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活動報告(近畿)

「計測・校正における不確かさの使い方」

活動名「計測・校正における不確かさの使い方」
講 師
三興コントロール㈱
校正技術部 部長 田村 純 講師
実施日平成28年(2016年)10月20日(木)14:00~17:00
場所TKPガーデンシティー 大阪梅田
 大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二

平成28年度近畿地区活動として上記勉強会を実施しました。豊富な資料をもとに3時間にわたりご説明いただきました。内容の概要(項目)は以下のとおりです。 

講義内容

 1.計測と精度
    ・まちがえやすい言葉
   「繰り返し性」と「再現性」
    ・2つの精度
    計測時の精度 : 再現性
     管理制度 : 繰返し性
    ・もう一つの2つの精度
    カタログ精度
    管理精度
    ・精度はセンサ・計測機器の性能の「一つ」
    ・カタログ表記、計測時、管理精度の意味
    ・使用者が精度をどのように捉えているかが重要!

 2.計測と校正
    計測
    ・長期安定性に優れているか
    ・計測範囲の直線性が良いか
    ・環境適合性(≒再現性)に優れているか
     ・必要な管理精度(許容値)をきめているか
   校正
    ・規格・基準に「寄り掛かる」思考からの脱却
    ・試験・検査と校正の違いを認識する
    ・自社の標準(値)を持つことが必要
    ・開示必要な文書は汎用性の高い用語を使用
    ・要員の教育訓練と技能評価システムを確立する

 3.初めての不確かさ
    ・「不確かさ」評価は世界的約束ごと、決め事
    ・計測値、校正(試験)値の信頼性は「不確かさ」
    ・表舞台(規格・基準)から「誤差」が消えた
    ・トレーサビリティの確保にも注意が必要
    ・今まではセンサ、計測機器や分析計の性能の「良さ」を精度と言う用語で表記して いた。
    ・それはバラツキが存在しない観念的、絶対的な基準器との比較で確かめていた、
     その計測(校正)結果の良さを「誤差」で表していた。
    ・カタヨリ(偏差)も、バラツキ(不確かさ)も持つ標準器(物質)と比較し、結果のカタヨリ(偏差≒誤差)はありのままの姿として捉え、校正結果の信頼性をその存在範囲(バラツキ)で表す約束をした。
    ・その存在範囲を「不確かさ」と呼ぶことにした。

 4.校正結果の見方
   校正は「不確かさ(数値)」を求めることが主な目的ではない。
   校正結果(値)を求める為に最大の努力をすると、必然的に「不確かさ(数値)」が付いてくる。

 5.校正にまつわる項目
   適合性評価
   有効期限
   トレーサビリティ

受講アンケート結果

 1.勉強会の内容について・・・「満足、ほぼ満足」:92.9%
 2.業務に役立つか ・・・「役立つ・少し役立つ」:100%
 3.興味のあった話題・項目
     ・初めての不確かさ ・・・ 57.1%
     ・校正結果の見方 ・・・ 42.8%
 4.時間   ・・・「普通」:78.5%
 5.勉強会について ・・・「また出席したい」:85.7%

田村講師
聴講風景
聴講風景
所 感

 今回の勉強会は、計装にとって最も重要な項目・内容と言えます。アンケート結果に見るように非常に満足度は高かったようです。また、「役立つ・少し役立つ」が100%とこれまでにない数字となりました。
 田村講師から、「今日は、“不確かさ”がどんなものか感じてくれれば結構です」という話から はじまりましたが、むしろ、測定、計測・計量、校正等、もう一度、学びなおす必要があるのでは、と感じました。
 最後になりましたが、熱心にご説明頂いた田村講師に対し深謝するとともに、益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上