン等地下資源
    ③ 日本のエネルギー・資源学会での定義
     ⇒再生可能エネルギー資源とは、枯渇性エネルギー資源に対する用語で、絶えず資源が補充されて枯渇する事のないエネルギーであり、太陽光、風力、水力、バイオマス(生物資源)、地熱、太陽熱、バイオ燃料などを含む。
    *人類が石炭を本格的に使用してきたのは産業革命以後の250年程度であるが、あと160年ほどで枯渇すると言われており、バイオマスエネルギーとして植物を利用するとき、植物の生長期間で育った分だけ利用すれば枯渇しない。
    ④ 化石エネルギーの有限性
     ⇒石油で40年、石炭で160年と言われ、今すぐではないが、100年ぐらいの間になんとかしなければならないというところがポイントになる。
    ⑤ 再生可能エネルギーの意義
     ⇒長所及び社会的価値
     ・「非枯渇資源」・「低炭素」・「Nox、Sox、放射性廃棄物を出さない」
     ・「冗長性、自立性」・「新産業(代替産業)としての経済効果」
     ⇒短所
     ・資源によってエネルギー密度が低い
     ・他の産業、活動などとの競合(紛争)

   ● 我が国の再生可能エネルギー推進の歴史
    ① サンシャイン計画
     ⇒オイルショック以降、(1973年)太陽光発電、風力発電、燃料電池などの発電システムが注目を集め、
      1974年9月石油代替エネルギー・新エネルギーの技術開発を目指す「サンシャイン計画」が発足
     ⇒1980年 日本のサンシャイン計画の実施機関として「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)が設置される。
    ② ニューサンシャイン計画
     ⇒1993年 それまでのサンシャイン計画、ムーンライト計画、「地球環境保全技術」を統合して「ニューサンシャイン計画」が始まる。
    ③ 新エネルギー導入大網
     ⇒1994年12月 石油に代わる安定したエネルギー源の確保、低炭素化などの目的で新エネルギー導入を積極的に図ることを主旨とした「新エネルギー導入大網」を閣議決定。
    ④ 設備補助金から再生可能エネルギー買取へ
     ⇒2000年 グリーン電力証書
     ⇒2003年 RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別処置法)施行
     ⇒2009年 余剰買取制度(固定価格)
     ⇒2012年 再生可能エネルギー特別措置法(全量固定価格)FIT
    ⑤ FITの課題
     ⇒買取にかかる費用は電力価格に広く上乗せ(賦課金)、電力料金の高騰
     ⇒予測不可能且つ制御不可能な制度設計

   ● 今度の導入と技術開発の見通し
    ① 2030年長期エネルギー需要見通し
     ⇒新エネ 4.3%+水力3.2%→13~14%:新エネ4.3%→9.8~10.8%の2.5倍

 2.各種再生可能エネルギーの特徴と課題
    ① 過去10年間の再生可能エネルギーの伸び率
     ⇒2003年(1,300万KW)→2008年(1,600万KW)年間平均伸び率5%
     ⇒2008年(1,600万KW)→2012年(2,300万KW)年間平均伸び率9%
     ⇒2012年(2,300万KW) →2013年(3,000万KW)前年比32%
    *太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスの中で、太陽光の普及が殆どである。
    ② 今後期待される再生可能エネルギー
     ・太陽光発電
     ・風力発電(陸上風力、洋上風力)
     ・バイオマスエネルギー(木質系、農業残さ系、家畜排せつ物等)
     ・バイオマス発電(間伐材、熱分解ガス化、メタン発酵等)
     ・熱利用(バイオマス熱、太陽熱)
     ・海洋エネルギー
     ・地熱・地中熱エネルギー
     ・中小水力発電

 3.再生可能エネルギー利用技術
   ● 再生可能エネルギー導入に伴う系統課題
    ① 電力需給ギャップの発生
     ⇒現在の電力系統は需要に対して発電量を制御して安定供給しているが、太陽光や風力は気象条件で出力
      が変動するため、大量に接続すると需給のバランスが保てなくなる。
    ② 周波数変動の発生
     ⇒電力系統において、需要と発電量のバランスが崩れると、周波数が変動し需要家側の機器に影響を及ぼすと共に、周波数が変動すると、発電機の保護機能が働き、発電機が解列し大停電を引き起こす。
    ③ 配電系統の電圧上昇
     ⇒配電系統に連係される再生可能エネルギー電源が増加すると、電力が逆潮流する事によって、連係点の電圧が適正値を逸脱する。

   ● 対策技術
    ① 電力側
     ⇒変動する出力と需要とのギャップを火力発電や水力発電などの従来型電源の出力調整により吸収する。
    ② 再生可能エネルギー側
     ⇒揚水式水力発電
     ⇒風力発電の出力調整機能
     ⇒FACTS(パワーエレクトロニクス技術を用いた電圧上昇対策)
     ⇒蓄エネルギー(電力潮流安定化技術)
     ⇒水素利用(エネルギー変動調整)
    ③ スマートコミュニティの実証
     ⇒単一部門(家庭)のみの制御(住宅団地型、戸別住宅型)
     ⇒複数部門の総合制御(広域大都市型、地方中核都市型)

 4.欧州最新事例
   ● リヨンスマートコミュニティ実証事業
     ⇒再生可能エネルギーの有効利用を都市レベルで実現する我が国のスマートコミュニティ技術を海外で実証する事業として、フランス・リヨン都市圏のNEDOプロジェクトが実施された。
    ① TASK1 新設ビルのPEB化
    ② TASK2 スマート交通システム
    ③ 太陽光発電を優先利用する最適充電
    ④ TASK3 既設住宅のスマート化
    ⑤ TASK4 地域エネルギー可視化CEMS

   ● 再生可能エネルギー先進国 ドイツの最新事例
    ① EWE NETZの概要
     ⇒EWEグループはドイツ北西部の大きなエネルギー会社の一つ(ドイツで4番目)で、顧客数は、電力130万戸、ガス170万戸、通信70万戸である。
      洋上風力発電事業にも参画している。
    ② 2013年のドイツの電源構成のうち、25%を再生可能エネルギーが占めており、2050年までに80%まで伸ばしたいと考えている。
    ③ 一方、EWE NETZに供給されている電源構成の再生可能エネルギーの比率は、2013年12月の段階で90%までに伸びており、ドイツ全体の目標をすでに上回っている。
    ④ 2008年からは、再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電の設置数が、約40,000台増えている。
    ⑤ Audi E-gas Plant
     ⇒e-gasプロジェクトは「Power to Gas」の世界初の工場規模プラント
     ⇒風力発電の電力を電気分解し、水素を製造する。この水素をCo2と合成しメタンを製造するという、再生可能電力を燃料大胆なプロジェクトである。
     ⇒製造したメタンは既設のインフラに供給し、圧縮されたCNG自動車の燃料として使用される。ドイツ国内では、約700のCNGスタンドがあり、燃料供給には困らない。

所 感

 今回の勉強会では、再生可能エネルギーについて、昨今の社会情勢を踏まえ、枯渇性エネルギーに代わり得る、非枯渇資源の有効利用として、最新の知識や情報と具体的な方法で分かりやすく説明していただき、今回の参加者の方々も再生可能エネルギーの動向についてはビジネスに直結する内容であったため、とても興味深く耳を傾けていました。
  ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました福田講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

ひびきエル・エヌ・ジー株式会社

活動名ひびきエル・エヌ・ジー株式会社
実施日平成28年(2016年)2月19日(金) 12:15~17:30
場所ひびきエル・エヌ・ジー株式会社
 北九州市若松区向洋町20-1
参加者13名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区幹事 久保 一昭
1.はじめに

 ひびきエル・エヌ・ジー㈱は、2010年4月に資本金60億円、株主(西部ガス㈱90%、九州電力10%)にて会社を設立し、ひびきLNG基地として北九州市若松区向洋町にて、2014年11月1日にLNGの供給運用を開始しました。
 ひびきLNG基地は、日本海や東シナ海に通ずる響灘に面した臨海地区に位置し、 広大な敷地に海外からLNGを運搬してくる大型船舶受け入れの桟橋や、2基の大型LNGタンク、LNGを気化して都市ガスを製造する施設などが整備されています。天然ガスを西部ガス等のパイプライン網を通じ都市ガスとして、また、パイプラインが通じていないエリアには、LNGローリー輸送にて北部九州の各地へ供給している天然ガス広域供給拠点です。

2.概 要

  所在地   福岡県北九州市若松区向洋町 ひびきLNG基地
  主要設備  LNG基地
          敷地面積:32.6万㎡
          LNGタンク:PC地上式 18万KL×2基
                  (一般家庭80万戸分=約1年分)
          LNG気化器:水冷式(海水循環方式)
                  高圧用(55t/h×3基)
                  中圧用(50t/h×2基)
          LPGタンク:球形 950t×4基
          LNG受入桟橋設備:1式
          LPG受入桟橋設備:1式
          LNGローリー出荷設備:12口

ひびきLNG全景(模型)
施設説明
3.供給拠点
北九州地区
4.LNGタンクのエアレイジング概要

   LNGタンクにブロア(送風機)を設置し、タンク底部にある屋根(1,200t)の下に、送風ダクト(送風管)を通じて空気を送込み、空気の圧力で屋根を約34m押し上げる。

5.施設の特徴

  ①「災害対策」 ②「再生可能エネルギー設備」 ③「ひびき基地の緑化活動」等、安全・安心で地球温暖化抑制効果を図る施設となっています。

  ①「災害対策」
    津波対策として、最大津波予想海抜3.0mに対し、海抜7.0mの高さとなる防潮堤、更にその上部に高さ約5mとなる防潮林を基地全周(2,300m)にめぐらしています。電源は、商用電源2回線受電とし、さらにデュアル燃料の非常用発電機を備えるとともに、受電系には電源車の接続が可能な措置を行い、万全を期しています。
  ②「再生可能エネルギー設備」
    事務所で使用する電力に太陽光・風力・水力の再生可能エネルギーを有効利用しています。余剰電力は蓄電池に電気を蓄える等、省エネ・CO2削減に寄与しています。
  ③「ひびき基地の緑化活動」
    人、自然、社会と調和した環境共生基地を目指すべく、『ひびきの森植樹活動』を推進し、基地内へ現在までにどんぐりを主体に約10万本の植樹を行っています。将来的には15万本を越える植樹を目指しています。
    また、基地外のひびきどんぐり公園では、自然とエネルギー基地の調和を身近に感じるエリアとして、四季の彩りを感じる花々、美しい木々、広がる芝生、自然石のアートワークが織り成す憩いの空間を提供しています。
    このように、ひびきLNG基地は天然ガス広域供給拠点として北部九州に安全で安定した天然ガスの供給以外に、地球にやさしく、地域の環境保全に貢献すると共に“癒し憩い”を提供する施設となっています。

基地内中央監視室
4.おわりに

 福島原発事故から5年が過ぎ、地震・津波対策等施設建設に当たって高度な対応策が要求されています。ひびきLNG基地においても中央監視室の免震化や停電時の電源供給、津波発生に対応できる施設として近代的な熱源供給基地となっており、省エネルギー化や地球環境に寄与し、環境問題について考慮した取組もすばらしいと感じました。
 基地のご説明をして頂きました製造部長様始め関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

活動名『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

講師
アズビル㈱ ビルシステムカンパニー マーケティング本部
部長 福田 一成 講師
実施日平成26年(2014年)11月18日(火)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 久保 一昭
はじめに

 九州・沖縄地区では平成26年度の活動として、11月18日(火)に上記内容にて勉強会を開催致しました。 以下に概要の報告を致します。

福田講師 講演風景
講演内容

 テーマ 『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

  1.パブリックポリシーとは
    ● 戦後の経済政策俯瞰
    ● エネルギー政策の返遷と計装のビジネス
    ● 環境政策と計装のかかわり
      ・経済政策の返遷 高度成長期(1954年~1973年)
      ・経済政策の返遷 安定成長期(1974年~1991年)
      ・経済政策の返遷 バブル崩壊後の経済(1991年以降の経済について)
      ・コージェネ等常用発電機の自立運転の課題(ジェネマスターによる制御例の紹介)

  2.震災後のパブリックポリシー~省エネ・低炭素化・節電・事業継続政策と計装技術
      ・省エネ・環境パブリックポリシーの返遷と計装技術(BEMS・BASの返遷)
      ・震災後の節電がBEMSアグリゲーター政策を後押し
      ・BASによる停電発生時対応方法(復電制御・自家発負荷配分制御など)
      ・電力負荷パターンによる効果的な節電対策(ムダをなくす節電と、ピークをシフトする、さらにピークにがんばる節電の組み合わせで効率的な節電対応が出来る。
       →クラウドサービスでの電力負荷パターンサービスが有効)

  3.これからの政策~省インフラとは→動き始めた省インフラ政策
      ・モノのサービスの市場が縮小するシナリオを想定しておくことが重要
       (国内空洞化→2020年は縮小する現実に沿った対応のはじまり)
      ・さらに迫る朽ちるインフラ問題(危機に対し一部の行政では「省インフラ」が始まっている。
      ・行政は減少する予算で増大する更新需要をまかなうジレンマに陥っている
       (更新に際し機能維持を最優先にし、ストックを大幅に減らし維持費を削減する工夫が必要)
      ・省インフラの手法:3階層マネジメント(施設を維持するのではなく、機能を維持する考え方、公と民の連携が必須)
       ① 1層→全域→広域化
       ② 2層→地域→多機能化→不動産有効活用
       ③ 3層→地区→ソフト化
      ・インフラ長寿命化計画(地方公共団体への展開→省インフラへの誘導)
      ・省インフラの基本手順
       ① インフラの 洗い出し
       ② 広域化、多機能化、ソフト化等対策検討
       ③ 上記を踏まえての長期更新維持計画の策定(指針では10年以上となったが、理想は30年)
      ・省インフラ時代に必要とされる計装技術
       ① 多機能化・分散処理
       ② 分散処理・バーチャル化
       ③ ランニングコストの低減
         *BASは施設の多機能化・分散処理を支援する
      ・遠隔計装技術は施設管理のバーチャル化を支援する
       (広域ビル管理ネットワークサービス→アズビル㈱製品)

  4.次世代計装技術の展望
      ・BAS(BEMS)の進化型としてCEMSクラスター型エネルギーマネジメントシステム
      ・スマートグリッドにおけるBASの役割
      ・EV充(放)電システム管理方法によるビル側対応
        *EVテレマティクスデータの活用事例紹介
      ・今後ニーズが高まる計装サービス
        *Web型建物設備管理支援システム(遠隔センターやアプリケーションなどの投資が不要)
        *エネルギー・室内環境データの管理サービス(インターネット環境とパソコンがあれば、新たな設備投資や専門のエンジニア無しですぐ始められる)
        *BIM(Building Information Modeling)への対応

受講風景
所 感

  今回の勉強会では、時代の流れを背景に分かりやすくパブリックポリシーについて説明していただき、とても理解しやすかったと思います。また、省エネをベースとする計装サービスが計装におけるビジネスチャンスになりうるなど、興味深く拝聴しました。
  ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました福田講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

① 『空調自動制御のチェックポイント』 ② 『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

活動名① 『空調自動制御のチェックポイント』
② 『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』
講師
①三機工業㈱ 建築設備技術本部 副本部長
   助飛羅 力 講師
② ジョンソンコントロールズ㈱ プロダクトマーケティング本部
   桧山 達哉 講師
実施日平成25年(2013年)11月12日(火)13:30~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者29名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 橋本 重広
はじめに

 九州・沖縄地区では平成25年度の活動として、11月12日(火)に上記内容にて勉強会を開催致しました。
以下に概要の報告を致します。

講演内容

 テーマ ① 『空調自動制御のチェックポイント』

  1.全体
   ①設計仕様の確認
     ・温湿度設計条件、温湿度の変動幅の条件
   ②客先仕様の有無の確認
     ・制御回路の電圧指定、信号等の外部取出し方法、ランプの表示色、独自の計装図の表示方法

  2.機器まわり
   ①計装設計の表示
     ・調節器の設定値を明示する、空調機器表との整合性、中央監視設備との整合性
   ②電気的インターロックの確認
     ・熱源周り、排気ファン周り、空調機周り
   ③冷凍機まわり
     ・台数制御時の冷凍機が停止しないか、台数制御時の冷水供給温度は変動する、冷凍機本体の冷水出口温度は変動する、冷凍機本体の温度制御サーモのトラブルが多い、冷凍機油のフォーミング、微少負荷時にポンプバイパス内の循環だけで温度が上昇することがある
   ④冷却塔まわり
     ・冷却水の温度範囲は(冷凍機によって異なる)、冷却水の水質管理は、冷却水の冬期の凍結防止対策は、冷却塔まわりの温度制御は
   ⑤ヘッダーまわり
     ・ヘッダー間バイパスの流れは、ポンプ台数制御とINVを併用していないか
   ⑥水槽まわり
     ・排水用水中ポンプ発停用のフロートスイッチ、電極棒の長さの設定は誰が?
   ⑦外気調和機まわり
    ・凍結防止用蒸気コイルの空気下流側温度分布、給排気バランスの崩れによる障害
   ⑧空調機まわり
    ・加湿蒸気がダクトに充満し吹き出し口より水滴が落下、加湿(水・蒸気)前後の空気状態は
   ⑨制御弁
     ・弁サイズは適切か、停電時の弁開度は、制御弁の流れ方向は適切か、制御弁上流のストレーナのメッシュ数は適切か、制御弁の位置、バルブの限界差圧に注意、制御弁は漏れる
   ⑩VAVの選定
     ・サイズ、給気温度は適切か、温度制御方法は適切か
   ⑪ファンコイルユニット
     ・FCUの冷凍自動切替が冬期にうまくいかない
   ⑫ビルマルチエアコン
     ・ビルマルの温度制御は吸い込み温度

  3.センサー
   ①センサーの仕様
     ・センサーの精度は、雰囲気空気の質は、導管の詰まりは、電力・熱量等を計量する場合の単位パルス数は適切か
   ②センサーの設置は
     ・温度の異なる空気の合流ダクト(配管)では合流後に温度分布が残り、場所による計測誤差が大きい
     ・配管ヘッダーでは計測点によって大きく温度差がある
     ・適切な挿入長は、適切な挿入長が確保できないときは、適切な挿入場所は
     ・流量計について、水流量計の上流、下流に整流用の距離は確保されているか
     ・流量計にはバイパスが必要か
     ・熱量(流量)の合計値は合わない

  4.盤、配線
   ①停電、瞬停時の動作は
     ・停電後に大容量機器が同時に起動すると突入電流により電気容量がオーバーする
     ・瞬停と瞬低の確認。瞬停でも手動復帰となる
     ・瞬停時にインバーターが100%運転となる
     ・復電時の運転順序の確認
   ②自動制御盤の構成は
     ・盤名称は、盤内のノイズ対策は、盤内の温度対策は
     ・盤内冷却用のファンの故障が多い
     ・信号の取り合いの種別確認は
   ③インバータのオプション設定は
     ・最低周波数、立上がり勾配は設定してあるか
     ・瞬停後の復帰動作は
     ・インバータの発熱対策は
   ④配線ルートは
     ・計装配線が動力配線からノイズを拾う
     ・インバータノイズ対策の具体例

  5.保守契約は
     ・自動制御機器には寿命がある
     ・センサー類は校正が必要
     ・機器本体のセンサーとの誤差

助飛羅講師 受講風景

 テーマ ② 『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

  1.IT(information technology)の基礎
   ①コンピュータ通信における基礎
     ・情報量の単位、bit、byte
     ・通信、片方向通信、半二重通信、全二重通信
     ・用語、http、Ethernet、Tcp/Ip、パケット、IPv4、IPv6、オブジェクト
     ・プロトコル
     ・OSI参照モデル
   ②ビルの中で使われるプロトコロについて
     ・代表的なプロトコルの比較
      CC-Link、DeviceNet、Modbus、LonWorks、BACnet
     ・BAシステムの概念 クローズドシステム、オープン化システム
     ・BAで構成されるシステム BACnet+LonWorks
     ・BACnetの変遷
     ・LonWorksの特徴、変遷
     ・ジョンソンコントロールズ・フィールドバスの比較
     ・新たな時代のオープンシステム
   ③BACnetについて
     ・BACnetとは?、世界的な規模は?、日本では?
     ・BACnetの特徴
     ・BTL:BACnet Testing Laboratories 認証機関
     ・BTL認証のカテゴリ
     ・JC製BACnetデバイス
     ・BACnet IDを持つ日本の企業、団体の一覧
     ・BACnet MS/TPでオープン化の選択肢が広がる
   ④オープン化について
     ・市場環境・動向:多棟管理全体統合化イメージ(標準化)
     ・スマート・コミュニティの必要性
     ・次世代の社会システム構築
     ・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル )

桧山講師 受講風景
所 感

 今回の勉強会では、空調自動制御のチェックポイントについて現場の実務に沿った内容で具体的に説明していただき、とても理解しやすかったと思います。
 また、BAを計画するにあたり必要な基礎知識やネットワークについての説明などもわかりやすく、興味深く拝聴しました。
 最後にご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました助飛羅講師、桧山講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

沖縄地区特別講演会報告

実施日平成21年 7月 3日(金)15:00~18:00
テ ー マ第一部「最近の建設行政の動向」
第二部「プラントの計装工事」
講師第一部 国土交通省総合政策局建設市場整備課
     企画専門官 佐藤 雅保 講師
第二部 計装士会代表幹事 株式会社 三興
     元橋 和之 講師
会場沖縄コンベンションセンター (沖縄県宜野湾市)
参加者
92名
主催
(社)日本計装工業会
協賛計装士会
報告者計装士会事務局長 清水 通利
はじめに

講演会の主な内容

今回の特別講演会は、(社)日本計装工業会では沖縄県において初めて開催され、悪天候にも拘らず多数の参加者で盛大に行われました。
また、特別講演会終了後、引続き隣設の会場で懇親会が、沖縄県電気工事業工業組合理事長 徳元様、ヤシマ工業(株)会長島袋様を始め多数の方々のご出席を頂き盛大に開催されました。

第1部 「最近の建設行政の動向」

始めに「建設業の現状と課題」で建設業をめぐる厳しい環境について触れ、建設業の関係者は法令を順守することが必要であることを強調された。
 次に国土交通省の法令遵守の過去の取組、体制の強化について説明され、その中で建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則が特に重要であると強調、その内容は「建設工事の請負契約の当事者は各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない」となっております。
 この後、建設業法令遵守ガイドライン…元請負人と下請負人の関係に係る留意点…について詳細な内容の講演がありました。
 主な項目は、見積条件の提示、書面による契約締結、不当に低い請負代金、指値発注不当な使用材料等の購入強制、やり直し工事、工期、帳簿の備付け及び保存、関係法令などで、時間をかけて全体を解りやすく説明されました。
 以上のような講演でしたが、特に建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則が重要であると指摘されたのが印象に残りました。

企画専門官 佐藤 雅保 講師

第2部 「プラントの計装工事」

講師の工事の実務経験に基づいて特にプラントの計装工事を幅広く、詳細かつ分かりやすく述べられました。
 内容は、計装工事の歴史より始まり、工事範囲(導圧配管、計装配線、供給空気配管、計器室内等の工事、接地工事など)では、工事上から解りやすく説明がありました。
 次に測定技術の原理から工業計器の将来、計装工事の難しさ、失敗の対処法、海外工事の特徴、注意点などについて経験を基に話をされたので納得した内容でした。
 以上の内容から聴講者の関心は特に高かったようで、参加者には身近な問題として非常に有意義な講演だったと感じられました。

計装士会代表幹事 ㈱三興 元橋 和之 講師
受講風景

おわりに

今回の沖縄での特別講演会では沖縄コンベンションセンター、沖縄県電気工事業工業組合、沖縄県電気管工事業協会、ヤシマ工業(株) 、(株) 沖電システム殿を始めとして関係各位皆様のご協力、ご援助を頂き厚く御礼申し上げます。

以  上