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活動報告(東北・北海道)

東北電力㈱の大型蓄電池システムを利用した、電力系統への最適制御・ 管理技術開発拠点である、中央給電指令所及び西仙台変電所の見学

活動名東北電力㈱の大型蓄電池システムを利用した、電力系統への最適制御・
管理技術開発拠点である、中央給電指令所及び西仙台変電所の見学
実施日平成29年(2017年)8月25日(金) 13:00~16:30
場所東北電力株式会社 中央給電指令所
 宮城県仙台市青葉区本町1-7-1
東北電力株式会社 西仙台変電所
 宮城県仙台市太白区秋保町
参加者33名(内計装士会7名)
主催(一般社団法人)電気設備学会東北支部
協賛(一般社団法人)日本電設工業協会東北支部
(公益社団法人)日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 今回の見学会は、東北電力株式会社のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。
 見学した施設は、東北電力株式会社管内すべての電力需給運用及び系統運用を監視・制御する中央給電指令所と、大型蓄電池システムが設置してある西仙台変電所です。
 中央指令所では施設の概要と役割の説明をいただき、コントロールセンターと訓練シミュレータを見学させて頂きました。また、西仙台変電所では施設の概要説明と、平成27年に営業運転を開始した大型蓄電池システムを中心に見学をしました。
 その内容を、下記に報告いたします。

2.見学内容

 1)中央給電指令所の概要と見学について

 はじめに、東北電力様より同施設の概要と役割についてご説明を頂きました。
 同施設は、東北電力が電気を供給する東北6県及び新潟県の電力需給運用及び系統運用をコントロールする中枢であり、季節や時間で左右される電力需要に対応するために電力量を事前に予測し、変化する需要量と発電量を随時コントロールし、周波数及び電圧を安定させた品質の良い電気を供給するとともに、最も経済的な発電を図るため多様な従来方式の発電設備と再生可能エネルギーを利用した発電設備をベストミックスで運用するため、各発電所のコントロールを行っていました。

中央指令所での概要説明の様子

 また、国土の1/5をカバーする総延長60万kmに及ぶ送電網を監視するとともに、災害やトラブルに即時対応するため、電力潮流のコントロール及び他電力会社との広域連携など重要な役割を担っていることをご説明いただきました。
 見学では、この電力ネットワークを大画面で監視・制御する状況や、予測・監視・制御を担当する方々の働く姿を見学させて頂きました。コントロールセンターは5名を一班とし、3交代24時間体制で監視制御が行われていました。
 電力の需給運用は、最新コンピュータシステムを活用して導き出されたシミュレーションを利用していますが、最終的には当日のリアルタイムな状況が大型のモニターに写し出され、その膨大な情報をもとに人間が判断・コントロールしていることに少し驚き、感心しました。
 また、訓練シミュレータでは東日本大震災時に発生した状況をシミュレータ画面に再現をして頂いて、当日の緊迫した状況をリアルに体験することが出来ました。

 2)西仙台変電所の概要と見学について

 仙台市内中心部にある中央指令所での見学を終え、仙台市の西に位置する秋保地区にバスにて1時間ほど移動し、西仙台変電所に平成27年度営業運転を開始した大型蓄電池システムを中心に見学を行いました。
 はじめに、同施設の概要をご説明いただきました。
 変電所としては出力2,900MVAの規模を有し、500kV 送電網を繋ぐ最重要変電所で500kV、275kV、154kVの変電所としての役割を担うとともに、今回の見学の主体となる大型蓄電池システムを国内で始めて導入し、営業運転と連系した実証試験が行われている変電所で有り、設置されている変電所では最大規模の設備との事でした。

西仙台変電所での概要説明の様子

 この大型蓄電池システムの導入目的は、近年導入の進む再生可能エネルギーとの系統連携に安定化をもたらし、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を目指すために設置されたもので、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会公募の実証事業として運用されています。
 気象条件で出力が変動する風力・太陽光などの発電設備の影響を、従来の発電設備による周波数調整に加え、本設備の充放電により周波数変動抑制対策を行うことが最大の目的とされた設備です。

大型蓄電池設備の説明の様子

 現地を見学すると、多くの蓄電池コンテナが整然と配置された姿は壮観でした。
 その設置数は80台、その中には小型リチウムイオン電池をモジュール化したコンテナ盤が18面格納され合計容量20MWh出力20MW(短時間最大40MW)の能力が有ります。
 設置に当っては火災に備えての安全対策を施し、法的基準をクリアするためにご苦労されて現状のコンテナ形状での分散配置としたとの説明も有りました。
 また、監視制御を行う監視制御棟、昇圧用変圧器を備えた変圧器室、出力500kwのパワーコンディショナー(PCS)80台を配置するPCS室なども見学させて頂きました。
 監視制御棟は、先の見学先である中央給電指令所で算出された充放電量により制御されているとの事でした。

大型蓄電池設備の見学
3.おわりに

 今回の見学会で、ご協力頂きました東北電力株式会社様に感謝すると共に、お忙しい中、施設のご説明及び見学のご案内をして頂きました社員の方々にはこころより御礼申し上げます。                                              以  上

西仙台変電所にて(参加者一同)
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コラム

ライダー

株式会社ユアテック

電気設備部

小川 克郎

はじめに

 私とオートバイとの出会いは、昭和59年に25歳で普通自動二輪免許(中型)を取得し、ホンダのCBR400を購入して乗り始めたのが始まりです。年齢的には遅い乗り出しでしたが、まだ数人の友達がオートバイに乗っていました。
 当時は空前のオートバイブームで、「レーサーレプリカ」とか「ネイキット」と呼ばれるタイプのバイクが全盛を極めていました。
 また、今でも人気のある北海道へのツーリングもブームで、当時は「ミツバチ族」と呼ばれ、道内全域をライダーが走り回っていました。

1.ツーリング

私は今でもオートバイに乗り続けています。乗り続けるきっかけとなったのは初めて友達と2人で行った北海道へのツーリングです。
 お盆休みを利用してのツーリングであったためか、ライダーのほとんどが本州からのライダーで、対向車線を走ってきたライダーはほぼ全員がすれ違いざまに挨拶(ピースサイン)をしていました。また、観光地やコンビニの駐車場で知り合ったライダーと気軽に観光情報やツーリング中の出来事、バイクに関する話をしていました。
 この初めてのツーリングで、「知床半島の灯台」まで羅臼港より地元の小さな漁船に乗って、外洋の荒波を頭から被り濡れながら行ったり、現在は立ち入り禁止となっている「カムイワッカの滝」で滝壺温泉に入ったり、今では体験出来ないことをすることが出来ました。この時の「予期しない未知の体験」が、今でもツーリングを続ける要因になっています。
 いまでも私が全国をツーリングしているのは、有名な観光地を巡ることやツーリングスポットを走ることも楽しいのですが、ライダーと言う共通点により見ず知らずの人と気軽にコミュニケーションが出来ることが楽しみで乗り続けています。
 連休を利用してツーリングに出かける場合、1回のツーリングで3,000km位走るときも有りますが、この距離を車でドライブに出かけようとは決して思いません。
 しかし、車に比べるとオートバイは非常に過酷です。オートバイのシートは固く、長時間の走行時にはお尻が痛くなります。また、同じ姿勢でいるため、首、背中、腰、膝も疲れて痛くなります。
 天候が良ければ爽快なのですが、夏はエンジンの排熱で暑いし、冬は外気に体が曝されているうえ走行による風のため非常に寒いです。また、横風が吹けば車体が横に流され、雨が降れば前が良く見えません。常に「自然との闘い」が続きます。
 バイクに乗り続けることは、「苦行」を行っているように感じることも有ります。

北海道 国道232号線 (オロロン街道)
北海道 国道232号線 (三国峠)
山口県 角島大橋
島根県 県道338号線

2.ライダーハウス

ツーリングの際に、私が宿泊施設として利用しているのは「ライダーハウス」です。ライダーハウスとは、自転車乗り(チャリダー)かオートバイのライダーを主な対象とした簡易の宿泊施設です。利用料は、無料から3,000円程度で全国に有りますが、特に北海道と長野県に多いようです。
 ライダーハウスは営利目的で無く、宿主の善意により行われている場合が多く施設の形態も多種多様です。民宿や民家の1室から崩壊しそうなあばら家まで当たり外れがあります。夏のエアコン、冬の暖房も期待できません。
 また、基本的には寝袋持参の雑魚寝ですが、寝具が有るところも有ります。
 私はバイクの荷物を出来るだけ少なくしたいため、寝具が有るところを利用するようにしています。
 ツーリングシーズン(春から秋)の休日は混雑しており、一人あたりのスペースが狭くてゆっくり休めないことも有ります。年寄りの私には体力的にかなりきついのですが、一般の宿泊施設を利用せずライダーハウスを利用しています。
 利用する理由は、利用料が安いこともありますが、同宿するライダーとの会話(宴会)が楽しいからです。
 年齢、職業、出身地、性別も違う見ず知らずの人間が出会い、全国各地の情報や自分が経験出来ないこと、自分では考えつかないことを聞くことが出来るからです。

ライダーハウス (北海道)
ライダーハウス (北海道)

3.ライダー

ライダーには、いろいろなタイプの人がいます。私のように一人で全国各地をツーリングしている人、タンデムツーリング(2人乗り)を楽しむ夫婦、いくつになっても峠を攻めている人、「自分探しの旅」と称してカブ(ホンダのスーパーカブ50cc)で全国一周をしている若者、全国一周の途中で特定のライダーハウス(沼と称されている)に埋没する若者、全国の神社・寺院の朱印を集めている人、ライダーであるという優越感に浸っている人などなど。
 近年は20代のライダーよりも、若いときは金銭的に大型オートバイが買えなかった人、または昔の思い出(過去の栄光)を再現すべく50~60代でまたオートバイを乗り始めた「リターンライダー」、旧型の(一部リメイク若しくはデコレーションした)オートバイをこよなく愛している「旧車会」のメンバーが沢山います。
 皆さん思い思いに、仲間と若しくは一人で、それぞれ走りたいところを、それぞれのペースでツーリングを楽しんでいるようです。

北海道 宗谷岬
福島県 高速道路パーキング

最後に

近年、ライダー人口は年々減少しており、リターンライダーが居なくなる20年後位には絶滅危惧種に指定され、ライダーは「死語となるのでは」と懸念しています。
 私は将来の絶滅危惧種の一員として、経済的に、体力的に許す限り、未知の体験や未知の人種を求めて乗り続けたいと思います。
 オートバイは決して安全で快適な乗り物ではありませんが、その機動性、操作性において非常に楽しい乗り物です。興味のある方は、一度チャレンジしてみては如何でしょうか。

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活動報告(中部・北陸)

「計測・校正における不確かさの使い方」

活動名「計測・校正における不確かさの使い方」
講師
三興コントロール株式会社
  計測制御サービス事業部 校正技術部
  部長 田村 純 様
実施日平成29年(2017年)7月31日(月)13:30~17:00
場所ウインクあいち
名古屋市中村区名駅4-4-38
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区幹事 柏原 達司
講演内容について

  ・計 測
  ・精 度
  ・校 正
  ・不確かさ
  ・試験・検査
  ・ISO9001-2015

アンケート結果

  「内容の理解」については、今までの漠然とした考え方を根底から変えてしまうと言っても良いような内容ですので、直ぐには理解出来ない部分があったようです。しかし、参加者の業務との関連性についてみますと「概ね役に立つ」、「役に立つ」との回答が多くあり、今回の勉強会についての全体評価は「とても面白かった」との回答が一番多くありました。

講演会風景
講演会風景
所 感

  今回の勉強会は、「計装」の基本ともいえる内容の講義でした。
  システムを「計画」、「工事」、「維持管理(運用)」に分けるとすれば、特に長期にわたる「維持管理(運用)」では大事な部分であり、計器の「精度」、「校正」、及び信頼性を数値化した「不確かさ」については大変に貴重な講義でした。
   日本工業規格(JIS)制度から日本産業規格(JIS)へ。また、「工業標準化法」も「産業標準化法」とし、2018年に改正が予定されています。
   SIの基本単位についても物理法則を用いて定義する方法がとられている現在、質量については「国際キログラム原器」が未だ基準になっている現状から、国際基準が2018年に変更が予定されていることも「制度」、「計測」について改めて意識することが出来ました。
   3時間以上に渡る講義でしたが、皆、聴講を楽しんでいるように見えました。また今回は、非常に面白かったという意見もありました。
   最後になりましたが、お忙しい中、講義をして頂きました田村純様には、今後の更なるご活躍を祈念し、改めまして御礼を申し上げます。有難う御座いました。

以 上

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活動報告(四国)

『計測・校正における不確かさの意味』

活動名『計測・校正における不確かさの意味』
講 師
田村 純 講師
 三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業所 校正技術部 部長
実施日平成29年(2017年)7月14日(金)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 62会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
はじめに

 四国地区では、平成29年度上期の地区活動として、7月14日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

  ① 計測と精度
    ・計測と計量の用語や計測の意味
    ・直線性の評価が大切
    ・まちがえやすい言葉「繰り返し性」、「再現性」
    ・精度は、正確さ(カタヨリ)と精密さ(バラツキ)の度合いを示す。
    ・メーカーは設計基準でカタログ精度を決定するが、ユーザーは自分たちの使用環境で計測した時の性能が知りたい。

  ② 計測と校正
    ・計測(測定)は目盛の無いモノに目盛を付け、校正は付けられている目盛の検証である
    ・校正とは計器の性能評価や性能保証する行為ではない
    ・保全(メンテナンス)は製造工程の計器を信頼ある状態にすることで、校正(キャリブレーション)は計器の履歴データの特性の検証
  ③ 初めての不確かさ
    ・不確かさとは、確かでない程度のこと
    ・不確かさのイメージ
     名人の結果:的の中心(上位標準値)に近く(カタヨリが小さく)集まって(バラツキが小さく)当たっている。
     初心者の結果:一応、的の中心を狙っているがカタヨリが大きくバラツキも大きい。
    ・真値は存在しないので、誤差は求められない
    ・不確かさ評価では、なるべく信頼性の高い(≒真の値?)校正値を求め る努力をする
    ・不確かさとは、バラツキの存在を仮定して、測定や校正を考えようという「約束」事。

  ④ 不確かさの使い方
    ・不確かさの悪い使い方
     「このデジタル温度計は○○○の不確かさをもっていた。」
    ・正しい使い方
     「このデジタル温度計は「校正証明書」に記載してある条件では100.00℃ と表示したときに0.03℃の『不確かさ』を持っていた。

  ⑤ 校正結果の見方
    ・校正値は多くの観測値(採取データ)の「平均値」
    ・観測値は少なからずバラついており、バラツキ量を統計的に処理して、数値化したものが「不確かさ(数値)」になり、校正値の信頼性の目安となる。

  ⑥ 試験、検査と校正
    ・計測、校正から検査・試験へ
     標準器を用いて対象計測器を計測、校正すると、不確かさを伴った計測、 校正データが得られる。そのデータを適合性評価基準(客先要求、メーカ ー仕様、誰もが認める基準)で合否判断して、適合性評価
     書の試験・検査 データとする。

  ⑦ ISO9001-2015
    ・2015年度版では、証拠書類ではなく、何故、その数値にしたのか? 何 故、そのアウトソースを選んだのか、理由を求められる。

田村講師
勉強会の様子
所 感

 講師の田村様は、三興コントロール株式会社 計測制御サービス事業部校正技術部の部長で、計測・校正分野に日本で初めて不確かさ(Uncertainty)という概念を持ち込んだご本人であり、校正に必要な機器は、無ければ開発している部門の長でもあられ、仕組みや規格を作る側にも精通していらっしゃいます。
 その田村様に今回は、「計測、校正における不確かさの意味」と題して新概念の「不確かさ」についてご紹介いただくとともに、これまでの精度や誤差との違いおよび「不確かさ」の使い方などについて、内容の濃いご講演を頂きました。
 計測や校正において「不確かさ」という用語を最近、聞くようになりましたが、誤差や精度と、どう違うのか、どういう概念なのか、気になってはおりましたが、良くは知りませんでした。
 今回の勉強会で良くわかったというには、難しい概念ですが、「不確かさ」とは、計測値や校正値の信頼性を示すための指標で、カタヨリが小さくバラツキが小さい=不確かさが小さく信頼性が高いということ、また、校正とは、ある標準的な環境で、計測器が標準器と比較してどの程度の測定ができているのかを確認するところまでで、計測器の調整は含まないことがわかり、今まで勘違いしていたことも明らかになりました。
 今回の講演を聞いて、現在のグローバル化の流れの中で、日本でも「不確かさ」の概念が校正や計測の分野で当たり前になっていくとともに、校正結果を踏まえて、より現実的な計測器の管理精度を、使用環境に合わせて自主的に設定、管理することが求められるようになっていくと感じました。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず講師をお引き受けいただいた田村様に厚くお礼申し上げるとともに、講師ならびにご参加いただいた皆様の今後とも益々のご活躍をご祈念致します。

以 上

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活動報告(中国)

『校正における不確かさの使い方』

活動名『校正における不確かさの使い方』
講師
田村 純 講師
  三興コントロール㈱
  計測制御サービス事業部 校正技術部 部長
実施日平成29年(2017年)7月13日(木)14:00~17:00
場所㈱中電工 本店電気ビル 11階会議室
  広島県広島市中区小網町6-12
参加者23名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 久城 啓史
概 要(項目)

 【内 容】
     ① 計測と精度
     ② 計測と校正
     ③ 初めての不確かさ
     ④ 校正結果の見方
     ⑤ 試験、検査と校正
     ⑥ ISO 9001、ISO 17025

   標記の講義内容に対して、アンケート結果(回答22名)
    1)一番興味があった件は
     ①真の値は存在しない‥‥‥‥‥‥・・・・・ 7名
     ②偏差(誤差)とバラツキ‥‥‥‥・・・・・・・・・ 5名
     ③不確かさの定義‥‥‥‥‥‥‥‥・・・・・ 3名
     ④精度の定義‥・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・2名
     ⑤校正について‥‥‥‥‥‥‥・・・・・・・・・・2名
     ⑥計器使用における外乱‥‥‥‥‥‥‥・ 1名
     ⑦有効期限の意味‥‥‥‥‥‥‥‥・・・・・1名
     ⑧ISO 17025について‥‥‥‥・・・・・・・・・・・1名

    2)勉強会の希望テーマについて
     ①海外のプラント計装について
     ②品質保証(QA)について
     ③計装工事の実例
     ④計測・校正機器の構造と使用方法
     ⑤計装工事の今後

田村講師勉強会の様子
所 感

 多数の方が、「不確かさ」についての分かり易い説明と奥深い内容に 興味を持ち、知識が広がったと書かれていました。
 また、「不確かさ」=「誤差」と思っていた私も、精度と校正および 国際標準の流れついて分かり易く説明していただき、その奥深さに魅了 されました。
 最後に、今後とも、田村先生による計装士のための講義継続と、益々 お元気で活躍されることを切に願います。

以 上

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活動報告(近畿)

第1部「化学・石油精製プラントの運転中の事故防止の考え方」 第2部「プロセスプラントにおける『ものずくり×loT』を考える」

活動名第1部「化学・石油精製プラントの運転中の事故防止の考え方」
第2部「プロセスプラントにおける『ものずくり×loT』を考える」
講師
第1部九州大学 名誉教授 工学博士
 松山 久義 様
第2部アズビル㈱ アドバンスオートメーションカンパニー
 SSマーケティング部 2Gr グループマネージャー
 高井 努 様
実施日平成29年(2017年)7月7日(金)13:30~16:00
場所新梅田研修センター
 大阪市福島区福島6-22-20
参加者81名 (計装士会12名)
主催(一社)日本計装工業会
協賛計装士会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二

 平成29年度近畿地区上期活動として、(一社)日本計装工業会主催の「特別講演会IN大阪」に共催という形で参加させて頂きました。
 第1部では、プラントの運転中に発生する保安事故を対象にそれを防止する仕組みの理想的構造と現実の構造について、現在の技術レベルおよび経済状況という制約下で実現に努力すべき現実的な事故防止の仕組みの構造について、特に計装に関係のあるところを中心にご説明頂きました。
 第2部では、日本政府が掲げる「超スマート社会」の実現に向けて物凄いスピードで進化し続けている中で、ものづくりの現場として「超スマート工場」とはどういうものか、その実現の ためにはどういうことを考えていかなければならないかについてお話頂きました。

講演内容

 第1部:化学・石油精製プラントの運転中の事故防止の考え方
   1.はじめに
   2.事故防止の仕組み
     2.1 設計中心の事故防止の仕組み
     2.2 運転中のプラントの事故防止の仕組み
      2.2.1 危険源の列挙
      2.2.2 引金事象の分類
      2.2.3 多重防御層
      2.2.4 現実の多重防御層の構造
      2.2.5 事故の分類
      2.2.6 事故防止へのアプローチ
   3.引金事象の列
     3.1 外乱の列挙
     3.2 誤操作の列挙
     3.3 故障の列挙
     3.4 誤作動の列挙
   4.多重防御層内の危険源のリスク評価
     4.1 基盤層内の危険源
      4.1.1 基盤層の分解
      4.1.2 誤操作防止(L0(B))内の危険源
       4.1.3 故障防止(L0(C))内の危険源
      4.1.4 誤作動防止(L0(D))内の危険源
     4.2 第1層内の危険源
      4.2.1 第1層の分解
      4.2.2 外乱防御・影響緩和(L1(A))内の危険源
      4.2.3 フールプルーフ(L1(B))内の危険源
     4.3 第2層内の危険源
      4.3.1 第2層の機能不全と危険源との関係
      4.3.2 対応操作実行中の誤操作とその危険源
      4.3.3 対応操作実行中の誤操作防止の活動
      4.3.4 環境整備
      4.3.5 対応操作実行中の誤操作防止の信頼度
     4.4 第3層内の危険源
      4.4.1 第3層の危険源の分類
      4.4.2 設備の能力不足
      4.4.3 設備の故障
      4.4.4 保安設備作動中の介入
       4.4.5 第3層の信頼度
   5.まとめ
     5.1 漏洩事故の防止
     5.2 第2層と第3層の入れ替え
     5.3 外乱防御・影響緩和のバックアップ
     5.4 実現に努力すべき多重防御層の構造
   6.残された課題

 第2部:プロセスプラントにおける『ものづくり×IoT』を考える
   第1章 今、何が起こっているのか
     ●技術ブレークスルー
     ●主要国の動き
     ●世界に先駆けてた『超スマート社会』の実現(Society 5.0)
     ●未来投資戦略2017から見えてくる超スマート工場
     ●社会の進化は加速
   第2章 ICTやAIの発展と人の役割
     ●ICTとAI
     ●AIの正体
     ●AIの限界
     ●AIと人のリスク要因の比較
     ●AIと人の相補関係
     ●10年後のプラント運転を考える
   第3章 超スマート工場の運転管理
     ●日本のプラント運転管理の現状と課題
     ●ものづくり×IoT 3つのポイント
     ●熟練運転員の叡智を継承・超越する「IoTエージェント」
     ●IoTエージェントを司る「データエンジニア」
     ●データエンジニアを支援する「スペシャリストネットワーク」
   まとめ
     ●超スマート社会と呼ばれる第5次社会は、明確にその姿を現し、物凄いスピードで進化し続けていくであろう。
     ●その真っただ中にいる今、ものづくりの現場を「超スマート工場」として進化させるためには、まず、今の業務をしっかりと分析し、その課題と課題解決時の得られる価値を見据えることが重要である。
     ●そして、課題解決に適合する手段として、最新の技術や既存の技術の応用による現場毎の第二、第三の目となるIoTエージェントを導入していくことが鍵となると考える。
     ●今のAIは強力なパターン処理マシン。制約は有る。
       ⇒ 進化を続けるためには、人の関与が必要。
       ⇒ AI(やICT)と人との相補関係が生産に価値を与える。人の仕事の価値を高める。
       ⇒ IoTエージェント、データエンジニア、スペシャリストネットワークが連携する環境の構築。
     ●第5次社会は、これまでの働き方を変える時代でもある。
       ⇒ 物質、エネルギー、情報と時代とともに重要視する対象は変化してきた。
       ⇒ 第5次の社会、そして工場は、人を中心とした価値をより重視する社会へと進化する。
     ●超スマート工場の実現とは、IoT技術活用を考える以前に、スマートな人の行動、働き方を考え、大きく
      変革することで、人にとってより豊かな社会を築くための礎となる新しい製造スタイルの創造であるか
      もしれない。

所 感

 全体で約2時間、各1時間程度の講演となりましたが、それぞれ非常にボリュームある内容だったので、あっという間に時間が過ぎ去りました。アンケートからも、もう少し時間があれば良かった、もっと詳しく聞きたかった、という感想も有り、大変有意義な講演会となりました。
 計装士会としても、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、見学会 等を企画、開催していきたいと思います。
 最後になりましたが、今回の講演会にご尽力いただきました松山先生、高井先生、(一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝と御礼を申し上げます。

以 上

瀬尾専務理事 挨拶
松山先生 講演風景
高井先生 講演風景
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活動報告(関東・甲信越)

「計測・校正における不確かさの使い方」

活動名「計測・校正における不確かさの使い方」
講師
田村 純 講師
  三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業部 部長
実施日平成29年(2017年)3月8日(水) 14:00~17:00
場所虎の門電気ビル会議室 (地下1階)
  東京都港区虎ノ門2-8-1
参加者31名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 山本公一
講演内容

 1. 計測と精度
   ・計測と計量
   ・計測・計量、校正に関する用語の統一
   ・精度とは?
   ・精度の定義 ・センサ、計測機器と分析計の性能
   ・まちがいやすい言葉
   ・カタヨリとバラツキ
   ・計測の意味
   ・計器の使用目的
   ・計器の性能(仕様)
   ・様々な「精度」の記述
   ・カタログ表記の精度とは

2. 計測と校正
   ・保全と校正
   ・2つのはかる
   ・現代的な校正の定義
   ・定義で言っている事
   ・校正の目的
   ・本当の校正は「しつこい」のです
   ・比較と校正
   ・実際の校正
   ・校正の「方法」と「手順」
   ・温度計の比較校正例
   ・校正行為の明確化
   ・校正の実現のために
   ・現場での校正手順の例(時系列)
   ・校正の意味について
   ・校正値とは
   ・標準値は作るもの
   ・標準値を作り出すことの難しさ
   ・計器を使う時(私見)
   ・校正と調整
   ・校正の妥当性確認
   ・計器、計量機器の品質管理

3. 初めての不確かさ
   ・「不確かさ」の出現
   ・不確かさのJIS規格
   ・GUM(ガム)
   ・GUMの中の測定と校正
   ・不確かさ評価
   ・表示が要求される場面
   ・何故「不確かさ」なのか
   ・信頼できる数値
   ・カタヨリとバラツキ
   ・誤差の事実
   ・GUMの根底
   ・表す数値の信頼性
   ・不確かさのイメージ
   ・バラツキ
   ・考え方の変化
   ・バラツキが重要な訳
   ・バラツキの見える化とは?
   ・統計の考え方
   ・標準値と校正値の関係
   ・バラツキ量の計測と校正の足掛かり
   ・不確かさと「トンボ」表記
   ・バラツキは校正すると大きくなる
   ・主流はどちらか
   ・計器と性能
   ・不確かさ算出の基本
   ・具体的なバラツキとは
   ・校正時のバラツキ要因
   ・不確かさ評価方法の教育

 4. 不確かさの使い方
   ・不確かさのイメージ
   ・誤差と不確かさ
   ・検定とは
   ・不確かさを表現する際の注意
   ・不確かさを使う時に
   ・校正結果の不確かさ
   ・計測、校正と不確かさ
   ・製作工業と製造工業の差
   ・計測と校正のギャップ
   ・現場での校正の場合
   ・現場の不確かさ要素
   ・偏差(誤差)対 不確かさ
   ・使用場面による不確かさ数値の違い
   ・ある計器メーカーさんの精度表記
   ・「不確かさ」を使う場面

 5. 校正結果
   ・出回っている様々な校正の書類
   ・校正証明書の例
   ・校正結果の例
   ・校正に必要な文書
   ・校正証明書中の用語
   ・新JIS的・・・これからの表記方法
   ・不確かさ表記の一般的なルール
   ・校正結果の情報

 6.試験、検査と校正
   ・検査・試験と校正の境界
   ・検査・試験と校正の違い
   ・計測、校正から検査 ・試験へ
   ・CP設定の重要性
   ・判断するのは専門家
   ・メーカーの出荷検査も
   ・許容値と不確かさの違い
   ・許容値と不確かさの関係
   ・点(距離)から巾へ
   ・判定基準と不確かさ
   ・2つの品質管理手法の存在
   ・許容値と校正値
   ・不確かさと他のデータ

田村講師
田村講師
奥住副代表挨拶
所 感

 講義の前に奥住計装士会副代表幹事挨拶のあと、田村講師よる「計測、校正における不確かさの使い方」の勉強会を開催しました。アンケート結果にもあるように今回のテーマが参加者の業務に直結している上、意外と知らない、重要な内容であったため、長い時間にも関わらず、最後まで興味深く受講することができました。
 同じ【計測・不確かさ】といったテーマに関しても、計測器メーカ・製造メーカ毎に考え方、対応が異なり、施工・保守といった業務を行う側としても、対応方法・考え・手順等を明確にしなければならないと強く感じる講習となりました。
 今回の勉強会にお忙しい中、ご出席頂きました会員皆様と計装士会関係者の皆様に感謝と御礼を申し上げますと共に、田村講師様にはご多忙中にもかかわらず貴重なご講演を頂きありがとうございました。

以 上

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コラム

お城探訪

高砂熱学工業㈱

東京本店 電気計装部

松原 正義

 はじめに

 歴史好きでなくても、NHK大河ドラマ好きは多いかと思います。大河ドラマには、必ずと言っていいほどお城が出てきます。昨年の大河ドラマ「真田丸」のオープニング画面は、雲海を望む山城で現存天守が残っている備中松山城でした。
 今回のコラムは、「お城」について。

1、お城とは

 お城といえば壮麗な天守や櫓群の建物や石垣と思われるが、 城の本質は敵を防ぐことを目的とした戦闘施設、防御施設である。近代城郭は江戸城の最初の築城者太田道灌から進化が始まり、織田信長の安土城、豊臣秀吉の大坂城と続き、関が原合戦以降も城郭建築ブームは続いていく。
 江戸期に存在した城は150程度といわれているが、その9割は大坂城以降30年間に築かれたか、改修されたものである。

2、築城 ~城造り~

1)縄張(なわばり)

 城は、「縄張」と呼ばれる設計図をもとに曲輪(くるわ:城の区画)の配置、掘割、建物や城下の町割までを含めた城つくりの全体的な設計計画をもとに造られる。城の構成として土塁・石垣といった塁壁、堀、虎口(出入口)、櫓、御殿、天 守などの建築物がある。

2)普請(ふしん)

 普請とは、城の基礎造りで、石垣、掘割などの土木工事を示す。江戸城や大坂城では各大名に天下普請を命じ、各大名は大きな石を運び各大名家の目印を刻印にて力を誇示した。

3)作事(さくじ)

 門、塀、櫓、御殿、天守等の建築物をつくる作業を作事という。我々が城に惹かれる大きな部分がこの作事にて造られたものである。

3、登城記

1)丸亀城(香川県丸亀市)

 日本一の高さの巨大な石垣と現存12天守の1つで小ぶりな天守の丸亀城。
 標高66mの亀山に建ち、「扇の勾配」と呼ばれる高石垣が見所。大手門から天守を望むとかなりの距離に見えるが、城内は公園として整備されており、適宜な散歩感覚で登城できるのも魅力である。

丸亀城

2)備中松山城 (岡山県高梁市)

 臥牛山にある日本三大山城で、本丸は標高430mに位置し、現存する12天守の中では最も高い場所に建つ雲海でも有名な城である。前記したように、一部CGは使われたものの、NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングに使われた城で、本丸まで行くには、駐車場から約20分の登山となり、自然の岩盤を利用した大きな石垣が見えたときの感動はひとしおである。
 また、別の登山道の途中には、あの大石内蔵助が城引渡しの談判に行く途中に休んだ腰掛石も残っている。

備中松山城

3)熊本城 (熊本県熊本市)

 名君・加藤清正が築城した天下の名城である。武者返しといわれる石垣は、一見揺るやかながら、上にいくに従って角度を強め急勾配となる。
 昨年4月の熊本地震により、この石垣、天守、櫓が大きな被害を受けたのは記憶に新しいところである。

4)国宝犬山城 (愛知県犬山市)

 木曽川のほとりに建つ城で別名白帝城と呼ばれる。対岸は、岐阜県(美濃)で国境に位置し、戦国時代は争奪が繰り返された。小さな天守だが、現存する12天守の1つで木曽川の対岸から見ると美しい天守である。
城下町もきれいに整備されおり、是非訪れて頂きたい城である。

熊本城
犬山城

まとめ

 お城には、その外観や建築物として魅力だけでなく、奥深い歴史が詰まっている。領土を拡大しようとする武士の野望、また敗れて落城する領主たちの気持ちが多く刻まれてる。お城を探訪することで、少しでも歴史を感じることができればと思う。

参考文献
 (1) 歴史発見Vol3 デーィプな城発見 ㈱学研パブリッシング
 (2) 日本の名城を往く  男の隠れ家特別編集 ㈱三栄書房

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活動報告(近畿)

量子科学技術研究開発機構 関西光科学研究所

活動名量子科学技術研究開発機構 関西光科学研究所
実施日平成29年(2017年)2月23日(木) 13:00~17:30
場所量子科学技術研究開発機構 関西光科学研究所
  京都府木津川市梅美台
参加者13名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事 大久保 精之
1.はじめに

 平成28年度近畿地区の活動として、2月23日に上記見学会を開催しましたので、以下に概要を報告いたします。

2.見学内容

 (1) 見学施設概要
 (2) 実験施設の見学
 (3) スーパーサイエンスセミナー
 (4) レーザーでコンクリートの健全性の検査を遠隔・高速で行う

3.関西光科学研究所(木津地区)

 (1) 見学施設概要 
    関西光学研究所は、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子ビーム科学研究部門のなかでレーザー光を利用した研究を行っている施設です。
    レーザー光とは、空間的にも時間的にも同じ波長を集めた光りのことです。同研究所では、世界トップクラスの極短パルス超高強度レーザーと1秒間に千発のレーザーパルスが繰り出せる高平均出力ピコ秒パルスレーザーの2つの特徴を持ったレーザー光発生装置を有し、イノベーションの創出に向け産業・医療応用に向けた研究を行っていました。

関西光科学研究所及びKARENレーザー (同HPより)
施設概要説明
レーザー光発生装置
非侵襲血糖値センサーの開発

 (2) スパーサイエンスセミナー概要
    セミナーは、レーザーでコンクリート内部の欠陥を素早く検知する技術の開発で、「振動励起レーザー」の照射により、トンネルコンクリート壁を振動させ、内部の欠陥に起因する特異な振動を「計測用レーザー」で検知することで、コンクリート内部の欠陥情報を画像として取得するものでした。
    現在は検査の速さが人の手による打音法に比べ50倍速いレベルに達しており、今後は更に高速かつレーザー光の強度を高めコンクリート検査の深さ方向を60mmから100mmに高めたいとのことでした。

レザー欠陥検出法のイメージ (公財)レーザー技術総合研究所提供
4.おわりに

 見学会に参加頂いた皆様からアンケートで、この見学会を通じて見識・知見を広めることができ参加してよかった、次回も参加したいとのご意見を受け有意義な見学会になったと感じました。
 最後に、関係各所の皆様のご協力で無事に見学会を遂行することができました、厚くお礼申し上げます。

以 上

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活動報告(中国)

「株式会社日立製作所 笠戸事業所」

活動名「株式会社日立製作所 笠戸事業所」
実施日平成29年(2017年)2月22日(水)9:30~17:00
場所「株式会社日立製作所 笠戸事業所」
 山口県下松市大字東豊井794
参加者23名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 久城 啓史
1.はじめに

 今年度は山口県下松市の日立製作所 笠戸事業所を訪問しました。
 日立笠戸事業所は、鉄道車両を製造する工場で、JR、民鉄向けを問わず幅広く扱い、新幹線向けの車両を多く製造し、他のJR電車車両及び阪急電鉄,東武鉄道等の車両や各種モノレールの製造実績があり、現在は、英国向けの高速車両も製造を行っている。
 車両は、リサイクル性に優れた軽量アルミ素材を採用し、新接合技術でゆがみが少なく無塗装でも美しい車両となっています。

2.施設概要

 山口県下松市の南部、笠戸島の対岸に工場群を構える。
敷地面積:約52万㎡。 製造された車両は専用線を通じて山陽本線下松駅から全国に発送(甲種輸送)される。
なお、新幹線車両は工場内の岸壁から、海外向け車両は工場近くの岸壁(徳山下松港)から船積により発送される。
現在は、電車車両の製造が主力となっているが、かつては蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車、気動車、客車、貨車の製造も行っていた。

3.見学内容

 まず、会議室で笠戸事業所の説明と会社概要のビデオを視聴し、バスで製作工場施設へ移動しました。最初はアルミ車両本体の組立工程について説明を受け、真近での無垢 車両外装に圧倒され、改めて大きさを実感しました。
 ここで、アルミの接合が溶接ではなく摩擦による特殊な接合技術で大型の接合でもひずみの出ない技術を教わりました。
 次に車両先端部の見学では、アルミの見事な曲線部、内面を格子状に削り出すことで 補強を行っていること、また海外仕様では,衝突時の対策も考慮された仕様となっていることも説明がありました。
 次の工程では、車両下部の許容スペースでの機材組込とケーブル配線及び配管関係の見学を行い、ボルトの締付は規定トルクによる締付をタブレットで確認して個々の締付データを記録し、最後に打音による音でも確認するというダブルチェックで、品質管理を行っている説明を受けました。その後の塗装された車両工場では、その色と艶に魅了されました。
 一連の製造工場の見学を終え、バスで移動し歴史記念館を拝観させていただきました、館内では、創立以来の製品模型や展示物が一同に並び深い歴史の変遷に感動しました。
 最後に歴史記念館近くのモノレールを背景に集合写真を撮らせていただき、その後会議室に集合して全体の説明を受け、そのスケールの大きさに興味深々で多くの質問が参加者の関心の高さを示していました。

4.おわりに

 この度は、中々見る機会のない鉄道車両の製造工程を拝見させていただき、その芸術的な車両に圧倒されました、見学後の参加者アンケートでも、多くの皆様が良い見聞をさせていただき、とても有意義だったと書かれていました。
 終わりに、この見学会にご協力いただきました、㈱日立製作所中国支社及び笠戸事業所の皆さま方にはこの紙面をお借りして厚く御礼申しあげます。

以 上

歴史記念館近くのモノレールを背景に集合写真