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活動報告(近畿)

「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」

活動名「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」

講 師
アズビル株式会社
ビルシステムカンパニー・マーケティング本部
シニアアドバイザー 福田 一成 講師
実施日令和元年(2019年)9月20日(金)14:00~17:00
場所TKPガーデンシティー 大阪梅田
 大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル
参加者11名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二

 令和初の近畿地区活動として、上記勉強会を実施しました。
 福田講師による勉強会は、平成26年度「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」、平成27年度「計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術」に続いて3回目になります。
 今回は、上記テーマの「空調制御の最新動向」及び「IoT時代への対応・実証事例の紹介」 さらに、「最新政策と計装~省インフラという技術」について3時間にわたってご説明いただきました。
勉強会概要は以下のとおりですが、非常に興味深い勉強会となりました。

勉強会概要

 

 1.クラウドBEMSサービスや新たなセンシング技術を駆使して
  「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装」の最新動向について
   快適を創造することで実現する新たな空調計装へのチャレンジ
   ・温度設定はビルや機器に帰属するものではなく、人に帰属するべき.
   ・均一な温度制御から人が好みの温冷空間を選択できるようにする.
   ⇒エネルギーのムダを省き、居住者に“おもてなし”を提供するこれからの空調制御
   ●新しい空調計装のためのBEMS要素技術
   ・クラウドBEMSサービス:クラウドサービスによる新たな価値/コストメリット/TS(テナントサービス)/情報共有 の活用/温冷感申告への活用/温冷感申告カード
   ・赤外線アレイセンサー
   ●パーソナル温冷感情報による空調制御
   ・室温設定の問題点
   ・温冷感申告空調の登場
   ・温冷感申告空調の工夫:「過剰冷暖設定への対応」、「申告判別」、 「環境による判別」、「時間帯による判別」
   ・温冷感申告空調の実証実験
    ・前回と異なる申告がどのくらいの割合で起こるかを調べ、制御の妥当性を評価.
    ・そのうえでリセット機能有り、無しで申告の発生頻度を実測.リセット機能があると極端な温度設定が抑制され省エネであることが分かった.
   ●個人が選択する温冷空間
   ・3次元温熱可視化システムの構築・概要
    環境計測データとCFD解析を組み合わせて、室内の温度分布情報を3次元的に可視化.
   ・3次元温熱可視化システムの実証事例
    CFD解析、CFD解析の簡素化、簡単CFD解析の評価
   ●さらに気遣いあふれるおもてなし制御
   ~設備の制約を制御でカバーする工夫~
   ・寒い暑いの原因となるVAV最小風量対策
   ・VAV合計風量による給気温度と全閉・最小開度変更制御
   ・VAV全閉に対する温冷感申告への対応
   ・冷暖同時要求に単一ダクトVAV方式で対応する制御
   ・冷暖フリーVAV制御
   ・温冷感申告による冷暖フリーVAV制御判断
   ・温冷感申告でさらなる快適を提供するこれからの展望
   ・「温度」だけでなく、「温度、湿度、気流、放射温度」など様々な観点で制御.
   ・人は、周期的に快適感を感じると、満足感が向上する.

  2.IoT時代への対応・実証事例の紹介
    IoTで何が変わるのか
    新しいテクノロジー・スタック、ビルにおけるIoTインテグレーション、
    IoT時代には企業間の連携が不可欠
   ●BEMSによるスマート機器IoT化実証事業
   スマート設備機器インテグレートの例として、これまでなかったトイレ設備の統合化
   ●取り組みの背景・目的
    トイレのBEMS接続によって、以下の効果が期待できる。
   ・設備管理の効率化
   ・トイレ利用者の利便性向上
   ・設備設計支援
   ●実証環境、実証概要、収集データ

 3.最新政策と計装~省インフラという技術
   「省インフラ」とは、これまでの大規模なネットワークインフラに依存していた社会ではなく、できるだけインフラの負担を軽減しながら、質の高い生活を維持するためのサービス提供の方法、技術
    暮らし方の総称.
   ●震災後の安倍政権での新しい政策
   ●モノもサービスも市場が縮小する時代へ
   ・「だから海外」では、国内は空洞化
   ・2020年は縮小する現実に沿った対応へのはじまり
   ●さらに迫る朽ちるインフラ問題
   ●最近のインフラ崩壊事例
   ●成長と成熟のシティマネジメント
   ●省インフラの手法:3階層マネジメント
   ・施設を維持するのではなく、機能を維持する考え方
   ・公と民の連携が必須
   ●省インフラの技術1:インフラの物理的総量を減らすさまざまな技術
   ●省インフラの技術2:ライフサイクルコストを削減する多様な技術が必要
   ●事例1 広域化  
   ●事例2 多機能化
   ●事例3 工場機能のインフラ活用  
   ●最近の省インフラ関連政策  
   ●建設・インフラ関連政策と省インフラ
   ●省インフラに必要な人材  
   ●システムインテグレーター~悉皆屋  
   ●「省インフラ」に貢献する計装技術
    モノだけに頼らず、ものをうまく使いこなすというのは、計装技術が得意とする分野である。

福田講師
聴講風景
所 感

 本日の勉強会を通じて、快適性とは何か、利便性とは何か、それを実現するためにはどうするのか?改めて、考えさせられました。これまでの「センサー情報により、装置、機械をどう制御するか」という制御から、「人を中心に、人がどう感じているかといった情報により、人が快適と感じる状況をどう現出するか」という制御へ。あるいは、「与えられた様々な情報から、人が利便性を感じるような情報はどの様な情報で、それをどの様に表現するのか」、等々。
 計装士会として、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、見学会等を企画、開催していきたいと思います。
 最後になりましたが、今回の勉強会にご尽力いただきました福田講師、(一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝と御礼を申し上げます。

以 上

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活動報告(中部・北陸)

「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」

活動名「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」

講師
アズビル株式会社ビルシステムカンパニー
  マーケティング本部
  シニアアドバイザー 福田 一成 様
実施日令和元年(2019年)8月1日(木)13:30~17:00
場所ウインクあいち
名古屋市中村区名駅4-4-38
参加者32名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区幹事 柏原 達司
1.講演内容について

  ・新しい空調計装のためのBEMS要素技術
  ・パーソナル温冷感情報による空調制御
  ・個人が選択する温冷空間
  ・さらに気遣いあふれるおもてなし制御
   ~設備の制約を制御でカバーする工夫~
  ・IoT時代への対応/実証事例の紹介

2.アンケートについて

  参加者の方々に実施しましたアンケートの集約は、下記の通りです。
  1. 勉強会について  ・・・・・ 4(/5) 17(名)/32(参加者数)
  2. 内容の理解について  ・・・ 4    23/32
  3. 内容は役に立つ   ・・・・・ 4    15/32
  4. 講演時間について ・・・・ 良い   30/32
  5. この勉強会について ・・・ 次回も参加したい 27/32

講演会風景
講演会風景
3.所 感

  以下が参加者の関心のあった主なワードです。
  ・温冷感制御、リクエスト制御(冷温感申告空調)
  ・省インフラ
  ・冷暖フリーVAV制御の実証実験
  ・おもてなし制御
  ・コ・ワーキングオフィスなど人が好みの温冷空間を選ぶ
   ITを活用したコ・ワーキングオフィスの形態は、温冷感制御による快適なオフィス空間を選択できる自由度が、またその温冷感をカード(個人)にて申告された情報、環境および時間帯を判別・設定することにより、快適性をいかに個人が感じ、過剰設定を抑えことにより省エネにもなるとのことでした。
   またおもてなし制御に繋がるVAV制御の実証実験も参考になり、「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」を感じる講義でありました。
   最後になりましたが、お忙しい中、講義をして頂きました福田一成様には、今後の更なるご活躍を祈念し、改めまして御礼を申し上げます。有難う御座いました。

以 上

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コラム

「キャブレターのお話し」

四国計測工業株式会社
エネルギー・環境事業本部 電気計装部
村越 信一

趣味のオートバイについて書かせてもらいました。

ここ10年くらいでしょうか、年々厳しくなる排ガス規制への準拠、低燃費の追求、安全性の要求により、近年のオートバイは自動車と同様に劇的に電子制御化が進んでおり、様々なセンサーとECU (演算処理装置)の進化により、FI(インジェクション)ABS(アンチロックブレーキ)、TC(トラクションコントロール)、ESA(電子制御サスペンション)などの機能を満載した電子制御の塊となりつつあります。
最近では倒れないオートバイなんていうものまで開発されつつあり、ライダーにとって屈辱的な立ちゴケまで防いでくれる機能も実用化されつつあります。
 さて、その進化の中でも特に燃料供給装置のインジェクション化はオートバイにとって画期的な進化でした。燃料供給装置とは燃焼させるためのガソリンを霧状にし空気に混ぜる量を調整する装置のことです。インジェクション化されるまでは今回のお話しであるキャブレター が使われてましたが、外気温度や気圧、雨などの外的要件の影響を受けやすく、特に冬場はエンジンに火が入りずらい状況になったりと何かと安定しないものでした。それがインジェクション化されるとECUが外気温度や排ガスのO2などから最適な燃料噴射量をコントロールするため始動性も良く、気温変化などにも柔軟に対応するためエンジンの調子が非常に安定し、かつ燃費も良いとキャブレターに比べ圧倒的に優れた装置なのです。

それだけ優れた装置なのに、私は今だにキャブレターのオートバイに乗っています。
 イタリアのMOTO GUZZIという850ccの縦置きツインエンジンという他にはない珍しいエンジンレイアウトで、もちろん電子制御は何も付いていない40年ほど前のいわゆる旧車と言
われているものです。

 「何故、そんな古いオートバイに」とよく言われますが、現代のオートバイには無い魅力があるのです。

例えば、先ほどインジェクションがキャブレターに比べ圧倒的に優れた装置と書きましたがキャブレターにも優れている点があります。
それは構造が簡単ゆえに故障しないこと。また、何か調子悪いなといった予兆があることです。インジェクションも故障する可能性は低いですが、いざ故障の場合はインジェクターが悪いのか、燃料ポンプが悪いのか、ECUが悪いのか素人では判断できないのでECUの履歴を見る診断装置を繋いで確認する必要があり個人で対応できないのです。また、不良と思われる部品はユニット単位で交換なので部品代も高くつきます。その点キャブレターは小さなパーツまで個別単位で入手できるので自分で修理することが可能なのです。

キャブレターはインジェクションほど正確な制御はできません。1/1000mmの精度で精密加工された部品ではあるものの、環境条件が変わっても、その都度パーツを変えられないので、どちらかというとゆるい感じとでも言えば良いのでしょうか。日によって調子が良い悪いがある人間的な面があります。「今日は調子良かったね」とか、いつの間にかオートバイと会話しているような感じです。

 また、電子制御のアシスト機能もないのでコントロールするのは人間次第です。オートバイに乗ってる人はわかると思いますが、オートバイはスポーツで、シートに座ってるだけではなく絶えず重心を移動してカーブを曲がります。特に性能の劣る古いオートバイは高機能なサスも無いので絶えずタイヤから伝わる路面の状況を判断して重心を調整し、アクセルブレーキを制御する忙しい乗り物です。その乗っている感覚が古いオートバイをやめられない理由かもしれません。

 趣味性の高いオートバイなので自分で修理したり、メンテしたりするのも楽しみの一つだったりします。古いオートバイですと構造が単純で自己責任とはいえ結構なところまで自分でオーバーホールすることが可能です。
 最近はネットから様々な情報を入手可能でメンテナンスの方法や海外製のオートバイパーツも私のように英語が苦手でもGoogle先生がちゃんと翻訳して海外へ注文することができる便利な時代となりました。
 今の時代だからこそ専門のショップが近くになくて個人的なサンデーメンテでも維持できるのだろうと思います。

 何度か最新のオートバイに乗りましたが確かに速くて、楽に乗れて快適で自分の技術が上手くなったような感覚になりましたが、実際はオートバイがサポートしてくれているんだなと実感しました。それはそれで良いことで長距離をツーリングする場合など疲れず安全性に繋がっているのだろうと思います。
 ちなみに私もポンコツにキャンプ道具を積んで長距離ツーリングに出かけますが、その日の到着先を決めず、オートバイの調子を伺いつつ、行けるとこまで行く行き当たりばったりの旅になります。仕事じゃないので目的地や予定をきっちり決めず気楽な旅でいいんじゃないって感じです。
 取り留めのない話を書きましたが、最新のオートバイも古いオートバイもそれぞれ楽しみ方があるということを理解いただけたら幸いです。

最後に

人生も折り返してから随分走ってきたような気がします。最近、ふとやり残したことはないかなと考えることがあります。
 まだまだ構想中で、妄想話ではありますが、昔読んだ「道、果てるまで:戸井十月」のようにユーラシア大陸3万キロを横断してみたいと密かに思っています。
 ウラジオストクからヨーロッパ最西端のポルトガルのロカ岬までオートバイで走破する。そこで余裕があったらアフリカ大陸を南下して南アフリカの喜望峰まで到達なんて考えただけでも楽しい妄想です。

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活動報告(四国)

『在室者の気持ちに寄り添う新ししい空調計装の世界』

活動名『在室者の気持ちに寄り添う新ししい空調計装の世界』
講師
福田 一成 講師
 アズビル㈱ビルシステムカンパニー
 マーケティング本部 シニアアドバイザー
実施日令和元年(2019年)7月25日(木)13:45~16:30
場所サンポートホール高松 51会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事代理 山崎 雅猛
はじめに

 四国地区では、令和元年度上期の地区活動として、7月25日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

講習内容

 テーマ:『在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界』 下記の4つの話題に分け、空調システムのクラウド化、空調センサーの高度化、空調対象の個人化等について、専門的な見地から丁寧に解説、ご教授いただきました。

 ① 新しい空調計装のためのBEAMS要素技術
 ② パーソナル温冷感情報による空調制御
 ③ 個人が選択する温冷空間
 ④ さらに気遣いあふれるおもてなし制御

福田講師
福田講師
勉強会の様子
所 感

 講師の福田様には、2年ぶりに講演をしていただきました。
 今回は、新しい空調計装ということで、より快適な健康で、生産性向上に寄与する空調制御システムの最新動向について講演でした。
 特に印象的なお話は、制御システムがクラウド化され、空調システムメーカの領域が侵されつつあることや、温度制御から体感制御に移りつつあるというお話でした。
 また、最後に空調計装のお話とは異なりますが、インフラ老朽化・人口減少・高齢化・財政難の中、持続可能なインフラ・公共サービスの在り方についてお話があり、大変興味深く、聞かせていただきました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・ご解説を頂きました福田様に厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(中国)

『在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界』

活動名『在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界』

講師
福田 一成 講師
  アズビル㈱ビルシステムカンパニー
  マーケティング本部 シニアアドバイザー
実施日令和元年(2019年)7月18日(木)14:00~17:00
場所㈱中電工 本店平和大通りビル 11階会議室
  広島県広島市中区小網町6-12
参加者25名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 平方 清志
概 要(項目)

 【内 容】
   ① ビル空調における温冷感制御の新しい波
   ② 快適を創造することで実現する新たな空調計装へのチャレンジ
   ③ クラウドBEMSサービスの温冷感申告カード
   ④ 従来制御における室温設定方法の問題点
   ⑤ 3次元温熱環境可視化システムの構築
   ⑥ 設備の制約を制御でカバーする工夫
   ⑦ 温冷感申告でさらなる快適を提供するこれからの展望

   標記の講義内容に対して、アンケート結果(回答23名)

  (1)勉強会の内容について
    ①とても面白かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9名
    ②面白かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14名
    ③面白くなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名

  (2)計装業務に対する意欲について
    ①元気が出てきた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13名
    ②少し元気が出た・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9名
    ③あまり変わらなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1名

  (3)勉強会の内容が役立ちそうですか
    ①役に立つ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19名
    ②少しは役に立つ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4名
    ③あまり役に立たない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0名

  (4)一番興味があった件は
    ①温冷感申告による空調制御‥‥‥‥‥・・10名
    ②省インフラ及び多機能建物について‥・・・・ 3名
    ③クラウドBEMSの今後 ‥‥‥‥‥・・・・・・・・・3名
    ④計装と人間生活の係わり方‥‥‥・・・・・・・・ 3名
    ⑤自家発負荷配分制御‥‥‥‥‥‥‥‥・・ 1名
    ⑥ゾーンごとに行う空調制御‥‥‥‥‥・・・・・1名
    ⑦従来の室温設定方法の問題点‥‥‥‥・・・1名
    ⑧3次元温熱循環可視化システムの実証例・・1名

  (5)勉強会の時間について
    ①長すぎる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6名
    ②ちょうど良い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17名
    ③もう少し聞きたい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0名

  (6)次回の勉強会への参加について
    ①是非参加したい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21名
    ②どちらでもない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2名
    ③参加したくない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名

  (7)勉強会の希望テーマについて
    ①プラント関係工事の最新施工技術
    ②プラント計装の施工上の問題点
    ③工場工事における制御技術と施工例
    ④計装業界の人材育成
    ⑤プラント計装の未来像

  (8)計装士会へのご意見  
    ①講義の間で短い動画を入れていただくと、さらに分かり易いと 思います。
    ②今回は、ビル空調というテーマでしたが,次回はプラント計装 をテーマとしていただきたいと思っています。
    ③テーマを2つに分けて開催しては、どうでしょうか。

勉強会受講風景
福田講師勉強会の様子
所 感

 今回は、ビル空調の制御について色々な観点から、詳しく説明して頂き多くの受講者から大変分り易かったという声がありました。
 特にカードによる温冷感申告空調については、皆さんが興味を持たれ、 これからの提案設計につながると話されていました。
 私も寒い暑いの原因となるVAV最小風量対策で、各機器ごとではなく 空間全体でカバーするという内容に関心を持ちました。
 最後に、今後とも、福田先生による計装士のための講義継続と、益々 お元気で活躍されることを切に願います。

以 上

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活動報告(関東・甲信越)

黒四ダムの水を利用した水力発電所 建設時の専用ルートの見学

活動名黒四ダムの水を利用した水力発電所
建設時の専用ルートの見学
実施日令和元年(2019年)6月28日(金) 8:00~16:40
場所関西電力株式会社 黒部川第四発電所
  富山県黒部市宇奈月温泉
参加者15名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者Makino Engineering Office
槇野 泰

関西電力株式会社様及び株式会社オプテージ様のご厚意により、一般社団法人日本計装工業会・計装士会共催の黒部川第四発電所を見学する機会を得ることができました。

 黒部川第四発電所は、3000m級の山々が連なる富山県立山町で、長野県との県境近くにある黒部第四ダムの水を使用して発電をしている。
 黒部川第四発電所は『クロヨン(黒四)』と呼ばれ、多くの人々に親しまれています。
 『黒四』は、昭和3年から建設のための調査を開始し、昭和24年からダムの建設計画が始まった。
 着工は昭和31年8月、昭和38年6月に竣工するまで、513億円の工費、延べ1,000万人の労働力を投入した。
 黒四の完成は、電力供給に大きく貢献したばかりでなく、黒部川全体の流量を調整し、下流発電能力をも高めることができた。 

黒四ダムの位置
1.見学会概要

 見学会は2019年6月28日に参加者15名で開催された。参加者は信濃大町駅周辺や大町温泉郷に前泊した。あいにくの小雨の中、電気バスの出発駅である扇沢駅に午前9時に集合して黒部ダムへ、その後黒部ルートという関西電力株式会社の専用ルートを通り、黒部川第四発電所、上部専用軌道を通り、黒部川電気記念館で午後4時過ぎに解散となった。

見学会ルート
2.扇沢駅から黒部ダム駅

扇沢駅から、黒部ダム駅までは、関電トンネル電気バスでの移動となる。
 移動距離:6.1km(トンネル区間:5.4km)、駅間標高差:37m(平均斜度:10度、最大斜度:13度)の関電トンネル電気バスは16分で走行する。
 扇沢駅から黒部ダム駅間は平成30年までは、関電トンネルトロリーバス(無軌条電車)が運行されていたため、関電トンネル電気バスの乗降場所には駅の名称が使われている。

 2-1.関電トンネル電気バス
 関電トンネル電気バスは、トロリーバスと同様にCO2を排出しない環境に優しい乗り物で、関電トンネルトロリーバスのデザインを受け継ぎながらも、ディーゼルバスのエンジンを取り払い、駆動用モーター・リチウムイオンバッテリーを備え、10分間の急速充電機能、折り畳み式車いす用ステップなどの新機能を備えている。 また、関電トンネル内には、破砕帯のイメージを見学できるようになっている 。

関電トンネル電気バス

 2-2.破砕帯(関電トンネル内)
 関電トンネルは、本来は黒部ダム及び黒部川第四発電所建設のために掘削されたトンネルであり、建設当時は大町トンネルと言われていた。
 全長は5.4kmあり、建設工事中いくつもの破砕帯が発見され、頻繁な出水のためこの区間を貫通突破するために大変な難工事となった。
 関電トンネルでの破砕帯は長さ80m、摂氏4度という冷たい地下水と土砂が毎秒660リットルも噴き出したもので、『映画:黒部の太陽』で取り上げられた。                                   破砕帯(青色部分)

出典:http://www.kurobe-dam.com)

 トンネルは1958年全通し、関西電力株式会社が保有している。
 国立公園内に掘られたトンネルであり、「一般公衆の利用に供すること」が建設許可の条件であるため、関西電力株式会社はダム工事完成後、トンネルを通る公共交通機関を運行することによって条件を満たすことにした。
 基本的に黒部ダム・黒四発電所の資材運搬用のトンネルであることから、現在まで一般車両の通行は認められておらず、一般来訪者は公共交通機関として営業運転されている関電トンネル電気バス利用でのみ通行可能である。トンネルは一車線分の幅しか無く、中間に交換地点が設けられている。そのため、電気バスのほか、発電所の資材運搬用の自動車も、予め決められたダイヤにしたがってトンネルを通行している。
 現在は「立山黒部アルペンルート」の一部として、冬季閉鎖期間を除き多数の観光客で賑わいを見せる立山観光の基幹ルートとなっている。2018年11月以前はトロリーバスが運行されていたが、2019年春からは、電気バスにより運行されている。

 2-3.黒部ダム駅
 黒部ダム駅はダムサイトまで200mほどの位置にあり、徒歩で黒部ダム展望台やダムえん堤に出ることができる。

関電トンネル電気バスで黒部ダム駅に到着
3.黒部ダム駅から黒部川第四発電所

黒部ダム駅で関電トンネル電気バスを降りると地下通路が二つに分かれている。地下通路を左に下るとえん堤、右に登るとダム展望台・レストハウスに出ることができる。
 黒部ダム➜関電バス➜インクライン➜黒部川第四発電所 。

3-1.黒部ダム(通称:黒四ダム)
 黒部ダムはアーチ式ドーム型ダムであり、幅492m、高さは日本最大の186m、ダムがたたえる水の量は約2億トンである。
 ダイナミックな放水は景観維持に配慮したものであり、観光用としても放水されている。発電用の取水は、湖岸にある取水口から取り入れて地下水路を約10km下り、完全地下式の黒部川第四発電所(くろよん)に送られている。
 電力を生み出す水は一度も地上に現れない。
 観光用放水で使う水量は毎秒黒部ダムの放水10tonあり、発電で使う水量の7分の1にまで及んでいる。
 2019年の観光用放水は、6月26日~10月15日まで行われる。
 黒部ダム駅到着後ダムサイトに出ると雨が降っていた。霧雨程度の雨が次第に本降りになってきた。

3-2.インクライン

インクラインとは勾配長815m、標高差456mのインクライン上部と下部の間を上下し電力事業用の資材最大25tonを運搬する搬送装置である。
斜度34度あるトンネル内にレールを敷き台車を用いて資材を搬送します。
一般的には資材のみを搬送するのだが、くろよんのインクラインは人員も運ぶことができるよう台車に人員ケージを取付けて運用している。
速度は40m/分で運行されている。黒部ダムえん堤付近から黒部川第四発電所の深さまでの移動に使用した。インクラインとほぼ並行して発電所に水を落とし込む水圧鉄管路が設置されている。

インクライン設備概要図
(出典:人員ケージ内のパネル)
インクラインの人員ケージ
インクラインのすれ違い

3-3.黒部川第四発電所

  (通称:『黒四』発電所)

 『黒四』は、富山県黒部市の国立公園内にあるため、導水路までを含めて、全て地下式に作られている。
 また、最大出力は335,000kWのダム水路式の水力発電所であり、黒部川水系黒部川に位置をしている。
 昭和36年1月に一部営業運転を開始したが竣工は昭和38年6月となっている。
 黒部ダムからは観光ルートから離れ、保護帽を着用し、関電バス・インクラインを利用して 黒部川第四発電所に到着した。

黒部ダムと黒部川第四発電所
(くろよん会議室のジオラマ)

  ヘルメットを着用して黒部ルートへ

黒四発電所会議室
会議卓中央に黒部川のジオラマ

 黒部川第四発電所では、会議室でPPによる説明を聞いた後、発電機室上部ホール、水車と発電機をつないでいるシャフトの回転状況、発電所制御室を見学した。見学時には4台ある発電機の内3台で発電をしており、発電出力は210,000kWの電力を作り出していた。
 黒四の年間平均発電電力量は、約9億kWhで一般家庭29万世帯の1年分の使用電力量に匹敵する。また、黒部川全体の年間発電量は約31億kWh。31億kWhは一般家庭約100万戸が1年間に使用する電力量に相当する。

発電機室上部のホール(発電機上部の表示灯
点灯機が運転中)
ペルトン水車と発電機を      連結するシャフト
(上部が発電機、下部がぺルトン水車)
ペルトン水車
(直径3.3m、重量12ton)
発電機制御室(無人運転)
発電電力量(210MWの表示)
4.黒部川第四発電所(通称『黒四』発電所)から欅平駅

『黒四』からは、黒四発電所➜仙人谷➜高熱隧道➜欅平上部➜欅平と移動した。
 黒四から欅平上部までがバッテリートロッコ列車(通称:上部専用軌道)、欅平上部から欅平までは標高差200mのエレベータで下り、トロッコ列車で欅平へと移動した。
 欅平からは、黒部渓谷鉄道(通称:トロッコ列車、一般乗車可能)で宇奈月駅に着いた。

上部専用軌道・バッテリー牽引車

4-1.上部専用軌道

 上部専用軌道は昭和14年に日本電力株式会社(関西電力株式会社の前身)が仙人谷ダム(黒部川第三発電所の取水ダム)の建設資材輸送路として欅平上部から仙人谷ダムまで延長5.7kmを敷設したものです。
(現在は黒部川第四発電所前までの6.5kmとなっています)
 このようなトンネルの輸送路となったのは、欅平から仙人谷までの河川勾配が1/24、高差250mという急峻な地形のため欅平から川沿いに軌道を延ばすことができなかったためで、エレベータで標高差200mを昇りこの上部専用軌道で残りの50mを徐々にあがっていきます。

上部専用軌道・人員輸送用客車

ほとんどがトンネルで、素掘りの場所が多くなっています。
また建設資材輸送が目的であったことからトンネルの内径が小さく、さらに道中、高温区域(現在のトンネル内は40℃程度)を通過するため、車両は蓄電式バッテリー駆動車と耐熱式客車を使用しています。
 このトンネルの掘削工事では、阿曽原から仙人谷までの間、約500mにおいて岩盤温度が160℃以上に達し、爆薬の自然発火など、我が国のトンネル工事史上に残る難工事となりました。
なお、これらの工事の様子は、小説「高熱隧道」に詳しく描かれています。

上部専用軌道耐熱客車内では                               説明担当者が同乗して説明があった

*この上部専用軌道の利用については軌道の状況を踏まえて当社従業員や工事関係者などに限っており、登山者などは「水平歩道」と「日電歩道」を利用されています。

(出典:トロッコ車両内パネル「上部専用軌道について」)より

4-2.高熱隧道

 仙人谷にダムを建設、そこは資材運搬するだけでも災害が発生する難所。資材運搬用トンネルや水路トンネルを仙人谷の欅平寄りに掘削したところ30m掘り進んだだけで岩盤温度は摂氏70℃となった。
更に推進するとさらに岩盤温度が上昇した。岩盤は触れただけでも火傷を起こすほどに上昇した。また、硫黄分が多く含まれた岩盤であり、掘削するためのダイナマイトが自然発火・暴発を起こした。岩盤温度は最高166℃にまで記録した。
 バッテリートロッコ列車で高熱隧道を通過したが、カメラのレンズがすぐに曇ってしまうほど、温度・湿度が高い隧道である。撮影装置そのものを温度・湿度になじませないと撮影ができなかった。

仙人峡に掛かる仙人谷停車場
仙人谷ダム(黒部川第三発電所用取水口)

4-4.欅平竪坑エレベータ

黒部川第四発電所から欅平上部駅の間を走っている「上部専用軌道」です。欅平上部駅は標高800mにあり、標高599mにある黒部峡谷鉄道の欅平駅とは、資材・人員共にエレベータで輸送されている。
 欅平竪坑エレベータは、全地下式で黒部川第三発電所の取水口である仙人谷ダムの建設のために作られた輸送ルートである。この付近の河川勾配は24分の1という急流であるため、これ以上欅平から河川沿いに鉄道を延長することが不可能であったので、山の中腹に垂直に貫く竪坑とさらにトンネルを開削し、鉄道を敷設して仙人谷ダム地点へ作業員の上下山と工事用資材の輸送に使用しております。その後、黒部川第四発電所の建設に当り仙人谷ダム地点から黒部川第四発電所前まで鉄道が延長されております。
            (出典:竪坑エレベータ内案内パネルより)


 
エレベータは人荷用積載荷重4.50tonと人員用0.45ton(6名)の2基があり、人荷用エレベータにはトロッコ用レールが設備されている。

欅平竪坑エレベータ
欅平竪坑エレベータ(人荷用)

4-5.トロッコ列車

 欅平から宇奈月駅まで運行されているトロッコ列車は今では観光列車として一般の人々に楽しまれているが、元来は黒部川渓谷の水資源開発のために建設された鉄道である。
 大正15年10月/宇奈月~猫又間、昭和5年8月/猫又~小屋平間、昭和12年7月/小屋平~欅平間と水資源開発に合わせて運転が開始された。
欅平駅から上部専用軌道の竪坑エレベータ下部までは、関西電力株式会社の専用軌道(500m)として、機材や人員の輸送という役割を担っている。

トロッコ列車 竪坑エレベータ下部に入線              
トロッコ列車
5.黒部川電力記念館

黒部川電力記念館は宇奈月駅前にあり、関西電力株式会社が水の宝庫と言われる黒部川の電源開発の歴史や黒部峡谷の自然を紹介している記念館。
 館内では、水のスクリーンや水盤に黒部峡谷の四季などを映し出す水のテーマシアターをはじめ、黒部ダム建設の歴史として、破砕帯などを分かりやすく映像を用いて解説している。
 また、水力発電の仕組みや役割についても水車模型やスライドショーなどにより、わかりやすく解説されていた。
黒部川電気記念館を最終地点として、見学会を無事に終了となった。               

黒部峡谷鉄道(関西電力グループ)
欅平駅、トロッコ列車の進行方向が宇奈月             写真の左奥が関西電力専用軌道へ続く
6.むすび

全7時間に渡る黒部ルートの見学会は、黒部渓谷という電源開発の重要性を理解する事ができました。
 黒部川という有数の急流であり水量を誇る渓谷が水資源開発という側面から有効な渓谷であること。
 しかし、傾斜の大きな地域だからこその水資源の開発の難しさ、さらには関西電力株式会社及び関係者の成長をめざし挑み続ける努力や集中力などがあってこ そ水資源が貴重な電力エネルギーとして再生されることになった経緯等を知ることができました。
 この度の見学会において、関西電力株式会社及び関係先の皆様による適切かつ丁寧なご案内・解説もあり非常に有意義な見学会になりました。
 この場を借りて、ご案内戴いた関西電力株式会社及び関係先の皆様に感謝すると共に、我々はこの電力エネルギーを有効活用することとします。

黒部川電力記念館

以 上

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活動報告(九州・沖縄)

TOTO株式会社 小倉第一工場及びTOTOミュージアム

活動名TOTO株式会社 小倉第一工場及びTOTOミュージアム 
実施日平成31年(2019年)3月14日(木) 見学時間 13:30~16:40
場所TOTO株式会社 小倉第一工場
福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
TOTOミュージアム
福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1 
参加者12名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区幹事 今吉 俊博
1.はじめに

 TOTO株式会社は、衛生陶器、住宅設備機器を製造するメーカーで、日本では衛生陶器の分野で約6割のシェアを誇ります。技術面では、温水洗浄便座の代名詞にもなっている「ウォシュレット」を開発したほか、便器の汚れを効果的に落とす「トルネード洗浄」、防汚技術の「セフィオンテクト」など先進的な技術で業界をリードしています。
 この見学会では、衛生陶器を製造するTOTO株式会社 小倉第一工場とTOTOについて知ることできるTOTOミュージアムを見学しました。

2.施設の概要

   1)TOTO㈱ 小倉第一工場
     所 在 地  : 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
     設備概要 : 4階建て多層工場
              全長115mトンネル窯
     事業内容 : 衛生陶器製造、ウォシュレットなどの開発
     生 産 数  : 約700個/日(衛生陶器)
   2)TOTOミュージアム
     所 在 地  : 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
     階   数  : 4F
     延床面積 : 10,797㎡
     展 示 物  : TOTOの歩み、TOTOのこころざし、認定遺産、食器の歴史、 ものづくりの流れ、水回り商品の進化など

3.小倉第一工場

   1)工場歴史
     1927年に日本で初めて商品化された腰掛便器もこの地で製造されました。
     現工場の建設当時(1971年)は衛生陶器工場としては異例の4階建てで、上層階の成形及び施釉工程と下層階の焼成工程がフリーカーブコンベアで結ばれるなど、衛生陶器工場として先進的な工場でした。
    現在この工場は、高付加価値品や小便器などの多品目の製造に携わっています。

   2)衛生陶器製造工程
     衛生陶器は簡単に言うと、原料である粘土を型に流して便器の形を作り、乾燥さ せた後釉薬を縫って焼き固めて作ります。実際の工程は以下のような工程で製造 されており、②成形~⑥検査までを見学することができました。
    ① 調  整 :粘土に水を混ぜ、約20時間細かく粉砕し、泥漿を作る。
    ② 成  形 :泥漿を型に流し、約20分かけて水を抜く。
    ③ 乾  燥 :約24時間熱風に当て成形した陶器の原形を乾燥させる。
      この工程で約3%収縮する。
    ④ 施  釉 :陶器に色や艶が出るよう釉薬を全体に吹き付ける。
      防汚処理(セフィオンテクト)も行われる。
    ⑤ 焼  成 :施釉した製品を全長115mのトンネル窯で約24時間かけて焼き上げる。
      この工程でさらに10%収縮する。
    ⑥ 検  査 :焼き上げた製品にひび割れ、色むらなどの欠陥がないか検査する。
    ⑦ 組立・梱包:部品を組み立て、付属品などを同封し、梱包する

                  【全工程 約8日】

   3)製造の特徴
     この工場で製造されている高付加価値の便器は、内部が複雑な形をおり、複数のパーツを組み合わせることが必要です。それらのパーツ同士を繋いだり、つなぎ目を滑らかにする作業は「熟練工」が担っており、細かい作業のほとんどが人の手で行われていました。 

   4)環境面への配慮
     この工場は、環境面においても配慮され、トンネル窯で使用されている燃料はかつての軽油からより環境負荷の少ない天然ガスへと変更されています。規格外となり出荷できない製品も再利用され、道路標識や街路のフラワーポットとして有効に活用されいます。

小倉第一工場 ウェルカムホール外観
会社概要説明
衛生陶器製造ライン
焼成ライン(トンネル窯出口)

※工場内は撮影禁止なので、工場内の写真はTOTOホームページより転用させていただいております。

4.TOTOミュージアム

1)概要
      TOTOミュージアムは、創業100周年記念事業の一環として開設されました。水まわりの文化や歴史とともに、TOTOのものづくりへの想い、製品の進化について展示されています。

2)展示内容
    ①認定遺産
      TOTO製品の歴史的価値により「近代化産業遺産」、「建築設備技術遺産」、「機械遺産」に認定されたものを展示しています。
    ②TOTOのあゆみ
      TOTOのルーツ「森村組」まで遡り、快適な生活文化を実現するため腰掛便器の研究を開始して約1世紀、TOTOのあゆみを年代ごとに展示しています。
    ③TOTOのこころざし
      TOTO創業者、五代社長などの熱い思いを「作る」「生み出す」「伝える」という観点で紹介しています。
    ④水まわり商品の進化
      TOTO製品の進化を様々なカテゴリーごとに展示しています。

TOTOミュージアム外観 
初代ウォシュレット
便器の変遷
集合写真
4.おわりに

 工場は高度に機械化されていて、作業員がほとんどいない状況を想像していましたが、この工場では「人の手」による作業が多く、製造から検査まで「熟練工の技」で支えられていることが印象的でした。
 ミュージアムにおいてもTOTOの歴史、製品の遍歴を知ることができ、大変有意義でした。
 最後に工場及びミュージアムの見学に際し、ご協力を頂きましたTOTO㈱のご関係者の方々に心からお礼を申し上げます。

以 上

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コラム

スキューバダイビング

ダイダン株式会社

東京本社 設計部

橋本 明洋

 はじめに

私とスキューバーダイビングの出会いは、2011年に沖縄に訪問した際の体験ダイビングでした。
 その時の状況ですが、台風接近が接近中ということもあり、ガイドさん曰く「透明度が悪く、うねりもあり、最悪のコンディション」という環境でした。
 そういった最悪の条件でしたが、ダイビングの魅力に取り付かれ、そのまま趣味としてスキューバーダイビングを続ける事になりました。

1.スキューバーダイビングの魅力

スキューバーダイビングとは、圧縮空気の入ったタンク(最近ではシリンダーと呼ぶそうです)などの水中呼吸用の器具を使い、潜水することです。
 スキンダイビング(素潜り)では息の続く間しか水中に留まることができませんが、器具を使用することで、長時間滞在することが可能となります。
 そのため、
  ・魚やウミガメなどの水中生物と一緒に泳ぐ
  ・サンゴ礁や海中洞窟といった地上にはない地形との遭遇
  ・無重力状態に似た浮遊感の体験
 といった体験をすることができます。
 「水中生物と一緒に泳ぐ」や「サンゴ礁や海中洞窟」というのは想像がつくと思いますので、「無重力状態に似た浮遊感」というのを少し詳しく説明したいと思います。
 水中では浮力が働きます。重量に対し浮力が足りないと海底まで沈んでしまい逆に浮力が大きすぎると水面に浮かんでしまいます。そのため、魚のように中層を泳ごうとすると、浮力を調整し重量とのバランスを取る必要があります。この
バランスが取れている状態のときは、装備している機材(総重量は約20kgほどあります)の重さを感じなくなり、なんとも言えない状態になります。

   仲間たちとの記念撮(鹿良間諸島)

2.ライセンスを取ろう

       クマノミ(鹿良間諸島)

こういった体験は、体験ダイビングと呼ばれる物でも経験することができます。ただ、体験ダイビングでは、例えるなら車の助手席に座っているような感じで、機材の操作は全てインストラクターの方に行ってもらうことになります。
そのため、私はもっと自由に潜りたいという欲求が強くなり、ライセンスを取ることにしました。
 スキューバーダイビングのライセンスは、Cカードとも呼ばれています。
 Cカードは、運転免許などの国家資格ではなく、民間の講習修了書です。また、認定団体も複数あり、主要団体では相互認証もされていますが、団体によって内容は少しずつ違うようです。
 講習の内容は、基本的に安全管理に係わる事が主となっています。スキューバーダイビングでは、特殊な機材を使い水中で活動するため、一歩間違うと死亡事故が起こります。そうならないように、工事現場と同じで安全教育を行い、その講習終了の証明書がCカードです。
 Cカードを取り安全管理を自分で行うことで、活動範囲を広げることができ、危険のない範囲でやりたいことができるようになりました。

ウミガメ(鹿良間諸島)
ウミガメと遊泳(鹿良間諸島)
青の洞窟(鹿良間諸島)
会場風景(鹿良間諸島、ボートから)

3.潜りに行こう

Cカードを取得し自由に潜れるようになると、やはり潜りにいきたくなります。
 関東から潜りに行くポイントとしては、主に伊豆半島に行く事が多いです。
 伊豆半島には、ダイビングポイントが多数あり、ポイントごとに水中の景色が変わるため、飽きがきません。
 一泊二日ぐらいのダイビング旅行であれば、伊豆大島も一押しです。伊豆大島へは竹芝桟橋からジェットフォイルに乗り90分で着くため、お手軽に行く事ができます。伊豆大島は、黒潮のルート上にあるため濃い魚影と、火山による地形 が楽しめます。
 長期の休みがとれるのであれば、やはり沖縄が別格です。台風後に海が濁って透明度が悪いという状況でも、10m~15mぐらいの視界が通っており、とても水がきれいです。(関東では、冬場のベストコンディションでも、視界は15m程度です)また、南方系のカラフルな魚が、サンゴ礁の上を泳いでいるのは癒されます。

                 マンタ(石垣島)

最後に

今回のコラムでは、スキューバーダイビングを紹介させていただきました。
 スキューバーダイビングの面白さ、楽しさを少しでもお伝えすることができたのであれば幸いです。もし、ご興味が沸きましたら、体験ダイビングからチャレンジされては如何でしょうか。

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活動報告(中国)

JFE スチール株式会社 西日本製鉄所 福山地区

活動名JFE スチール株式会社 西日本製鉄所 福山地区
実施日2019年2月26日(火) 見学時間 13:00~15:00
場所JFE スチール株式会社 西日本製鉄所 福山地区
  広島県福山市鋼管町1番地
参加者20名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区幹事  久城 啓
1.はじめに

 今年度は広島県福山市鋼管町のJFEスチール 西日本製鉄所を訪問しました。
 JFEスチールは、世界最先端のテクノロジーを駆使したダイナミックな製鉄ラインで 高品質な鉄製品を製造しています。(丸鋼管、鋼板、鉄道レール、H形鋼、棒・線材等)。

2.施設概要

   工場総面積(福山地区):900万㎡
     原材料ヤード:鉱石、石炭
     高炉: 4基
     製造設備: 製鋼、熱延、冷延、厚鋼、形鋼、鍍金、鋳造

3.見学内容

 まず、会議室で製鉄所の概要説明と全体工程の解説ビデオを視聴し、バスで敷地内の製造設備へ移動しました。広い敷地内には鉄道のレールが敷かれ効率よく材料を運搬するための専用機関車がゆっくり走っています。改めて東京ドーム300個分の広さを実感しました。最初に見えて来たのは高さ約100mの高炉です。この高炉で鉄鉱石溶解、還元して鋼(はがね)のもととなる銑鉄を作り出すそうで、炉内の温度は、最高で2,000℃以上になるという説明がありました。ここで使用される原材料は主にオーストラリアからの船による輸送で、岸壁近くの材料ヤードで貯蓄されていました。
 つづいて製鋼工場を通り熱延工場に移動し、1㎞にも及ぶ熱延ラインを見学しました。
 場内では、熱せられた真っ赤な厚さ25㎝の鋼片がゴトゴトと大きな音をたてて前方通って行きます。移動していく鋼片までの距離は、かなりありますが熱気を肌で感じることが出来ます。圧延機の直前に真っ赤な鋼片に水を吹き付けることで表面の不純物除去しながら、少しずつ厚さを薄くして行く工程を見ることが出来ました。ほとばしる大量の水は福山市を流れる芦田川から取水し、使用後は、ろ過を繰り返し再利用しながら、1日7万トン使用しているそうです。厚さ25㎝の鋼片は最終的に約2㎜~3㎜に延ばされ渦巻き状に巻いて併設されるコイルヤードで保管されます。コイル状に巻かれたばかりの製品は約500℃有り、自然冷却には3日位かかるそうです。
 この熱延工場で感じたことは、完全な集中管理によりオートメーション化され1㎞に渡る熱延ラインの中で、ほとんど作業者を見なかったことが印象的でした。
 一連の製造工場の見学を終え、再び会議室へと戻り、この製鉄所では地球環境を重視しながら、大気(粉塵対策)や水質などの環境保全に努め、徹底した省エネルギー活動を推進しているという説明がありました。

高炉
熱間圧延機
4.見学を終えて

 心配していた天気は、絶好の見学日和となり、東側岸壁の原料ヤードから高炉、製鋼、熱延、冷延、巻取、製品倉庫へと西側に向け直線的に効率良く配置された流れを見ることが出来、無事見学会を終了しました。
 終わりに、この見学会で、JFEスチール西日本製鉄所の皆様には各要所で丁寧な説明をしていただき、こころより感謝申し上げます。

以 上

玄関前にて
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活動報告(関東・甲信越)

① 川崎火力発電所 ② NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎

活動名① 川崎火力発電所
② NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎
実施日平成31年(2019年)2月6日(水) 9:00~17:00
場所① 川崎火力発電所
  神奈川県川崎市川崎区千鳥町5-1
② NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎
  神奈川県川崎市宮前区南平台1-1
参加者26名(うち計装士会17名)
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 橋本明洋
1.はじめに

 今回は「川崎火力発電所」および「NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎」の見学会を実施しました。参加者は総勢26名、うち計装士会からは17名が参加しました。
 当日は川崎駅を定刻にバスで出発し、最初の見学先である川崎火力発電所に向かいました。道中は渋滞に巻き込まれる事もなくスムースに移動できたため、予定より早く目的地に到着してしまいました。
 川崎火力発電所では、世界最大級のMACC及びMACCⅡ発電システムを2班に別れ見学を行いました。
 川崎火力発電所の見学終了後、羽田空港第2ターミナルで昼休憩を挟み、NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎にて、東名高速及び第2東名高速の道路管制を行っている指令所を2班に別れ見学を行いました。
 見学後は、武蔵溝の口駅、川崎駅と別れ解散となりました。
 当日は小雨が降るなかの見学会となりましたが、事故や遅延もなく全工程を完了し、無事に見学会を実施する事ができました。
 また、アンケートの評価もよく、参加者にも満足いただけたと思います。

2.川崎火力発電所見学

 (1)施設概要
    川崎火力発電所は、280,000m2の敷地面積内に50MW級の火力発電システムが4基、71MW級の発電システムが2基の計6基の火力発電システムが設置されており、その運転・管理を行われています。
   設置されている火力発電システム(MACC及びMACCⅡ)は、世界最高水準の高効率を誇るガスタービンが使用
   されています。

集合写真 (川崎火力発電所)

 (2)ガイド付き見学ツアー
    施設概要の紹介・説明後、移動経路の都合により2班に別れ施設内の見学を行いました。

  ○ 発電設備
    最新鋭の発電システムであるMACCⅡでは、熱効率を上げるため燃焼ガス温度を1,600℃(MACCでは1,500℃)で運転されている。1,600℃という高温では金属が溶融する温度になるため、ガスタービンのフィンに は金属ではなく、セラミックが用いられている。また、セラミックのフィン周囲に空気の断熱層を形成するための吹き出し口を設け保護も行われており高温の燃焼ガス温度でも運転できるように対応がとられています。
    また、ガスタービンには法定点検が義務付けられており、点検中はその系統が発電できなくなる。川崎火力発電所では、そのダウンタイムを短くするため、予備のタービンが用意されており、メンテナンスのタイミングでタービンをローテーションされているとの事です。
    通常タービンはケーシングされているため、実物を見ることができないのですが、この見学会のときは交換されたタービンのメンテナンスが行われており、タービンの実物を見ることができました。
    川崎火力発電所では発電だけでなく、コンビナート地区へ蒸気による熱融通が行われています。これまでコンビナート地区の各社がボイラで蒸気を作成し原料の加工等に使用されていたのを、川崎火力発電所から供給される蒸気に置き換えることで、2018年度の1年間で約28,000kl(原油換算)の燃料と、約63,000tの二酸化炭素排出量の削減を達成されたとのことです。

見学風景 (ガスタービン及び発電機)
見学風景 (排熱回収ボイラ)
質疑風景
3.NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎

 (1)施設概要
    コミュニケーション・プラザ川崎は、NEXCO中日本の川崎管制センターに併設された企業PR施設で、NEXCO中日本の活動内容の紹介と川崎管制センターの見学が可能です。
    川崎管制センターでは、東名高速道路および第2東名高速道路の道路管制業務が行われています。

集合写真(NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎)

 (2)ガイド付き見学ツアー
    こちらでも2班に別れ、管制センターと高速道路の建設・管理業務の紹介施設の見学を行いました。

  ○ 管制センター
    東京都と愛知県を結ぶ東名高速及び第2東名高速の管制が行われています。
    管制センターでは、1km毎に設置された監視カメラからの情報や高速道路に埋め込まれたループコイルの情報により、「時間あたりの交通量」、「渋滞情報」、「事故や高速道路上の落下物等の異常情報」等が管制センター前面のパネルに表示されます。その情報を元にオペレーターが現地へ人を派遣や、高速道路上の電光掲示板への情報発信等がなされています。さらに、ラジオ用の中継ブースもあり、そこからの管制用のパネルを確認し、最新情報の発信もされています。また、管制センターには警察官の方も待機されており、事故などに備えておられました。
    たまたま見学中に高速道路上で実際に事故が起こり、オペレーターの方がその対応をとられる状況も見学することができました。

見学風景(管制センター)

管制センター

おわりに

 今回は、インフラに関わる施設等の監視・制御・運用を行っておられるところを選定し、見学会を企画しました。私自身も今回の見学会に参加したことで、気付きや新たな知見を得ることができ、有意義な見学会となりました。参加いただいた方々も、何か得ることがあったのであれば幸いです。
 最後に今回の見学会にご協力いただきました東京電力フュエル&パワー(現 株式会社JERA)及び、NEXCO中日本の関係者の皆様に感謝とお礼を申し上げます。

以 上