カテゴリー
活動報告(四国)

1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター 2. アサヒビール株式会社 四国工場

活動名1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
2. アサヒビール株式会社 四国工場
実施日平成30年(2018年)2月8日(木) 8:20~18:30
場所1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
   香川県観音寺市瀬戸町
2. アサヒビール株式会社 四国工場
   愛媛県西条市ひうち
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
1.はじめに

(1)一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
  (ワクチン工場内は撮影不可)

   管理棟の会議室でBIKENグループの沿革として、1934年に現大阪大学微生物病研究所が微生物病の基礎研究を行い、その応用研究とワクチン等の製造、検査、供給を阪大微生物病研究会(BIKEN財団)が担うという「大学発ベンチャー」からスタートし、2017年に田辺三菱製薬株式会社と、ワクチン製造の生産基盤の強化を目指し株式会社BIKENという合弁会社を立ち上げたという説明がありました。
   観音寺地区には、瀬戸センターのほか、八幡事業所などがあり、八幡事業所でインフルエンザワクチン等を製造し、その充填、検査、包装、出荷の一部を瀬戸センター側で行っているとのことです。BIKENグループの事業としては、このワクチン生産・供給のほか、ワクチン研究・開発、学術助成、検査事業を「病の不安からの解放されたすこやかな未来をめざして」をスローガンに進めていくとの説明がありました。
   その後、場所を製造棟などに移して、ワクチン工場を見学しました。瀬戸センターでのワクチン生産開始は2019年度を予定していること、インフルエンザワクチン生産のピークは、夏場で生産が完了していることなどから、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、培養器反転装置などのワクチンの開発・製造にかかわる設備や充填装置や検査装置などを確認することが出来ました。また、容器に充填した後の検査工程では、機械よりも人による検査が後工程にあり、機械よりも精度の高い検査を人が目視で行っていることに驚くとともに1人が1000本を1時間で検査しているということ、検査は独自の適性試験に合格した者だけが行い、検査員は全て女性で男性には適正がないということに2度驚かせられました。

見学者集合写真 (管理棟 1F)
机上説明会 (管理棟 3F 会議室)

(2)アサヒビール(株) 四国工場(撮影可)

   エントランスホール1Fに計装士会以外の見学者と一緒に集合した後、長いエスカレータで3Fに上り映写室に移動して、見学者向けPRビデオを見たのち、見学専用コースでビール製造の各工程および設備、環境保全への取組等を確認しました。
  ビールの主原料は、大麦、ホップ、水で、大麦に副原料の米、コーン、スターチを加えて煮て、麦汁を製造し、これにホップで香りと苦みを加えたのち、ビール酵母で発酵させ、麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて若ビールとなります。その若ビールをさらに熟成したあとに、丁寧にろ過すると、ようやく黄金色に輝く生ビールになるそうで、完成までにおよそ1ヵ月を要するとのことです。
  発酵・熟成タンクは、直径6m×高さ20mで1本に500kLのビールが入っていて、四国工場には、80本のタンクがあり、発酵状態などを常に監視して、最適な発酵状態を維持するため0.1℃単位の制御を行っているとの説明がありました。また、毎日できあがったビールは専門の担当者が実際に試飲する官能検査を行っており、自社と他社のビールの違いや、製造してから時間が経ち劣化した味などを判別する独自の資格試験で選抜された担当者が、午後4時から1時間だけ検査を行い、そのメンバー向けの専用の送迎もあるそうです。
   出来上がったビールはパッケージングの工程で、缶、瓶、樽ごとに専用の設備で詰められて入味(いりみ)検査機で厳しい検査を行い、ケース詰めして出荷しています。缶詰機は、毎分1500本のスピードで缶詰を行っており、目にもとまらぬ速さで、ビールをそそぎ、缶内部に 空気が入らないよう泡が残らないよう泡を飛ばしながら蓋をするという一連の動作を行っているとの説明がありました。この装置が実際に動いている様子を見ていると、出来上がった缶ビールが確認できないくらいのスピードで流れており、もの凄い装置だという思いと、当たり前のように日常的に動いていることに不思議な感覚を憶えました。
   また、環境保全へ取組として、ゴミは出さすリサイクルしており、モルトフィード(仕込みで使った麦芽の殻皮)は家畜の飼料など、余剰酵母は食品や薬品の原料、ガラス屑類は再生ビンや建材など、アルミ屑はアルミ缶や電気製品などに100%再資源化するとともに、水源地の森資源活動などに取組んでいるとの説明もありました。

見学者集合写真(エントランス 1F)
3F 映写室
缶ビールを生産する缶詰機
環境保全へ取り組みの説明様子
おわりに

  四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催で、今年は、特に前週から寒さが厳しくなっており、場合によっては雪が降る可能性なども心配をしておりましたが、見学会当日は一日中ずっと晴れて見学会日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営にご協力いただきまして誠に感謝しております。
  今回は、観音寺市でワクチン工場と西条市でビール工場を見学してきました。ワクチン工場は、まだ、製造工場としての稼働は先で、出来上がったワクチンの充填~出荷までを行っているとの話でしたが、ワクチン製造のピークの時期を過ぎているため、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、その後のビール工場を見学した際に、設備構成が似ていると感じました。製造する製品が、ワクチンとビールで、全く違う分野の物ですが、タンクで培養または発酵させるために、タンク内の温度を測定して、温度を制御し、工程が完了したら、ろ過精製して製品にする。この過程が良く似ていて、取扱う対象や温度、制御する精度などに違いはあるものの、大きく見れば同じような設備であり、監視や制御も同じように行っており、どちらも計装士が活躍できる場になるとと感じました。
  参加者の皆様におかれましては、普段は、なじみのない現場などの見学が、直接的・間接的に、皆様のお役に立つ何かを見つけて頂く機会となれば幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
  最後に今回の見学会にご多忙な中、ご協力いただいた一般財団法人阪大微生物研究会観音寺研究所 瀬戸センターおよびアサヒビール株式会社 四国工場の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことを祈念いたします。

以 上