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活動報告(四国)

① 石丸製麺株式会社 ② 四国電力株式会社 坂出発電所

活動名① 石丸製麺株式会社
② 四国電力株式会社 坂出発電所
実施日令和元年(2019年)11月22日(金) 8:20~16:20
場所① 石丸製麺株式会社
   香川県高松市香南町岡 701
② 四国電力株式会社 坂出発電所
   香川県坂出市番の州町 2
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 森 敬二
1.はじめに

 今回の見学コース検討にあたっては、香川県といえば「うどん県」と言うことでうどん工場がいいかなと思い、革新的な製造技術に取り組んでいる石丸製麺㈱の見学を決めました。また会員になじみが深く業務にも関係する発電設備として隣市の四国電力㈱坂出発電所の見学を計画しました。

2.見学内容

 (1)石丸製麺株式会社

 石丸製麺㈱は、1904年、昔から小麦が盛んだった「高松市香南町」に創業者 石丸好太郎が開いた乾麺製造業から始まりました。その後、製粉業を開業し、以来、乾麺製造設備への積極的な投資や技術の向上に努めてきた会社です。
 工場が第1~第3工場までありますが、今回は第3工場を見学しました。
 まず、1Fエントランスホールの直径5mの水車の前で概要説明がありました。引率して頂いた説明者は、代表取締役社長である石丸氏です。
 次に2F展示ホールに移動、讃岐うどんの歴史や製造工程について、明るく開放的な空間の中で、楽しみながら石丸製麺を知ることができ、手打ちの技術を機械技術で実現した最先端の製造工程を見ることができました。
 その後、3F包装工程・讃岐うどんギャラリーで原材料である小麦や小麦の製法についても学ぶことができました。
 最後に、うどん試食。国産小麦100%の麺を堪能し、お買い物コーナーでは工場でできた製品を買うことができました。

概要説明
麺圧延器
集合写真

 (2) 四国電力株式会社 坂出発電所

 坂出発電所は、石油・天然ガス・コークス炉ガスを燃料とした火力発電所であり、四国の電力消費の変動を調整されております。発電機出力は、1~4号機で138.5万キロワット。
 まず、PRセンターで発電所紹介DVDを視聴後、合田センター所長による発電設備の模型を用いて発電方法の概要説明、その後発電所内を見学させて頂きました。
 発電所敷地面積は約36万平方メートル(甲子園球場の約9倍)のため、発電所のバスにて移動、このバスは発電所所員の通勤バスとしても活用されているそうです。
 最初は2号発電設備(2016年8月運開)の外観、淡いブルーの色彩が印象的でした。
  次に構内を一周しながら取放水・油タンク設備、煙突などを車窓見学しました。
 この後、中央制御室では運転員の勤務体制から発電設備の運転の様子を伺うことができました。運転の中心部であり、非常に興味深く見学させて頂きました。
 そして、旧1号ボイラの最上階、廻りの工場地域も見渡せます。
 最後に、PRセンターに戻り質疑応答の場を設けて頂き、制御装置のメーカやトラブル頻度等の質問に答えて頂きました。

概要説明
旧1号機タービン(実物)前集合写真
2号機コンバインドサイクル発電機
3、4号機制御室
おわりに

 お忙しい中、ご参加いただいた会員の皆様と見学案内していただきました石丸製麺㈱ならびに四国電力㈱坂出発電所の方々には深く感謝いたします。

以 上

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活動報告(四国)

『在室者の気持ちに寄り添う新ししい空調計装の世界』

活動名『在室者の気持ちに寄り添う新ししい空調計装の世界』
講師
福田 一成 講師
 アズビル㈱ビルシステムカンパニー
 マーケティング本部 シニアアドバイザー
実施日令和元年(2019年)7月25日(木)13:45~16:30
場所サンポートホール高松 51会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事代理 山崎 雅猛
はじめに

 四国地区では、令和元年度上期の地区活動として、7月25日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

講習内容

 テーマ:『在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界』 下記の4つの話題に分け、空調システムのクラウド化、空調センサーの高度化、空調対象の個人化等について、専門的な見地から丁寧に解説、ご教授いただきました。

 ① 新しい空調計装のためのBEAMS要素技術
 ② パーソナル温冷感情報による空調制御
 ③ 個人が選択する温冷空間
 ④ さらに気遣いあふれるおもてなし制御

福田講師
福田講師
勉強会の様子
所 感

 講師の福田様には、2年ぶりに講演をしていただきました。
 今回は、新しい空調計装ということで、より快適な健康で、生産性向上に寄与する空調制御システムの最新動向について講演でした。
 特に印象的なお話は、制御システムがクラウド化され、空調システムメーカの領域が侵されつつあることや、温度制御から体感制御に移りつつあるというお話でした。
 また、最後に空調計装のお話とは異なりますが、インフラ老朽化・人口減少・高齢化・財政難の中、持続可能なインフラ・公共サービスの在り方についてお話があり、大変興味深く、聞かせていただきました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・ご解説を頂きました福田様に厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(四国)

① 四国乳業㈱ 本社工場  ② ㈱井関 松山製造所

活動名① 四国乳業㈱ 本社工場
② ㈱井関 松山製造所
実施日平成30年(2018年)11月15日(木) 8:00~18:30
場所① 四国乳業㈱ 本社工場
   愛媛県東温市南方1055-1
② ㈱井関 松山製造所
   愛媛県松山市馬木町700
参加者21名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 藤田 勝治
1.はじめに

 今回の見学コース検討にあたっては、現在、下町ロケットの新シリーズで脚光を浴びている農業機械の製造を見学しようと思い、愛媛県松山市にある (株)井関松山製造所の見学と隣接する東温市で製造から出荷までをコンピューターで集中制御している四国乳業(株)本社工場の見学を計画しました。

2.見学内容

 (1)四国乳業(株)本社工場

   四国乳業(株)は、生乳生産者団体を中心に、生産者自らが運営する工場として、昭和41年に設立された四国唯一の農協プラント系乳業メーカーです。品質管理を徹底するため、アメリカのNASAで考え出された衛生管理システムHACCP(ハセップ)を業界内ではトップを切って導入しています。また、本社工場では、1日約140トンの生乳を牛乳や乳製品に処理加工しています。
   まず、工場棟の会議室においてパワーポイントによる本社工場の概要説明があり、その後工場内の見学をさせて頂きました。
  2階面の見学通路から1階面にある製造ラインが見学できるようになっており、各種製品が各々のラインで製造され、次々に出荷口に出てきている様子を見学することができました。
   製品の殺菌、温度管理、容器詰め、出荷検査、設備の洗浄等、製造から出荷までの一連の作業を全てコンピューターで集中制御しており、徹底した品質・衛生管理と、効率化・省力化を実現していることがよくわかりました。
  また、牛乳の効果についても説明があり、ダイエットや精神安定、高血圧の予防、免疫力の向上等にも良いそうです。

概要説明     
牛乳のできるまで
集合写真

 (2) (株)井関松山製造所

   井関松山製造所は、トラクタ、芝刈機、耕運機、乾燥機、エンジン等を製造しており、工場内では、エンジン・トランスミッション等の主要部品の鋳造からプレス加工、塗装、組立を一貫して行っています。また、敷地内には、トレーニングセンターやトマトやパプリカの植物工場もありました。 
   まず、会議室で田坂社長よりパワーポイントによる概要説明があり、その後、工場内を見学させて頂きました。
  工場内では、主要部品の鋳造作業、コンピューター制御の最新鋭工作機械やプレス機、3次元レーザー加工機を使った機械加工作業、塗装・乾燥作業、エンジンや本体の組立作業等の一連の工程を案内して頂き、大変興味深く見学させて頂きました。
  内製比率は25%程度とのことでしたが、コア部分を内製化し、鋳造から機械加工、最終組立まで工場内で一貫して製造していることや、国内・海外向けの多品種少量生産を色々工夫して実現していることがよくわかりました。
  工場見学後のドリームギャラリーでは、ICT技術等を活用した最新鋭の農業機械の運転席に座ったり、懐かしい農業機械を見たりと、参加者一同、時間を忘れて楽しんでいました。

概要説明
集合写真
ICT機能搭載トラクタ
懐かしのトラクタ(S38年製)
おわりに

 お忙しい中、ご参加いただいた会員の皆様と見学案内していただきました四国乳業(株)本社工場ならびに(株)井関松山製造所の方々には深く感謝いたします。

以 上

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活動報告(四国)

『振動と計測(計装)機器』

活動名『振動と計測(計装)機器』
講 師
田村 純 講師
 三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業所 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)7月18日(水)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 51会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者23名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 藤田 勝治
はじめに

 四国地区では、平成30年度上期の地区活動として、7月18日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

 テーマ:『振動と計測(計装)機器』
   下記の5つの話題に分け、振動の表し方、振動センサーの計測原理、振動のトレーサビリティーの担保、可搬型の振動計校正装置等のタービン監視計測機器の校正装置、計装機器の加振試験等について、専門的な見地から丁寧に解説、ご教授いただきました。
  ① 振動とは
  ② 振動センサー
  ③ 振動の計測と校正
  ④ 可搬型低周波振動計校正装置
  ⑤ 3.11と加振試験

田村講師

勉強会の様子

勉強会の様子

所 感

 講師の田村様には、昨年に引き続き今年も講義をしていただきました。
 今回は、3.11の地震後、BWR原発では発生水素ガスベント(排気)システム関係の計装機器、電気機器の振動試験を3.11を考慮した形で行う必要が生じ、メーカー殿から依頼されて加振試験を担当されたこと等から、『振動と計測(計装)機器』と題して振動計測に関して詳しくご紹介いただくとともに、加振試験の映像や写真を交えながら、加振試験の苦労話や注意点、計測機器の地震に対する弱点個所等について貴重なお話を聞かせて頂き、大変勉強になりました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・ご解説を頂きました田村様に厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(四国)

1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター 2. アサヒビール株式会社 四国工場

活動名1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
2. アサヒビール株式会社 四国工場
実施日平成30年(2018年)2月8日(木) 8:20~18:30
場所1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
   香川県観音寺市瀬戸町
2. アサヒビール株式会社 四国工場
   愛媛県西条市ひうち
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
1.はじめに

(1)一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
  (ワクチン工場内は撮影不可)

   管理棟の会議室でBIKENグループの沿革として、1934年に現大阪大学微生物病研究所が微生物病の基礎研究を行い、その応用研究とワクチン等の製造、検査、供給を阪大微生物病研究会(BIKEN財団)が担うという「大学発ベンチャー」からスタートし、2017年に田辺三菱製薬株式会社と、ワクチン製造の生産基盤の強化を目指し株式会社BIKENという合弁会社を立ち上げたという説明がありました。
   観音寺地区には、瀬戸センターのほか、八幡事業所などがあり、八幡事業所でインフルエンザワクチン等を製造し、その充填、検査、包装、出荷の一部を瀬戸センター側で行っているとのことです。BIKENグループの事業としては、このワクチン生産・供給のほか、ワクチン研究・開発、学術助成、検査事業を「病の不安からの解放されたすこやかな未来をめざして」をスローガンに進めていくとの説明がありました。
   その後、場所を製造棟などに移して、ワクチン工場を見学しました。瀬戸センターでのワクチン生産開始は2019年度を予定していること、インフルエンザワクチン生産のピークは、夏場で生産が完了していることなどから、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、培養器反転装置などのワクチンの開発・製造にかかわる設備や充填装置や検査装置などを確認することが出来ました。また、容器に充填した後の検査工程では、機械よりも人による検査が後工程にあり、機械よりも精度の高い検査を人が目視で行っていることに驚くとともに1人が1000本を1時間で検査しているということ、検査は独自の適性試験に合格した者だけが行い、検査員は全て女性で男性には適正がないということに2度驚かせられました。

見学者集合写真 (管理棟 1F)
机上説明会 (管理棟 3F 会議室)

(2)アサヒビール(株) 四国工場(撮影可)

   エントランスホール1Fに計装士会以外の見学者と一緒に集合した後、長いエスカレータで3Fに上り映写室に移動して、見学者向けPRビデオを見たのち、見学専用コースでビール製造の各工程および設備、環境保全への取組等を確認しました。
  ビールの主原料は、大麦、ホップ、水で、大麦に副原料の米、コーン、スターチを加えて煮て、麦汁を製造し、これにホップで香りと苦みを加えたのち、ビール酵母で発酵させ、麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて若ビールとなります。その若ビールをさらに熟成したあとに、丁寧にろ過すると、ようやく黄金色に輝く生ビールになるそうで、完成までにおよそ1ヵ月を要するとのことです。
  発酵・熟成タンクは、直径6m×高さ20mで1本に500kLのビールが入っていて、四国工場には、80本のタンクがあり、発酵状態などを常に監視して、最適な発酵状態を維持するため0.1℃単位の制御を行っているとの説明がありました。また、毎日できあがったビールは専門の担当者が実際に試飲する官能検査を行っており、自社と他社のビールの違いや、製造してから時間が経ち劣化した味などを判別する独自の資格試験で選抜された担当者が、午後4時から1時間だけ検査を行い、そのメンバー向けの専用の送迎もあるそうです。
   出来上がったビールはパッケージングの工程で、缶、瓶、樽ごとに専用の設備で詰められて入味(いりみ)検査機で厳しい検査を行い、ケース詰めして出荷しています。缶詰機は、毎分1500本のスピードで缶詰を行っており、目にもとまらぬ速さで、ビールをそそぎ、缶内部に 空気が入らないよう泡が残らないよう泡を飛ばしながら蓋をするという一連の動作を行っているとの説明がありました。この装置が実際に動いている様子を見ていると、出来上がった缶ビールが確認できないくらいのスピードで流れており、もの凄い装置だという思いと、当たり前のように日常的に動いていることに不思議な感覚を憶えました。
   また、環境保全へ取組として、ゴミは出さすリサイクルしており、モルトフィード(仕込みで使った麦芽の殻皮)は家畜の飼料など、余剰酵母は食品や薬品の原料、ガラス屑類は再生ビンや建材など、アルミ屑はアルミ缶や電気製品などに100%再資源化するとともに、水源地の森資源活動などに取組んでいるとの説明もありました。

見学者集合写真(エントランス 1F)
3F 映写室
缶ビールを生産する缶詰機
環境保全へ取り組みの説明様子
おわりに

  四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催で、今年は、特に前週から寒さが厳しくなっており、場合によっては雪が降る可能性なども心配をしておりましたが、見学会当日は一日中ずっと晴れて見学会日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営にご協力いただきまして誠に感謝しております。
  今回は、観音寺市でワクチン工場と西条市でビール工場を見学してきました。ワクチン工場は、まだ、製造工場としての稼働は先で、出来上がったワクチンの充填~出荷までを行っているとの話でしたが、ワクチン製造のピークの時期を過ぎているため、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、その後のビール工場を見学した際に、設備構成が似ていると感じました。製造する製品が、ワクチンとビールで、全く違う分野の物ですが、タンクで培養または発酵させるために、タンク内の温度を測定して、温度を制御し、工程が完了したら、ろ過精製して製品にする。この過程が良く似ていて、取扱う対象や温度、制御する精度などに違いはあるものの、大きく見れば同じような設備であり、監視や制御も同じように行っており、どちらも計装士が活躍できる場になるとと感じました。
  参加者の皆様におかれましては、普段は、なじみのない現場などの見学が、直接的・間接的に、皆様のお役に立つ何かを見つけて頂く機会となれば幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
  最後に今回の見学会にご多忙な中、ご協力いただいた一般財団法人阪大微生物研究会観音寺研究所 瀬戸センターおよびアサヒビール株式会社 四国工場の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことを祈念いたします。

以 上

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活動報告(四国)

『計測・校正における不確かさの意味』

活動名『計測・校正における不確かさの意味』
講 師
田村 純 講師
 三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業所 校正技術部 部長
実施日平成29年(2017年)7月14日(金)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 62会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
はじめに

 四国地区では、平成29年度上期の地区活動として、7月14日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

  ① 計測と精度
    ・計測と計量の用語や計測の意味
    ・直線性の評価が大切
    ・まちがえやすい言葉「繰り返し性」、「再現性」
    ・精度は、正確さ(カタヨリ)と精密さ(バラツキ)の度合いを示す。
    ・メーカーは設計基準でカタログ精度を決定するが、ユーザーは自分たちの使用環境で計測した時の性能が知りたい。

  ② 計測と校正
    ・計測(測定)は目盛の無いモノに目盛を付け、校正は付けられている目盛の検証である
    ・校正とは計器の性能評価や性能保証する行為ではない
    ・保全(メンテナンス)は製造工程の計器を信頼ある状態にすることで、校正(キャリブレーション)は計器の履歴データの特性の検証
  ③ 初めての不確かさ
    ・不確かさとは、確かでない程度のこと
    ・不確かさのイメージ
     名人の結果:的の中心(上位標準値)に近く(カタヨリが小さく)集まって(バラツキが小さく)当たっている。
     初心者の結果:一応、的の中心を狙っているがカタヨリが大きくバラツキも大きい。
    ・真値は存在しないので、誤差は求められない
    ・不確かさ評価では、なるべく信頼性の高い(≒真の値?)校正値を求め る努力をする
    ・不確かさとは、バラツキの存在を仮定して、測定や校正を考えようという「約束」事。

  ④ 不確かさの使い方
    ・不確かさの悪い使い方
     「このデジタル温度計は○○○の不確かさをもっていた。」
    ・正しい使い方
     「このデジタル温度計は「校正証明書」に記載してある条件では100.00℃ と表示したときに0.03℃の『不確かさ』を持っていた。

  ⑤ 校正結果の見方
    ・校正値は多くの観測値(採取データ)の「平均値」
    ・観測値は少なからずバラついており、バラツキ量を統計的に処理して、数値化したものが「不確かさ(数値)」になり、校正値の信頼性の目安となる。

  ⑥ 試験、検査と校正
    ・計測、校正から検査・試験へ
     標準器を用いて対象計測器を計測、校正すると、不確かさを伴った計測、 校正データが得られる。そのデータを適合性評価基準(客先要求、メーカ ー仕様、誰もが認める基準)で合否判断して、適合性評価
     書の試験・検査 データとする。

  ⑦ ISO9001-2015
    ・2015年度版では、証拠書類ではなく、何故、その数値にしたのか? 何 故、そのアウトソースを選んだのか、理由を求められる。

田村講師
勉強会の様子
所 感

 講師の田村様は、三興コントロール株式会社 計測制御サービス事業部校正技術部の部長で、計測・校正分野に日本で初めて不確かさ(Uncertainty)という概念を持ち込んだご本人であり、校正に必要な機器は、無ければ開発している部門の長でもあられ、仕組みや規格を作る側にも精通していらっしゃいます。
 その田村様に今回は、「計測、校正における不確かさの意味」と題して新概念の「不確かさ」についてご紹介いただくとともに、これまでの精度や誤差との違いおよび「不確かさ」の使い方などについて、内容の濃いご講演を頂きました。
 計測や校正において「不確かさ」という用語を最近、聞くようになりましたが、誤差や精度と、どう違うのか、どういう概念なのか、気になってはおりましたが、良くは知りませんでした。
 今回の勉強会で良くわかったというには、難しい概念ですが、「不確かさ」とは、計測値や校正値の信頼性を示すための指標で、カタヨリが小さくバラツキが小さい=不確かさが小さく信頼性が高いということ、また、校正とは、ある標準的な環境で、計測器が標準器と比較してどの程度の測定ができているのかを確認するところまでで、計測器の調整は含まないことがわかり、今まで勘違いしていたことも明らかになりました。
 今回の講演を聞いて、現在のグローバル化の流れの中で、日本でも「不確かさ」の概念が校正や計測の分野で当たり前になっていくとともに、校正結果を踏まえて、より現実的な計測器の管理精度を、使用環境に合わせて自主的に設定、管理することが求められるようになっていくと感じました。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず講師をお引き受けいただいた田村様に厚くお礼申し上げるとともに、講師ならびにご参加いただいた皆様の今後とも益々のご活躍をご祈念致します。

以 上

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活動報告(四国)

1. JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 (倉敷地区)  2. 三菱自動車株式会社 水島製作所

活動名1. JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 (倉敷地区)
2. 三菱自動車株式会社 水島製作所
実施日平成29年(2017年)2月9日(木) 8:30~18:00
場所1. JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 (倉敷地区)
   岡山県倉敷市水島川崎通
2. 三菱自動車株式会社 水島製作所
   岡山県倉敷市水島海岸通
参加者20名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
1.はじめに

 岡山県倉敷市にあるJFEスチール(株)西日本製鉄所(倉敷地区)および三菱自動車(株)水島工場を訪問しました。JFEスチール(株)西日本製鉄所(倉敷地区)は、鉄鋼の原料受入れから商品出荷まで行っており、福山地区との一体運用より世界一規模の鉄鋼生産を行っています。また、隣接する三菱自動車(株)水島工場は、自動車生産の主力工場の一つで、プレス工場から最終組み立て工場までの車作りの全工程作業を行っており、年間に軽自動車や海外向け普通車など約40万台を生産しています。

2.見学内容

(1)JFEスチール株式会社 西日本製鉄所(倉敷地区)(見学センターのみ撮影可)

  見学センターの大ホールで、西日本製鉄所として福山地区と倉敷地区を合わせた規模感や、倉敷地区について、製鉄所として発展した背景は「地盤がしっかりしていること」、「自然災害が少ないこと」、「水深の深い(17m)港があること(製品の7割強を船で出荷)」の3点があり、東京ドームの240倍、東京の千代田区と同じ広さに社員3300名を含め、9000名が働いているとの説明がありました。
  また、製鉄の各工程として高炉で銑鉄を取り出す「製銑(せいせん)」、銑鉄から硫黄やリンなど不純物および炭素を除去して鋼(はがね)とする「製鋼(せいこう)」、製鋼で造られたスラブ(鋼片)を1㎜以下の薄板から400㎜までの厚板に加工する「圧延(あつえん)」などについてビデオ上映等による説明を受けました。
  その後、バスに乗り黒くそびえ立つ高炉に向かい、一旦稼働をはじめたら18年間は停止することが無いという高炉の底から、銑鉄を貨車に流し込む様子をバスの中から見学しました。
  続いて、厚板を製造する圧延工場に移動し、工場内の見学通路で板厚ミルのローラー上でスラブを移動させながら上下に挟むローラーで圧力をかけ延して厚板製品に仕上げる様子を見学しました。厚みを1mm以下の精度でコントロールして最大幅5m超、長さ25m超までの厚板に全自動で仕上げている制御には、様々な経験やノウハウが盛り込まれていることは間違いないと感心しきりでした。

見学センター入り口
机上説明会 (大ホール)
圧延工程の説明画面
見学者集合写真 (圧延工場入口)

(2)三菱自動車株式会社 水島製作所(PRセンターのみ撮影可)

  PRセンター1Fで見学の諸注意を確認したのち各人がワイヤレスレシーバーや帽子を受取自動車組み立て工場に徒歩で移動し工場見学がスタートしました。スポット溶接等のロボット達が、プレス後の軽自動車のアンダーボディと左右側面のボディやドアを溶接・製作して各部を組み上げ、スポット溶接の火花を散らしながらボディ骨格を完成させていました。
  続いて、塗装が終わり出来上がったボディに、流れ作業でエンジンや足回り、内装、エクステリア等を組み付け完成車とする組立ラインを見学しました。これらの工程は、受注生産に対応しており受注仕様に合わせて異なる仕様の車が同じライン上で生産されています。
  工場内は、有人荷物運搬車のほか無人の荷物運搬車も数多く走り回っているほか、組立ラインでも、タイヤやガラスなどの重い部品を簡単な仕組みで精度良く短時間で組み付ける工程は、ロボットによる自動化が進められています。複雑な部品や作業にノウハウがあるような工程は人が作業を行っていますが、ロボット等による省力化の範囲はさらに広がっていくものと思われます。
  続いてPRセンターに戻り、2階の研修室で、水島製作所の生い立ちからの沿革や現在の概況などについて、ビデオ上映等による説明がありました。
  1946年に小型3輪トラックの生産を開始してから、1970年に三菱重工から三菱自動車に分離・独立し、エンジン組立工場や鋳物工場などもある稀有な一貫生産工場で、近年は、軽の電気自動車もガソリン車と同一のラインで混流生産しているとのことでした。

PRセンター1F 車展示
PRセンター2F 研修室
小型三輪トラック「みずしま号」
見学者集合写真 (PRセンター)
おわりに

 四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催で、天気予報では、雨の確立が高く、場合によっては雪が降る可能性があるなど心配をしておりましたが、工場見学をしている時間帯は、寒さが厳しくなることもなく、時折、日が射す落ち着いた天気でまあまあの見学日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営にご協力いただきまして誠に感謝しております。
 今回は、瀬戸大橋を渡り、対岸の岡山県倉敷市の製鉄工場と自動車工場を見学してきました。日本でも有数の工業地帯に位置する代表的な事業者の工場であり、どんな設備を見学できるのか楽しみにしておりました。
 JFEスチールでは、ローラーで挟んで圧延する板厚ミルを見学させていただき、赤いスラブが目の前のローラー上にあると10~20m程度離れているにも関わらず、熱が伝わってくるのがわかり、危険と隣り合わせの現場であることを実感しました。
 また、三菱自動車では、多くの産業用ロボットが導入されている最先端の製造現場を目の当たりにし、益々、いろんなものを測定して数値化し制御する計装技術が重要になってくると感じました。
 参加者の皆様におかれましては、普段は、なじみのない現場などの見学が、直接的・間接的に、皆様のお役に立つ何かを見つけて頂く機会となれば幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
 最後に今回の見学会にご多忙な中、ご協力いただいたJFEスチール株式会社 西日本製鉄所(倉敷地区)および三菱自動車株式会社 水島工場の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことを祈念いたします

以 上

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活動報告(四国)

『計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術』

活動名『計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術』
講師
福田 一成 講師
   アズビル㈱ ビルシステムカンパニー マーケティング本部 部長
実施日平成28年(2016年)7月22日(金)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 51会議室
  香川県高松市サンポート2-1
参加者25名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
はじめに

 四国地区では、平成28年度上期の地区活動として、7月22日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

  ① 再生可能エネルギーとは
    ・再生可能エネルギーの定義・意義
    ・我が国の再生エネルギー推進の歴史
    ・今後の導入と技術開発の見通し
  ② 各種再生エネルギーの特徴と課題
    ・再生可能エネルギー種類別普及量
    ・太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギー、太陽熱利用等の紹介
  ③ 再生可能エネルギー利用技術
    ・再生可能エネルギー導入に伴う系統課題
    ・対策技術(電源の出力調整、揚水式水力発電、蓄エネルギー等)
    ・スマートコミュニティによる需要側制御
  ④ 欧州最新事例
    ・リヨンスマートコミュニティ実証事業
    ・ドイツにおける太陽光・風力大量導入エリアでの需給制御
  ⑤ IoTの紹介とその利用による需要側制御と計装士の役割

福田講師

勉強会の様子

所 感

  講師の福田様がエネルギー資源学会で取り纏めを行っている「再生可能エネルギーの利用に関する調査研究」で調査された各種再生可能エネルギーの特徴や課題をご紹介いただくとともに、その課題に対応するための利用技術と、その中で計装士が携わっていける要素やエネルギー管理ビジネスについてご講演頂きました。
  これまで再生可能エネルギーという呼び方は、しっくりきていませんでしたが、今回、先生が説明された「枯渇性エネルギー(化石燃料、ウラン等の地下資源)に対する用語で、絶えず資源が利用される以上の速度で補充されて枯渇することのないエネルギー、非枯渇性を再生可能と訳した」という説明を聞き、ようやく判ったような気になりました。
  また、今回の講義では、再生可能エネルギーの種類が、多岐にわたることを紹介いただき、業種によっては、新しい知見が得られたのではないかと思います。
 震災後、発電における原子力比率を下げ、再生可能エネルギーの比率を高める政策としてFIT(再可能エネルギーの固定価格買取制度)が導入され、太陽光発電が大幅に増え、需給バランスに大きな影響を与えるようになりました。
  その対策としては、蓄エネルギー技術(揚水発電、蓄電池、水素貯蔵等)の利用や、需要側でのスマートコミュニティ化(蓄電池等の分散型エネルギーを含む需要側の高度な制御)などがありますが、 今回、欧州における最新事例としてフランスのスマートコミュニティやドイツの蓄エネルギーの実証事業を紹介いただき、その中で設備内の環境測定器類の設置や高度なエネルギーマネジメント制御装置の導入など、計装士が活躍できる場が多くあることがわかりました。今後、国内においても再生エネルギー等の対応設備が増えていき計装士の活躍の場が広がっていくことは間違いないと思いました。
  最後に、ご多忙中にもかかわらず講師をお引き受けいただいた福田様に厚くお礼申し上げるとともに、講師ならびにご参加いただいた皆様の今後とも益々のご活躍をご祈念致します。

以 上

カテゴリー
活動報告(四国)

日本地下石油備蓄株式会社 菊間国家石油備蓄基地

活動名日本地下石油備蓄株式会社 菊間国家石油備蓄基地
実施日平成28年(2016年)2月5日(金) 9:00~18:30
場所日本地下石油備蓄株式会社 菊間国家石油備蓄基地
  愛媛県今治市菊間町
参加者20名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
1.はじめに

 愛媛県今治市にある日本地下石油備蓄㈱ 菊間国家石油備蓄基地を訪問しました。

 日本地下石油備蓄㈱は、石油及び石油ガスの国家備蓄体制の維持を安全かつ効率的、機動的に実施し国家備蓄管理を担う独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から国家石油備蓄基地の操業管理を受託している会社の一つです。

 日本地下石油備蓄㈱が操業管理している国家備蓄基地が3ヶ所あり、その一つが菊間国家石油備蓄基地となります。地下岩盤タンク方式で150万kl、日本の消費量の約3日分の原油を備蓄しています。

2.見学内容

(1) 机上説明  

総合管理事務所の視聴覚室で、ビデオ上映等による地下岩盤タンク方式の解説および建設工事の竣工までの経過について説明を受けました。
  地下岩盤タンク方式について、これまでは不透水の岩盤でタンクを作って原油を保持しているという誤ったイメージを持っておりました。実際には、岩盤は花崗岩で節理を持った構造体のため、その周りに地下水で水圧をかけることにより、原油は流れ出ずに保持されるということがわかりました。地下岩盤タンク方式のモデル実験では、模型地下岩盤タンクの内面に沿って水が流れ込み(湧水という)、タンクの下部にたまっていく様子は、非常に印象的な映像でした。
  地下岩盤タンクの下部ピットには30cmの堰が設けられおり、これを超えてピットに溜まった湧水は、底水排水ポンプで汲み出して排水処理設備へ送られ、底水排水ポンプはレベルコントロールで自動運転を行っているそうです。 湧水を排出することは、非常に重要で予備ポンプも設置されていました。
  日本地下石油備蓄㈱は菊間基地のほか岩手の久慈基地と鹿児島の串木野基地の2ヶ所の国家石油備蓄基地の操業管理をしていますが、菊間基地は、民家や隣接する太陽石油のタンク群などに近いため、それらを避けて建設されたために、7本ある地下岩盤タンクの長さは、同一の長さではありません。(ちなみに他の2か所の基地の地下岩盤タンクは支障のない山の中に作られたため、すべて同じ長さで、全体が幾何学的に長方形の整った形状です。)
  菊間基地は、地域の理解と共生をはかるため、地域住民等を対象とした計画の説明会や工事中の現場見学会、地下岩盤タンク完成時の竣工式やコンサートなど、各種イベントを開催して地域との共生に努力をしています。
  1995年2月にオイルインが終了して21年が経過しますが、国内の石油エネルギーの供給が不足するような事態が生じたことがないため、これまで、国内で一度も備蓄原油の緊急放出をしたことはないそうです。
  原油は、元々地下深くで作られた化石燃料で、掘り出して溜め込んだものであるから性状は安定しており、原油の性状を分析して長期間貯蔵していても問題ないことを確認しているとのことです。

机上説明

(2) 施設見学(写真撮影は不可)

  現場の施設見学は、バスに乗り、地下岩盤タンク下部に生成するワックスやスラッジを溶かすための蒸気を作るボイラ設備や、地下岩盤タンク底部からくみ上げた微量油分を含む湧水を処理する環境保全設備、不燃性ガス製造設備、地上シフトタンク(3.4万kl×4基、タンカー又は地下岩盤タンクからの油を一次受け入れて計量するタンク)などを見学しました。
  その後、バスを降り、地下部のサービストンネルに入り、地下岩盤タンクの受け入れ・払い出し設備および各種測定を行う設備がある受払竪坑上部室を見学しました。
  この竪抗上部室では、実際に地下岩盤タンク部と同じ岩盤(花崗岩)に触れることができる箇所があり、地下水が滲み出している様子を確認することができました。
  また、サービストンネルや竪抗上部室などの形状の変位や定点距離の測定を行っており、建設後からの変化を観察して、地下岩盤タンクの安全性・安定性が継続していることを確認しているそうです。

地下岩盤タンク入口に設置の碑
見学者集合写真 (総合管理事務所前)
おわりに

 四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催ですが、今回は、気温が低いものの天候に恵まれ、まあまあの見学日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営へのご協力に感謝しております。
 今回は、四国地区内にある石油の国家備蓄基地の見学ということで、どんな設備を見学できるのか楽しみにしておりました。
 地上にある設備は、他でも見慣れた設備でしたが、地下エリアのサービストンネル内は、まさに秘密基地のような雰囲気で設置されている設備はすべて防爆仕様、例えば有線電話は昔ながらのダイヤル式など、この作業環境下では、作業を行う際に独特の作法を求められると感じました。
 参加者の皆様におかれましては、自社にない自分自身が知らない文化で動いている現場を見学する機会を得て、皆様の今後に、直接的、間接的にお役立て頂ける何かを一つでも見つけて頂ければ幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
 最後に今回の見学会にご多忙な中ご協力いただいた日本地下石油備蓄株式会社菊間事業所の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことをお祈りいたします。

以 上

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活動報告(四国)

『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

活動名『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』
講師
福田 一成 講師
   アズビル㈱ ビルシステムカンパニー マーケティング本部 部長
実施日平成27年(2015年)7月23日(木)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 64会議室
  香川県高松市サンポート2-1
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
はじめに

 四国地区では、平成27年度上期の地区活動として、7月23日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

  ① パブリックポリシーとは
     ・戦後の経済政策俯瞰
     ・エネルギー政策の変遷と計装のビジネス
     ・環境政策と計装のかかわり
  ② 震災後のパブリックポリシー~省エネ・低炭素化・節電・事業継続政策と計装技術
     ・震災前後のエネルギー政策の変化と省エネBEMS
     ・BASのエネルギーBCP対応
     ・東日本大震災時のクラウドデータによる電力需要分析と節電効果調査事例
  ③ 最新政策と計装~省インフラという技術
     ・省インフラとは
  ④ 動き始めた省インフラ政策
     ・省インフラを取り入れた公共施設総合管理計画
     ・国土強靭化と地方創生
     ・省インフラに求められる技術と人材
  ⑤ 次世代計装技術の展望
     ・BASおよびCEMS
     ・EV充電に対応するビル管理システム

福田講師
勉強会の様子
所 感

 講師の福田様が経済産業省等の省エネルギーなどに関する各種検討委員を歴任した際の、エネルギー管理システム等の計装ビジネスでは政策の影響が大きいとの経験に基づき、震災前後のエネルギー政策および環境政策の変化、国土強靭化、地方創生への取り組みなどを受け、今後展開が期待されるエネルギー管理ビジネスや省インフラへの対応などの計装ビジネスについてご講演頂きました。
 震災後の節電において施設内のエネルギー使用状況を見張るBEMSが節電ツールとして政策的に広まりましたが、これをBAS(ビル・オートメーション・システム)の一部として、停電発生時の復旧完了までの自動システムとしてエネルギー事業継続を実現できている事例を紹介頂きました。
 また、日本では、今後人口が減少し、モノもサービスも市場が縮小していくことになるが、行政は、減少する予算でインフラを維持するため、機能維持を最優先とし、施設を大幅に減らして維持費を削減する省インフラによりインフラ長寿命化を政策的に進めることになるという見解を紹介いただきました。
   省インフラの実現には、
    ・いろんな課題を知って繋ぐ人材
    ・異なる機能をシステム化していく人材
    ・モノではなく機能を中心に考える人材
 が求められており、計装屋には、そういう人が結構いるとの話を頂きました。
  今後、省インフラという新しい取り組みが普及すると、計装ビジネスの業務範囲が広がるとのお話で、計装ビジネスの更なる発展に期待が持てるご講演でした。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず講師をお引き受けいただいた福田様に厚くお礼申し上げるとともに、講師ならびにご参加いただいた皆様の今後とも益々のご活躍をご祈念致します。

以 上