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活動報告(中国)

『振動と計測(計装)機器』

活動名『振動と計測(計装)機器』
講師
田村 純 講師
  三興コントロール㈱
  計測制御サービス事業部 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)7月19日(木)14:00~17:00
場所㈱中電工 本店平和大通りビル 11階会議室
  広島県広島市中区小網町6-12
参加者25名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 久城 啓史
概 要(項目)

 【内 容】
     ① 振動とセンサ
     ② 振動の計測と校正
     ③ 振動計と加振試験
     ④ タービンの監視
     ⑤ 振動試験の仕様
     ⑥ SI単位の改訂

   標記の講義内容に対して、アンケート結果(回答24名)
   (1)勉強会の内容について
     ①とても面白かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16名
     ②面白かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8名
     ③面白くなかった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名
   (2)計装業務に対する意欲について
     ①元気が出てきた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10名
     ②少し元気が出た ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13名
     ③あまり変わらなかった ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
   (3)勉強会の内容が役立ちそうですか
     ①役に立つ  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15名
     ②少しは役に立つ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9名
     ③あまり役に立たない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名
   (4)一番興味があった件は
     ①振動の発生と現象‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 5名
     ②振動の計測と校正‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 4名
     ③SI単位の改訂‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・・・・・ 3名
     ④トレーサビリティの担保 ‥‥‥‥・・・・・・・ 3名
     ⑤振動と騒音・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 2名
     ⑥振動の単位・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 2名
     ⑦地震計について‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 2名
     ⑧これからの校正‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 1名
     ⑨加振の種類・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 1名
     ⑩共振現象‥・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 1名
   (5)勉強会の時間について
     ①長すぎる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3名
     ②ちょうど良い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20名
     ③もう少し聞きたい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
   (6)次回の勉強会への参加について
     ①是非参加したい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21名
     ②どちらでもない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3名
     ③参加したくない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名
   (7)勉強会の希望テーマについて
     ①避雷設備および接地関係
     ②電気設備の水害と対策
     ③計装工事の新技術と施工留意点
     ④伝送器や温度計・流量計等の構造と施工
     ⑤プロセス制御について
     ⑥計装に関わる技術者の育成について
     ⑦計装工事業界の未来展望
   (8)計装士会へのご意見
     ①校正の大切さが良く分かりました。
     ②振動と校正について、分かり易く説明していただき大変勉強になり、 知識の幅が広がりました。
     ③項目毎に丁寧な説明で概ね理解できましたが、一部専門的で難しい 部分がありました。
     ④各実験の様子を動画で説明いただき分かり易かったです。
     ⑤技術と工事を分けて開催しては、どうでしょうか。

田村講師勉強会の様子
勉強会受講風景
所 感

 多数の方が、少し専門的ではありましたが、項目毎に深く突き詰められた 内容に引き込まれましたと書かれていました。
 また、振動というごく身近なテーマで、検査・試験は校正がベースとなる ことを学び、SI単位の改訂についても直接関わっていく事なので大変関心を 持ちました。
 最後に、今後とも、田村先生による計装士のための講義継続と、益々 お元気で活躍されることを切に願います。

以 上

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活動報告(四国)

『振動と計測(計装)機器』

活動名『振動と計測(計装)機器』
講 師
田村 純 講師
 三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業所 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)7月18日(水)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 51会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者23名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 藤田 勝治
はじめに

 四国地区では、平成30年度上期の地区活動として、7月18日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

 テーマ:『振動と計測(計装)機器』
   下記の5つの話題に分け、振動の表し方、振動センサーの計測原理、振動のトレーサビリティーの担保、可搬型の振動計校正装置等のタービン監視計測機器の校正装置、計装機器の加振試験等について、専門的な見地から丁寧に解説、ご教授いただきました。
  ① 振動とは
  ② 振動センサー
  ③ 振動の計測と校正
  ④ 可搬型低周波振動計校正装置
  ⑤ 3.11と加振試験

田村講師

勉強会の様子

勉強会の様子

所 感

 講師の田村様には、昨年に引き続き今年も講義をしていただきました。
 今回は、3.11の地震後、BWR原発では発生水素ガスベント(排気)システム関係の計装機器、電気機器の振動試験を3.11を考慮した形で行う必要が生じ、メーカー殿から依頼されて加振試験を担当されたこと等から、『振動と計測(計装)機器』と題して振動計測に関して詳しくご紹介いただくとともに、加振試験の映像や写真を交えながら、加振試験の苦労話や注意点、計測機器の地震に対する弱点個所等について貴重なお話を聞かせて頂き、大変勉強になりました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・ご解説を頂きました田村様に厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(中国)

「石田造船株式会社」

活動名「石田造船株式会社」
実施日平成30年(2018年)3月13日(火)9:30~17:00
場所「石田造船株式会社」
 広島県尾道市因島三庄町字宝崎2931-4
参加者24名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 久城 啓史
1.はじめに

 今年度は広島県尾道市因島の石田造船を訪問しました。
 石田造船は、遊覧船、水中展望船、高速船などユニークな船を独自開発し設計・製造行っています。また現在は、海上自衛隊、海上保安庁、国土交通省など国保有の特殊船の修繕、整備も行っています。

2.施設概要

  工場総面積:12,000㎡
    作業場: 8,500㎡
    ドック:499t型船台 2基
  新造船部門として、3胴型(船体が3個で構成された特殊船)の特許を取得。

3.見学内容

 石田社長自らの出迎えを受け、工場前で造船の概要について説明を聴きました。
 大正12年創業で、創業95周年を迎え現在の社長(三代目)となっています。
 近年の造船業界も再編が進み、全国で500トン未満の新造船を建造できる造船所は、約50社に激減し度重なる逆境の中、他ではつくらない船、遊覧船など特殊船に特化した造船所を目指し頑張っています。機械化が進む造船業界で、機械では製作できない微妙な職人技の手作業にこだわり、ユニークな船の製作を手掛けてきたということです。 現在は、閑散期で国土交通省の海上清掃船が1隻整備のため入船していました。
 次にドックの前に移動し、改修船台(屋根付き全天候型)長さ55m×幅12mへの入船作業について説明を受けました。船が船台に固定され、改修船のドック入りが終わると、潮の干潮を待ってドックと海とを仕切るゲートを大型クレーンで取り付けるということでしたが、満潮時の水圧はとても大きく、ドック内に海水が湧くように入ってきます。船台内の水位があるレベルに達するとポンプで外に出しながら作業をしているそうです。
 続いて、着岸中の双胴型清掃船も見学し、その大きさに圧倒されましたが台風の後などは、一度に回収できないほどの多量なゴミがあるそうです。
 また石田社長は、因島の地域活性化を行うフェスティバルを自社のドックステージで毎年主催者(会長)として行い、若者との交流に努め地元からも大変喜ばれ、メディアからの取材も増えてきているということでした。

接岸中の双胴型の清掃船
4.おわりに

 この度は、造船業という少し違う観点からの見学となりましたが、石田社長からの造船に対する熱い想いとパワーに接し、参加者全員が、アンケートで仕事に対してのこれからの活力が湧き大変有意義だったと書かれていました。
 終わりに、この見学会にご協力いただきました、石田社長をはじめ従業員の皆さま方にはこの紙面をお借りして厚く御礼申しあげます。

以 上

ドックを背景に集合写真
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コラム

電気自動車(EV)化への急速な流れについて

株式会社 関電工
プラント設備部
金子 啓市

 現在の主流を占める内燃機関(ガソリンやディーゼルエンジン)を動力源とする方式の自動車から、電力で走る電気自動車(Electric Vehicle=EV)への移行の流れが急速に進行しています。
 その理由を考えますと、
  1.地球温暖化の主因と考えられる二酸化炭素の排出量を減らす必要がある。
  2.中国の北京やインドのニューデリーなどの都市の自動車の排出ガスによる
    環境悪化を改善する必要がある。
  3.国の産業育成政策の中で、新しい産業分野としての電気自動車製造分野を
    創出し、経済発展の原動力とする。
 等の項目があげられます。
 以下に、もっと具体的内容および、日本の経済に対する影響などを考えたいと思います。

二酸化炭素(以降CO2と表記)の排出量削減の効果について

 電気自動車は、駆動源の電気モーターを蓄電池に蓄えた電気により回転させて馬力を得ています。したがって、電気自動車単体では、使用時にはCO2は排出していません。しかし、エネルギー源の電気は、現在、おもに火力発電所で石炭・石油・LNGなどの化石燃料を燃焼させることにより得ています。したがって、走行時の電気消費量により、電気自動車のCO2排出量が算出できます。発電所からの送電ロスを含めた総合的な計算で、1km走行あたりのCO2排出量(g-CO2/km)はガソリン車の25%程度のようです。電気自動車への移行は確実に環境対策としてのCO2削減に効果がありそうです。
 さらに、発電所は集中的に化石燃料を燃焼させて電気を得ているため、新しい技術による高効率化や環境対策の効果を得やすい。このことは、現状の自動車では個々に対策をしなくてはならない場合と比較すると大変効率的です。

各国のEV化への対応とその思惑

 欧州では2021年以降のCO2以降の規制強化に備えて、ディーゼル車からEVへのシフトが予想されていましたが2015年にフォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題が、この動きを加速させています。ディーゼルエンジンの規制強化に対応するために、多くの時間やコストを掛けるくらいならEV化により一気に解決したいとの思惑があるようです。
 中国では政府により、今年9月末にEVシフトを大きく加速させる政策は発表されました。EV車等の新エネルギー車にポイントを与え、メーカーは一定以上のポイント割合で自動車を生産しなければならない政策です。大まかに言って、電気自動車の生産割合を一定以上にしなければならず、年ごとにその割合は増加させるとの政策です。中国国内のメーカーではすでに目標値をクリアーしているところもあり、かなり中国国内のメーカーに有利なものです。
 自動車製造業界で他国に差をつけられた製品開発力、製造能力をEV化により逆転させたいとの大胆な政策です。

日本のEV化への対応

 日本の自動車メーカーはつい最近までEV化に積極的に対応していませんでした。部分的には、トヨタ、ホンダがハイブリッドカー(HEV)を、三菱自動車・日産がEV車を販売していました。積極的でなかったのはなぜでしょうか?理由は EV化を進めれば自分達の首を絞める結果になると考えていたからです。既存の自動車は、一台当たり数万点の部品から出来ています。
 パワートレインと呼ばれるエンジンで発生した動力を車輪に伝えるための機構(エンジンやトランスミッション)をメインに、冷却系・振動防止系・排ガス処理系・制御回路系と様々な役割を持った機構からなる複雑な構造となっています。
 ちなみに、最近の日本国内の自動車工場新設設備投資の例として、ホンダが行った例があげられます。
 埼玉県小川町にエンジン専用の工場建設に450億円を投資し、さらに近くの寄居町に車体のメインの部品製造や最終車組のための工場建設に1100億円を投資しました。いかに、自動車製造の設備投資に巨額の金額が必要となるかがわかります。
 大量製造大量販売を前提とした業界なのです。新規参入が困難な業界なのです。
 既存自動車メーカーは先行メリットを守りたかったのです。
 EV化は劇的にこの新規参入障壁を崩す可能性を含んでいます。EVの部品点数は既存の自動車に比べ半分以下になるといわれています。EVの部品を機能分類すると、動力源のモーター、それを制御するインバーター、エネルギー源の電池などに分類できます。既存の自動車のエンジン・トランスミッション・排気系を始めとして多くの部品が必要なくなります。これは、巨大な設備投資や高度な技術開発力なしに自動車製造業界への参入が容易になることを意味します。先般、サイクロンクリーナーで地位を確立した英家電大手のダイソンが2020年までにEV市場に参入を表明しましたが、もっとも、端的な例です。既存メーカーは新規参入障壁が無くなり、経営環境が独占的でなくなる環境に対応するために様々な経営努力が求められています。

既存メーカーの業態の変化

 このような環境変化は、企業の組織体制の在り方さえも変えてしまう力があります。
 従来の自動車メーカーは大手メーカーがピラミッドの頂点に位置し、下部に部品メーカーを配置して製品開発や生産計画を連携を取りながら、最大のコストパフォーマンスを求めてきまた。しかしEVの生産では、組織体制は今までのピ ラミッド型は必要なくなります。シャシー・ボディーは今までのピラミッド型の組織を維持しながらも、EVの重要要素であるパワーコントロールユニット関係は水平連携の形になって行く可能性が大です。ここでいう水平連携とは、EVに必要なバッテリー・モーター・インバーターなどの部品をそれぞれに特化した企業から買い付け、それをメーカーが組み立てて出荷するという「組み合わせ型(モジュール型)」の生産で、チームワークより各部品それぞれの能力を最大限に利用してうまく統合するというニュアンスです。うまく、ハンドリングして、環境変化に対応すれば、それぞれの立場で存続ができます。しかし、このことは、日本のパソコンメーカーが最終的にはコンピュータの心臓部であるCPUをインテルにOSをマイクロソフトに独占され、単なる部品組み立て会社になり、主な利益はすべて2社に吸い上げられ、ほとんどのメーカーが外国に買収されてしまった現象と既存自動車メーカーが同じ運命をたどる可能性を秘めています。

エネルギー業界へのインパクト

 EV化の進展は、使用燃料が従来の石油から電気に変わるため、エネルギー業界にも大きな影響を与える可能性があります。
 ここでは、エネルギー業界の中でも特に変化を求められる電力業界について考えてみます。
 今日、電力業界では、発電量が一定ではない再生可能エネルギーの増加に伴い系統が不安定化しています。
 一例をあげますと、太陽光発電装置の発電量は、昼間には発電量が増加し夜にはほとんどゼロとなり、さらに天気にも左右され、必要とされる電力の需給量とうまくマッチングしないことがあげられます。そのため、定置用大型蓄電池な どの電力の需要量と供給量を必要に応じて調整する機能(以下、需給調整機能)が不可欠となってきています。この対応策として、今後普及が見込まれるEVはいわゆる走る蓄電池であるため、電力業界からは需給調整機能としての役割を期待されています。EVの車載電池から系統に融通する技術がうまく確立されれば、再生可能エネルギー導入のための調整力に貢献できる可能性があります。EVの車載電池を群制御できれば、需給調整用の大型蓄電池の導入を抑制できるため、系統整備のコストを引き下げられる可能性があります。

まとめ

 EV化は時代の大きな流れとなることは、間違いのない事実になります。
 日本にとって、プラスとマイナスの要素が混在して、様々な業界に影響を与えながら進行します。変化はチャンスと捉え、日本の技術開発力を信じ、フットワークを軽くしてタイムリーに対応すれば、日本の発展の大きな原動力になるのではないでしょうか。

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活動報告(関東・甲信越)

① 花王株式会社  ② 東京都水道局 森ヶ崎水再生センター

活動名① 花王株式会社
② 東京都水道局 森ヶ崎水再生センター
実施日平成30年(2018年)2月23日(金) 8:30~17:00
場所① 花王株式会社
  神奈川県川崎市川崎区浮島町1-2
② 東京都水道局 森ヶ崎水再生センター
  東京都大田区昭和島2-5-1
参加者22名(うち計装士会6名)
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 橋本明洋
1.はじめに

今回は「花王 川崎工場」および「森ヶ崎水再生センター」の見学会を実施しました。
 参加者は総勢22名、うち計装士会からは6名が参加しました。当日は品川駅を定刻にバスで出発し、最初の見学先である花王 川崎工場に向かいました。道中は渋滞に巻き込まれる事もなくスムースに移動できたため、予定より早く目的地に到着してしまいました。

花王 川崎工場では、製品の充填ライン、自動倉庫の見学を行いました。
 終了後、昼休憩を挟み、森ヶ崎水再生センターにて、バイオマス発電設備等の見学を行いました。
 見学後は、東京モノレールの昭和島駅に隣接していましたので、東京モノレールを利用するグループと出発地である品川駅までバスで移動するグループとに分かれ、解散しました。
 計画不足のため不手際もありましたが、事故や遅延もなく全工程を完了し、アンケートの評価もよく、見学会を実施する事ができました。

2.花王 川崎工場見学

(1)施設概要

花王 川崎工場では、主にシャンプーや衣料用洗剤を製造・出荷されています。

エントランスホール (参加者一同)

  2)ガイド付き見学ツアー

    製造・出荷工程としては、①原材料の受け入れ ②界面活性剤の製造 ③界面活性剤と他の原料との混合 ④容器への充填 ⑤段ボールへの梱包 ⑥自動倉庫へ仕分け・保管 ⑦出荷となっています。
    希望としては、①~③の材料の製造工程を見学したかったのですが、見学通路等整備されておられず、④の充填工程以降の見学となりました。

(1)充填工程・梱包工程

     見学時、製造ラインでは、コンパクトタイプのボトルへ衣料用洗剤が充填されていました。花王 川崎工場では、製造ラインの大幅な変更を行わずともサイズ違いのボトル、詰め替え用の容器といった異なる容器へ充填ができるように工夫がされているとの説明を受けました。
     また高度に自動化がされており、大きな工場にも関わらず少人数で管理が行われているとのことでした。

  (2)自動倉庫

     箱詰めされた製品をのせたパレットを、発送先に応じて先入れ先出しになるように、収納・保管がなされていました。見学時は11時ぐらいという事もあり、空いている棚がいくつか見受けられたのですが、製造ラインは24時間稼働しており、夜間勤務終わりぐらいで倉庫が一杯になると。そのあと順次出荷され、だいたい1日で保管されている製品が一巡するとのことでした。

3.森ケ崎水再生センター見学

 (1)施設概要

   東京都水道局が管理する下水処理施設の1つで、国内最大の水再生センターです。
   森ヶ崎水再生センターでは、水処理工程で発生した汚泥より消化ガス(メタンガス)の抽出を行っています。
   この消化ガスをバイオマス発電設備の燃料として活用されています。これ以外にも太陽光発電設備、小水力発
  電設備、NaS電池設備の運用をされています。運用されている設備規模は次の通りです。

  常用発電設備
   バイオマス発電設備(ガスエンジン発電機) : 3,200kW × 1基
   太陽光発電設備                 : 1MW (250W × 4,480枚)
   小水力発電設備                 : 95kW × 2基

  非常用発電設備
   非常用兼常用予備ガスタービン発電設備  : 1,840kW × 1基(汚泥消化ガス使用時)
   非常用ガスタービン発電設備          : 3,200kW × 2基

  2)ガイド付き見学ツアー

  (1)バイオマス発電設備
     下水処理過程で回収した汚泥を、汚泥処理施設にて濃縮し消化槽へ送ります。消化槽にて濃縮した汚泥を51℃の環境で2週間ほどおくことで、汚泥の有機分が消化ガス(メタンガス)になります。この消化ガスを燃料にガスエンジンで発電が行われます。発電時に発生した熱は、消化槽の環境を保つために使用されており、電気・熱共に有効利用がなされています。
     このバイオマス発電設備とNaS電池設備の運用・管理は、PFI事業として、発電設備の管理ノウハウを持つ民間企業に委託されています。

汚泥処理設備
ガスエンジン発電機

 (2)太陽光発電設備

   下水処理設備の反応槽の臭気・転落防止用の覆蓋上部に太陽光モジュールが設置されています。森ヶ崎水再生センター周辺は、羽田空港が近いこともあり、建物の高さ規制のエリアになっています。そのため、建物の陰になることがなく、高い効率で運用ができています。年間発電量は、約115万kWh(一般家庭の約330世帯分に相当)の発電を行っています。

 (3)小水力発電設備

   処理水の放流きょは、高潮などに備えて海面より数m高い位置に設置されています。その落差を利用した発電機が設置されています。取水方法は、サイフォンの原理を利用して取出している。
  年間発電量は、約80万kWh(一般家庭の約230世帯分に相当)の発電を行っています。

処理水放流きょ
水力発電機
集合写真(NaS 電池設備前)
おわりに

 今回の見学先は、参加者の現在の業務に直接関わる分野ではなかったかもしれませんが、何か得ることができたのであれば幸いです。
 最後に今回の見学会にご協力いただきました花王株式会社、東京都水道局の関係者の皆様に感謝とお礼を申し上げます。

以 上

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活動報告(近畿)

キューピー株式会社 神戸工場

活動名キューピー株式会社 神戸工場
実施日平成30年(2018年)2月15日(木) 13:00~17:00
場所キューピー株式会社 神戸工場
  兵庫県神戸市東灘区深江町27-1
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事 堀田 保
1.はじめに

 平成29年度近畿地区の活動として、2月15日に上記見学会を開催しましたので、 以下に概要を報告致します。

2.キューピー株式会社 神戸工場

 (1)見学施設概要
    神戸市に新設した「キユーピー神戸工場」は、2016年10月に操業を開始しました。
    国内に工場を新設するのは10年ぶり、マヨネーズの主力工場としては、 45年ぶりとなります。
    主な製造品目は、「キユーピーマヨネーズ」「キユーピードレッシング」など、 家庭用調味料の基幹商品、および業務用のマヨネーズ・ドレッシングです。
    神戸工場は、グループのモデル工場と位置付け、環境に配慮した省エネ設計、 最新技術の導入により効率化・高品質化を目指しています。
    マヨネーズの充填ラインでは、従来設備と比較して約2倍のスピードアップを図り、タイムリーな生産がよりたやすくなっています。
    神戸工場の調味料生産量は、グループの全調味料の約3割を占め西日本のマザー工場として主力製品の製造を担っています。

 (2)見学内容
   【ホール】
    野菜や卵の知識、キユーピーグループのものづくりへの想い、商品の歴史が楽しみながら学べます。
    自由に触りながら選んで学べる展示ゾーンになっていて、お子様連れでも楽しめるような工夫が施されていました。

   【映画鑑賞】
    マヨネーズやドレッシングの作り方や野菜についての映画を鑑賞しました。
    マヨネーズ誕生秘話
    発祥:地中海のメノルカ島
    リシュリュー侯爵が港町マオンでお肉に添えてあるソースに出会う。
    味を気に入りそのソースを「マオンのソース」として紹介した。
    それが「マオンネーズ」になり、のち「マヨネーズ」となったと言われています。
    日本初のマヨネーズ誕生
    創始者中島董一郎はアメリカで缶詰の勉強をしていました。
    当時からアメリカでは、日常的に野菜サラダが食べられていました。
    その調味料はマヨネーズでおいしくて栄養価も高いと注目し、 帰国後日本人の体格向上を願って、当時の輸入品を比べて約2倍の卵黄を 使ったといわれる栄養価の高いマヨネーズを日本で発売しようと考えました。
    1925年3月ついに、日本初のマヨネーズの製造に踏み切ります。
    商品名は「キユーピーマヨネーズ」。
    誰からも愛されるようにと名付けられたそうです。
    由来は、「キューピーちゃん人形」ですが、社名は小字を用いず 「キューピー」ではなく、「キユーピー」です。

   【製造工程の見学】
    ドレッシングの製造工程を担当者の方に説明されながら見学しました。
    写真撮影不可でしたが、包装ラインなど最先端の設備に感嘆しました。
    製造工程の概要
    原料到着→原料の品質検査→調合→充填→キャップ締め→印字→包装→箱詰め→出荷となり、ドレッシングの製造ラインでは、ドレッシングの充填、ラベル貼り、 箱詰めまでの工程を見学しました。
    ドレッシングの瓶が流れていく速さには驚きです。
    次回機会があれば、マヨネーズの製造工程も見学したいと思います。

   【試食】
    野菜スティックと一緒に様々なドレッシングやマヨネーズの試食をしました。
    マヨネーズ・ドレッシングを色々比較しながら食べることはなかったので、非常に良い体験となりました。

   【土産】
    ドレッシングのお土産を頂けました。

試食       
集合写真

”ようこそキューピー神戸工場へ”

5.おわりに

 今回は、年度末の多忙にもかかわらず多くの方、また多数の会社の方に ご参加いただくことができ、皆さまには心からお礼を申し上げます。
 大変有意義な見学会になったと感じております。
 キユーピー神戸工場においては、厳選された原料を使用し、こだわりの製法で おいしいマヨネーズをつくっているということを強く感じました。
 次回も多数参加していただけるような見学会を企画していきたいと思います。
 最後に今回の見学会にご協力いただいた、キユーピー株式会社様はじめ、 関係各位に厚く御礼申し上げます。

以 上

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活動報告(四国)

1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター 2. アサヒビール株式会社 四国工場

活動名1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
2. アサヒビール株式会社 四国工場
実施日平成30年(2018年)2月8日(木) 8:20~18:30
場所1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
   香川県観音寺市瀬戸町
2. アサヒビール株式会社 四国工場
   愛媛県西条市ひうち
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
1.はじめに

(1)一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
  (ワクチン工場内は撮影不可)

   管理棟の会議室でBIKENグループの沿革として、1934年に現大阪大学微生物病研究所が微生物病の基礎研究を行い、その応用研究とワクチン等の製造、検査、供給を阪大微生物病研究会(BIKEN財団)が担うという「大学発ベンチャー」からスタートし、2017年に田辺三菱製薬株式会社と、ワクチン製造の生産基盤の強化を目指し株式会社BIKENという合弁会社を立ち上げたという説明がありました。
   観音寺地区には、瀬戸センターのほか、八幡事業所などがあり、八幡事業所でインフルエンザワクチン等を製造し、その充填、検査、包装、出荷の一部を瀬戸センター側で行っているとのことです。BIKENグループの事業としては、このワクチン生産・供給のほか、ワクチン研究・開発、学術助成、検査事業を「病の不安からの解放されたすこやかな未来をめざして」をスローガンに進めていくとの説明がありました。
   その後、場所を製造棟などに移して、ワクチン工場を見学しました。瀬戸センターでのワクチン生産開始は2019年度を予定していること、インフルエンザワクチン生産のピークは、夏場で生産が完了していることなどから、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、培養器反転装置などのワクチンの開発・製造にかかわる設備や充填装置や検査装置などを確認することが出来ました。また、容器に充填した後の検査工程では、機械よりも人による検査が後工程にあり、機械よりも精度の高い検査を人が目視で行っていることに驚くとともに1人が1000本を1時間で検査しているということ、検査は独自の適性試験に合格した者だけが行い、検査員は全て女性で男性には適正がないということに2度驚かせられました。

見学者集合写真 (管理棟 1F)
机上説明会 (管理棟 3F 会議室)

(2)アサヒビール(株) 四国工場(撮影可)

   エントランスホール1Fに計装士会以外の見学者と一緒に集合した後、長いエスカレータで3Fに上り映写室に移動して、見学者向けPRビデオを見たのち、見学専用コースでビール製造の各工程および設備、環境保全への取組等を確認しました。
  ビールの主原料は、大麦、ホップ、水で、大麦に副原料の米、コーン、スターチを加えて煮て、麦汁を製造し、これにホップで香りと苦みを加えたのち、ビール酵母で発酵させ、麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて若ビールとなります。その若ビールをさらに熟成したあとに、丁寧にろ過すると、ようやく黄金色に輝く生ビールになるそうで、完成までにおよそ1ヵ月を要するとのことです。
  発酵・熟成タンクは、直径6m×高さ20mで1本に500kLのビールが入っていて、四国工場には、80本のタンクがあり、発酵状態などを常に監視して、最適な発酵状態を維持するため0.1℃単位の制御を行っているとの説明がありました。また、毎日できあがったビールは専門の担当者が実際に試飲する官能検査を行っており、自社と他社のビールの違いや、製造してから時間が経ち劣化した味などを判別する独自の資格試験で選抜された担当者が、午後4時から1時間だけ検査を行い、そのメンバー向けの専用の送迎もあるそうです。
   出来上がったビールはパッケージングの工程で、缶、瓶、樽ごとに専用の設備で詰められて入味(いりみ)検査機で厳しい検査を行い、ケース詰めして出荷しています。缶詰機は、毎分1500本のスピードで缶詰を行っており、目にもとまらぬ速さで、ビールをそそぎ、缶内部に 空気が入らないよう泡が残らないよう泡を飛ばしながら蓋をするという一連の動作を行っているとの説明がありました。この装置が実際に動いている様子を見ていると、出来上がった缶ビールが確認できないくらいのスピードで流れており、もの凄い装置だという思いと、当たり前のように日常的に動いていることに不思議な感覚を憶えました。
   また、環境保全へ取組として、ゴミは出さすリサイクルしており、モルトフィード(仕込みで使った麦芽の殻皮)は家畜の飼料など、余剰酵母は食品や薬品の原料、ガラス屑類は再生ビンや建材など、アルミ屑はアルミ缶や電気製品などに100%再資源化するとともに、水源地の森資源活動などに取組んでいるとの説明もありました。

見学者集合写真(エントランス 1F)
3F 映写室
缶ビールを生産する缶詰機
環境保全へ取り組みの説明様子
おわりに

  四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催で、今年は、特に前週から寒さが厳しくなっており、場合によっては雪が降る可能性なども心配をしておりましたが、見学会当日は一日中ずっと晴れて見学会日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営にご協力いただきまして誠に感謝しております。
  今回は、観音寺市でワクチン工場と西条市でビール工場を見学してきました。ワクチン工場は、まだ、製造工場としての稼働は先で、出来上がったワクチンの充填~出荷までを行っているとの話でしたが、ワクチン製造のピークの時期を過ぎているため、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、その後のビール工場を見学した際に、設備構成が似ていると感じました。製造する製品が、ワクチンとビールで、全く違う分野の物ですが、タンクで培養または発酵させるために、タンク内の温度を測定して、温度を制御し、工程が完了したら、ろ過精製して製品にする。この過程が良く似ていて、取扱う対象や温度、制御する精度などに違いはあるものの、大きく見れば同じような設備であり、監視や制御も同じように行っており、どちらも計装士が活躍できる場になるとと感じました。
  参加者の皆様におかれましては、普段は、なじみのない現場などの見学が、直接的・間接的に、皆様のお役に立つ何かを見つけて頂く機会となれば幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
  最後に今回の見学会にご多忙な中、ご協力いただいた一般財団法人阪大微生物研究会観音寺研究所 瀬戸センターおよびアサヒビール株式会社 四国工場の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことを祈念いたします。

以 上

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活動報告(中部・北陸)

富士電機株式会社 鈴鹿工場

活動名富士電機株式会社 鈴鹿工場
実施日平成30年(2018年)2月5日(月) 10:30~17:00
場所富士電機株式会社 鈴鹿工場
  三重県鈴鹿市南玉垣町5520
参加者24名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区担当幹事 渡辺 淳司
概 要

    (1) インバータによるファン・ポンプの省エネ手法
       富士電機(株)ドライブ事業部 伊藤主任
    (2) 省配線遮断器のご紹介  
       富士電機機器制御(株)事業企画本部 船橋担当課長
    (3)工場見学(ショウルーム、インバータ工場)
       ホームページ:http://www.fujielectric.co.jp/

1.はじめに

 平成29年度の中部・北陸地区計装士会見学会は、製品開発・生産技術開発の中核であるグローバルマザー工場として「ものつくり」をリードされている「富士電機(株)鈴鹿工場」を見学しました。
 開催日の前週より一段と寒さが厳しくなり、鈴鹿山脈の主峰御在所山に近い見学地のため降雪の心配がありましたが、皆様の暖かいご支援の賜物からか、晴天に恵まれました。
 見学地へは名古屋駅西口よりバスに乗り、名古屋高速、東名阪自動車道と乗り継ぎ、御在所サービスエリアへ休憩・昼食のため立ち寄り、往き帰りとも交通渋滞・トラブル等もなく順調に移動することができました。

2.見学報告

 (1)「鈴鹿工場」について
    鈴鹿工場は敷地面積約30万㎡、社員・協力会社含め1400名を有する工場であり、今年度は創業50周年を迎えるとともに、インバータ、回転機(モータ)、コンポーネントを手掛け海外生産拠点と連携し、国内外の安定供給を実現されています。
    さらに、「ものつくり」力の維持・強化に向け、継続的な人材育成にも取り組まれています。

(2)「講演」について

インバータとは、周波数を変化させてモータの回転速度を制御(可変)する装置であり、消費電力を抑えることにより省エネにつながります。
    講演では現場に合わせた最新技術を導入した様々な事例が紹介され、大きな効果が得られていました。
    また、主配線遮断器の紹介では多くのお客様からの要望に応えるべく、配線工数削減、品質・安全向上のスプリング端子製品および省スペース化、メンテナンス性向上の母線プラグイン機器の紹介がされ省工数化が実現できていました。

パワエレテクニカルセンター

(3)「工場見学」について     

   インバータ工場見学では、生産ラインでのプリント基板ハンダ付け、インバータ組立、および検査と内容も丁寧に説明していただき理解しやすかったです。
    多くの見学者からは生産ラインの効率を上げる工夫についての質問が多く、人員配置、技能者スキルマップの掲示、目標台数・実績のモニターへ表示と大変興味を持たれたように感じられました。

富士電機株式会社 鈴鹿工場 カタログより
3.おわりに

 当日の案内や講演をしていただきました、富士電機株式会社 鈴鹿工場始め、今回の見学会にご協力いただいた関係各位に感謝し御礼を申し上げます。

以 上

富士電機株式会社 鈴鹿工場 パワエレテクニカルセンターにて
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活動報告(九州・沖縄)

『計測・校正における不確かさの使い方』

活動名『計測・校正における不確かさの使い方』
講師
三興コントロール株式会社
計測制御サービス事業部 校正技術部
部長 田村 純 講師
実施日平成29年(2017年)11月10日(金)14:00~17:00
場所株式会社九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 渡辺 猛
田村講師 講演風景
講演内容

テーマ   『計測・校正における不確かさの使い方』
  大きく5項目に分類
  1.計器と精度
  2.計測と校正
  3.初めての不確かさ
  4.試験、検査と校正
  5.ISO9001-2015と
    Risk-Base Management

1.計器と精度

①計器の種類
    ⇒センサ 計測機器 分析計この3つをまとめて「計器」と記述する。

②計器の性能と精度
    ⇒あらゆる計器は時間の経過と共に遷移の発生と感度も変化しやすくなる。
      計器の適確性を判断する際に最も重要視されるのが個々のメーカーが定めた独自の仕様でその仕様の代表的な項目が「精度」です。
      しかしドリフト、ゲインの変化と共に「精度」も変化する。

③精度の一般的なイメージ
           1) 確立が高いか、低いか
           2) 良いのか、悪いのか  
           3) 信頼性が高いか、低いか
   精度 ⇒   4) 正確か、不正確か
           5) 計器だと性能が良いか、悪いか
           6) 想った通りだったのか
           7) その他・・・

④精度に関係する用語
    1)バラツキ     : 数多いデ-タがバラバラになってしまう度合い
    2)カタヨリ     : 数多いデ-タがある数値に偏ってしまう度合い
    3)繰り返し性   : 計測・校正の手段が同一の時のデ-タ-の一致度
    4)再現性      : 計測・校正の手段が異なる時ンンンンのデ-タ-の一致度
    5)安定性     : 同一条件、同一手段の時の変化の割合、長期と短期がある
    6)直線性     : デ-タ間の直線関係
    7)ヒステリシス  : 前歴によって同一デ-タに差が生じること  

⑤精度の定義
    ⇒例えば1本のパイプの太さを一人の人間が、同じノギスで時間を変えて計測し、結果が一致する度合いが「繰り返し性」
    ⇒例えば1本のパイプの太さを複数の人間が、別々のノギスで計測し、結果が一致する度合いが「再現性」

⑥正確さと精密さの可視化
                       a) 繰り返し性
           1) 精密さ   ⇒  b) バラツキ
                       c) 再現性
   精度  ⇒ 

           2) 正確さ(真度)  カタヨリ

⑦計器の「使用」の外乱
    ⇒計器は時間の経過による部品の磨耗や現場の外乱における温度、湿度等の影響を受け性能が変化する。
    ⇒固有の性能 - 計器メ-カ-の工場出荷時迄
    ⇒使用の性能 - ユ-ザ-が現場環境で使った時

⑧様々な「精度」の記述
    ⇒カタログ記載の精度→カタログ精度
    ⇒計測した時の性能 →計測性能(精度)
    ⇒校正した時の精度 →管理精度

⑨計器の精度の意味
    ⇒カタログ精度数値<<<計測性能数値
      一般的に同一数値にはならない

⑩カタログ表記精度の認識
    ⇒メ-カ-が計器や計量機器の設計基準に適合した結果から決めた数値

⑪メ-カ-とユ-ザ-の思いの違い
    ⇒メ-カ-は設計基準でカタログ精度を決定、不特定多数のユ-ザ-の使用を想定
    ⇒ユ-ザ-は自分達の使用環境で計測した時どうなるかを知りたい

⑫計器を使う時考慮すべき事項
   1)長期安定性にすぐれているか?
   2)計測範囲の直線性が良いか?
   3)環境適格性(≒再現性)に優れているか?
   4)必用な管理制度(許容範囲)を決められるか?
   5)必用な品質管理期間を決められるか?⑬まとめ
   1)精度は計器の性能の一つ
   2)精度では表せない性能もある
   3)精度の一般的な定義は無い、しいて言えば「VIM」です。
   4)カタログ表記、計測時、管理精度の意味を理解する。
   5)使用者が精度をどのように捉えているか重要!

 

2.計測と校正

①計測(測定)と校正
    ⇒計測(測定)は 目盛りの無いモノの目盛りを付ける
    ⇒校正は 付けられている目盛りの検証

②計量計測用語集(VIM)から
    ⇒校正は 不確かさ表記が必須、誤差表記はダメ

③定義で言っている事
    ⇒より信頼性の高い標準で、被校正対象機器の付けられている目盛りを科学的、技術的に確認する事。

④標準の事
    ⇒校正での標準器、標準物質を総称してこの勉強会では便宜的に「測定器」と記述する。

⑤校正で被校正計器のこと
    ⇒DUTと記述する DUT:Device Under Test⑥校正の目的
   1)生産現場でDUTの使用後の特性確認(外乱影響)
   2)計測結果、分析結果の評価の参考情報
   3)計測結果、分析結果の履歴の確認
   4)設定した管理精度の確認
   5)製造工程の客観的数値情報の取得

⑦保全と校正
    ⇒保全(メンテナンス)
      製造工程の計器を信頼ある状態にする
    ⇒校正(キャリブレーション)
      DUTの計測履歴(外乱影響)の検証

⑧実際の校正   
            1) 現場  :  装置に設定されている環境でDUTを測定器と比較する。
     場所 ⇒
            2) ラボ  :  現場で使う測定器を定められた環境に於いて、更に信頼性の高い上
                      位標準と 比較する。

⑨現場での校正手順(SOP)の例(時系列)
    1)プレパレーション   ⇒ 校正手順の準備
    2)アイソレーション   ⇒ 隔離、安全措置(養生)
    3)キャリブレーション  ⇒ 目盛りの比較
    4)エスティメーション  ⇒ 結果の評価
    5)アジャストメント   ⇒ 調整・修正
    6)リストレーション   ⇒ 復旧、安全措置の解除
    7)データプロセッシング ⇒ 記録、整理
    8)エバリュエーション  ⇒ 基準との比較、審査
    9)レポーティング ⇒ 報告

⑩計器、計量機器の品質管理
    ⇒ISO9001  : 品質システムにフォーカスしたもの、製品品質や技術品質を審査するものではない、サービスが補記された。
    ⇒ISO10012 : 計器や計量機器を使う事が必用なセクションが準拠すべきもの。
    ⇒ISO/IEC  : 計器や計量機器を校正や試験、検査する機関が準拠すべきもの。
     17025

⑪校正の妥当性確認
    1)校正方法  : 異なる原理・方法で校正を行い同一の結果が得られること。
    2)校正方法  : 同程度の技量を持つ複数の担当者が同じ校正を行い、同一の結果が得られること。
    3)時間的間隔 : 同一の原理・方法で同一の担当者により時間間隔が一定で複数回の校正を行い、同一の結果が得られること。
    4)第三者機関 : 第三者的立場の外部校正機関により校正を行い、同一の結果が得られること。

3.初めての不確かさ

①新しい言葉の源
    ⇒「計量」と「不確かさ」
    1)VIM : 国際計量基本用語集
           前途、「計測と精度」を参照
    2)GUM : 計測における不確かさ表現の案内
            日本語ではガムという

②不確かさとは
     ⇒確かでない程度のこと。

③不確かさの提案
    ⇒世界的規模での貿易の自由化
      世界的に校正(測定)結果、試験結果のデータの表し方を統一しようという機運と約束。

④真の値は存在しない
    ⇒真の値は使用できなくなった。

⑤誤差の真実
    ⇒誤差=測定値-真の値
    1)ミクロ的に観れば観るほどバラついている。
    2)目盛りを読み取るのに、裸眼、ルーペ、顕微鏡で見ると各々違うはず。
    3)本当は「誰も」真の値などワカラナイ。

⑥バラツキとは
    ⇒カタヨリとバラツキ
      カタヨリ : 校正結果にもカタヨリは付きものです、しかし割りと簡単に計器で計ることが出来る。
             今までの誤差に相当し、偏差のことです。
      バラツキ : 不確かさのこと、その数値を算出するには複雑な過程が必用で、そのルールが
            「GUM」です。単純なバラツキ量をハカル測定器もあります。

⑦バラツキの数値化
    ⇒サンプルで推測する
    カタヨリ   : 単純な足し算引き算の計算
    バラツキ   : ちょっと面倒な、簡単的な統計処理の計算が必要
            *統計処理は正規分布グラフで考えます

⑧バラツキを知る方法
    ⇒計測値も校正値も実際は一定値ではなくバラツキを持っている。
    ⇒バラツキは統計学的にその程度をヒストグラムか正規分布曲線で示すことが多い。

⑨まとめ
    ⇒カタヨリは古典的な誤差表記の基本。
    ⇒バラツキは結果数値の評価の基本、信頼性の証、偏差の存在は認める
    ⇒バラツキの計算はGUMの指針に従う。

⑩検定とは
   1)一定の基準に照らして検査し、合格/不合格、価値や資格などを決定すること。
   2)新しく作られた軽量器や修理された計量器が、計量法で定める基準に適合しているか?どうかを検査する
     こと。

⑪校正結果の使い方
    ⇒測定、計測で使う場合 : 製作工業分野で多い
    ⇒校正で使う場合 : 製造(プロセス)工業分野で多い

⑫許容範囲(値)と不確かさの関係
    ⇒今までの出荷検査は信頼性評価はやってない、バラツキは無視!
     許容範囲(値)と不確かさは異なる概念!でも密接な関係がある。

4.試験、検査と校正

①検査・試験と校正の境界
    ⇒検査・試験 - 適合性の評価 - 規格・基準値
    ⇒校正     - 標準との比較 - 実証値

②これからの言葉
    ⇒「適合(格)性の表明(宣言)」が重要
      適合性評価(検査・試験・校正)などがその手段となる。試験・校正機器が使用している計測機器、分
      析計などはその手段のための標準器、標準物質である。
      許容範囲(値)と不確かさは異なる概念!でも密接な関係がある。

5.ISO9001ー2015版とサービス

①注目すべき点
    ⇒サービス(校正)分野への配慮 : 「製品」と「サービス」をわけて定義、違いを強調た。
      技術管理主体(リーダー)の存在とパフォーマンスの評価など。
    ⇒リスクベースの考え方が明確になった。 : 強みと弱みを明確にする。
      やはり”製品”の生産が中心です。

②サービス関係
    ⇒製品とサービス(試験・検査、校正)との関係が明確になった、製品の品質目標に対するサービスの対
     応。
    ⇒作業環境から「プロセス(工程)の運用環境」へ
    ⇒監視機器及び測定機器から。 「監視及び測定の為の資源(resource)」

③日本工業規格から「日本産業規格」へ
    ⇒日本のGDPの約7割をサービス業が占めている。
    ⇒「役務」としてサービス分野を対象に追加する。
    ⇒法律の名称を工業標準化法から「産業標準化法」に
    ⇒マークはそのまま使う。

④現状の品質管理システムは
   1)レガシーシステムの再評価 → 生産者側
   2)DUTか製品のCPの設定とその根拠
   3)DUTか製品の許容範囲(値)の設定とその根拠
   4)DUTと標準との校正の不確かさ(精度)比
   5)DUT、標準の校正間隔/期間/周期は
   6)その他

まとめ

不確かさを現場の校正で使う
   1)「不確かさ数値(バラツキ)」は引き取り校正事業者が理想的な環境で校正した結果
   2)現場では同じ「不確かさ数値」では計測や校正は出来ません。
   3)上記1)と同じ環境、同じ校正方法・手順を実現できれば添付された数値での計測、校正結果が期待でき
     ます。
   4)でも校正されていないより校正されている計器、測定器を使った方が「安心」だと思います!

所 感

今回の勉強会は、普段私達が工事を行う際、常に行わなければならない計測が題目になっており、 とても興味深く講義を聞かせていただきました。内容的にも様々な考え方や例えなどを挙げられ、 噛み砕いた言い回しにて判りやすく説明をしていただき非常に参考になりました。
  ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受け頂きました田村講師に厚くお礼を申し上げると共に、 今後とも益々のご活躍をお祈り申しあげます。

以 上

カテゴリー
活動報告(東北・北海道)

「計測・校正における不確かさの意味」

活動名「計測・校正における不確かさの意味」
講師
田村 純 講師
三興コントロール株式会社 計測制御サービス事業部 校正技術部 部長
実施日平成29年(2017年)10月25日(水)
場所ハーネル仙台 5F
宮城県仙台市青葉区本町2-12-7
参加者20名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 平成29年度東北・北海道地区の勉強会を、平成29年10月25日にハーネル仙台にて実施いたしましたので、ご報告申し上げます。

2.講習会内容

テーマ:「計測・校正における不確かさの意味」

   下記の5つの話題に分け、何気なく日常で利用していた 旧来からの「計器」「精度」「校正」の用語の本来の 意味や考え方、そして、新たに加わる「不確かさ」と 考え方やその意味を、専門的な見地から丁寧に解説、 ご教授いただきました。

   1. 計器と精度

   2. 計測と校正

   3. はじめての不確かさ

   4. 試験、検査と校正

   5. ISO9001-2015 Risk-Base Management

田村 純 講師
3.まとめ

 本講義を受講させていただき、大変勉強になりました。日常的に使用している「精度」や「校正」などの定義や本来の意味を、事例を交えてわかり易く解説頂き改めて考えさせられました。
 また、初めて「不確かさ」という考え方を教わり、世界での計測・校正に関する今後の規格化・標準化の流れなども勉強になりました。 最後に、ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・解説頂きました田村 純様には厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。                                              

以 上

勉強会の様子