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コラム

義父の携帯電話

千代田システムテクノロジーズ株式会社
国内計装セクション2
冨岡 邦夫

 先日、我が家全員の携帯電話(5台)の更新(機種変更)に合わせ、義母の携帯電話も更新(機種変更)する事にして、遂に義母(73)はスマホデビューする事になった。義母は15年前には携帯電話(ガラケー)を使用開始していたが、スマホは高価で操作が難しそうだからと、ガラケーを使い続けてきた。流石に世の流れには逆らえず、孫たちの後押しもありスマホデビューする事になった。ガラケーからスマホへの機種変更は同じ会社であった事もありメール引継ぎ等の手続きが簡単に済み、内部データもそれ程なかったため更新後約2時間後にはLINEまで出来るようになっていた。

 一方、義父(75)も約4年使い続けた格安スマホのバッテリーがもたないため機種変更を計画していたらしく、義母の機種変更に同席する事になった。前回機種変更前の格安スマホを契約した際は、義父単独で携帯ショップへ向かい契約手続きを完了させたが、義父の思いがお店の店員になかなか伝わらず、相当苦戦して手続きを完了させた苦い記憶があり、今回は私と妻にお店の店員との通訳を頼みたいとの事で、同席する事になった。機種変更へ向かう際、私と妻からも義母と同じ機種変更を推奨したが、簡単には首を縦には降ってもらえなかった。

 お店での機種変更手続きは、義母を妻が対応し、義父を私が対応する形で契約手続きを開始した。義母の手続きは前述の通り簡単に事が運び、何一つ躓かずに手続きが完了した。義父はとにかくコスト重視で、月々の支払いが現契約(格安スマホ)以下でないと契約しないと言い出し、今回のお店には格安スマホのラインナップがないため、結局契約出来ず現契約(格安スマホ)のお店に問い合わせる事にするとの事で、お店を後にした。

 次の土曜日早朝、妻の携帯に義父から連絡が入り、格安スマホを機種変更したからセットアップをお願いしたいとの事で、妻は義母と同じ機種を選ばなかった事を理由に、機種変更したお店にお願いして欲しいと一度はボールを義父に返したが、再度依頼され次の日(日曜日)に私がセットアップする事になった。今回義父の機種変更手続きは、店頭で手続きしたのではなく電話対応のみで機種変更手続きをしたようで、電話の相手は若い女性だったらしく、家族全員が上手く乗せられたものと思っていた。その若い女性曰く、セットアップは以前よりも簡単で、分からない場合も電話対応で全て操作を指示してもらえるとの事で、顧客獲得のため電話対応サービス員の向上を図っているとの事だった。最初は新型の格安スマホが届いた平日の昼間に義父がセットアップを開始したらしいが、結局義父と電話対応のサービス員の言葉が噛み合わず、セットアップを断念し妻に電話してきたとの事だった。

 頼まれた私も格安スマホのセットアップを行った事などある訳もなく、先ずはマニュアルを読み始め、手続きの順番から確認しはじめると、横で義父が電話の向こうの人と話して欲しいの一点張りで、既に電話をかけ始めサービス員と話し始めた。直ぐに義父は私に代わって欲しいとの事で代わってみるとサービス員方も困っていて、やはり言葉が通じていない事が分かった。その後、私はマニュアルを基に手続きを進め、この電話で手続き出来る内容が電話番号の引継ぎのみである事を知り、義父にその旨を伝えると更に困った表情を浮かべていた。電話番号の引継ぎには数時間かかる事をサービス員から指示され、セットアップは一旦中断し夕方再開する事で、残りのセットアップはアドレス帳とE-メール及びLINEの再開手続きである事を義父と確認し、E-メールとLINEの再開手続きには登録時のパスワードが必要である事を伝えると、困った表情を浮かべ一旦お開きになった。夕方、セットアップを再開し電話番号の引継ぎが完了したが、E-メールとLINEが開通出来ない事が理解出来ず、イラつきながらセットアップを再開し、LINEの方は妻が得意で簡単に再開する事が出来た。E-メールのアカウントは旧機種の携帯内に入っているため分かったが、パスワードはそれらしいものをいくつか入力してみたが全て違うものだったらしく、パスワードの再発行手続きを調べ私的には簡単にできる事が分かり、その旨を義父に伝えるとこの先は平日に自分でやるからと、そそくさと帰ってしまった。もう少し義父が我慢できていれば、1時間以内でセットアップ完了出来るはずだったのに、我慢の限界だったみたいで後味の悪い終わり方になってしまった。

 更に一週間が過ぎ気になっていた義父のセットアップについて妻に聞いてみると、面倒くさいのでほっといてるとの事で、今度は妻がご立腹の様子でした。まだセットアップが完了していない事を察知し、妻から義父へ連絡させセットアップを再開しようと声を掛けると、飛ぶような勢いで義父が来た。E-メールのパスワードの再発行手続きを手順通り行っていくと、本人確認で登録している電話からでないと申請が出来ない事が分かり、登録電話が義父の自宅電話(固定電話)のため、今度は義父の自宅へ移動し手続きを再開したところ、約30分でE-メールも開通し、不通になっていた約3週間分のE-メールが一斉に届きとても喜んだ。

 その後、今回セットアップに必要となった、ID、アカウント、パスワード全てのデータを紙に記録し、更にその記録を義父携帯の写メ、私の写メ及び妻へ転送し共有する事にした。結局、携帯電話の機種変更に必要な事は下記の通りで、下記に必要な記録をきちんと保管しておく事が大事で、特に年長者殿のユーザーはその保管が出来ていない人が多いらしい。
 ① 携帯番号引継ぎのためのMNP申請
 ② アドレス帳の引継ぎ(通信、記憶媒体、または手動の何れかによる)
 ③ 契約会社のマイページ設定
 ④ E-メール再開通手続き(要アカウント、パスワード)
 ⑤ LINE再開通手続き
 ⑥ 写真引継ぎ(通信、記憶媒体、機種による)
 ⑦ その他、必要アプリの引継ぎ

 今回分かった事は、年長者殿の携帯契約の際は必ずご子息が同席し、契約の際はご子息が携帯会社のご担当と話すことが望ましい。E-メールのパスワード再発行手続きを電話対応にて進めていた際、義父がサービス員と会話すると全く通じていなく、サービス員は申し訳なさそうに、契約者さんではなくお隣におられる話が分かる方に代わって頂けないでしょうかと何度も言われ、それも我慢の限界に繋がってしまったものと思われる。また、後で分かった事だが、前回(4年前)の契約時最初に機種代(ハードウェア費)を払っていたらしく、月々の支払いが安い理由はそれだった。結局義父の費用はイニシャルコストとランニングコストを考えると、義母の同コストを比較すると若干は安いかもしれないが、手続きにかかった日数とMHより同等かそれ以上にも感じられる。

 最後に、本書を読んで気を悪くされた方には申し訳なくご容赦下さい。

以  上